ビジネスパーソンインタビュー
“ネット時代の寵児”にも弱みがある
「遅刻に怒る人は、能力値が低い」ひろゆきが“勤勉さにはあまり意味がない”と語る理由
新R25編集部
人にはさまざまな「弱み」があります。
容姿、頭脳や、どうしても直せない悪癖…。生まれついての“人より苦手なこと”に落ち込んでいる人もいるのではないでしょうか。
しかし、そんな弱みがありながら、独自の活躍をしている人たちもいます。
新R25の8月の特集「弱みは強み」では、そんな人々に、「弱みとの付き合い方」「弱みをどうやって強みに変えたのか」を聞いていきます!
まず登場するのはこの人…!
最初にお話を聞いたのは、ひろゆきさん。
「2ちゃんねる」を立ち上げた、ネット時代の寵児とも言える存在ですが、ひろゆきさんには「多くの弱みがある」のだとか。
ちょっとデリケートな話になるかも…と思いきや、ひろゆきさんは「人の特徴にあまり過敏になりすぎないほうがいい」と語ってくれました。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
【西村博之(にしむら・ひろゆき)】1976年、神奈川県生まれ。中央大学卒。1999年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2003年「未来検索ブラジル」取締役に就任。2005年にはニワンゴの取締役に就任(のちに辞任)。2015年には英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に
「ずーっと遅刻してきた」。ひろゆきさんの“弱み”
天野
ひろゆきさんは以前、「自分は発達障害かもしれない」と発言されてますよね。
ひろゆきさん
おそらく多動症(ADHD)でしょうね。
15分も座ってられないし、学生のころもずーっと遅刻してました。
天野
そうなんですね。だから今日も…
この取材も20分ほど遅れて登場されました
ひろゆきさん
あと身体感覚として、自分の体の大きさをちゃんと認識してなかった気がしますね。遅刻して教室に入って、ほかの生徒の机にガンガンぶつかりまくって自分の席につくから、すごい目立ってました。
天野
すごい生徒だな…
ひろゆきさん
夜更けまで好きなことをやっていて、朝方に寝て、気付いたら予定の時間を過ぎている。今でもあまり変わらないですね。
天野
「起きなきゃいけない」とわかってても起きられないんですか?
ひろゆきさん
まあそうですけど…
でも当たり前だと思いませんか?
だって寝てる間って意識がないんだから、「頑張って起きよう」って思えないじゃないですか。
一瞬納得しかけましたが…これって屁理屈だよな…?
「遅刻に怒る人は能力値が低い」。ひろゆきさんの“遅刻論”
ひろゆきさん
ていうか僕、「遅刻に怒る人って能力値が低い」と思ってるんですよ。
またすごい理論が出てきた
天野
それはどういうことですか…?
ひろゆきさん
優秀な人って忙しいじゃないですか。
いろんな案件が飛び込んできたり、予定の時間がズレたりするから、遅刻やリスケが多くて当然。
でも優秀じゃない人ってヒマなんで、なぜかアポの30分前に来て「お茶飲んでます」とか言うんですよ。
天野
自分、わりとそういうタイプかも…
ひろゆきさん
人間が怒るって、珍しいものを見たときに怒るんです。当たり前のようにあることには誰も怒らないので。
だから、人の遅刻に怒ってる人って、忙しい人と仕事をしたことがない可能性が高い。つまり優秀じゃないって判断できる。いいアンテナになるんですよ。
天野
でも、一般の会社員だと遅刻って割と怒られますよね…
「勤務態度が悪い」って評価を下げられることもありますし。
ひろゆきさん
「遅刻をしないから」とか「勤勉そうだから」で仕事がもらえる人もいるとは思うんですけど、そこを頑張っててもあんまり意味ないです。
ひろゆきさん
考えてみてほしいんですけど、「遅れずにピザ届けます」っていう人に払われる時給って、限界があるじゃないですか。
でも、「ちょっと焼くのに時間かかりますけど、めちゃくちゃうまいピザをつくれます」っていう職人がいたら、行列ができますよね。
天野
たしかに!
ひろゆきさん
「時間」とか「勤勉さ」で評価されようとするのは、あんまりオススメしません。
誰でもできることなんで、そこを追求しても給料は上がらない。
…まあ僕はできないんですけど(笑)。
ですよね
「毎日必ず怒られていた」というひろゆきさんは“勉強”についてどう考えるのか
ひろゆきさん
こんな感じなので、僕は小学生のころは毎日必ず怒られてました。
天野
毎日必ず!
それって、ひろゆきさんの今の性格に何か影響してますか?
ひろゆきさん
他人に怒られても何も感じなくなりました。
天野
ひろゆきさんのイメージにピッタリです…
ひろゆきさん
僕が小学生のころは、昭和だったんで「怒る」にくわえて「殴る」もあったんですよ。
でも、大人になったらみんな怒っても殴ってこないから、「超ヌルイな」って思います。
「仕事でトラブルになって怒鳴られても『怒鳴ってますね』ぐらいにしか思わない」
天野
ひろゆきさんって勉強はできたんでしょうか?
ひろゆきさん
全然ですよ。中学、高校では学年で下から3番目ぐらいの成績でした(笑)。
でも「マークシート」みたいに、勉強しなくても点数取れるやつは得意だったかな。
天野
?
なんでマークシートだと勉強しなくていいんですか?
ひろゆきさん
問題を作る人の考えをトレースすればだいたい答えがわかるからです。
たとえば「Beautiful」っていう単語の意味を「汚い/美しい/まずい」っていう選択肢から選ぶとするじゃないですか。
「汚い」「美しい」は同じグループで、「まずい」は味だから別のグループだなとわかる。もし正解が「まずい」だったら、人間の考え方として、まずはそれと同グループの「おいしい」を入れるはずなんですよ。
そうやって見ていくと平均点ぐらいは取れますよ。
天野
それで平均点も取れるんですか!?
ひろゆきさん
よっぽどのキ●●●が問題作らない限りは、考えがわかりますからね。
キ…
ひろゆきさん
まったくわかってないのに、古典のテストでクラス1位を取ったこともあります。
ちょっと話がズレますけど、僕今でも古典って嫌いなんですよ。学校で教える必要ないと思う。
天野
「教養として必要だ」って声もありますが…
ひろゆきさん
教養っていうけど、習っても習わなくてもだいたい読めるでしょ、ひらがななんだし。
社会に出て、本当に一度も役に立ったことないから、もうさすがに教えなくていいと思います。
天野
じゃあ、どんなことを教えれば「役に立つ」と思いますか?
ひろゆきさん
「宗教」です。これから、いろんな宗教への知識は必須になってくる。
日本人だけがいる社会だったら「まあ一杯やりましょう」で仕事できていたのが、宗教の影響でできなくなる。そういうトラブルも増えていきそうですよね。
なぜ僕らは「個人の小さな違い」が気になってしまうのか?
天野
教育といえばひろゆきさんは以前、インタビューで「日本の学校では、個人個人の小さな違いを『発達障害』として欠点のように言いすぎ」とおっしゃってますよね。
なぜ日本ではそうなってしまうんでしょうか?
発達障害とは
…「自分の感情をコントロールする」「物事に集中する」「他人の表情から感情を理解する」などがうまくできないのが発達障害です。これは生まれつきの行動や思考の特性であり、個性や性格に近いものです。
発達障害には、人とのコミュニケーションが困難な自閉スペクトラム症(ASD)、注意が持続できなかったり衝動性が高い注意欠如・多動症(ADHD)、読み書きや計算などが極端に苦手な限局性学習症(LD)の3つのタイプがありますが、複数のタイプを併せ持っている場合もあります(
NHK健康チャンネル
より)
ひろゆきさん
同じような人が多すぎるんで、ちょっとの差が目立ちやすいんですよ。だから、人との差をなくさなきゃいけないと思い込んでしまうんですね。
僕が今住んでるパリだったら、黒人もいて白人もいて、そもそも違いすぎるから細かい違いがあったって気にする人いないんですよ。
ひろゆきさん
アメリカの教育では「人と違う」ということの価値を教えるんですけど、日本は集団と同じであれという教育をしますよね。
学校で教えられて、社会に出てもそれをみんなでやっている。
天野
「人と違うことの価値」か…
ひろゆきさん
ドイツでは、「自分の信念があるなら、少数派だとしても曲げずに言いつづけろ」っていう教育をするんです。
国民みんながそれができずにナチスが台頭したっていう反省があるので。
天野
そういう理由なんですね。
ひろゆきさん
あと、日本を含めた東アジアの「平均化したがる」文化には、お米が関係してると思います。
お米…?
ひろゆきさん
米って異常に作りやすいし、栄養がある。炭水化物の比率でいうと、米を超える主食はないんですって。
だから、東アジアってもともと欧米に比べて人口密度が高い。そういう社会だと、なるべく同じような人が集まって、現状を維持するような文化になると思うんですよ。
でも、もはや作ってる作物だけで社会のかたちが決まる時代じゃないですからね。
天野
たしかに、農耕社会を守るためにあった文化は変わっていってもおかしくないですね。
ひろゆきさん
少なくとも、ちょっとの違いを気にしすぎるような文化はやめたほうがいいかなと。
海外じゃ、どんなブサイクな子どもでもめちゃくちゃかわいい!って言われて育つんです(笑)。
それぐらいでいいと思うんですけどね。
学生時代を振り返りつつ「だいぶヤバイヤツですね! こんな話する機会がないんで自分でビックリしました」とひろゆきさん。
話題の守備範囲の広さに驚かされつつ、教育、農業にまでおよんだ話は、ここから仕事にまつわる「弱み」に展開していきます。
8月13日(火)公開の後編をお楽しみに!
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=池田博美(@hiromi_ike)〉
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