ビジネスパーソンインタビュー

出発するまでの準備をパーツに分けよう。ゆうきゆう先生の完全遅刻対策マニュアル

遅刻をする人は「目的へのやる気がない」!?

出発するまでの準備をパーツに分けよう。ゆうきゆう先生の完全遅刻対策マニュアル

新R25編集部

2018/09/24

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いい加減、遅刻をしないようになりたい。

それは、人類の切実な悩みなのではないでしょうか。私も生まれてこのかた定刻に間に合ったことがほとんどありません。

・出る時刻30分前なのに「まだイケる!」と惰眠を貪る

・早起きしたことに満足して着替えないままベッドの上でスマホをいじる

・指定時刻に待ち合わせ場所ではなく駅のホームに着く

・道に迷う、電車が止まるなどのアクシデントが想定できない

いずれかが当てはまったあなた、私と同じく深刻な遅刻病だと思います。

今回は、こんな遅刻病の原因と適切な対応を教わるべく、『マンガで分かる診療内科』(少年画報社)のゆうきゆう先生に取材してきました!

〈聞き手=いしかわゆき(新R25編集部)〉

【ゆうきゆう】精神科医、ゆうメンタルクリニック総院長。東京大学医学部医学科卒業後、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。『マンガで分かる診療内科』(少年画報社)などの漫画原作ほか、100冊以上の書籍を手がけている

いしかわ

本物のゆうきゆう先生だ…(感動)

ゆうき先生

ふぅ、お待たせしてすみません!

いしかわ

いえいえ、私も1分遅れて着きましたから…!

遅刻をする理由は「目的へのやる気がない」から!?

いしかわ

まず、遅刻をしてしまう人の特徴が知りたいです。私は遅刻しない人と何が違うのでしょう…!?

ゆうき先生

遅刻が多い人って、根本的に「目的へのやる気がない」んですよ。

いしかわ

やる気? いや、私は仕事へのやる気はありますよ! でも遅刻しちゃうという…

ゆうき先生

イスラエルの心理学者、ジョセフ・シュワルツワルドの調査によると、「やる気のある社員に比べて、やる気のない社員は、遅刻することが多い」ということが判明したんです。

「私は遅刻ばかりするけど、仕事へのやる気はあるんです!」

と思っているかもしれないけど、それは間違い。心の底からやる気がないんです。

いしかわ

つまりプライベートのデートですら遅刻している私は…

ゆうき先生

気持ちが冷めているんじゃないですかね。

いしかわ

(絶句)

遅刻回避には「客観的自己注視状態」「パーキンソンの法則」を理解すること!

いしかわ

気持ちと言われると…

そんな遅刻を回避するために具体的なテクニックはありますか?

ゆうき先生

「客観的自己注視状態」を作ることですね。例えば、あらかじめ家族に約束の時間を伝えておいたり、準備をリビングでやったりする。

人は人の目がある状態だと、模範的に振舞わなければいけない、と思う傾向にあります。

いしかわ

なるほど、見られていることを利用するわけですね!

ゆうき先生

あとは、締め切り、つまり家を出る時間を明確に定めておくこと。人って締め切りがないとやらないんですよ。

「パーキンソンの法則」と言って、「締め切りが3時間後」と設定されれば、3時間ギリギリに終わるし、10時間だと10時間ギリギリに終わるものなんです。

「時間の見積もりが甘い!」と言われる人は「行くまでの準備」をパーツに分けて考えよう

いしかわ

私が周りからよく言われるのが、「時間に余裕を持てていない」「逆算できていない」というものなんですけど、そもそもそれができていたら最初から遅刻なんてしないんですよね!

今日も、私は約束の10分前に着く予定だったのに、なぜかオンタイムについたんです。なぜこんなことが起きてしまうんでしょう…?

ゆうき先生

「見積もり」そのものがうまく機能していないんですよ。「プランニング・ファラシー(計画錯誤)」というんですけど、作業にかかる時間を短く見積もってしまう傾向がある人がいるんです。

生活の中で身についてしまった「クセ」に近いので、直すにはトレーニングが必要です。

いしかわ

トレーニング?

ゆうき先生

時間管理とは、自分の行動をコントロールすることでもあります。

まずは、次の日の行動のきっかけをあらかじめ作っておくこと。例えば、前日から服やカバンを用意しておく。

小学生へのアドバイスみたいに聞こえるかもしれませんが、余裕がない人って、なぜか「当日の朝に準備できる!」という根拠のない自信を持っているじゃないですか。無理ですよ。

いしかわ

うっ…(小学生以下)

ゆうき先生

鍵・カバンなどの定位置を決めておくのもかなり有効です。

いしかわ

「几帳面な人」が靴箱の上に時計を並べたりしているアレですね。「そんなこと普通しないよ〜」とか思っていたけれど、確かにいつも出かける直前に「鍵がない!」と騒いでいる気がします…

ゆうき先生

次に、おすすめなのが、朝の行動リストを作って、一度パーツに分けて考えることです。

いしかわ

パーツ?

ゆうき先生

どのパーツによって遅刻が起きているのか、自分の行動を細かく分解して、一つひとつ改善するための方法を考えるんです。

実際に出発するまでの行動を細かくメモをし、時間を計測して、どれに時間がかかっているかを全部書き出してみてください。

例えば、起きてからご飯までに時間かかってるなら、ご飯を簡易的なものにしたり、前日から仕込んだりするなど、時間がかかっているものを早めに終えるような工夫をやっていけばいい。

いしかわ

自分の行動すべてを一気に改革するんじゃなくて、一つずつ変えていくんですね。

ゆうき先生

これを認知行動療法といいます。

一気に全て変えようとするから無理なんですよね。少しずつ行動を変えていくことが大事。

確かに、実際に書き出してみると無駄が多すぎることがわかる(SNSやりすぎ)

ゆうき先生

あとは、出かける前のアクシデントリストを作る。

心理学的には、人は最悪の状況を考えてその対策を練っておくと緊張しづらくなると言われています。

最悪な事態が起こる前提で準備をしておけば、気持ちがリラックスし、余裕を持って出発しようという意識に切り替わっていきます。

いしかわ

なるほど。確かに「何も事件が起きない前提」で出発時間を設定しがちなところはありますね。

ゆうき先生

そうやってアクシデントに敏感になっておくことで、「余裕」が作れるようになるんです。

最悪な事態に備えても、最悪な事態はあまり起こることがないので、結果的に「余裕」がある時間の見積もりができるようになりますよ。

※ちなみにすべて実際によく起きることです

「早起きしても遅刻をする」のは、やるべきことの優先度がわかっていないから

いしかわ

ちなみに、自分のなかでもっとも意味がわからないのが、早起きをしているのに遅刻をするということなんですよね。

着替えもせずになんとなくベッドの上でだらだらと本を読んだりパソコンを開いたりしちゃいます。

ゆうき先生

そういう人は物事に優先順位をつけるのが苦手なんですよね。

特に、朝は大抵頭がまわっていませんから、やるべきこともぼんやりとしか把握できていないと思うんです。

だから、やるべきことを優先度順に書いて壁に貼っちゃいましょう。可視化することで頭のなかを整理できますよ。

いしかわ

確かに、やるべきことはたくさんあるはずなのにやる順番はグチャグチャだ…!

ゆうき先生

そして、早起きから行動にストレートにつなげるオススメのトレーニングもあります。

寝る前に、「ベッドから跳ね起きて顔を洗いに行く」というのを10回練習するんです。この行動をシミュレーションして刻みこんでおく。

そうすると、目覚めと同時にベッドから出られるようになっていきます。

いしかわ

想像するとすごくシュールだけど、身体に染みこませるのが大事なんですね…!

ゆうき先生

早起きしてもベッドの上でダラッとしている人が多いですよね。そんな人には有効だと思いますよ。

遅刻の「甘え」を払拭するために

いしかわ

最後に、結局遅刻をしてしまう人って「甘え」があると思うのですが、遅刻をしないための「マインドセット」について教えてください。

ゆうき先生

遅刻は「ある種病気のようなものだ」という認識を持つことです。

「ギリギリだけど間に合った」「ギリギリだけど許された」という体験を繰り返すと、脳内でドーパミンが出てしまいます。これはギャンブル依存に近いもので、ギリギリのところで自分を追い詰めたうえで苦痛を回避することで、達成感を覚えてしまうんです。

歳を重ねるにつれて直しにくくなりますから、若いうちに認識を改めて、対処することが大事です。

遅刻は依存ですから。

遅刻は「いつか直るだろう」という認識でいると一生直らない厄介なクセ。周りからの信頼を失わないためにも、「一種の病気だ!」と割り切って向き合っていきましょう。

〈取材・文・撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉

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