ビジネスパーソンインタビュー

ヒロシに学ぶ「ソロキャンプ」の深い魅力。必要な道具やオススメの場所も教えてもらった

「本当の意味で、自由になれるんです」

ヒロシに学ぶ「ソロキャンプ」の深い魅力。必要な道具やオススメの場所も教えてもらった

新R25編集部

2018/12/22

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芸人として「ヒロシです」のネタはもちろん、キャンパー・YouTuberとして「キャンプ動画」でも人気を集めているヒロシさん

しかし、動画を見てみると、どうもひとりでキャンプを楽しんでいる様子。

…不躾ながら、「キャンプ」ってひとりでやって何が楽しいの…? 夜、寂しくなったりしないの…? やるにしても、初心者はどう始めれば…?

そんな疑問が生まれてきたので、ヒロシさんが考える「ソロキャンプの魅力」と初心者に必要な道具オススメの場所など、具体的な「ソロキャンプのやり方」を直接本人に聞いてきました!

目をつむるヒロシ

〈聞き手:いしかわゆき(新R25編集部)〉

キャンプって何が楽しいの? ツラくない?

ヒロシ

【ヒロシ(ひろし)】熊本県出身、1972年生まれ。ヒロシ・コーポレーション代表。「ヒロシです。」のネタで一世を風靡した芸人でありながら、これまでに9作の著書がある文筆家でもある。現在は、キャンパー・Youtuberとして幅広く活躍中

いしかわ

いきなり失礼な質問かもしれませんが、そもそも「キャンプ」って何が楽しいんですか?

こんなにも便利な世の中で寒空の下、わざわざ火を起こして固い床で寝るのが理解できないんですが…

ヒロシさん

わかります。実は僕もすごいインドアなので。おなかが空いても近くのコンビニに行くのを我慢するくらいの引きこもり気質です。

でも、そんな僕がわざわざ荷物を持って、震えながらも外に出るんですよね

ヒロシ

なぜそこまでして…?

ヒロシさん

僕がキャンプに目覚めたのは、小学校2年生のときにはじめて親に連れて行ってもらったのがきっかけなんですよ。

テントを持っていなかったので、生えている竹を切って櫓(やぐら)を組み、ブルーシートをかけて、そこで寝ました。

いしかわ

えっ!? キャンプってそんなサバイバルな感じなんですか…?

ヒロシさん

いえ、ウチだけでした。まわりの家族はテントだったので、ちょっと恥ずかしかったんですけど、何だかめちゃくちゃ楽しかったんですよね。

その経験が、今につながっているんだと思います。

椅子に座るヒロシ

ヒロシさん

最近流行りの“グランピング(「グラマラス(魅惑的な)」と「キャンピング」を掛け合わせた造語)”だと、大きなテントにふかふかのソファー、肉を焼いてくれるシェフがいることもありますよね。

でも僕は、豪華なキャンプがあまり好きじゃないんですよ。極力道具を少なくして、自然にあるものでどう楽しむか、と試行錯誤するのが醍醐味だと思っています。

いしかわ

キャンプに快適さを求めていないというか。

ヒロシさん

そう、むしろ不便を楽しむのがキャンプだと思ってるんですよ

ヒロシ

ヒロシさん

寝床を作ったり、火を起こしたりすることに「生」を感じるんです。そもそも人間って縄文時代まで遡ると洞窟で焚き火をして暮らしていたわけじゃないですか。

だから、本能的に自然に近づきたい、という欲があるような気がします。

たとえば、熱が出たときにキャンプに行くとするじゃないですか。

いしかわ

普通は行かないと思います(笑)。

ヒロシさん

いえ、行くんですよ!

しんどいなぁ、でも行きたいなぁ、という葛藤の末に行って、自然と触れ合っていたら、不思議なことに具合がよくなってるんですよ。

自然にはそういう力があるんです。僕はスピリチュアルとか嫌いなんですけど、でも実際に治るんですよね…

そうやって自然の中にいると、本当の自分に戻れる気がするんです自然を感じ、限られた道具で工夫して楽しむ。そこにキャンプの楽しみがありますね。

キャンプって大人数で行くから楽しいんじゃないの?

ヒロシ

いしかわ

キャンプ自体の楽しみは何となくわかったんですけど、本来キャンプって仲間とワイワイするのが楽しいものじゃないですか。

なんで“ソロ”キャンプなんですか?

ヒロシさん

だいたいキャンプって5〜6人で行くのが定番ですけど、この固定観念がもうよくないですね。

人数が多いと、アホみたいに荷物を持っていかなきゃいけないじゃないですか。デカいテントにデカいテーブル。

しかも、そのテント代って誰が出していると思います?

いしかわ

え…っと…

ヒロシさん

テントを持っている人が「テント担当」になりますよね。テーブル担当は3000円くらいの出費だけどテントはもっと高い。

「なんで僕がこんなに金出さないといけないの?」ってなるじゃないですか。

いしかわ

確かに不公平かも…

ヒロシさん

食材についても、みんなが「魚」って言ったら自分は肉が食べられませんよね。

さらには代金を人数で割ろうとすると、誰かが誘った仲良くもない女の子に「男のくせに割り勘なの?」なんて言われたりして!!

右手で目をおさえるヒロシ

どんどん出てくる、大人数キャンプへの不満

ヒロシさん

そうやって10年くらいモヤモヤしながらもキャンプをしていました。

でも、あるときのキャンプで僕が料理をしていたら、友だちのツテで参加していたしゃべったこともないような人に「焼きそばないんスか?」って言われて、カチーン!ときちゃいまして。

それがきっかけでひとりでキャンプをするようになりました。

いしかわ

そんないきさつが…

ヒロシさん

口に出さないかもしれないけど、大勢で行くキャンプって絶対に誰かが我慢しないといけないんですよね。ソロキャンプだと、その煩わしさが一切ないんですよ!

ソロキャンプで得られるもの。それは、圧倒的な自由なんです

ヒロシ

ヒロシさん

好きなテントを好きな場所に張って、好きなときに好きなものを食べて、眠くなったら寝る。誰にも邪魔されず、誰にも左右されず、自分ですべて意思決定ができるんです

僕は食事に興味がないので、カップラーメンで済ませちゃいますし。

いしかわ

えっ、せっかくのキャンプなのにカップラーメンを食べてるんですか!?

ヒロシさん

キャンプだからってマシュマロを焼くとは限らないんですよ。

大勢いるキャンプでカップラーメンを出すと文句を言われるかもしれませんが、ひとりなら何を食おうが自分の勝手ですからね!

いしかわ

さっき「自然に近づきたい」とか言ってたのに…

ヒロシさん

もちろん野草採ったりするのも理想ですけど、よくわからないからやりません。そんなところも自由なんですよ!

決定権を自分が持っているので、毎回学びが多いですね。

ヒロシ

いしかわ

決定権。

ヒロシさん

意外とみんな、普段の生活でも自分の行動の決定権って持っていないんですよ。集団で行動していると、「いつ」「どこで」「誰と」「何をやるか」を自分だけで決められないじゃないですか。

でもソロキャンプだとひとりで決断することができる。こんなにもスピーディに物事が運べるんだ、ということを経験すれば、仕事にもいい影響があるんじゃないかなって思いますよ。

いしかわ

なるほど、ソロキャンプは仕事にも良い影響があると。

ちょっとやってみたくなってきたかも…!

ヒロシが選ぶ「ソロキャンプにオススメな道具3選」

ヒロシ

いしかわ

とはいえ、未経験者がいきなりソロキャンプをするのはハードルが高いです。どうやって始めればいいのか…

ヒロシさん

まず、「キャンプ」って考えるからダメなんです。とりあえず山に入り、石に座って川を見ながらコンビニのおにぎりを食べてみてください。

次に、火が欲しいなぁ、と思ったらガスバーナーとヤカンを持っていって、水を沸かしてカップラーメンを食べる。

心地よさを感じたら、それを延長していけばいいだけです。そのうち、焚き火台や寝袋が欲しくなってきますよ!

いしかわ

なるほど。ちなみに、ソロキャンプをするときに買っておくと良いオススメの道具ってありますか?

ヒロシさん

僕はあまり特定のものを勧めないようしているんです。

前まではよくソロキャンプをやりたい人たちに「アレがいい」「コレがいい」って勧めていたんですけど、最近、自分はその人たちから「道具を悩む楽しみ」を奪っているかもしれない、ということに気付いたんですよ。

いしかわ

悩む楽しみ、ですか。

ヒロシさん

最初はロクでもない道具を買いがちなんですよね。大は小を兼ねる!とか言ってムダに大きなものを買ったりして。

でも、そうやって失敗を経て、自分にぴったりなものを探していくのもまたキャンプの楽しみのひとつなんじゃないか、って思うんです。

頬杖をつくヒロシ

ヒロシさん

キャンパーの使う道具はそれぞれで違ってて、すべての人にぴったりな道具なんてありません。道具選びもキャンプの一部として楽しんでほしいんです

いしかわ

そういうものなのか…

でも、せめて初心者が最初に持っておくべきものだけでも教えてほしいのですが…!

ヒロシさん

では、最低限だけ教えますね。

ヒロシさん

まず、「B-6君」という小さな焚き火台は持っていて損はないかな。

小さいけれどお湯を沸かしたりBBQも楽しめるのでオススメです。畳むとB6サイズのノートくらいの大きさになるんですよ。

いしかわ

本当に小さい…! 薄いしとても良さそう。

ヒロシさん

これを組み立てるのもまた楽しいんですよね。キャンプ道具ってロボットやガンダムを彷彿させるので男心をくすぐるんです。

いしかわ

あと、初心者にとってネックなのがテントだと思うんですけど…

ヒロシさん

ハンモックならあっという間に寝床ができますよ!「DDHammocks」のハンモックはベルトを木に巻くだけでいいので手軽ですし、低い位置に設置すれば椅子の代わりにして座ることもできます。

これにタープを組み合わせれば、日よけや雨よけもできちゃうのでオススメです。

ハンモックに寝そべるヒロシ

いしかわ

ランタンはガラス製で、すごく重いイメージがありますね…

ヒロシさん

いやいや、「créer」のランタンはそんなことないです。安くて軽くてコンパクト!

しかも、充電式で電池の交換も必要なし。バッテリーとしての役割もあって、このランタンに繋げば、スマホを充電することもできるんですよ。

スマホを見せるヒロシ

いしかわ

へぇ、スマホが充電できるってすごいですね!

ヒロシさん

明るさも申し分ないし、光の強さも3段階調整ができて非常に便利なんです。僕も愛用しています。

残りの道具はお店に行って探してみたり、ぜひ「ヒロシちゃんねる」を見て選んでみてください!

ソロキャンプにオススメの季節や場所は?

ヒロシの両手

いしかわ

ちなみに、ソロキャンプをするのにオススメの季節場所はありますか?

ヒロシさん

夏は絶対ダメです。虫がいる。暑い。騒ぎまくっているうるさい大学生がいる。タンクトップを着たイケイケなパリピもいる。

でも秋冬だと、そういうストレスがないんですよ!! 最高じゃないですか?

指をさすヒロシ

テンションが上がるヒロシさん

ヒロシさん

なので、秋冬に行くのがオススメ。僕がキャンプに行くときに、もっとも重要視しているのが「人がいない」という点なんです

いしかわ

どうやって人がいない場所を探しているんですか?

ヒロシさん

僕は現地に足を運んで、キャンプができそうだな〜という場所を見つけたら、土地の持ち主に許可を取る、というやり方で秘密の場所を抑えています。

車に乗るヒロシ

いしかわ

それは上級テクニックすぎる!(笑)

ヒロシさん

ですよね(笑)。

初心者にオススメのキャンプ場だと、「道志の森」がいいですよ。川も林もあり、広々としているので自分で静かな場所を選んでキャンプをすることができます。

山梨付近は他にもいいところが多いので、ぜひ行ってみてほしいです!

ソロキャンプって寂しくならないんですか?

いしかわ

最後に、これが個人的にはソロキャンプの1番の懸念点なんですけど…あの…寂しくなったらどうすればいいんですか…?

ヒロシさん

…正直、僕も最初は怖くて帰りたかったです。

頭を抱えるヒロシ

怖かったんかい!!

ヒロシさん

夜になると森の奥から「ア――――」という変な声が聴こえてきて、めっちゃ怖くて全然眠れなかったこともありました。

いしかわ

それは怖すぎます…

ヒロシさん

でも、寂しくはなかったんです。

そこで僕は気付きました。人は、ひとりでいるから寂しいんじゃなくて、大勢の中でひとりになるから寂しいんですよ

ヒロシ

ヒロシさん

たとえば、グループでキャンプに行ったとしても、自分以外がカップル同士だったらイヤな寂しさがあるじゃないですか。

あとは、ひとり焼き肉に行っても、まわりがガヤガヤとしていたらなんとなく寂しさを感じますよね。

いしかわ

そうか、まわりと比べちゃうから寂しくなるんですね。

ヒロシさん

そう。でもソロキャンプなら、比べる対象がない。そこには、自然と自分しかいないんです

集団のなかにいるほうが時として孤独です。だから、あえてひとりでキャンプをすることで、孤独を感じなくて済むんですよ

いしかわ

…そう考えると、むしろひとりであることがメリットである気がしてきました。

ヒロシさん

そうなんです。

僕は夜、ちょろちょろと燃えている焚き火をいじるのが好きなんですけど、それをボーっと見ながら人生について考えたりしますね。

頬杖をつくヒロシ

ヒロシさん

ソロキャンプって、自分自身について考えるのに非常にいいんですよね。都会で集団生活をしているなかでは気付けなかった自分の気持ちや、本当にやりたかったことが見えてくる

本当の意味で、自由になれるんですよ。それは、すごく上質で自分を満たしてくれる時間なんです。

いしかわ

本当の意味での自由…

ヒロシさん

都会にいて組織に属している限り、誰かに合わせなきゃいけないじゃないですか。もちろんそれが平気な人もいるけど、そういう生活が苦手で我慢している人もいっぱいいますよね。

人に合わせることがキツい、と思ったらひとりで山に出かけてみてほしい。あなたは自由なんだから!!

「おひとりさまの高尚な趣味でしょ…」と斜に構えていた自分が恥ずかしくなるくらい、ソロキャンプには素晴らしい魅力がありました。

自分自身が置かれている状況は本当に正しいのか。今下した決断は本当に自分の意思なのか

そんなことをじっくりと考えられるソロキャンプ。今の自分にモヤモヤを感じたら、リュックを背負って「自由になる」手がかりを探しに出かけてみませんか?

〈取材・文・=いしかわゆき(@milkprincess17)/撮影=長谷英史〉

ヒロシさん初のビジネス書が発売!

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