「地層処分」って、聞いたことありますか…?

“原子力発電に伴い発生するゴミの処分”を学べる「ジオ・ラボ号」に潜入したら、想像以上に楽しすぎた

Sponsored原子力発電環境整備機構
ライフスタイル
今、「原子力発電のゴミの処分」が世界各国で課題になっているのをご存じですか?

私たちの生活に電気が欠かせない以上、原子力発電の利用に伴って発生する“ゴミ”こと「高レベル放射性廃棄物」の処分は無視できない問題です。

じつは「高レベル放射性廃棄物」は、私たちの生活に影響が出ないように、地下深くの安定した岩盤に埋設する「地層処分」を行うことが世界共通の認識になっているのですが…

今初めて「地層処分」という言葉を聞いたという方も多いのでは

そこで今回は、地層処分について詳しく学ぶべく、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業を行っている「原子力発電環境整備機構(略称『NUMO』)」が主催するイベントに潜入!

「高レベル放射性廃棄物」や「地層処分」をよく知らない方もご安心を。このイベント、想像以上にワクワクする仕掛けで溢れていたんです…!

〈聞き手=西澤由夏(新R25レポーター)〉

全国各地を回っている「ジオ・ラボ号」に潜入!

お話を伺うのはNUMO広報部の仁平さんです
仁平さん

仁平さん

西澤さん、今日はようこそいらっしゃいました!

NUMOでは、地層処分事業を知ってもらうための取組みとして、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地でイベントを行っています。

今年度は26カ所でイベントを開催し、およそ1万5000人の方にお越しいただいているんですよ(※2022年9月末時点)。
西澤

西澤

すごい! たくさんの方が集まっているんですね。

ところで…ずっと気になっていたんですが…あそこにある、やたら目立つ青い車はなんですか?
ドン!
仁平さん

仁平さん

よくぞ聞いてくれました。

あちらの車は、地層処分展示車「ジオ・ラボ号」です。

どんな方でも地層処分を楽しく学べるよう、映像や壁面展示をしている展示車で、全国各地のイベントで活用しているんですよ。
西澤

西澤

へぇ〜! 私も乗ってみたいんですけど…いいですか?
仁平さん

仁平さん

もちろん! ご案内しますね。

そもそも「地層処分」って? 本当に安全なの…?

車に乗り込むと、大型のパネルが出迎えてくれました
西澤

西澤

このパネルはなんですか?
仁平さん

仁平さん

こちらは、地層処分の概要を説明したパネルです。
西澤

西澤

…じつはよくわかっていないんですが、そもそも「地層処分」って何なんでしょう?
仁平さん

仁平さん

そうですよね。

原子力発電所で使い終えた燃料の約95%はリサイクルすることでふたたび燃料として利用できますが、残りの約5%は「高レベル放射性廃棄物」として残ってしまいます。

この廃棄物を、私たちの生活環境に影響を与えないように、地表から300m以上深い安定した岩盤に埋めて処分することを「地層処分」と言うんですよ
西澤

西澤

「地層処分」って、安全性はどうなんでしょうか?
仁平さん

仁平さん

地下深部は、モノを長期間閉じ込めるのに優れた場所なんです。

古代のガラスや約13億年前のウランが、現在もそのままの姿で閉じ込められているという事例もあるくらいですから。
西澤

西澤

13億年前…! もはや想像もつかないです。
仁平さん

仁平さん

地下深部は、酸素が少なく金属が腐食しにくいので、廃棄物を覆う金属製の容器の腐食を遅らせることができます。

「地下水と一緒に放射性物質が流れ出てきてしまうのでは?」という心配もあるかもしれませんが…

地下深部での地下水の動きは1年間に数ミリ程度と遅いうえに、廃棄物を埋めている岩盤自体にも放射性物質を吸着する特徴があります。
仁平さん

仁平さん

そのため、仮に放射性物質が地下水に溶け出したとしても、地上に到達するまでに数十万年以上の長い期間がかかるため、放射性物質が人間の生活環境に近づいたころには、放射能レベルも健康に影響が及ばないレベルにまで十分に低減します
西澤

西澤

そこまで考えられてるんですね…! 知らなかったです…!
仁平さん

仁平さん

「ジオ・ラボ号」では、こちらのディスプレイでも地層処分場のリアルなイメージをご覧いただけます。
西澤

西澤

へぇ! 私も観てみてもいいですか?
こんな感じで、地層処分場のイメージを動画で観られます。
仁平さん

仁平さん

「高レベル放射性廃棄物」は、地表から300m以上深い安定した岩盤による“天然バリア”だけでなく、“人工バリア”によっても守られているんです。
西澤

西澤

人工バリア…?
仁平さん

仁平さん

放射性物質をガラスの分子の網目構造に取り込んだ「ガラス固化体(高レベル放射性廃液とガラス原料を融かし合わせて固めたもの)」と、「オーバーパック」という厚さ約20㎝の金属製容器、そして厚さ約70cmの粘土製の緩衝材によるバリアのことです。

地層処分は、さきほどご説明した“地下深くの特性”を活かしているだけでなく、このような先端技術も組み合わせた処分方法なんですよ。
西澤

西澤

なるほど…思った以上にスケールが大きい事業なんですね!

実験やARなど、「地層処分」を楽しく学べるブースを体験!

「ジオ・ラボ号」の外に出た西澤を待ち構えていたのは、なにやら楽しげな実験コーナー。ここからは、NUMO広報部の北出さんにもお話を伺います。
北出さん

北出さん

こちらでは、“人工バリア”の緩衝材として使われる「ベントナイト」という粘土を使った実験を体験できます。
西澤

西澤

ベントナイト…?
北出さん

北出さん

ベントナイトは天然の粘土です。

本物のベントナイトと、水の入った筒を用意していますので…西澤さん、水の入った筒を、砂状のベントナイトの上に勢いよくひっくり返してみてもらえますか?
西澤

西澤

水がこぼれちゃいそうで心配ですが…やってみますね。 えいっ!!
!!
西澤

西澤

すごい…! 見てください! 水がまったくこぼれない!
北出さん

北出さん

そうなんです。

ベントナイトは、水に触れると膨張して水が通りにくくなる性質と放射性物質を吸着する性質があるんです。

そのベントナイトを使った緩衝材で高レベル放射性廃棄物を覆うことで、地下水がガラス固化体に接触することを遅らせるだけでなく、将来、放射性物質が地下水に溶け出したとしても、その移動を遅らせることができるんですよ。
ずっとベントナイトの虜になってる西澤
北出さん

北出さん

ほかにも、スマートフォンなどのカメラを通じて、高レベル放射性廃棄物や緩衝材の大きさを体感できる「AR体験」もあります。
*AR(拡張現実)…現実を仮想的に拡張する技術のこと。スマートフォンなどのカメラで写している画像にCGの映像を重ねて表示することで、まるでそのCGが実在しているように見えます
スマホをかざすと、実寸大の「ベントナイトでできた緩衝材」が出現します
西澤

西澤

これがさっき触らせていただいた「ベントナイト」ですか? 

高さがおよそ310cm…思ってた以上に大きい!
西澤と並ぶと、その圧倒的な大きさが一目瞭然です
北出さん

北出さん

横のアイコンをタップしていただくと、緩衝材の断面図も見られます。
西澤

西澤

うわ、こんなに分厚いんですか!?
金属製の容器が、分厚い緩衝材でがっちり覆われているのがわかります

気軽に参加できるイベントで、「地層処分」を身近に感じよう

西澤

西澤

今回のイベント、とっても楽しかったです

頭で考えるだけでなく実際に体験できるから、すごくイメージが湧きやすいですね。今日1日で、地層処分が一気に身近になった気がします。
北出さん

北出さん

よかったです。

「ジオ・ラボ号」のような展示車以外にも、フィンランドの高レベル放射性廃棄物の最終処分地に決定した地下特性調査施設「ONKALO(オンカロ)」の内部を見ることができるVR体験や、測定器を使って放射線量を測る放射線測定体験などもあるんですよ。
こちらがVR体験の様子
西澤

西澤

地層処分について、いろんな形で発信をされているんですね。
北出さん

北出さん

そうなんです! NUMOでは、少しでも多くの方に「地層処分」を知ってもらうために、全国各地でイベントや勉強会、学校での出前授業などを行っています。

興味を持ってくださった方はぜひ、イベントにも遊びに来てくださいね
なんとなく人ごとのように感じてしまっていた「地層処分」が、一気に身近になった今回の取材。

ワクワクが詰まったNUMOのイベントは、全国各地で開催中。

私たちの生活から切っても切れない“原子力発電のゴミの処分”について、これを機に考えてみませんか?
出典Youtube
イベント潜入の様子を、動画でもお届け!
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