ビジネスパーソンインタビュー

ビジパの悩みインサイト

“愛嬌でここまで来た…”新卒女子に、話し方のプロ千葉佳織さんが授けた「信頼される魔法」

新R25編集部

2024/11/26

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複雑なはずのビジパの悩みを、単純化して取材していた」 「本質的じゃない悩みをでっちあげていた

という反省のうえ、「個人のリアルな悩みにひもづいた取材」を改めてしていくことを方針とした新R25編集部。

今回は、営業部から異動してきた新卒1年目・米久保の「バカっぽく見えるのをなんとかしたい」という悩みについて。

なんだよその悩み…と思われるかもしれませんが、“人から一目置かれるコミュニケーション”の極意は、社会人必携のスキルかもしれませんよ。

話し方で損してる…? 新卒・よねみほのコミュニケーションの悩み

渡辺

よねみほ、初登場だよね。まずは自己紹介を。

米久保

2024年新卒のよねみほです。

渡辺

俺は「爆弾娘」って勝手に呼んでるんだけど。

天野

そうなんですよ。今日も撮影なのに、腹出てる服で来てて…

米久保

おじさんみたいなこと言ってきますね。

渡辺

その「腹出てる娘」が悩み相談って…悩みとかあるの?

米久保

ひとつあるのは「バカっぽい」って言われることです。

“バカっぽく見られる”ほうがラクだったんですよ。そういうキャラでイジられてるほうが。

だから、今まで自分からそういうコミュニケーションをとってきたんですけど、社会人半年経って、「このままでいいのか…?」という葛藤があります

渡辺

バカっぽいのをやめたいってこと?

米久保

「爆弾娘」とか、フランクに接してもらえるのはうれしいんですけど、営業をしてて、自分のコミュニケーションのせいで本質を伝えられてないと思うことが多くて。

渡辺

なるほどね。

天野

正直今までまわりにいなかったタイプですね。

よねみほは、顧客の悩みや相手の人柄についてすごく考えることができて、そこは強み。ただ表面的なバカっぽさで損してるんだろうな、とは感じる。

米久保

そうかも…

渡辺

話の内容は問題ないけど、信頼感を損なわないコミュニケーションの方法が課題、ということだね。

“バカっぽく見える何か”があるんだと思うんだよね。雰囲気、表情…

今も寝そうだけどさあ。大丈夫? 眠いの?

ダルそうな新卒に編集長もイラッ

米久保

すいません、全然眠くないです

天野

でも、若手女性で仕事ができる人って、最初は愛嬌から入って、その後一気に成長するケースも多いですよね。

渡辺

かわいがられるとか、懐に入る力があれば伸びるから。よねみほは、ポテンシャルはあると思うよ。

まずは話し方だけで解決できる部分を、その道に長けている人に相談したいね。

というわけで、話し方トレーニングのプロ・千葉佳織さんに助けを求めてみた

米久保

千葉さん、よろしくお願いします。今日は話し方に関する悩みを相談させていただきたいです。

千葉さん

「話」に悩む方って、ものすごく多いんですよ。

というのも、私たちは毎日6.1時間話していると言われていて。

米久保

そんなにですか?

千葉さん

多いですよね。人生の4分の1は話している時間という計算になります。

それなのに「話し方」については誰も教えてくれないし、課題を感じても、根本的な原因や解決への道筋が見えないのが、厄介なポイントです。

千葉さん

話の仕方は、「コンテンツ」と「デリバリー」の2つにわけてトレーニングをすることが大事です。

「コンテンツ」は言葉の構成や、中身(内容)をどう構築するか。「デリバリー」は音声や動作(声の抑揚やジェスチャー)を指します。

両方の正解を自分で導き出せるようになれば、もっと米久保さんらしさがあらわれつつ、信頼感がある話し方になりますよ。

「自己紹介していただいていいですか?」いきなり実戦形式の千葉さん道場

米久保

そもそも、どこから直せばいいのかを教えていただきたくて。

千葉さん

ではせっかくなので…、自己紹介をしていただいてもいいですか?

いきなり!

米久保

わかりました…!

はじめまして、24新卒の米久保美帆と申します。“よねみほ”って社内では呼ばれているので、“よねみほ”って呼んでいただけたらうれしいです。

大学は神奈川大学っていう大学に通っていて、「Fラン、Fラン」とめちゃくちゃ罵られているんですが、Fランだからこその元気だったりとか明るさっていうものを活かして、頑張っていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

今は編集部のコンテンツチームにいさせていただいてるんですけど、その前は営業チームにいさせていただいてました。人と話すことがすごく好きなので、皆さん、話しかけてくれたらうれしいです。よろしくお願いいたします。

※この自己紹介には一部不適切な表現が含まれています

千葉さん

…親しみが持てる自己紹介ですね!

自己紹介をしてみて、いかがでしたか?

米久保

自分の経験はなんとか話せても、パッと深いことが言えるタイプじゃないなとあらためて思いました…

千葉さん

まずよかったところは、全体的に米久保さんの“人となり”がわかることです。

なぜわかるのかというと、コンテンツとして自己開示が入っていたから。

ご自身にとってそんなにポジティブじゃない情報も入っていたのは面白いですよね。「Fランってからかわれたりするけど」と言いつつ、みんなから親しまれていることを印象づけられるのは、強みだなと感じました。

米久保

よかった…

千葉さん

「たくさん話しかけてください」というように自分が望むことをはっきり言うのも、聞き手を前向きな気持ちにさせていいです。

一方で、ご自身がどんなことを培ってきたかという「ファクト」の情報をもっと組み込むとよさそうです。

米久保

それはどういう…?

千葉さん

営業では、すごく実績を上げていたというお話を伺ったんですけど、そういう「しっかりしている」ことがわかるファクト情報を、ご自身の親しみやすいストーリーと混ぜるといいと思いますよ。

説得力がある話をするには、「ファクト」と「ストーリー」の2つの要素を組み合わせることが重要です。

千葉さん

「ファクト」というのは、誰が見ても同じ情報のこと。基礎情報や事実事項です。そして「ストーリー」はその人らしい言葉や、価値観についてです。

今回だとどんなふうに呼んでほしいか、自分はどんなことをしているときが楽しいかなど、米久保さんの「ストーリー」は伝わります。

そこで、米久保さんの「ファクト」情報を探せたらと思うんですが、入社後はどんなお仕事をしてこられましたか?

米久保

最初は新R25の「新25Business」というプロダクトの営業チームに配属され、10月からはコンテンツチームで取材や企画づくり、編集などをやってます。

千葉さん

営業で何本ぐらいの記事や企画に関わってきたかという数字は、思い浮かびますか?

米久保

…会社数は、100社ちょいありました。

千葉さん

おおー、それです! 数字は自分からつくりにいきましょう

“新卒”は若くてフレッシュという面がありつつも、経験としてはうがった見方をする人もいると思うんです。

そういう場合に、「ファクト」をしっかり伝えることで、ご自身の信頼感を保つことができます。

「数字は自分でつくりにいく」新卒じゃなくても必須かも…

米久保

ただ、私はそういう「数字」を言うことに戸惑いがあって…

自慢になってしまうんじゃないかという拒否反応があって、言わないようにしていた部分もあるんです。

自慢にならずに「ファクト」を伝えるにはどうしたらいいですか?

千葉さん

自慢には、“感謝”か“運”をつけましょう

米久保

感謝か運?

千葉さん

たとえば、

「120、130社の皆さんとやり取りをさせていただきました。自分自身はまだまだこれからなので、多くの皆さんに助けていただきながらという状態ではあるんですけれども、誰よりも熱量と、あと愛嬌を持ってやっているのは確かなので、ぜひよろしくお願いします!」

ってお伝えしたら、あまり嫌味ではないと思うのですが、 どうですか?

米久保

たしかに感謝を添えるかたちで言うと、自慢っぽく聞こえないですね。

千葉さん

あとは「偶然」。「私が多くの方と触れ合えたのはすごく運が良かったんです」といった言い方です。

社会人で難しいのは、「謙遜」と「自慢」の間をとる必要があることですよね。

相手に信頼感をもってもらうためには、「自分は何ができるのか」について、自信をもってお話をする必要があります。その際、 “感謝”や“運”をセットで話すことによって、よりよく見せられると思いますよ。

「話を組み立てるのが苦手…」な人はどうすれば?

米久保

あと、会話のなかで話を組み立てるのも苦手で。その辺もうまくなりたいんですけど…

千葉さん

「最後にどんな印象を持ってもらいたいか」から逆算するのがおすすめです。

自己紹介の場合だと、自分にどういう印象を持ってもらいたいか、というところから考える。

米久保

なるほど。私は編集部の新メンバーとして、「この人に任せても大丈夫だな」って思っていただきたいです。

編集部の先輩方は、コミュニケーション能力も知識量もすごくあるんですよね。同じように、私も「この人の話を聞きたい」と思われたいです。

千葉さん

なるほど。それではご自身で、「この知識量なら負けない」と思う分野はありますか?

米久保

営業時代から培ったこととして、お客さまの情報については強いかなと思います。顧客に寄り添う部分は得意だと思っていて。

千葉さん

とにかくお客さまと接して、行動してきた、ということですね。

であれば、「とにかく行動することを大切にしているので、ぜひ御社(あなた)のことをお聞かせいただきたい」という姿勢を主軸においてもいいかもしれないですね。

千葉さんが教える「デリバリー」。鼻につくビジネスライクな話し方はなぜ生まれる?

千葉さん

これまでは「コンテンツ」のお話でしたが、次は「デリバリー」に関してです

米久保

伝え方のほうですね。

千葉さん

まず、「抑揚」についてお伝えしようと思います。

私たちは「抑揚」を、声の大・小、声の高さ・低さ、話すスピード、間の取り方、そして「えー」「あのー」といったフィラー言葉を言わないで話す、という5つに分類しています。

米久保

今まであまり意識してなかったです…

千葉さん

このなかで、まず改善しやすいのは声の高さ・低さの使い分けです。

相手に信頼感を与える話し方のコツは、一文のなかで声の高さと低さの変化がしっかりあって、一文の最初は高く、終わりにかけて低くすること。さらに語尾を伸ばさない。

ここを意識すれば、愛嬌や親しみやすさはそのままに、しっかりした印象を出せると思いますよ。

米久保

なるほど。

「デリバリー」って、ビジネスライクな話し方をするっていう印象があるんですが、私、プライベートで会う人にビジネスライクな話し方をされると、嫌悪感を抱いてしまうことがあって。

「結論から言うと」とか「要点は3つあって」みたいに言われると、ウッて…

千葉さん

(笑)

「結論はこうで」とかって、“自分をかっこよく見せたい”が前面に出ているから、ちょっと受け入れにくいんじゃないですかね。

話し方そのものというより、「その話し方がイケている」と思っていることがよくないってことだと思うんです。

米久保

そうですね。

千葉さん

ですよね。もしかするとわかりやすくお話をすることが得意だとか、逆に自分らしさを出すのが得意ではない方かもしれないとか、もう少し背景に寄り添ってあげる。

その人が何を考えていてどんな強みを持っているのか、向き合ってあげることができたら、相手のコミュニケーションをもっと愛せるようになりますよ。

多くの人が恐れる「間」。間を味方にしよう

米久保

あと、私は端的に話すことが苦手で…

語彙力がない状態で、端的に言いたいことを伝えるには、どうしたらいいですか?

千葉さん

言いたいことを極力短く話すという気持ちを持つ。

私は「このワードに落とし込んでいこう」ということを考えながら、短く話すようにしています。

米久保

たしかに千葉さんは“間”を使っている印象があります。その“間”を使って、考えられているんですか…?

千葉さん

すごく考えてます。

“間”がないと、言葉を考える余裕もない。ご質問をいただいたら、その結論になりうるキーワードをお伝えして、次に“間”を一瞬取って、構成を考えながら話します。

多くの方は、“間”を取るのが怖いって言うんですよね

米久保

怖いです…

千葉さん

でも、“間”を取って話した方が、一文が区切れるので相手が理解しやすいし、自分も考える時間がとれるので、お互いにとってポジティブなんですよ。

米久保

それはありがたい教え…明日からやっていこうと思います!

最後に、私のように社会人らしいコミュニケーションへの切り替えに悩む視聴者もたくさんいると思うので、アドバイスをいただけますか?

千葉さん

話し方は努力で変えられます!」ということを宣言したいと思います。

会社に入ってうまくコミュニケーションできないとか、これまでと違う環境に戸惑う方は多いと思うんですけれども、話し方は、ポイントさえわかれば自分のものにできます

スポーツや音楽と同様に、しっかり向き合うことができればより良くなっていく。そう信じて取り組むことがご自身の自信になっていくと思います。

「話す力は努力で得られる」ということを、ぜひお持ち帰りください。

米久保

めちゃくちゃタメになりました…ありがとうございました!!

千葉さんから教えていただいたコミュニケーション術は、有益なものばかり。

社会人何年目になっても、「数字は自分でつくる」「謙虚の自慢の間」など、意識するだけで日々の会話を向上させられそうです。

初登場した「よねみほ」の成長を、皆さんも見守っていてください!

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