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今年の本命予想も! 元ハリガネロックが教える「M-1で評価されない5つのネタ」

決勝進出コンビはどう決まった?

今年の本命予想も! 元ハリガネロックが教える「M-1で評価されない5つのネタ」

新R25編集部

2017/12/01

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漫才の祭典「M-1グランプリ」。今年は4094組のコンビが出場しているが、地上波で放送される決勝戦に出場するのは、わずか10組のみ(うち1組は、決勝当日の敗者復活戦で決定)。お笑い好きのなかには、「進出者に納得いかない!」と感じる人もいるかもしれない。

決勝に残った9組を選んだ審査員は、お笑い番組を担当する放送作家と、イベント主催者である朝日放送の職員。いったいどのような基準で決勝進出者を選んでいるのだろうか?

M-1グランプリ決勝に2度出場した、元ハリガネロックのユウキロック氏に話を聞くと、「評価されづらいネタ」の傾向があるという。

2014年に「ハリガネロック」を解散したユウキロック氏

【評価されないネタ1】容姿に依存したネタ

ユウキロック氏によれば、「そもそも漫才は、話をふって、落として、ツッコんで笑いをとるという『話芸』で、M-1はその話芸の技術をプロたちが審査するという大会。話術がもっとも重視されているんです」とのこと。

「そのため、特徴ある容姿に依存するネタだと純粋な話芸とはみなされず、減点されやすい。デブ、ハゲ、ブサイクなどをイジる笑いは、これまでも評価されてきませんでした」

しかし、過去には「容姿ネタ」で結果を出したコンビもいるはず。2015年には、“ハゲ”が特徴的なトレンディエンジェルが優勝したが…。

「トレンディエンジェルは準決勝で落とされて、敗者復活戦から勝ち上がりましたよね。敗者復活戦の審査方法はお客さんによる投票。なので、大会前年からテレビで露出があったトレエンは有利だった。また決勝でも、復活戦から勝ち上がってきた勢いもあり、観客にめちゃめちゃウケた。この年の決勝審査員は過去のM-1チャンピオンたちだったため、『これだけウケて落としたら、気の毒なんじゃないか』と出場者の気持ちで採点がされたと思うんですよね。審査員によって判断が変わるということなので、やはり容姿ネタは安易に選ぶべきじゃないと思います」

【評価されないネタ2】キャラクターネタ

キャラクターを全面に押し出した“キャラ漫才”も難しいという。キャラ漫才とは、例えば「アニキ!」でおなじみの「ペンギンズ」のようなスタイル。

『話芸』としての漫才の技術ではないという意味で、容姿ネタと同じロジックにより減点されやすい。ただ、キャラクターが強ければテレビ番組にはハマって人気になる可能性は高いので、M-1向きじゃないというだけですが。ちなみにキャラ漫才は、よしもと以外の事務所で多いんです。それは、技術とネタを磨けば劇場で食っていく道があるよしもとと違って、テレビを目指さざるを得ないから…」

【評価されないネタ3】歌ネタ

DVD化される際に、歌ネタはバッサリカットされます。実際に、歌ネタをやった2010年のカナリアはDVDに収録されていません。減点の対象になる可能性は高いでしょう」

カットされた理由は、おそらく著作権。昔からある童謡などを替え歌にしても、著作権の一種である「翻訳権」などの問題からトラブルになることが多く、2017年1月には、芸人・パーマ大佐がCDやDVDのなかで「森のくまさん」の替え歌を歌ったと、訳詞者から訴訟をおこされる騒動があった。

【評価されないネタ4】時事ネタ

4つ目はこちら。時事ネタといえば漫才の定番な気がするが…?

「ネタにもよりますが、その話題が面白いだけであって、漫才が面白いわけではない場合も多いです。漫才は、話題を始める『フリ』から始めて笑いで落とす、『フリ→オチ』という流れがあるわけですが、時事ネタは大多数の人が知っている話題を扱うため、『すでにフッてある』状態。フリの技術が見せられないんです。ボケがよっぽど面白くないと、厳しいかと」

【評価されないネタ5】芸能人やCMをイジるネタ

「その芸能人やCMが面白いのであって、それをイジる側の力が判断しづらい。ある別の大会では、スポンサーへの配慮なのか『CMをイジるネタは禁止』というお達しが来るんです。地上波で放送される大会では、すべて同じことが言えるでしょう」

決勝で有利なのは“緊張によって出来が左右されない”コンビ。今年は「ゆにばーす」に注目!?

最後に、今年の決勝戦ではどのコンビが有力候補なのかを聞いた。

「準決勝では、かまいたちゆにばーすさや香が抜群に出来がよくウケていたので、優勝の可能性があるんじゃないかと思います」

なぜそのコンビたちが?

「漫才は、ネタの脚本、演じる力、コンビワークを総合した話芸です。演じる力やコンビワークは緊張によって出来が左右されやすいものですが、特にゆにばーすは、ネタ自体のクオリティが高かったので、緊張などがあっても勝てる可能性は高いんじゃないかと思います! でも、やっぱり最後は当日の気合ですけどね。ハリガネロックが2001年に決勝の最終決戦に残れたのは、ネタの出来云々じゃなくて、気合だったと思ってます(笑)」

ちなみに、今回のM-1から新ルール「笑神籤(えみくじ)」が導入され、直前まで順番がわからないという緊張感のなかでの戦いになる。

やはり本命はゆにばーすか…!? 日曜日はテレビの前でスタンバイしておこう。

〈取材・文=ブルトン森〉

『芸人迷子』ユウキロック著 扶桑社公式特設サイト

結成以来、数多くの新人賞を獲得し、東京進出。その後もM-1グランプリ準優勝、爆笑オンエアバトル チャンピオン大会優勝など実績を重ねていったか

「ぼやき漫才」で熱烈な支持を集めたお笑いコンビ「ハリガネロック」のユウキロックが解散までの内幕をリアルに描写。 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ…笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「哀しさ」を綴った入魂の迷走録

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