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デスクワークでも認定される!? 治療費が返ってくる「労災認定」の基準を解説!

ビジネスマンなら知っておいて損はない!

デスクワークでも認定される!? 治療費が返ってくる「労災認定」の基準を解説!

新R25編集部

2017/12/17

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11月、東京ディズニーランドの“着ぐるみ”に入っていた女性が「労災認定」されて話題に。「夢の国で労災って…」というギャップもさることながら、事故によるケガでなく「労働負担によって腕に痛みが出た」という理由で労災認定されたことも注目を集めた。

労災というと、肉体労働現場のケガなどで認定されることが多い印象だけど、デスクワークをするビジネスマンでも認められるケースがあるんだろうか…?

労災は「業務上の事由」によるケガや病気の診療費が返ってくる制度。雇用されているすべての労働者が対象

そもそも「労災」の正式名称は「労働者災害補償保険」

会社員は強制加入している社会保険の一種で、厚生労働省のサイトによると、「労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度」(長い…)。

要は「仕事がきっかけでケガをしたり病気になったりした場合、診療にかかったお金が返ってくる制度」で、事業主に雇用されている労働者であれば、正社員・日雇い・アルバイトなどの雇用形態を問わず、すべての人が対象となる。

まず、簡単に労災認定までのフローを知っておこう。

1. 病院で診療を受ける(ここでの診療費は一旦、自己負担)

2. 所定の「保険給付請求書」に記入し、病院に提出。申請書は病院から都道府県労働局を経由して労働基準監督署(労基)に提出される

3. 労基で審査の結果「労災認定」されたら診療費が給付される(認定されなければ1は自己負担のまま…)

「業務上の事由」でケガや病気をしてしまった場合、このようなフローを経て認定される。

ここで問題になるのは、「業務上の事由」の中身だ。通勤中のケガも「業務上の事由」として認められることがあるが、厚労省東京労働局のWebサイトには、“こんな場合はダメ”というルールがかなり細かく設定してある。

(1) 労働者が就業中に私用(私的行為)を行い、又は業務を逸脱する恣意的行為をしていて、それらが原因となって災害を被った場合

(2) 労働者が故意に災害を発生させた場合

(3) 労働者が個人的なうらみなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合

(4) 地震、台風など天災地変によって被災した場合 (ただし、事業場の立地条件や作業条件・作業環境などにより、天災地変に際して災害を被りやすい業務の事情があるときは、 業務災害と認められます)

http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/ro-gyoum.html

ちなみに、トイレに行きたくなるのは生理現象なので「私的行為」ではなく、会社のトイレでケガをした場合は、「事業主の支配下にあることに伴う行為として業務に付随する行為」として労災の対象になるらしい…!

デスクワークの腱鞘炎でも労災はおりる。基準は「周りより10%重い作業が3ヶ月続く」こと…!

では、たとえば「長期間デスクに座りっぱなしでパソコン作業をしていたら腱鞘炎になった」なんていう場合はどうだろう?

結論からいうと、労災認定の対象になる場合があるそうだ。

厚労省のパンフレット「上肢障害の労災認定」によると、「パソコンなどでキーボードを入力する作業」も上肢等に負担のかかる作業として認められており、

期間:原則として6ヶ月程度以上従事

量:同種労働者より10%以上の業務量が3ヶ月程度継続(※業務量がほぼ一定している場合)

ぐらいの“しんどさ”で労災が認定されるという基準も示されている。なかなかイメージが湧きづらいけど…。

また、労働量以外にも、“過度の緊張”や“不適切な作業空間”といった労働状況も判断基準になっている。

都内企業の労務担当者の話を聞くと、「就労環境については従業員からこまめにヒアリングし、座りっぱなしが負担にならないような椅子を導入したり、自由に動ける作業スペースを設けたりして、身体的負担の少ない環境づくりに徹している」とのこと。

企業サイドも“不適切な作業空間”をつくり出さないよう、注意しているようだ。

6年前からメンタルヘルスにも認定基準が。36項目の「具体的出来事」と「心理的負担の強度」で判定

フィジカルな疾患よりもさらに判断しづらい「メンタルヘルス」の場合は、どのようなケースで労災認定されるんだろう?

厚労省は2011年12月に「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めていて、その基準は「発病が仕事による強いストレスによるものと判断できる場合のみ」。精神障害の労災認定要件は次の3つとなっている。

1. 対象となる精神障害を発病していること

2. 発病前の約6ヶ月の間に業務による強い心理的負荷が認められること

3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因で発病したものと認められないこと

1は全部で10の症状があり、代表的なものは「うつ病」や「急性ストレス反応」。3は、その障害が私生活のストレスなどとは関係がないということ。満たすべき要件はとても細かい。

特に2は36項目の「具体的出来事」(例:会社経営に影響する重大なミスをした、達成困難なノルマを課された、ひどい嫌がらせや暴行を受けた、非正規社員を理由に仕事上の差別を受けた、セクハラを受けたなど)について、それぞれに心理的負荷の強度(弱、中、強3段階)の判定がある…。

労基署がこうした細かいチェックをおこなって、なおかつ強い私的ストレスも個体側要因もない場合にようやく「労災認定」されるのだ。

一生懸命働いているのはどんな業種でも同じ。万が一仕事の影響で心身を病んでしまった場合のために、覚えておいたほうがよさそうだ!

〈文=新R25編集部〉

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