ビジネスパーソンインタビュー

“成長”を煽る人に負けるな。転職や就活で「成長できる環境」を求めてはいけない理由

ビジネスの世界は「プラスサムゲーム」

“成長”を煽る人に負けるな。転職や就活で「成長できる環境」を求めてはいけない理由

新R25編集部

2019/06/29

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成長を求めない人ほど、市場価値は高まる

日本最大級のプログラミングスクール「TECH::CAMP」を運営する株式会社divの代表、真子就有(まこ・ゆきなり)さんはそう断言します。

会社選びの軸として「成長できる環境」が第一に掲げられがちな今、真子さんはなぜそのような主張をするのでしょうか。

その背景には、多くの人が勘違いしている「ビジネスの本質」がありました。

渋谷で従業員200程度のテクノロジー教育の会社を経営している、真子と申します。

今回は、「就職や転職で成長できる環境を求めてはいけない」という話をしたいと思います。

特に、これから転職や就職で会社を選ぼうとしている人にこそ見てほしい内容になっています。

大枠で話したいことはこの4つです。

①なぜ成長を求めてはいけないのか

②成長を求めないほど市場価値は高まる

③成長を煽る人に負けてはいけない

④どうやって会社を選べばいいのか

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なぜ成長を求めてはいけないのか

まず、なぜ成長を求めてはいけないのか。

結論から言うと、幸せに働くことから遠ざかってしまうからです。

先に、誤解のないように言っておくと、成長すること自体がダメだと言ってるわけではありません

むしろ、まったく成長しない人生はとても窮屈で退屈です。

僕たちは、かけ算もできなかったころから新しいことを学んでいってここまで来たわけです。

日々何かを学習していくってことは、人間の本能だと思います。

私が今回言いたいことは「成長にとらわれすぎるといいことはない」ということなんです。

人の仕事観は3つに分けられる

イェール大学、エイミー准教授の研究結果によると、人の仕事のとらえかたには、「ジョブ」「キャリア」「コーリング」の3つのカテゴリーがあるそうです。

まず、「ジョブ」とは何か。

「ジョブ」に属する人の仕事の動機は、報酬です。

よりよい報酬があれば、すぐに転職してしまいます。

続いては、「キャリア」。

「キャリア」に属する人の仕事の動機は、経歴や自分が向上しているという実感です。

こういった人たちは、目の前の仕事を常に自分の将来のための踏み台だと思っています。

これがまさに成長にとらわれてしまっている人です。

最後に、「コーリング」。

「コーリング」に属する人の仕事の動機は、社会の役に立っている、自分の仕事には意義があるという実感です。

目の前の自分の仕事に取り組むこと。これ自体に価値を感じているわけです。

この3つのカテゴリーの中で、最も幸福度が高く、集中力高く仕事に取り組めている人は、「コーリング」に属する人たちでした。

この研究結果は、これまでの私の仕事の経験を振り返ってみても、当てはまると思います。

大学1年生のころに、家の近くのローソンでアルバイトをしていました。

シフトに入った瞬間から、「あー、早く仕事終わらないかなー」と思ってました。

どうせ同じ時給なんだから、頑張っても意味ないじゃん」と、後ろ向きな気持ちでいつも働いていました。

まさに「ジョブ」の状態です。

それからちょっと時間が経って、大学3年生のころ、ITベンチャーで仕事を始めたときは、「仕事が早く終わらないかな」とは全然思ってませんでした。

ただ、毎日自分の仕事のできなさを痛感していました。

そのときは、エンジニアの仕事と人事の仕事を兼務してやっていたのですが、エンジニアの仕事は実力がなさすぎて話にならないし、人事の仕事も段取りが下手すぎてよく指摘を受けるので、いつもビクビクしていました。

今考えると、「自分はまだまだ劣っている」「このままじゃやばい」という劣等感に突き動かされてしまっていた気がします。

これはまさに「キャリア」の状態です。

仕事にいつも追われている状態で、やりがいはたしかにあるものの、100%幸せかというとそうではありませんでした。

ちょうど私はそのころに、「自分の好きなことだけをやっていこう」と決意しました。

そう思って起業すると、毎日が本当に楽しくなりました。

22歳の創業から7年間、今日まで休みなく働いてきました。

大変なことはたくさんありましたが、「つらいな」「やめたいな」と思ったことは1秒も本当にありません。

毎日の出社が楽しみで、休日が憂鬱なくらいです。

これはもう「業績が順調かどうか」や「売上が上がっているかどうか」なんて関係がない状態です。

自分のやりたいこと」「挑戦したいこと」をやれているということ自体が、幸せなことなんです。

自分は今、エイミー准教授が言うところの「コーリング」の状態で働けていると思います。

あなたが今やってる仕事は、「ジョブ」「キャリア」「コーリング」のどれに当てはまりますか?

成長を求めないほど市場価値は高まる

次に、成長を求めないほど市場価値が高まってしまうという話。

みなさんは、「それ、逆なんじゃないの?」と思うかもしれません。

これはなぜかと言うと、成長を求めずに独自の価値を追求していくほうが、市場価値の高い存在になりやすいからです。

「成長したい」と言っているほとんどの人が勘違いしてることがあります。

それは、ビジネスを「ゼロサムゲーム」だと思っていること。

ゼロサムゲームというのは、限られた席を奪いあうイス取りゲームみたいなものです。

スポーツだったり、受験勉強だったり、こういったものは全部限られた席を奪いあうゼロサムゲームです。

そういったことをやってきた私たちが、世の中すべてをゼロサムゲームだと思ってしまうのも無理はありません。

でも、ビジネスの世界は違うんです。

ビジネスの世界は、「プラスサムゲーム」なんです。

ビジネスは、誰かと競争して勝たなくても、自らの力で市場を創り出すことができます。

こういった、勝てば甘い汁を吸えるとわかっているゲームには、たくさんの人が参入してきます。

わかりやすく言うと、給料が高い仕事市場価値が高い仕事って、みんなが目指してきますよね。

大企業の出世レースなんかもそうです。

そういったところには頭のいいエリートがたくさん集まってきます。

ゼロサムゲームに強い人たちです。

そこで勝つのは至難の業だし、そもそも運も重要です。

多くの人が、ゼロサムゲームに勝てずに「自分はまだまだだな」「市場価値低いな」と勘違いしてしまっています。

それではずっと、「キャリアの状態から抜け出せません。毎日の仕事に100%の幸福を感じることもないでしょう。

一方で、成長なんかまったく気にせずに自分が心から意義を感じられる仕事をしている人たち、つまり「コーリング」に属する人たちは、いかに社会や仲間の役に立つかだけを考えています。

「自分がどうか」じゃなくて「相手がどうか」を第一に考えられるわけです。その結果、自分だけの正解を見つけ出すことができます。

この世界で本当に市場価値が高い人とは、誰かがつくった問題で100点を取れる人ではありません。

本当に価値があるのは、誰も解いたことない課題に対して答えをつくれる人なんです。

たとえば私は、自分の原体験からプログラミングに挫折する人を減らしたいと思っていました。

自分はその痛みがわかるので、それを解決できることが自分にとっても幸せなことだったからです。

そんなことを漠然と考えてるなかで、「質問し放題の環境で学べるスクールがあったらいいんじゃないか」ということを思いつきました。

その着想から始まったプログラミングスクールは、開始から5年経たずに、売上数十億円規模、日本最大級のスクールになっています。

別に、大きな会社をつくることが幸せだなんて、ちっとも思っていません。

自分は、たまたま好きなことをやっていたらそうなっただけです。

成長を煽る人に負けてはいけない

「コーリング」の状態で働ける人は、自分の市場価値を飛躍的に高められる可能性が非常に高いです。

ただ、世の中には、成長できる環境や大きな仕事ができることをアピールする会社がとても多いんです。

おまえ、まだまだだな」と煽ってくる上司もいます。

そういったマウントを取ってくる声に、流されないようにしてほしいです。

人は、成長を煽られるとすごく弱いです。

特に、実績がある人とか目上の人に言われると、「自分はまだまだだな」とすぐに思ってしまいます。

そこで不安になって、誰かの答えをなぞることだけに意識が向いてしまうと、いつまで経ってもコーリングの状態で働くことはできません。

「成長できるかどうか」ではなくて、「自分が心から天職だと思える仕事」。

社員としてどこかの会社で入るのであれば、会社の理念と自分の理念が完全に一致している会社

こういったところで働くようにしましょう。

自分が心からやりがいを感じる仕事ができれば、家族や友人を大切にする余裕が生まれます。

より自立した自分で他者と接することができれば、何かに依存しない良質な人間関係をつくることもできるはずです。

どうやって会社を選べばいいのか

最後に、天職の見つけ方です。

よく仕事のやりがいについて話すと、こういった声を聞きます。

「心から幸せに感じられる仕事をやりたいけど、それが何かわからない」

そういった人たちにまずオススメなのは、「自分が好きなことは何か」を考えるのではなくて、まず自分が苦に感じないこと、もしくは比較的好きだと思えることのなかで、何か新しいことをやってみることです。

たとえば、人前で話すことよりも机で作業することが好きなら、プログラミングやデザインを学んでみる。

食べることが好きだったら、行った飲食店のレビューを食べログやブログに書いてみる。

オシャレじゃなくても全然構わないので、自分の着た服をインスタにあげてみる。

それが絶対に仕事になるかどうかなんて、考えなくていいんです。

自分がやってみて、新たに体験してみたことでしか価値観は広がりません。

やってみたら、もしかしたらすごく楽しく感じるかもしれません。

私は、未経験からプロのエンジニアになる「TECH::EXPERT」という日本最大級のスクールを運営しています。

ここへ来る方々って、どうしてエンジニアになりたいと思ったかわかります? 未経験からですよ?

ここで意外に多くある答えは「なんとなくやってみたら楽しかった」という答えなんです。

私の知り合いに、29歳で未経験からプログラミングを始め、プロのエンジニアとして転職した長野さんという方がいます。

この方は、「前職でなんとなく暇だったから、時間があるときにプログラミングをやってみたら、それがすごい楽しくて、そのままプロのエンジニアになった」そうです。

人生を変えるきっかけというのは「なんとなく」なんです。

だからまずは、そのなんとなくをやってみないと、絶対に始まりません。

動きつづけさえすれば、人生を変える機会は必ずあります。

やってみて向かなかったら、辞めればいいんです。

ただ、先がわからないことをやりつづけるのは、すごく不安だと思います。

やっているときは楽しくても、ふと冷静になって「これ、やってて意味あるのかな?」と思う瞬間も何度もあるはずです。

でもそこで新しい経験を積むのをやめてしまっては、いつまでも成長にとらわれた「キャリア」の状態になってしまいます。

最後に、私が好きなスティーブ・ジョブズの言葉を引用して終わりたいと思います。

仕事に費やす時間は、人生のなかでもとても大きなものだから、満足のいく人生をおくりたいなら「これだ!」と思える仕事をしなきゃいけない。

そして、そうなるためには、自分が本当に好きなことをやらなきゃいけない。

まだそれが見つかっていないなら、探しつづけよう。止まってはいけない。

https://www.youtube.com/watch?v=yuPDeowwBYk&t=1s

みなさんが心からやりがいを感じて、楽しく仕事ができる日々が訪れることを願っています。

本記事の動画はこちら

真子さん(まこなり社長)のYouTubeチャンネルには仕事に役立つ話が満載です!

今回の動画で語られていた「市場価値の高め方」をはじめ、私たちは意外と多くのことを誤解してしまっています。

そんな、“知らないと損をする仕事の話”をまとめてインプットできるのが、真子さんのYouTubeチャンネル。

今日からすぐに活用できる仕事術や会話のテクニックなど、「ビジネスで活躍したい!」と思う人にぴったりの情報が満載です!

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