ビジネスパーソンインタビュー
ビジパの悩みインサイト
いろんな仕事をこなす「ゼネラリスト」は目立てない? サイバーエージェント2年目社員の悩みにUUUM創業者が喝
新R25編集部
「複雑なはずのビジパの悩みを、単純化して取材していた」 「本質的じゃない悩みをでっちあげていた」
という反省のうえ、「個人のリアルな悩みにひもづいた取材」を改めてしていくことを方針とした新R25編集部。
今回は、新卒2年目・原見の「異動が多くてスキルが定着しない」というモヤモヤについて。
同じような悩みを抱えている人も多いと思いますが…いろいろな仕事をこなす、「ゼネラリスト」としての生き方の正解とは?
高すぎるジョブチェンジ率で道を極められず…オールラウンダーのつらみ
天野
原見ちゃんはいま、肩書きなんだっけ…?
原見
1年目はプロモーションで、2年目で営業になり、いまは企画。でも名刺の肩書きは編成チームになろうとしてます。
自分で言うのもおこがましいんですけど…私、1年目のプロモーションで成果を出したのに、2年目で企画職に移った瞬間、成果が出せなくなって。
「もう1年目の“輝かしい自分”はいなくなるのか」というモヤモヤが…
天野
ジョブチェンジしたから、スペシャリスト的な“道”やスキルを1年で失ってるって感じるんだね。
原見
はい…
楽しそうに仕事してたのに、そんな悩みを抱えていたのね…
森久保
「視座をあげて会社全体のことを考えろ」っていう話は社内でもよく言われてて、どんな仕事にも自分のスキルを転用して成果を出すべきなんだろうけど…
実際は、いきなり違う仕事を振られても、急に成果出せなくなっちゃうよねえ。
原見
会社的に、「なんでもやろう!」と(人材の)流動性が高いほうだとは思うんですけど…「それにしても、私のジョブチェン率高すぎない?」と思っちゃう(笑)。
会社で言われたのは、私は使い勝手がいいから、会社の注力ポイントにどんどんアサインされてるって。
そういうとらえ方もできるけど、自分的には「営業で花咲かなかったから、コロコロ変えられてるんじゃね?」という…
森久保
ゼネラリストとかオールラウンダーのつらみなのかな?
2年目なのに半年スパンで異動させられて、粗い育てられ方してる感じはちょっとあるよね。
原見
でも、お花畑で育てられたいわけじゃないっていう気持ちもあるんですよ。手取り足取りされたいわけではないので。
雑に振られて、「マジかよ~」って言いながら、「やりきった私すごい!」って思いたい。
天野
成果が出る程度の粗さで育ててほしいんだ(笑)。
そういう形で成果を出している人に、「若手のころどうしてたんですか?」って聞いてみる? 「スーパーゼネラリストの生き方」みたいな。
原見
聞きたい! 気になるかも!
ただの “なんでも屋”じゃなくて、そのときにいる場所で絶対に成果を出すみたいな。
天野
「便利屋・なんでも屋」と「スーパーゼネラリスト」の違いも聞きたいよね。
原見
なんでも屋って、ただ依頼されてやるだけみたいな感じがして、「別に私じゃなくてもよくない?」って思っちゃう。
「私じゃないとダメ」な理由が欲しいんです。
…やだぁ~! 面倒くさいやつだ、私!
「誰かのゴルフクラブを買ってくる」仕事も、すべて“種まき”である。
天野
鎌田さんの著書『名前のない仕事 - UUUMで得た全知見』(ダイヤモンド社)は、“ゼネラリスト”にフォーカスしてるのかなと思ってて。
【鎌田和樹(かまだ・かずき)】光通信を経て2013年にUUUMを設立。さまざまな「名前のない仕事」をさばき、YouTuberというクリエイター職を国民的職業に押し上げる。2022年にUUUM代表取締役会長に就任、2023年に卒業。現在、著書『名前のない仕事』(ダイヤモンド社)が発売中
鎌田さん
読んでいただいた方から、スペシャリストかゼネラリストか、みたいなところが印象深かった、という感想をよく聞きます。「自分はどっちなんだろう」と重なった部分は多かったのかもしれないですね。
原見
よろしくお願いします!
鎌田さん
ただ…話を聞いてると“このスキルを持っていればこういう仕事に就けて、ある程度のお金を得て”って、ちょっと保守的な感じじゃないですか。
僕はそういう考え方にはならない。
最初から「私はこっちの方向にしか進みたくないので、この仕事は受けたくない」って言うんだったら、「じゃあ会社に来なきゃいいじゃん」って思っちゃう。
原見
た、たしかに…
鎌田さん
僕の場合、“種まき”をしている期間が相当あって。
たとえば、光通信にいた若手時代は、ジュースを買いに行くだけのこともあれば、誰かの代わりに資料を作る、代わりにゴルフクラブを買ってくるだけのこともあって。
それをどうつなげていくかは自分の動き方次第だし、まいた種が1カ月後には収穫できるかもしれないけど、5年後かもしれない。
原見
種まきととらえないといけないですよね…
鎌田さん
いろんな種まきをして、その収穫を味わうという一種の成功体験は、大なり小なり誰でもできるはず。
原見さんは種まきを収穫した経験がまだ少なくてわからないかもしれないけど、受けた仕事が次の自分に返ってくることが見えると、より動きやすくなるんですよ。
天野
鎌田さんは若手のころから、種をまいているときに「花が咲くな」とか「今後何かにつながるな」って見えてました?
鎌田さん
いや、「あとから思えば」ですね。やっているときはすべてが“強制”ですから(笑)。
種をまいているかもしれないけど、何をやってるかわかっていない。ただし、やらないと生きていけない、という感じ。
仕事に忙殺されるなかで、「何がなんだかわかんないけど、とりあえずやるしかない」と必然的にやってたら、結果それが結びついてきてた。
でもそれは、光通信を辞めてから気付くことの方が多かったかもしれないです。
天野
原見ちゃんは、多分そこで「やるしかない」と思えずに、「一体これが何になるんだろう?」とか「道が定まってないから、この経歴を履歴書に書けないじゃん」みたいなモヤモヤを抱えてしまっているんですよね。
鎌田さん
うーん。でもそれは、結局自分がやるしかない。
僕は「これをやっていて何の意味があるんだろう」なんて考える時間、余裕がなかったですよ。
そんなことを考えてる時点で…
原見
もしかして私は恵まれてるのかな…余裕がありすぎるのかもしれない。
今のサイバーエージェント2年目、恵まれすぎている説
「“ゼネラリスト”は目立たないから損な気がするんです」
天野
もうひとつ、原見ちゃんが言っていたのは「若手の段階でゼネラリストな働き方をしてると、目立ちきれない」って。
原見
そうなんです。会社的に、重要なポジションに若手が抜てきされる文化・環境があるんですけど、そういうときに、スペシャルな一面を持っていたほうが有利なんじゃないかなと…
鎌田さん
たとえば?
原見
え、なんだろう…若手を1人抜擢する場合、ゼネラリストは求められないかなと思ってて。
ゼネラリストって年齢を重ねたほうが経験値も積んでるじゃないですか。仮にもし私が選ぶ側だったら、若手に求めるのは“ゼネラル”よりも絶対“スペシャル”だな、と思うんです。
鎌田さん
うーん。
抜擢されるような“とがってる”人たちって、やることはやって成果を残したうえで、さらに目立ってるんです。「やってないけど目立つ」っていうのは違いますよね。
人と違うことをする、というのも大切かもしれないけど、ちゃんと実績で目立ちつづければいいだけじゃないですか?
原見
間違いないです…
鎌田さん
会社視点で「抜擢人事をやらなきゃ」「世代交代させなきゃ」という考えは当然ある。
だからといって、「ゼネラリストだから埋もれてしまう」という環境にはならない。そこは会社を信じたほうが早いと思います。
鎌田さん
五角形の能力のレーダーチャートがあるとして、スペシャリストは一つ二つが飛びぬけていて、ゼネラリストはきれいな形になっていると思うんです。
でも、個人的には“すべてが満遍なくめちゃめちゃデカい”ことが理想。
それはもう、一つの「個性」じゃないですか。それで“目立たない”なんてないですよ。
天野
なるほど!!!
悩みを“咀嚼”して、まずは足元業務を120%で早くやってみる
原見
そうですよね…
ただ、優秀な人なら短期間でも成果を出せると思うんですけど、私は1、2カ月でやる業務が変わっちゃって、成果が全然残せなくて。
それで「この仕事は私の何につながるんだろう?」みたいにモヤモヤしてるんですよね…
鎌田さん
たぶん、自分の気持ちが咀嚼できてないと思うんです。
僕、ラジオで学生さんの悩みを聞く機会があるんですが、だいたい皆“社会に対する漠然とした不満”みたいなものを持ってるんですよ。
「大人たちの固定観念に僕らをはめないでほしい!」みたいな。尾崎豊の歌かな?っていう。
鎌田さん
けど、よくよく考えたらそんなもの別にない。なんか、親の世代とかから変な情報をインプットしてしまって、“漠然とした不満”だけ抱えてしまっていることって多いんですよ。
それを咀嚼して「自分はなぜ今、困っているのか」「何に困っているのか」を考えてみる。
原見さんも履歴書や人への見え方を気にしてるみたいだけど、どうしたいの? 転職したいの? そこを考えてみたらいいんじゃないかな。
原見
自分がどうしたいのか…
鎌田さん
そうです。
会社としては「社員の望みを叶えたい」という思いはもちろんあるけど、全員が全員「好きなことをやりたい」「学びたい」「お金もください」みたいな、そんな都合がいい話はなくね? と(笑)。
1時間でやることを90分に引き伸ばしちゃったりしてたら、いつまでも成長はしないよね。だから、まずは言われたことを120%の力で、早く、やってみる。
原見
とりあえず足元の業務をしっかりやります。
…ちょっと、私が暇すぎたのかもしれません。こんな悩みが出てきちゃうほど。
鎌田さん
いろんな人の話を聞いたらいいんじゃないですか。いろんな人が同じところを通っていると思うから。
みんな先輩面して「わかるわぁ~、そんな時期あった!」と言うと思うけど(笑)、ためになると思いますよ。
結局、根性論みたいになっちゃったけど…
天野
やっぱりそれが一番ですよねえ。
鎌田さん、貴重なお時間を悩み相談に割いていただきありがとうございます…!
すべての仕事は“種まき”。それを続けていると、どこかで結びついてくる。
「名前のない仕事」をこなすことから大きな事業をつくってきた、鎌田さんならではの貴重なお話でした。
同じように焦りを感じている若手の皆さん、まずは足元の業務を120%で取り組んでいれば、「目立たない」なんて悩みはなくなるはずです!!
鎌田さんの新刊『名前のない仕事 ── UUUMで得た全知見』(ダイヤモンド社)発売中!
EmbedlyEmbedly鎌田さんの新プロジェクト「ピぺプロ」にも注目!
“ピペプロとはPIECE PEACE PROJECTの「PI」「PE」「PRO」を掛け合わせた造語です。
このピペプロは様々な要因によって教育や体験に差が出てしまう子供の体験格差にスポットをあてたプロジェクトです。
お子さんの体験してみたいことを毎月募集しサポートしていきます。(最大5万円)”
EmbedlyEmbedlyビジネスパーソンインタビュー
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