お願いします！ （もぐもぐ）

あの…（ゴクン）、なんでか僕今、「韓国で一番有名な日本人」になってるみたいです（笑）。

YouTuberの方が街中で若者を中心にインタビューした結果、僕の名前を一番多く挙げていただいたみたいで。

じつはバスのラッピング以外にもいろいろあって、韓国の映画館で映画が上映される前は、僕がゲームの紹介をしているCM映像が流れてるらしいです（笑）。「アべンジャーズ/エンドゲーム」とかの前にも。

ほかにも、韓国の20～30代をターゲットにした男性雑誌『MAXIM KOREA（マキシム・コリア）』6月号の表紙モデルにも抜擢されたり…びっくりですよねぇ。

ちなみに、この表紙グラビアのテーマは「韓国の性的な悩みを解決するために降臨した愛の神」だったそうです。

きっかけは、YouTubeチャンネル「しみけんTV」を開設したことでしょうか。

広告のお仕事も、韓国への進出を狙う中国のゲーム会社が「しみけんTV」の韓国人気を聞きつけて依頼がきました。

正式にアクションゲーム「ARKA（アルカ）」のイメージモデルとしてCM出演のオファーを受けたら、あれよあれよという間にその広告がバスにラッピングされたり、映画館で流れたりしてたんですよね。

今年の1月、奥さんと友達と韓国旅行に行って普通に観光を楽しんでいたら、街でやたら声をかけられたんですよね。

「しみけんさんですか!?」とか。

僕も「なんでだろう？」と気になって韓国在住の友だちに聞いてみたら、どうもAVの制作や流通が禁止されていたはずの韓国でも、ここ10年くらいでインターネットという名の抜け道によってみんな観るようになったらしいんですね。

で、世界のAVの約6割は日本製（※しみけんさん調べ）ですから、約1万本ほどの出演作がある、僕のことをみんな知ってくれるようになったそうで。

韓国には“性教育者としての役割を果たす人”がいないらしいんですね。

それで「もしかして韓国にも、性教育の需要があるんじゃないか？」と思い、韓国の広告代理店で働いていた友人と「しみけんTV」を始めることにしたら…

ビックリなことに、開設してすぐにチャンネル登録者が10万人を超えたんです。

ありがたいことに現在の登録者数は約46万人で、約8割が韓国のファンですね。

韓国ユーザーから集まった「性のお悩み」を中心に、質問に回答したりしてます。

たとえば男性なら「男性器が小さく自信を持てない」とか、女性なら「傷つけない言い方で、彼氏の乱暴なセックスを変えたい」とか。

国が違っても、性の悩みってだいたい全世界共通なので、AV業界に22年いてセックスのことばかり考えてきた僕だからこそ役に立てることがあるかもと思って。

いや、それすらないらしいんです。

韓国人には「儒教」の考え方が根付いているのですが、儒教って「禁欲」の側面が強いんですって。だから本当に過去、性の情報を得られる場所はなかったそうです。

当然、AV制作も禁止されていましたし。

そんななか、インターネットという抜け道を使ってではありますが、日本のハイクオリティなAVが韓国でも見られるようになった。韓国内ではそれが革命的な出来事だったようで。

革命的な世界に出てた男優がとつぜんYouTubeチャンネルを開設したもんだから、韓国ファンにとって僕は、鎖国中の日本に上陸した「黒船のペリー」みたいな存在だったかもしれないっスね（笑）。

セックスも、あくまで結婚後に子づくりをするためのみに行う行為でしかない…と考えている人もいて。

韓国人の方は貞操観念がとても強いとも言われてるんですよ。

…

たとえば、韓国人女性は、「男性に気軽に微笑んではいけない」って言われることがあるそうなんです。3回目のデートまで笑顔を見せてはいけないとか。

あと、「私は処女だ」と言い張ったりもするみたい。それがいいことだと。

そうですね、かなり歓迎されている空気を感じます。

あっいや、僕は韓国ではあくまで「性教育のおにいさん」として認識されているんですよ。禁欲的な国の性質自体に変わりはないから、AV男優として韓国で活動することはできないので。

だから、表向きのイメージは、突然海外からやってきて新しい考え方を広めた、宣教師ザビエルのような存在…なのかな？

韓国では今、小学生でも僕のことを知っているそうです。そういう意味では、影響力だけを見たら日本よりも韓国でのほうが大きいかもしれません。

「男性と女性がセックスという行為をしてできるんだよ」と、淡々と説明しますね。

大人って、性と聞くと勝手に「エロ」とつなげて考えて、「教育上よくないから」とか言って「コウノトリが運んできた」と嘘をついたりするじゃないですか。

でも、子どもたちは、「自分はどこからやってきたのか？」と、純粋に生物学的な疑問を持って質問しているだけなんです。

そこでハッキリ答えてあげないから、性教育がどんどん遅れてしまうんです。これは韓国だけじゃなくて日本もまったく一緒。

“人間の健康の達成”を目的として設立されたWHO（世界保健機関）も「遅くとも5才までに性教育をしなさい」と定めてて、早めに教えてあげたほうがいいんです。

性教育がされないままインターネットに触れられるようになると、子どもたちはどんどん変な知識ばかりを身につけますから。

さらに、「水着で隠れている部分を触られたらおかしい」など正しい知識を身に着けさせることで、子どもたち自身が性犯罪に気づくことができるようになるため、彼らを性犯罪から守ることにもなるんです。

AVはあくまでファンタジーであり、参考にするものではありません。

しかし、ちゃんとした性教育を受けた大人が増えない限り、インターネットの間違った知識を吸収したり、AVのファンタジーと現実をごちゃまぜにしたりする人は減らないので、結果、性に悩む人たちも減らないわけです。

これからは、そういう子どもへの性教育の仕方を教える動画も増やしていきたいです。はじめて性教育をするときに、親が伝え方に困ったら観る教育番組みたいな立ち位置に、「しみけんTV」がなっていったらいいな。

子どもにも大人にも必要な性教育を、地道につづけていきたいですね。

僕はAV業界に恩がありますからね。

僕ももともとは、性に関する悩みを解決できず鬱屈した日々を過ごしていたんですけど、性にオープンなAV業界に出会えたことで、性について悩まなくなって幸せになれた。

だからこそ僕も、今の自分の立場を最大限に活かして、一人でも多くの人の性の悩みをなくせたらって思ってるんですよね。