ビジネスパーソンインタビュー
キーワードは周囲との“つながり”
「人とのつながりの中にこそ“Well-being”があった」2度の挫折を乗り越えてたどり着いた“心地よい生き方”
新R25編集部
リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。現場ではたらくビジネスパーソンの中には、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはずです。
そこで、パーソルグループ×新R25のコラボでお送りする本連載では、「はたらくWell-being(ウェルビーイング)を考えよう」と題し、「令和の新しいはたらき方」を応援するとともに、さまざまな人のはたらき方や価値観を通して、ビジネスパーソン一人ひとりが今もこれからも「幸せにはたらく」ための考え方のヒントを探していきます。
今回お話しを聞いたのは、住みたい街ランキングで常に上位にランクインする街、湘南で株式会社自給人を立ち上げ、地域密着型情報WEBメディア「JIMOHACK湘南」を運営するコウさん。
3年前、縁もゆかりもなかった湘南エリアに移住。今ではJIMOHACK湘南の運営やHP制作を通して湘南に住む人々と深くつながり、まるで生まれ育った地元のような活躍ぶりです。
ところが、今の活動に辿り着くまでには大きな挫折経験があったそう。そこからどのようにして「はたらくWell-being」にたどり着くことができたのか…根掘り葉掘り聞いていきます。
会社の上司、同僚、お客様、ユーザー、クライアント、協業企業、ビジネスパートナー…働いているといろいろなつながりがあります。
そんなつながりの中であなたは「自分らしい」決断、できていますか?
【齋藤 浩平(さいとう・こうへい)】1989年生まれ。東京都国立市出身。お問い合わせ数が5倍に増加、Google検索で1位を獲得するなど集客に強い地域特化型のホームページ制作を手がける『株式会社自給人』を経営。また、湘南地域のローカルメディア「JIMOHACK湘南」の編集長を勤める。
社会人のスタートラインは全然Well-beingではなかった!?
――(編集部)海も山もある自然豊かな湘南に住んでいるなんて羨ましすぎます。どんなお仕事をされているんですか?
コウさん
今は湘南エリアの地域集客に特化したHP制作やWEBマーケティングの会社を経営しています。また、移住と同時に「JIMOHACK湘南」という湘南地域の魅力を発信するメディアを立ち上げました。
JIMOHACK湘南は、有難いことに立ち上げから5ヶ月で月間14万PVを突破、今では月間36万PVまで成長しました。メディアをオープンしてから3ヶ月後にInstagramアカウントも立ち上げ、現在は2万人以上の方にフォローいただいています。メディア読者やフォロワーの大半は湘南地域に住む地元の方なんですよ。
取材はコウさんが普段利用しているコワーキングスペース「チガラボ」にて
――(編集部)まさに地域密着型のメディア! これまで地域系メディア運営のご経験は?
コウさん
まったくないです。ただ、かつてアフィリエイトをしていたので、そのときに培ったWEBプラットフォームの経験が生きていますね。アルゴリズムを考えたり、数字を分析したり、メディアを育てることが好きで。
最近では読者さんと交流するリアルイベント、例えば新年会や地元の酒造さんとコラボした「湘南ビール会」を開催。JIMOHACK湘南が多くの方に知られるようになったおかげで、鎌倉FMにレギュラー出演しています。
――(編集部)ラジオまで!? 湘南を盛り上げたくて移住されたんですか?
コウさん
いやいや、移住を決めたときはそこまで考えてなかったです。そもそも湘南への移住は「離婚」がきっかけで。
「えっ…」
コウさん
さらにいうと、かつての僕は人前に出ることも、人と深く関わるのも苦手でした。社会人になるまで自分で意思決定した記憶もあまりないんです。
例えば、学生のときに付き合っていた彼女とデートや旅行に行くときは全部彼女に決めてもらっていましたし、進路や就職活動をするときも両親に相談して、「こうしたら?」と言われるがままでした。
――(編集部)どれもこれも、今のコウさんからは想像できない…
コウさん
その結果、就職活動に失敗して僕の社会人生活は就活浪人からスタート…その頃は全然Well-beingではなかったです。
就活に失敗して「人に寄りかかって生きていたこと」に気がついた
――(編集部)完全に、湘南の風を浴びながら悠々自適に暮らしている人だと思っていました。就活に失敗したお話から聞いてもいいですか?
コウさん
就活は、特にやりたいこともなく、民間企業で働ける自信もなかったので「とりあえず公務員で」くらいの安直な考えで公務員を目指していました。
コウさん
いざ公務員試験を受けると勉強した筆記試験には合格したものの、面接で落とされてしまって。
当時、「公務員試験は筆記さえ受かれば、まともな人なら面接も受かる」と言われていたものだから、まさかそこで落ちると思わなかったんです。
「自分はまともな人間じゃない、社会から求められていない存在なんだ」と、一気に落ち込みました。
――(編集部)(自分の就職活動が思い起こされて胸が痛む…)
コウさん
「周りができたことができない」という劣等感、選ばれなかった悔しさも募る毎日の中、すっかり心が折れて就活浪人に。どうにもならない僕を見た両親から勧められて、税理士の資格取得の勉強を始めました。
友達はみんな明るい社会人生活をスタートしていて合わせる顔がなかったし、当時付き合っていた彼女ともうまくいかなくなって振られてしまって…。
「どんどん孤独になっていきました…」
コウさん
気持ちが変わるきっかけになったのは、「そもそも税理士になったあとはどうするんだ?」と考え始めたことです。資格を取ることがゴールになっていたけど、そのあとはどうしようと。
調べると、税理士は組織に所属するよりも、独立したほうが収入的にも良さそうだったので「資格をとったら独立しよう」と決めました。これが、自分で自分のためにした初めての選択です。
――(編集部)おお…!
コウさん
ここでようやく、これまでの自分はいろんな選択を周りの人に委ねてしまっていたことに気がつきました。
就活に失敗して、挙句彼女にも振られて…進む道を導いてくれる人がいなくなったことで、今まで誰かが決めてくれたレールの上を歩いていた、人に寄りかかっていたんだと気がつきましたね。
独立を決めてからは「自分の足で立っていこう」と意気込んで、それからだんだん「周りの人を見返すぞ」という負の感情から生まれるやる気も湧いたことを覚えています(笑)。
誰にも頼らず、自分の力だけで生きていく。しかし…
――(編集部)負の感情から生まれるやる気、いいですね(笑)…ところで今のコウさんは独立されていますが、税理士では
コウさん
ないです(笑)。
自分のキャリアを選択したあとは人が変わったように自立に向けて動き始めました。自立とは何か、自立した人はどう過ごしているのかを知りたくて、SNSを使っていろんな人に会いまくって。
そこでたまたまアフィリエイトビジネスに出会い、パソコンさえあれば自分の力で稼いでいけるアフィリエイトビジネスにのめり込みました。
――(編集部)どのくらいのめり込んでいたんですか?
コウさん
自分1人の力でWEBサイトが育つのが面白くて、作ったサイトは月間400万アクセスを獲得するまでに成長しました。
アフィリエイトのみで売上月100万円達成したそう
コウさん
アフィリエイトだけで生計を立てられる目処がついたので、当時の僕は「このまま自立しながら稼いで、人と関わることが少ない田舎でのんびり暮らすぞ」という夢を持つようになりました。
その後、結婚して千葉に移住。念願だった畑を購入したので朝は畑、昼はWEBの仕事、夜はジムという夢の暮らしを手に入れたんです。
――(編集部)現役引退した人が求めそうな理想を20代そこそこで叶えちゃってる。なのに…
コウさん
はい、離婚してしまって。
追い打ちをかけるかのように、うまくいっていたアフィリエイトも検索エンジンのアップデートで収入が激減。さらには筋トレ中に左腕を骨折して、全治1年と言われました。
泣きっ面にミツバチ、スズメバチ、アシナガバチのコンボをくらう
コウさん
心身ともに弱った僕は、とにかく千葉を出て癒されたかった。自然を求め、思いつきで湘南にやって来たんですけど駅に降りたときの空気感で、なんとなく「いいな」と感じ、ほとんど直感で「ここに住もう」と決断しました。
だけど住むうちに、自然はもちろん、何よりも湘南地域の方々の暖かさを体感したんです。
ご飯屋さんに行けば気さくに話しかけてもらえるし、コワーキングスペースには熱い志を持った仕事仲間がいる。見ず知らずの僕を受け入れてくれる地域の方々の懐の深さに、とても救われました。
――(編集部)人付き合いが苦手で、俗世から離れていたコウさんが。
コウさん
初めて「人と関わること」「誰かを頼ること」の大切さを実感しましたね。
「自分の力だけで稼ぐ」「自分の力だけで生活する」って意気込んで、周りを頼ることなく自分の足で立つことばかり考えていたけど、それだけじゃ僕は全然弱いんだなって。
2回のどん底を経て手に入れたコウさんの「はたらくWell-being」
――(編集部)就活失敗で自立、離婚で人とのつながりと、挫折経験から一つひとつ新しい気づきがあったからこそ今があるんですね。
コウさん
まさにです。
意思決定を誰かに任せて寄りかかるのも、自立といって誰にも頼らずにいるのも、どっちもあまり健やかではないんだと気がつきました。
今思えば、アフィリエイトにのめり込んでいた時代もお金は稼げたけど、PV数や収入の増減でしか自分の価値を測れなかったように思います。
――(編集部)理想的な生活を叶えていたと思っていたのに、落とし穴があったとは。
コウさん
でも今は、HP制作をすれば喜んでくれるクライアントがいて、メディアの先には喜んでくれる読者がいる。自分の持つスキルや経験で「ありがとう」と言ってもらえることがすごく嬉しいです。
ようやく今のコウさんに辿り着く。安心。
コウさん
これまでの経験があったからこそ今は、自分のしたいことを自分で決めて、人や社会と関わりながら仕事も生活もできています。
頼って頼られて、そのつながりの中にいるほうが自分にとってWell-beingな状態でいられると気がつけてよかったです。
――(編集部)最後に、コウさんのこれからの目標を教えてください。
コウさん
湘南地域は人もさることながら、魅力的なお店や会社も多いので、まずはそれを知ってもらいたいと思っています。
その先でもっと手触りのあるつながりにするために、メディアをきっかけにリアルイベントを開催したり、もっと深く人と人とがつながっていけるようなサードプレイスを構想したりしています。
自分にとって大切なことを教えてくれた湘南地域に恩返しをしたくて、この湘南地域を多くの人が憧れる「住みたい街」から、「住み続けたい街」にしたいですね。
コウさんが運営する地域密着型情報WEBメディア「JIMOHACK湘南」はこちら。
「“はたらくWell-being”を考えよう」
信頼してくれる人を裏切らない。「サスティナブルな情報交流」を仕掛けるブランドディレクターの、“はたらくWell-being”
新R25編集部
Sponsored
多様性を認める文化を、花の世界から。フラワーサイクリスト® 河島春佳が「規格外な自分」から見つけ出した使命
新R25編集部
Sponsored
「はたらくWell-being AWARDS 2024」授賞式&トークセッションに潜入! そこには、はたらくを楽しむためのヒントが満載だった
新R25編集部
Sponsored
「日本が世界に勝てるものを見つけた」植物工場で世界の名だたる企業から200億の資金調達を達成したOishii Farm 古賀大貴が使命を見つけられたワケ
新R25編集部
Sponsored
プロ野球選手から公認会計士試験合格。異色の転身をした池田駿さんの“はたらくWell-being”
新R25編集部
Sponsored
実はコンビニより多い。神社というインフラから考える日本の「はたらくWell-being」
新R25編集部
Sponsored
ビジネスパーソンインタビュー
またスゴいことを始めた前澤さんに「スケールの大きい人になる方法」を聞いたら、重たい宿題を出されてしまいました
新R25編集部
【不満も希望もないから燃えられない…】“悟っちゃってる”Z世代の悩みに共感する箕輪厚介さんが「幸せになる3つの方法」を伝授してくれた
新R25編集部
「実家のお店がなくなるのは悲しい… 家業を継ぐか迷ってます」実家のスーパーを全国区にした大山皓生さんに相談したら、感動的なアドバイスをいただきました
新R25編集部
「俯瞰するって、むしろ大人ではない」“エンタメ鑑賞タスク化してる問題”に佐渡島庸平が一石
新R25編集部
社内にたった一人で“違和感”を口にできるか?「BPaaS」推進するkubell桐谷豪が語るコミットの本質
新R25編集部
【仕事なくなる?そんなにすごい?】“AIがずっとしっくりこない”悩みへのけんすうさんの回答が超ハラオチ
新R25編集部
情報はインターネットがベスト、という考えに異を唱える。学生発信「金沢シーサイドFM」の挑戦
新R25編集部
いろんな仕事をこなす「ゼネラリスト」は目立てない? サイバーエージェント2年目社員の悩みにUUUM創業者が喝
新R25編集部
スモールビジネスの課題“3つの分断”に挑む。freeeによるプロダクト開発の基盤「統合flow」を発表
新R25編集部