ビジネスパーソンインタビュー
どっちも経験したからこそわかることがある!
安心がないとアイデアも出ない。「元フリーランス会社員」たちが“勤め人”の魅力を語る
新R25編集部
最近、にわかに「フリーランス」という働き方がもてはやされている気がします。
「時間や場所にしばられない」「実力主義」というかっこいいイメージがありますが、一方で“不安定”みたいな話を聞くことも…。
ずっとサラリーマンだと、イマイチ見えてこないフリーランスの働き方。そこで今回は、「元々フリーランスだったけど、その後会社員になった」という珍しい人たちを集めて、徹底的に話を聞いてみました!
お話を聞いたのは、個性豊かなこちらの3人!
桐谷ヨウさん 現在の職種:ITコンサル企業勤務 フリーでの活動:ライター・ITコンサル フリーランス期間:2年
霜田明寛さん 現在の職種:PR企業勤務 フリーでの活動:ライター・就活セミナー講師・芸人…etc. フリーランス期間:5年
ケントさん 現在の職種:外資系企業勤務 フリーでの活動:バックパッカー→靴職人 フリーランス期間:6年
フリーランスから会社員になったきっかけは?
渡辺
まず簡単に、皆さんがフリーランスから会社員になったきっかけを教えてください!
桐谷さん
ボクはフリーのITコンサルやライターとして活動してたんですが、仕事量や自分のモチベーションをコントロールするのが難しく…。“波”に耐えられなかったんです。
そう思ってたときに知人から「週4正社員でいい」という今の会社を紹介されて。副業OKで好きなことを続けられる環境もあったので、入社を決めました。
霜田さん
ボクは大学を卒業してそのままフリーランスになってしまったんですけど、「会社員を経験していないとナメられる」ということに気づいたんですよ。
ライターとして“就活本”を書いていたので講演を依頼されることがあったんですけど、「こいつ会社員経験がないんだけど大丈夫か」と思われてるんじゃないかと。
だったら、会社員になったほうが、企業のカタいおっさんにナメられないんじゃないか…って思って就職しました。
大学時代「アナウンス研究会」に所属していた霜田さんは、アナウンサー向けの就活講師もやっています
渡辺
ケントさんは、「バックパッカー→靴職人→外資系企業」とかなり異色な経歴ですが、どうして会社員に?
ケントさん
ボクは結構思い付きで動いちゃう人間なんですよね。
バックパッカー時代に「これはスゴイ!」と感激するような“靴”と出会って、そんなものをつくってみたいと思って靴職人に弟子入り。結局都内に自分で店舗を構えるまでになれました。
渡辺
へえ~! めちゃくちゃ勢いで行動してますね。そこから就職された理由は?
ケントさん
靴が好きって気持ちが薄れてきちゃったんですよね(笑)。
渡辺
ありのままに生きてる…
ケントさん
さらに、店舗の家賃も高くて経済的にも不安定でした。だったら会社員のほうがいいかなと。
なんとなく予想はしてましたが、世間体にしばられないタイプばかりです…
「フリーは稼げる!」は本当なの? 「2〜3倍はもらえる」という話もあるが…
渡辺
皆さんの経歴を聞いたところで、一番聞きたかった質問を。
よく「フリーは儲かる」と聞きますが、ぶっちゃけどうなんですか?
桐谷さん
やる気次第ではフリーが儲かると思います。
例えば僕がやっていたITコンサルの仕事は、フリーで中抜きがない状態で受けていると、会社員の金額の2.5倍から3倍はもらえました。
渡辺
おお! 夢のある話ですね。
渡辺
ライターの世界はどうでしょう? フリーで稼ぐのは難しいですか?
霜田さん
「稼ぐ」のレベルにもよりますが、大儲けは難しいと思います。
一部の勝ち組、例えばはあちゅうさんみたいにインフルエンサーになってオンラインサロンでガッツリ稼げるレベルになれば最強ですけど、そんなのほんの一握りですよ!
渡辺
はあちゅうさんのサロン、月額9800円で500人近い加入者がいますからね…
仲良しのはあちゅうさんの話になると饒舌になる霜田さん
渡辺
ケントさんはどうですか?
ケントさん
ボクも会社員になって年収が上がりました。
靴職人はやはり売上に収入が大きく左右されました。ダメなときは「高校生のバイト代かよ…」っていう額しか残らないこともありましたから。
元フリーランスが考える「会社員のメリット」って?
渡辺
次に、3人が考える「元フリーランスだからこそわかる、会社員のメリット」を教えてください!
霜田さん
やっぱり「気がラク」。これはデカイです。
フリーライターの仕事は面白いアイデアを出すことも大事なんですけど、「今月の生活費は…? とりあえず大丈夫か…」みたいな状態じゃ面白いことなんて考えられないのではないかと。
桐谷さん
ボクの場合は、「お金の計算をしなくていいこと」がメリットだと感じましたね。フリーの時は、仕事の原資も生活費もごっちゃ。年単位の収支の見通しをエクセルで管理してたんです。
その作業って何かを生み出しているわけじゃないし、結構消耗するんですよ。MPが削られている感じです。
渡辺
たしかに、会社員だと不要な作業ですね。
全部自分で管理しなきゃいけないってしんどいな…
「結婚するのとカードを作るのは、会社員のほうがいい」
渡辺
ここまでお金の話が多いですが…ほかに会社員のメリットって何だと思います?
ケントさん
「1人で働くのは寂しい」っていうのはありますね。会社に来て、誰かと一緒に働くってすごく楽しいですよ。
霜田さん
フリーランスのときは「自分、社会から隔絶されてるんじゃないか!?」って気がしてて(笑)。
大学の友達と飲もうってなったとき、みんな「会社があるから20時半スタートで」とか言うんですよ! こっちは16時スタートでもイケるのに(笑)!
そういう“ズレ”が気になってましたね。
桐谷さん
分かる! ボクもそもそも根が明るいタイプなんですけど、ダラダラ過ごしてた期間はダウナーになってましたもん。
霜田さん
あとは、やっぱり最終的には会社員のほうがモテると思います。
これは僕のフリーランス時代への後悔なんですけど。
渡辺
え!?
霜田さん
年齢とともに女性は結婚を意識しはじめるじゃないですか。
「親に挨拶しにいく?」みたいなフェーズになると弱い。「それが原因でフラれてんじゃないか!?」って思ったことも何度か…(涙)
「結婚するのとカードを作るのは、会社員のほうがいい」と言いたいですね。
桐谷さん
これは名言ですよ!!!!
逆に、フリーランスのメリットは?
渡辺
逆に、「これはフリーランスのほうがよかった」ということもありますか?
桐谷さん
やっぱり自由でしたよね。好きな時間に起きて、ダラダラすることもできたし。ボクは自制心がなくてダメでしたが。
霜田さん
人付き合いはラクでしたね。フリーの時は、嫌なヤツがいたらその仕事はもうしない、みたいなことができたけど、会社員だとそうはいかない。
社内の人間関係も、ずっと一緒にいるとなると気をつかいますよね~。どうしても気になっちゃうんですよ。
ケントさん
ボクが思うのは、変な言い方ですが「好きなだけ仕事ができる」こと。好きな靴をつくる仕事は、正直「遊びの延長」みたいなところもあって、それに打ち込めるのは楽しかったです。
夜中までやってても苦じゃなかったし、1週間朝から晩まで働くこともありました。フリーランスは究極のフレックスですからね。
「働いてても苦じゃなかった」。さわやかな笑顔です
渡辺
やっぱりそういう話を聞くと、フリーランスがうらやましいと思えてきますね…
会社員も自分なりの「行動規範」や「経営者視点」を持て!
渡辺
最後に聞きたいのですが、フリーランスを経験したからこそ生きている現在の強みはありますか?
霜田さん
フリーランスを経験したことで、「行動規範を自分でつくる」ということができるようになったと思います。つまり、何か判断するときに「会社が決めたことだから」となるんじゃなく、自分で考える力がついている。
新卒でいい会社に入れた人とかと話してると、「会社に洗脳されてるな」って人いるじゃないですか。そういう人を見ると、「俺のほうが自分の頭で考えてる分、強いはずだ!」って思います(笑)。
「あいつらは会社が決めたことでしか動けない」と鋭く指摘する霜田さん
ケントさん
ボクも「これが自分の店だったらどういう動きするかな?」って考えるようになりました。かっこよく言えば“経営者目線が培われた”んだと思います。
その視点があると、会社から与えられた仕事でもモチベーション高く仕事できるんですよ。
3人の話をうかがっていると、フリーランスと会社員、双方の魅力がバランス良く見えてきました。
すぐに働き方を変える…なんてことは当然難しいものの、「自分の行動規範を持つ」「経営者視点を持つ」というあたりは、会社員としてもすぐ取り入れるべき姿勢かもしれません。
会社員だし、モチベーションが上がらないぜ…と嘆いているR25世代は、ぜひ参考にしてみてください!
〈取材=渡辺将基(@mw19830720)/文=福田啄也(@fkd1111)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=藤木裕之〉
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