ビジネスパーソンインタビュー
もっと早く知りたかった…
「働きがいある会社ランキング」の人に聞いた“良い会社の条件”が、本質を突いている
新R25編集部
2月、「働きがいのある会社ランキング」が発表され、話題になりました。
「働きがい」って人によってさまざまだし、「やりがい搾取」みたいな精神論もある。転職サイトで「ウチは働きがいのある職場!」とか言ってる企業って、だいたいブラックっぽいじゃないですか(偏見)。
ランキングでは、企業のどんなところを見ているのか? その指標を教えてもらえれば、就活や転職活動に生かせるかも! ということで、運営元の「Great Place To Work Institute Japan」の今野敦子さんに話を聞きました。
結論から言うと、「働きがい」を感じられる会社には、ある共通点があることがわかりました。仕事につまらなさを感じているR25世代は、ぜひ参考にしてください!
(※すでにそういった会社にいる人にとっては「知っとるわ」という内容かもしれません)
聞き手:天野俊吉(新R25編集部)
アメリカでジャーナリストが「働きがいのない会社の特徴」をまとめたところからスタート
天野
そもそも御社は、どうしてこういった調査をしているんですか?
今野さん
もともとはアメリカで労働訴訟専門のジャーナリストがいて、いろいろと取材していたんです。
で、その取材をもとに「働きがいのない会社の特徴」をまとめて本にしようとしたんですね。ところがそれも訴えられるリスクがあるとボツになってしまった。
天野
訴訟社会アメリカ…。
今野さん
「それじゃあ逆に、すぐれた職場の特徴を本にしよう」、ということで出版されたのが『A Great Place To Work』(1988年)。私たちは、その調査方法をもとに「働きがい」を定義して、分析やコンサルティングなどを行っているんです。
天野
なるほど。「働きがい」というフワッとしたものを、どうやって調査しているんでしょうか。
今野さん
参加企業の従業員へのアンケート調査、また企業側(人事や福利厚生担当など)へのアンケートをもとに、調査結果を発表しています。
従業員へのアンケートは、「この会社の人たちは、お互いに思いやりをもっている(連帯感の項目)」「私たちが会社全体で成し遂げている仕事を誇りに思う(誇りの項目)」といった58の設問があり、それぞれ5段階評価で答えてもらいます。企業側には、1週間程度かけてレポート記述をしてもらいます。
天野
かなりガチな調査だ。
どういう会社に転職すればいい?→カギは「フィードバック文化」
「働きがいのある会社ランキング」2018
天野
ズバリ、「R25世代が転職するなら、どういう会社に行くべきなのか」が知りたいです!
たとえば上のランキングを見ても、大規模部門の2位に入っている「プラン・ドゥ・シー」社はウェディング事業を展開していますが、勝手ながら結構大変そうな仕事というイメージがあるんですよね。どういう部分が「働きがい」なんでしょう?
今野さん
ランキングに入っている会社は「フィードバック文化」がある会社が多いので、そういう会社を選ぶといいと思います。
天野
フィードバック文化というと…?
今野さん
相手に対して、率直に踏み込んで言い合うということです。
ちょっと前までは、「社内のコミュニケーションはプライベートに踏み込むべきじゃない」という風潮があったと思うんですが、最近「働きがいがある」と評価される会社は逆で、「今日の服いいね」とか「靴下ダサいね」とか、平気で言うんです。
双方向のコミュニケーションが、会社のマネジメントに対する信用や敬意につながっていきます。上司と部下だけじゃなくて、同僚同士もそういうことができているから、連帯感も高まるんですね。
天野
同僚同士でも。なぜそういう文化ができるんでしょうか?
今野さん
採用面接とか、入り口のところで「うちはフィードバック文化がありますよ」と明確にしているんです。それに賛同した人が入ってきているから、会社全体がそういう文化になるんですね。
「働きがい」のある会社は企業文化を打ち出している&たくさんの社員と会う機会がある
今野さん
今の話とつながるんですが、働きがいがあるといわれる会社は、企業文化に合う人を採用することを非常に重視しています。
天野
新卒でも中途でも、面接というと「今までこれをやってきました」みたいな、能力や成果をアピールすると思うんですが…。
今野さん
「即戦力かどうか」などを聞かれるのがこれまでの転職市場では普通だったんですけど、仕事面よりも、入社してからその会社の文化にフィットしてくれる人かどうかというところが重視されるようになっています。
複数人が面接をして「話してて違和感なかった?」と確かめるという方法がよくとられているようですね。
なので、転職するときに働きがいのある良い会社かどうかを見定めたいなら、「こういう文化を大切にしていきたいんだ」ということが採用ページで明確に伝えられているか、また採用の途中で、たくさんの社員と会う場が設定されているかをチェックしてみるといいと思います。
天野
なるほど(メモる)。
良い企業は、なぜ仕事面よりも人柄を重視しているんでしょう?
今野さん
今って、人工知能が登場したり、グローバルなビジネス情勢も変化したりして、多くの企業が正解がないなかで事業をしているわけですよね。「こういう仕事をしてくれ」という枠がなくなってきていると思うんです。
天野
確かに今の日本で「このビジネスが正解です!」って言える会社、ひとつもない気がする。
今野さん
だからこそ、何かを指示されて優秀にこなすだけの人じゃなく、“自律型”の人材を人柄重視で採用して柔軟に活躍してもらう…というのが時代の流れなのかなと。
天野
感度の高い企業はそのへんに気付いて採用に生かしているということか~。さすがだな。
転職したいと思ったときに感じた「不満」から、自分が大切にしたいカルチャーがわかる
天野
自分にマッチする会社を見つけるためにできることってありますかね?
今野さん
いろんな会社を見ることが大切だと思いますが、それと同時に自分の人柄や価値観を明確にしておくとスムーズにいきそうです。
天野
人柄な~、自分の人柄…。難しくないですか?
今野さん
転職するときは、何かが物足りなくて転職するわけですよね。そのときに「不満を感じていたこと」が、今いる企業と「文化が合わなかった部分」ということになります。
それを考えていけば、自分自身のカルチャーとか、会社に求めているカルチャーが分かってくると思いますよ。
不満をネガティブにとらえなくてよくて、むしろチャンスになると考えてよいと思います。
…ということで、就活中の学生さんや、転職を考えている人は、「この会社は企業文化を重視しているか?」という視点で企業を見てみてください。そして、自らが求める「カルチャー」について思いを馳せてみるとよさそうです。
個人的には、リクナビの「初任給」欄しか見ていなかった就活当時の自分が恥ずかしい! 今すぐタイムリープして就活しなおしたいと思いました…。
〈取材・文=天野俊吉(新R25編集部)〉
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