「“本当はビールが飲みたい”に向き合いました」
“うまさの追求”って何したの? 売れまくりな「本麒麟」開発の舞台裏を聞いてきた
連載
コスパの流儀
連載へ
SNSではその美味しさに驚く声が多く見られるけれど、そのウラにはどんなヒミツが? 編集長の渡辺が「本麒麟」の担当者に話を聞いてきました。
店舗で飛ぶように売れていくのを見て、「今までとは違う」とヒットを確信
編集長・渡辺
半年で1億本突破を目指していたということなので、想定の2倍のペース。すごい売れ行きですね!
永井さん
編集長・渡辺
永井さん
私どもは、発売したらまずスーパーなど取り扱い店舗の立ち上げ(商品陳列や販促ツールの設置など)の応援に行くんですけど、そこで陳列したそばから飛ぶように売れていくのを目の当たりにして、「これは今までとは違う」と。
編集長・渡辺
永井さん
ただ、予測の数倍売れたことで、翌週末には製造が追いつかない状況になり、ゆっくり喜んでいられる余裕はなかったです(笑)。
「本当はビールが飲みたい…」消費者の本音に正面から向き合ったプロジェクト
編集長・渡辺
永井さん
ただ、日頃から新ジャンルを飲んでいる方にインタビューして聞いていると、「本当はビールが飲みたいけれど…」という本音が出るんです。経済的な理由から現在は新ジャンルを選んでいる方が非常に多いことがわかってきました。
「我慢せず、おいしいビールを日々気持ちよく飲みたい」。まだ強く満たされてないこの欲求に応えることは、メーカーの使命だと考えました。
編集長・渡辺
永井さん
そういう声に応えるには、これまでのように「新ジャンルのなかでどういう商品をつくろうか」ではなく、「カテゴリーを超えた美味しさの追求」が必要でした。
今回のプロジェクトはそこに真正面から向き合おう、キリンの最高品質を目指してつくろう、ということでスタートしたんです。
「うまさ」や「コク」の追求って…実際にどんなことしてるの?
編集長・渡辺
それを追求するには、具体的にどういう作業が必要なんでしょうか?
永井さん
またそれを分解していくと、麦のうまみだけではなく、苦味も欠かせないことに行き着きます。
そして、苦味の効いた質の高い「コク」をより引き立たせるためには、その周辺にある「雑味」を取り除いていく作業が非常に大事になってきます。
編集長・渡辺
永井さん
これは雑味が残っていることが一因として考えられます。
そのため「本麒麟」では、当社伝統の低温熟成期間を1.5倍に伸ばし丁寧に雑味を取り除くことで、調和のとれた、より質の高い「コク」が感じられるようにつくっています。
編集長・渡辺
永井さん
ですが、「本麒麟」が目指す「苦味の効いたコク」を実現するには長期低温熟成は欠かせない、ということで社内を説得しました。
風味を左右する「ホップ」は“投入方法”にもこだわった
編集長・渡辺
永井さん
爽やかな香り・上質な苦みが特徴で、喉にグッとくるコクを引き立てるのに最適です。
編集長・渡辺
永井さん
さらには種類だけでなく、ホップの組み合わせ・量・投入方法も試行錯誤を繰り返しました。
編集長・渡辺
永井さん
開発の途中で消費者テストをしてみると、食事と合わせてデイリーに楽しみたい方には「苦味が強すぎると飲みにくい」という意見もあったんです。
苦味が効いたコクは大事なんだけれど、後口はすっきりさせる…このバランスを取るのに相当苦労しましたね。
編集長・渡辺
絶妙なバランスがキモなんですね。
「飲みごたえ」を追求し、アルコール度数は高めの6%に設定
編集長・渡辺
永井さん
いまのトレンドでは、「1缶でどれだけ満足できるか」も重視されていますので。
編集長・渡辺
永井さん
「コク」は「味わいの濃さ」の話、「飲みごたえ」は「味のボリューム」の話で、飲んだ後の満足感につながります。
アルコール感を高めることで「飲みごたえ」につながり、結果「1缶でも満足できる」となるわけです。
編集長・渡辺
永井さん
編集長・渡辺
とはいえ、高すぎるとゴクゴク気持ちよく飲めなくなるし、ここも絶妙なバランスが重要なんですね…
永井さん
編集長・渡辺
SNSでは、いい意味で完全に「ビール」だと思っているような投稿も多数見かけました。
永井さん
味だけじゃない。“赤”のパッケージとネーミングにも込められたキリンのこだわり
編集長・渡辺
国産のビール類で「赤」のキーカラーは珍しい気がします。
永井さん
そこで、キリンデザインの特徴であるシンプルさ・正統感・品質感を踏襲し、キリンのコーポレートカラー“赤”をキーカラーとして採用しました。
赤は瓶ビールのラベルなどでも使用してきたキリン伝統の色でありながら、真新しさを感じさせます。これはブランドの資産にもなると考えました。
永井さん
カラーリングでも「味の深み、上質なコク」を表現したかったんです。
編集長・渡辺
永井さん
お客様にも見つけていただきやすく、マーケティング的にも有効なんです。
編集長・渡辺
永井さん
我々はそのイメージを打破して、「デイリーに飲んでほしい本麒麟だからこそ、妥協せずこだわってつくっているんだ」という姿勢をダイレクトに伝えたかった。
編集長・渡辺
永井さん
“キリン”の字にも、キリンの伝統である漢字の「麒麟」を採用することで、より企業姿勢やこだわりを伝えたいと思いました。
編集長・渡辺
SNSで大反響。CMにYOSHIKIを起用した理由とは?
編集長・渡辺
「ここまでうまいと時代が変わる。」というストレートなキャッチコピーもインパクトがありますが、X JAPANのYOSHIKIさんの起用も意外でした。
これにはどういう狙いがあったのでしょう?
永井さん
それで今年の3月にブランドアンバサダーに就任いただいたのですが、ご本人がそれをSNSで発表した際にすごい反響がありました。
それに加え、ファンの方々からも要望を多数いただいたこともあって、「これはぜひCMへの出演をお願いしよう」ということになりました。
$キリンビール( <a href="https://twitter.com/Kirin_Brewery?ref_src=twsrc%5Etfw">@Kirin_Brewery</a> )さんが社運をかけた <a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%9C%AC%E9%BA%92%E9%BA%9F?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#本麒麟</a> のブランドアンバサダーに就任し、早速試飲しました。<br />革命的な味わいで時代を作る商品だと思います。3月13日(火)新発売です。 <a href="https://t.co/qFKvpcrQst">pic.twitter.com/qFKvpcrQst</a>
永井さん
それで「YOSHIKIRINキャンペーン」も実現させてもらいました。
$⚡⚡⚡⚡⚡<a href="https://twitter.com/hashtag/YOSHIKI?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#YOSHIKI</a> + <a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%9C%AC%E9%BA%92%E9%BA%9F?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#本麒麟</a><br />= <a href="https://twitter.com/hashtag/yoshikirin?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#yoshikirin</a> ‼<br />⚡⚡⚡⚡⚡<br /><br />YOSHIKIさんとの特別コラボが実現<br />毎日更新される動画をRTして「本麒麟」と「銀座あけぼのチーズおかき」との特別セットを当てよう<br /><br />今日は【YOSHIKI 系譜】篇!明日もお楽しみに!<br />詳細は⇒<a href="https://t.co/hzdJ3udGBQ">https://t.co/hzdJ3udGBQ</a> <a href="https://t.co/Ii3PnC1CTF">pic.twitter.com/Ii3PnC1CTF</a>
編集長・渡辺
ちなみに、味に対するYOSHIKIさんのリアルな評価はどうでしたか?
永井さん
さらには、その味をYOSHIKIさんらしく「革命的な味わい」や「創造的破壊」という言葉で魅力的に表現いただき、YOSHIKIさんには本当に感謝しています。
編集長・渡辺
…いろいろお話を聞いていたら、つい飲みたくなってきてしまいました。最後に、僕も一杯いただいていいですか?
永井さん
編集長・渡辺
お店で真紅の「本麒麟」が目に飛び込んできたら、ぜひ手に取って同社が追求した“カテゴリーを超えたうまさ”を味わってみよう!
〈取材・文=新R25編集部/撮影=冨永智子〉