ビジネスパーソンインタビュー
Mr.マリック著『超魔術の裏技術』より
相手に好印象を与えるには、片目を見よ。Mr.マリックが教えるコミュニケーションの“超魔術”
新R25編集部
「ハンドパワー」「きてます」などの名言を残した、超有名マジシャンのMr.マリックさん。
空中浮遊、透視、瞬間移動などのマジックをテレビで披露し、「超魔術」の名を知らしめました。
そんな超魔術師としての活動が30周年を迎えた今年、マリックさんがついに「超魔術」の正体を明かしました。
それが、超魔術ならぬ、超話術。
マリックさんは「会話を巧みに操ることで、普通のマジックを普通のマジシャンがやればマジック。私がやれば超魔術になるのです」と語ります。
そのノウハウがつまった『超魔術の裏技術』より、「1対1」「1対2〜3」「1対10数人」のコミュニケーション法を3記事にわたってお届けします。
相手の顔のどこを見れば好印象を与えられるのか
大陸の人々は古来より戦闘の歴史を歩んできました。
目を逸らしたら負け。目を逸らした瞬間、何をされるかわからない。そういう歴史がDNAにあるんですね。
だから目を逸らさない。相手の両目をじっと見るのは“射す目”です。戦闘態勢の目。猫もそうですね。じっと見つめると飛び掛かってくる子がいます。
島国の農耕民族である日本人は違います。じっと両目を見ることは「喧嘩売ってるのか?」となってしまいます。ご法度です。
かといって、相手を見ないのもまた失礼な話。「こっちを見ようともしない」と相手は怒ってしまいます。
だったらどうすれば失礼に当たらないか?どこをどう見れば相手に好印象を与えられるか?
口元を見ていると、相手からすれば目よりも下への視線になりますから、「この人、目も合わせようとしない。自信がないのかな」と思われてしまう。
逆に相手の目の上、額のあたりを見ると、相手に「こいつは生意気だ」と思わせてしまいます。眉毛よりも上を見ると、見下したような目線になってしまいます。
相手に不遜、傲慢、攻撃的、挑発的といったイメージを与えます。いいことはひとつもありません。
両目と口を結んだ三角形を見よ。
こんな風に教える本やマナー講座もあります。私はこれもどうかなと思います。実際に誰かにやってみてもらってください。焦点が合っていないように感じるはずです。
私は相手と話すとき、片目を見ます。
片目だけを見るようにすると、見られているほうは射すような強い視線を感じなくて済みます。
どうぞ、仲の良い人とお互いにやりあってみてください。実感できるはずです。
じっと片目を見つめ続けるのではなく、たまに目と口の間あたりに視線をゆっくり泳がせます。
これがちょうどいいバランスだと思います。慣れるまで少し時間はかかりますが、ぜひそうしてみてください。
「小学4年生」という境界線
「大人と子供で、コミュニケーションを分ける」と言いますが、子供というけど、ずいぶんざっくりしているな、とお思いではないですか?
そうです。子供といっても6歳の子と10歳の子では全く意味が変わってきます。
マジックを見せた時の反応も全く違うものです。
子供はどこで大人の見方に切り替わるか?私はその境界線をこんな風に定義しています。サンタクロースを信じている子と、いないことを知っている子です。
信じている子たちは、マジックを魔法だと信じています。サンタクロースの正体が両親やおじいちゃんおばあちゃんだと気づいている子たちは、マジックをマジックとして捉えます。
私の経験上、10歳、つまり小学4年生がその分かれ目です。
もちろん個人差はあります。1年生でも、ませた子であれば信じてはいない。しかし、私の経験によるおおよその統計上では、4年生です。
4年生はサンタクロースがいないことを完全に知っています。3年生と4年生。たった1年ですが、子供たちは驚くほど成長します。この1年間で考え方が一気に大人に近づくのです。
4年生以上になると、私がマジックを披露している際、思わず手を伸ばしてくるのです。
トランプを触って確かめようとしたり、箱をひっくり返してみたり。タネがあるはずだ、とわかっているんですね。そしてそれを推理して暴こうとする。手を伸ばすか伸ばさないかの違いだけで、思考回路は大人と同じなんです。
この小学4年生を境界線として、気を付けていただきたいことがあります。それは話の仕方です。
3年生以下の子供に話す際は、うんと目線を下げて、わかりやすい言葉を選んで話してあげてください。
4年生以上~大人に話す際は、4年生にわかるように話をしてください。
4年生に対して、3年生以下を相手にするように話すと、幼稚になってしまいます。
かといって大人に対する話し方を4年生にしても難しすぎる。たとえば「今から空中浮遊をやってみます」というと、4年生には難しいかもしれません。
「今から人が浮き上がります!」と言い換えればいい。これなら1年生でも大人でもわかりますから。
私はテレビでも小学4年生にわかるように話をしていました。何が言いたいかというと、わかりやすく話すことの重要性です。
話の理解度というのは、人それぞれ違います。大人でも話が通じにくい人もいれば、中学生でも理解度の高い子もいます。
しかし話す側からは、相手がどのくらい理解してくれているかはわかりませんよね。うんうんと頷いているからといって、本当にわかってくれているかどうか。
だったらどうすればいいか? こちらができるだけ、わかりやすく話すしかありません。その基準が小学4年生という境界線なのです。
空中浮遊→人が浮き上がる
貫通→通り抜ける
4年生にわかる言葉であれば、当然大人もわかります。基準を常に4年生に合わせておけば、理解度の低い人に通じない、という心配がぐっと減ります。
やたら難しい言葉を使いたがる人がいますよね。横文字を連発したり。知らないほうが悪い、とでも言わんばかりに。年配者や専門知識のない人などを置いてきぼりにするような、話し方をする人たちがいます。
専門用語でしか伝わらない部分は当然、その用語を知っている者同士において、使うべきです。しかし、専門外の方も混ざっている中では、できるだけやさしい日本語を用いるべきです。
賢い人ほど、やさしい言葉で、難しい世界をわかりやすく説明できます。難しい言葉や横文字をやたら使う人は、自分のレベルの低さを披露しているだけです。恥ずかしいからやめたほうがいい。
わかりやすく話すことは、相手を馬鹿にすることではありません。思いやりです。
「間合い」の極意
「今日はどんなものをお探しでしょうか?」
洋服を買いに行くと、すぐに駆けつけてくる店員さんがいますよね。私はそんな風に来られると、すぐに退散します。
どんなものがあるかなぁと探しに来たわけです。それをいきなり「探し物は何ですか?」と売る気満々でガツガツ来られたら、逃げたくもなります。
まだ何の心の準備もできていないのに、いきなり土足で踏み込んでくるような態度。私は大嫌いです。お客様が何を望んでいるかがわかっていないから、こういう接客になるのです。
人間と人間は距離感、つまり間合いがすべてです。近づき方、入り方、接点の持ち方。これがすべてです。
どうすればいいか? とにかく威圧感を与えないこと。真正面にどんと立たれたらどうですか? 威圧感を感じますよね。されて嫌なことはしない。当たり前のことです。
真正面は敵対の構図です。相手に攻撃の意志と緊張感を与えてしまうのです。あなたにそのつもりがなくても、構図がそうなのです。
スペースの都合上、どうしても向かい合わなければならない場合は、真正面を避けて、少し横へずれてください。
たとえば、会社の上司や同僚後輩たちとの立ち話では、斜め前に静かに立ってみましょう。それだけでも相手に与える印象が違います。
意中の人と食事に行く際もそうです。どのくらい親密なのかにもよりますが、テーブルを挟んで向かい合う構図は出来れば避けたほうがいいでしょう。
カウンターで隣り合うのがベストです。真横はお互いに一番リラックスできる形なのです。
相手にジロジロ顔を見られる心配もないし、前日にうっかりニンニク料理を食べてしまって口臭が気になっていても、息を相手に向かって吐かずに済みます。
相手の目をずっと見続けるのは良くないですから、それも避けられる。隣にいて、たまに目を合わせるのがお互いに気が楽ですし、効果的です。
また隣同士というのは“並んで同じ方向を見つめている”という構図ですよね。ですから“同士”感が深まりやすいのです。
意中の人だけではなく、友達と隣り合えば友情も深まりますし、仕事仲間や上司と隣り合えば、より打ち解け合い、結束も高まりやすくなります。
超魔術師による人の心を操るコミュニケーション術がここに
「実演販売員時代」「ナイトクラブ営業時代」「テレビ時代」「ライブ時代(現在)」の4つの時代で培ったコミュニケーション術。
マリックさんの経験に基づいて、相手の自分の話やパフォーマンスを効果的に届ける方法が『超魔術の裏技術』に収められています。
「誰の心でも誘導できる」と豪語するマリックさんの超魔術をぜひ学び、明日からの会話で変化を実感してみてください。
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