ビジネスパーソンインタビュー
休むのが得意じゃない人へ
【コラム】仕事が気になって休めなかった私が実践した「上手に休むための工夫」
新R25編集部
記事提供:サイボウズ式
サイボウズ式編集部より
:著名ブロガーによるチームワークや働き方に関するコラム「
ブロガーズ・コラム
」。今回は、「休み方」をあらためて考えてみようと思います。ブロガーズ・コラム チーム4人でお届けします。最終回は朽木誠一郎さんです。
休むのが苦手だ。
「苦手」といっても別に、もっと働きたいというわけではない。できれば私はずっと、ベッドで漫画を読んでいたい。近年のジャンプは最高である。
だからこれは「休むのが苦手」というよりは、「休むのが得意じゃない」という意味。きっとヘタなのだ、休むのが。だって、休んでいても仕事のことが気になってしまう。すると、土日でもなんだかんだ、手を動かしてしまっている。
そんな私にとっては、有給なんて一番、精神的によくない。外に出ようものなら「今この社会で自分以外の多くの人は働いている」ということを嫌が応にも意識させられるし、そうなったらもう落ち着かない。
結果的に、疲れが残る。休みの日はあっても、ずーっと働いている感覚になるので、かえって生産性が下がる。これは矛盾だ。もっと休むのが上手になりたいぞ、ということで目下、試行錯誤をしている。
あっ、そういえば。ずいぶんとおひさしぶりです、朽木誠一郎です。
「1週間ほど有給を取ってバリ島に行きます」みたいに凛として休める人が、私はうらやましい。しかし、ただうらやましがっている私ではない。まだまだその域には達していないけれど、いくつかの工夫のおかげで、最近はズルズル仕事をしないようにしているので、それを紹介したい。
私と同じような「休むのが苦手」な人の、参考になればうれしいです。
休むのが苦手なのは、何かと比較することで生まれる「相対的な不安」があるから
そもそも、なんで「休むのが苦手」なんだっけ。まずはそこに向き合ってみる。
すると、自分の中に2種類の理由があることに気づく。1つはポジティブで「できるだけ先にやっておくと後で楽になる」から、もう1つはネガティブで「休んでいると置いていかれそうで怖い」から。
こうやって並べてみると「できるだけ先にやっておくと後で楽になる」と「休んでいると置いていかれそうで怖い」は、なんだか裏表の関係のようにもみえる。要するに、どちらも「不安」があって、それを解消したくて休みの日にもパソコンを開いちゃう、ということだ。
そしてその不安は、「来週は今週よりゆっくりしたいから」とか「周りに優秀な人が多いから」とか、何かと比較することで生まれる「相対的な」ものである。
なるほど、たしかにこの不安は、自分だけでコントロールできない。直接的な解決策がない。だから、つい「できるだけ仕事をしておこう」みたいな発想になりがちだ。
イーロン・マスクじゃない私たちは
この、自分以外の何かと比較することで生じる「相対的な不安」が理由で休めない人は、何を意識したらいいのだろうか。
まずは、単純に「体が持たない」ということを意識しよう。私も20代の頃は、連日徹夜をしても平気だった、ような気がする。
けれど最近、休まないと仕事のパフォーマンスが落ちるようになってきた。徹夜とかツライからふつうに無理。上手に休むというのは、仕事の質を上げるためにも必要なのだ。これ、言われたことあるし、聞いたことあるだろうけど、昔はわかんなかったんだよね。今はわかります、まじ真理。
忘れてはならないのが、生きていく限り仕事はずーっと続いていくっていうこと。人生が短距離のレースならいいかもしれない。そう思い込んでなんとか走りきって、でも、すぐにまた新しい短距離のレースが始まったら? 人生がその繰り返しなのだとしたら? 長距離走を覚えた方が、人生で走れる合計の距離は長そう。
そういう意味では、だ。「優秀な人になるために休みの日でも仕事をする」っていうのは、むしろ優秀な人からかけ離れていくやり方なのかもしれない。トップアスリートが「休むのも仕事」と言うのは、無理して練習しても意味がないことを知っているからだ。そう、だから休みの日に仕事をするのは、少なくとも自分にとって、意味がない。
ちゃんと休んで、パフォーマンスをしっかり上げている人の方が、優秀なのだと私は思う。もちろん、例外みたいな人はいるだろう。これはあくまで、イーロン・マスク(※)じゃない私のような人に向けたアドバイスである。
※テスラ社のCEO(最高経営責任者)で、めちゃくちゃ働く人。
そうだ、バリ島に行こう
とはいえ、実際に休み慣れしていない人はどうしたら休めるの、っていうのが次。
ヒントになったのは、前述の「休むのも仕事」だ。
そう、仕事を気にして休めないなら、休むのも仕事だと思えばいい。そうすると少なくとも、周囲と比較しての不安みたいなものは消えるから。
この発想の利点は別にもあって、休みの時間を仕事用のGoogleカレンダーで押さえるようにした。たとえば、目標退勤時間以降は予定をブロック。すると、残業は遅刻と同じになる。
不思議なもので、「休む」をちゃんと「予定」として捉えると、だらだら仕事をするというのは約束違反なのだ。もちろん、休日には仕事の予定を入れない。あくまで、「休む」予定を入れる。それはたとえば書店に行くとかイベントに行くとか、仕事につながるものかもしれないが、意識はあくまで休みであると切り替える。
結局、プライオリティーの問題なのだ。仕事が気になる=他の活動よりも優先順位が高い、ということだから、どうしても仕事をしてしまう。そこで、「休むのも仕事」と、プライオリティーを一気に(自分にとっての)最上位に引き上げてあげることで、私はようやくある程度、休めるようになった。
やりすぎだと思うかもしれないが、休むのが苦手ならこれくらいやった方がいい。だって、そうでもしないと、この時代は本当に休みにくい。休日でもGmailやSlackがサービスを停止するわけじゃないし、大きなニュースというは突然に飛び込んでくるものだ。
気を許すと仕事をしだしてしまう、そういう習慣が染み込んでいる人はいないだろうか。転機は「ずっとこのままでも平気?」と自分に問いかけてみることだ。自信を持って「平気」と答えられるなら、そのままのスピードとインターバルで、走っていけばいい。
もし「しんどい」と思うなら。そろそろゴールを見据えて、ペース配分、つまり休み方を考える時期なのだ。
私も今年の夏あたりに、1週間ほどバリ島に行ってきます。
〈文=朽木誠一郎/イラスト=マツナガエイコ〉
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