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“三つ巴”の衆院選で注目される選挙協力。 「統一候補を立てる」ってどういうこと?

共産党は大量に候補者を取り下げ!?

“三つ巴”の衆院選で注目される選挙協力。 「統一候補を立てる」ってどういうこと?

新R25編集部

2017/10/20

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第48回衆議院議員総選挙が公示され、10月22日の投開票に向けて各候補が舌戦を繰り広げている。今回の選挙は「三つ巴の戦い」らしいが、その延長で「選挙協力」「統一候補の擁立」などの言葉もよく聞く。なんとなく流していたけど、これってどういうことなのだろう?

野党は改憲派と護憲派の2グループに。与党を含めた「三つ巴」の衆院選

Rodrigo Reyes Marin/アフロ

小選挙区と比例区を合わせた465の枠に対し、1180人が立候補した衆院選。今回の選挙は与党である自民党・公明党に対し、ライバルである野党は希望の党、共産党、立憲民主党、日本維新の会、社民党、その他諸派、無所属と乱立しているのが特徴だ。

しかし、野党も憲法改正に積極的な「希望の党・日本維新の会」、憲法改正に絶対反対の立場である「共産党・立憲民主党・社民党」がそれぞれ手を組んでおり、「自民党・公明党」とあわせて激しい三つ巴の構図になっている。

このように各政党が選挙の度にグループを形成する理由は、同じ志をもった政党の合算で多くの議席を獲得できれば、国会での意思決定を優位に進められるからだ。

選挙協力とは手を組む政党で1つの選挙区に出す候補者を絞り、“票を寄せる”協力体制のこと

Rodrigo Reyes Marin/アフロ

2017年10月、自民党と公明党が街頭演説を行った。

「選挙協力」と聞くと演説の応援に行ったりするくらいしかイメージがないが、最近目にしたのは「共産党が大量に候補者を取り下げた」というニュース。これは一体どういうことなのだろう?

『ブリタニカ国際大百科事典』では選挙協力について、こう解説している。

「日本のように複数の政党が争う場合、小政党では、候補者を立てられないくらい集票力が弱い選挙区が出てきてしまう。しかし全く集票できないわけではないから、その分の票をまとめて協力関係のある政党の候補に票を回すことができる。その見返りに、自党の集票力だけでは当選ラインぎりぎりの選挙区で、その協力関係のある政党が候補者を立てないならば、その政党がまとめた票を回してもらう」

たとえばある選挙区にて、与党である自民党の候補者に対し、協力関係にある共産党と立憲民主党が1名ずつ候補者を出すと、野党の票が分散して自民党が有利になってしまう。それならば、どちらかが譲って1人の候補者を出したほうが票が集まり、当選できる確率が高くなる。このように、方針が近い政党同士で協力し、合算でより多くの当選者を出そうと目論んでいるのだ!

各党は全国の選挙区で、これを協議して決めている。そうやって選挙区にどの候補者を立てるか調整することを、ニュースでは「候補者の一本化」「統一候補の擁立」などと呼んでいる。

共産党は全289小選挙区のうち263選挙区で候補者を出すと決めていたが、立憲民主党との選挙協力が決まると、67選挙区で候補者を取り下げた。また、東京が拠点の希望の党と、大阪が拠点の日本維新の会は、それぞれの拠点には互いの候補者を立てないという“すみ分け”を図った。

Natsuki Sakai/アフロ

希望の党と維新の会は公約は近いものの、同盟関係ではないもよう…。

ただし政治の世界は、必ずしも話がまとまるとは限らない…。選挙までに妥協点を見いだせず、選挙協力が立ち消えになってしまうことも。千葉2区では自民、希望、維新、共産、立憲民主の5党がそれぞれ候補を擁立。5人の候補者が入り乱れる乱戦の選挙区となった!

憲法改正が実現するかは、「自民・公明・希望・維新」で3分の2以上の議席が取れるかがカギ

また今回の選挙では、憲法を改正するために必要な3分の2以上の議席を改憲派が取れるかにも注目だ(※1)。逆に、憲法改正に反対の護憲派は3分の1以上の議席を確保すれば改憲を阻止できることになる。

(※1)憲法改正の発議には総議員の3分の2以上の賛成が必要で、その後に国民投票で有効投票総数の過半数が賛成すれば改憲が実現する。

Rodrigo Reyes Marin/アフロ

3勢力のうち改憲派とされるのが「自民党・公明党」と「希望の党・日本維新の会」、一方の護憲(改正反対)派は「共産党・立憲民主党・社民党」だ。

今回の選挙にあたっては、もともと護憲派の筆頭であった民進党が分裂してしまい、「改憲に同意する」という“踏み絵”を踏まされた上で多くの議員が希望の党へと流れた。そのため、全体としては改憲勢力が強くなったとも言われるが、ここにきて護憲派の立憲民主党も支持率を伸ばしている。

これからの日本を大きく変える一歩になるかもしれない総選挙。ボクたちなりに理想の未来をイメージして、自らの一票を投じたい。

〈文=関淳一/H14〉

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