ビジネスパーソンインタビュー
主な収入源は大きく分けて4つ!
希望の党はどうしてた? 共産党の収入に驚き…「政党の収入源」をわかりやすく解説!
新R25編集部
先月行われた第48回衆議院議員総選挙で、いろいろな意味で話題を集めたのが小池百合子氏率いる新党『希望の党』だ。できたばかりの党で、どうやって運営費用をやりくりしていたのだろうか?まずは「政党の収入源」の基礎から解説してみたい!
政党の収入源は主に4つ。多くの政党は国から支給される「政党交付金」が主な収入源
まず知っておきたいのが、政党の主な収入源の種類。雑費を除いて、このようなものがある。
【政党交付金】
国から政党に支給されるお金
【事業収入】
政党が自ら事業を営んで得た収入
【寄付(献金)】
個人や企業・団体からの献金や寄付金、政治資金パーティで集めたお金など
【党費】
党員から徴収するお金
これらの収入源を元に、各政党はどれだけの収入を得ているのか。総務省発表の「平成27年分政治資金収支報告の概要」をもとに政党の収入をグラフにすると、そのランキングと内訳は以下のようになる。
政党の収入ランキング
※政党本部の収入のみ反映(支部は含まない)。また、党の名称などは平成27年時点のもの。
収入ランキングの2位は僅差で共産党! 新聞の発行などで年間200億円近い事業収入を得ている
長田洋平/アフロ
政治にも詳しいプロ講師/著述家の伊藤賀一さんに、注目すべき点を解説をしてもらった。
「自民党の収入は、政党交付金が約66%と最も高い割合を占めています。政党交付金は、議席や得票数に応じて分配されるため、与党である自民党は必然的に多くの政党交付金を受け取れます」
なるほど。選挙の結果は政党の収入にも大きく影響するようだ。
ただ、そこで気になるのは約257億円の自民党についで収入第2位の共産党。議席が少ないのに約238億円と自民党に匹敵する収入を得ている。これはどういうことだろうか?
「共産党と公明党で大きな割合を占めているのが事業収入です。ここには党が発行する新聞の販売などで得た収入が含まれています。ちなみに、共産党は政党交付金の受け取りを拒否しており、なんと党の収入の約80%が事業収入になっているんです」
事業収入だけで約190億! 政党でありながら、上場企業並の収益だ…。
ちなみに、共産党が政党交付金の受け取りを拒否する理由が気になる方は以下を参照してほしい。
こうした明確な信念を貫く姿勢が支持を集め、多大な事業収入にもつながっているようだ。
希望の党は400〜500万円を候補者自身が負担!? 頼りにしていた民進党の資金は得られずじまい…
ロイター/アフロ
政党の基本的な収入源については理解できたが、できたばかりの希望の党はどのように今回の選挙を乗り切ったのだろう? まだ政党交付金も支給されていなかったはずだけど…。
「今回の選挙にかかった費用は、候補者が各自で全額を負担した形になっていたようです。小選挙区から出馬する場合には、供託金(選挙において立候補者が法務局などに供託するお金)として300万円(比例区の場合は600万円)が必要です。これは通常政党が肩代わりするものですが、希望の党にはその資金がありませんでした。そのため候補者に供託金を全額負担させただけでなく、党の資金集めとして1人当たり100~200万円も徴収していたのでは、ともいわれています」
さらに、選挙事務所にかかる費用やポスター代、さらには選挙カーのガソリン代といった細かな選挙費用もすべて候補者持ちだったとのこと。そこまでしてでも、希望の党の人気に乗って当選さえすれば、この先さまざまなメリットがあると考えていた候補者が多いようだ。
ちなみに、選挙前には合流する形となった民進党の資金が希望の党に流れるともいわれていたが…?
「確かに、希望の党は民進党の政党助成金などを目当てにしていたと思われますが、実際には参議院議員が残っているため民進党が完全には解体されなかったほか、合流した議員たちの資金も頼りにならず、まったく思惑通りにコトが運ばなかったようです」
ロイター/アフロ
衆議院選挙に向けて、希望の党の小池氏と民進党の前原氏は会談をおこなった。その後、前原氏は希望の党への合流を決断するが…
あれだけ派手な動きをみせた希望の党だが、その台所事情はかなり厳しかったもよう。今後また新しい党ができたら「どうやってお金を集めているんだろう」などと想像してみると、ニュースに対してちょっと違った見方ができそうだ。
〈取材・文=中村未来(清談社)〉
※記事内のグラフにおける日本共産党の収入の中に政党交付金が含まれていたのは誤りでした。訂正してお詫び申し上げます(2017年11月14日)。
ビジネスパーソンインタビュー
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