

『転職の思考法』著者に聞いた
「バカにされてもやりたいこと」を選べ。マーケットバリューを高めるキャリアの描き方
新R25編集部
新R25が8月にお届けする特集「はじめての転職 サバイバル」。
全4回の記事を通じて、読者が自分自身のキャリアを見つめ直すきっかけや、はじめての転職活動で活用できる実践的なノウハウをお届けします!
みなさん、“キャリアの成功”ってなんだと思いますか?
高い給料をもらうこと? やりがいのある仕事ができること? 若くして役職につくこと?
就職活動ではあんなに「行きたい!」と思って入社した会社なのに、本当にこのままでいいのかモヤモヤする…。そう感じているR25世代も少なくないはず。
『転職の思考法』の著者・北野唯我さんに聞く、「やりたいことがない人のための転職入門」。前編では、やりたいことなんてなくても、“転職する”という選択肢は持てるというお話を伺いました。
でも、いざ転職するといったって、スキルのある「引く手あまたな人材」でなければ意味がないのでは…? どうやって、価値ある人材になればいいの…?
後編では、そんな不安をぶつけていきます。
〈聞き手:宮内麻希(新R25編集部)〉
「就活の成功=キャリアデザインの成功」は大きな間違い

宮内
いざ転職活動をしてみると、想像よりも自分が評価されないという事実に気がつくR25世代も多い気がしています。私の友人も「身についたのは社名だけだ」なんてぼやいてました。
でも、なんでこんなことになっちゃうんですかね?

北野さん
あ〜。それは就職活動には成功したけれど、自分のキャリアデザインには失敗してしまったからでしょうね。

宮内
就活の成功とキャリアデザインってほぼイコールだと思ってました。

北野さん
それは違いますね。僕と同年代でテレビ局でオンデマンド事業の責任者をしている友人のいい例があるんですけど。

北野さん
彼は新卒でオンデマンド事業に配属だったんですよ。もう8年くらい前の話かな?
でも、テレビ局を目指してる人にとっての花形って、ディレクターとかプロデューサーになる制作の部署じゃないですか。

宮内
たしかに、テレビ局なら制作に行きたいというのは自然な流れです。

北野さん
8年前なんで、すでに「テレビはオワコン」ってささやかれはじめた時代です。その中の、オンデマンド事業なんてさらに小さな部署で、予算も少ない。
なので当時、「あいつは終わった。もう出世はない」って社内でウワサされたらしいんですよ。なのに、本人に会うといつも「そうかな? 自分はそう思わないけどな」って言ってたんです。

宮内
それはどうしてなんですか?

北野さん
彼は昔からITが大好きだったからです。だから、テレビのオワコン化をITの技術で救えるかもしれないと考えていた。
結果的に、今では他の事業部の全合計を上回る利益をオンデマンド事業で出しています。どれだけ斜陽と言われる業界でも、確実に伸びていく分野に身を置くことができたから、活躍できたんですよね。

宮内
う〜ん。つまり、就活での成功はその瞬間だけだけど、キャリアデザインの成功は未来の成功につながるかどうか、ということですかね…?

北野さん
そう! しっかり働いている時間と自分の価値が比例していく状態ですね。
その意味では、どれだけ斜陽産業でも“非効率性”が残っている業界や、“今は弱小でもこれから伸びる”部署に行った方がキャリアデザイン的には100パーセント勝ち。
今の花形が未来のオワコンになるのは、めずらしいことじゃないんです。
「周りからバカにされてもやりたい仕事」はマーケットバリューを高めるチャンス

宮内
でも、マーケット全体を深く理解できない若手のうちに これから伸びる“穴場市場”なんて見つけられるんですかね。

北野さん
穴場を見つけられなくても、究極の方法があります。
どんなときも「本質」で話をする北野さん

北野さん
「宮内、なんでそれやってんの?」って、バカにされてもやってみたいと思う選択をしましょう。

宮内
え。

北野さん
僕の本のなかでは、マーケットバリューは「自分の技術資産」「自分の人的資産」「業界の生産性」の3つの掛け合わせで決まると説明しています。
『転職の思考法』(ダイヤモンド社)P.246よりマーケットバリュー=技術資産×人的資産×業界の生産性
・技術資産は、他の会社でも通用する技術的蓄積。職種に紐付く「専門性」(例:法人営業)と職種に紐付かない「経験」(例:マネジメント経験)の二つに分けられる
・人的資産は、一言で言えば「人脈」。あなただから動いてくれる人がどれだけいるか
・業界の生産性は、一人あたりの粗利。これが、給料の原資となる

北野さん
ただ、正直これを意識するのもなかなか難しいというのが本音じゃないですか?

宮内
はい。専門性も人脈も、今の自分は自信がありません…

北野さん
ですよね。でも諦める必要はありません。
誰にも負けない“経験”で勝負すればいいんです。

宮内
それが「周りからバカにされるような経験」なんですかね…?

北野さん
はい。周りからバカにされてまでやれることって、自分の承認欲求を超えて「やりたい」と感じられていることなんですよ。それに、バカにされるってことは自分しか気づいていない何かがあるってことなんです。
宮内さんは、めっちゃ好きなものってありますか?

宮内
クラフトビールです!

北野さん
じゃあクラフトビールのなかでも、本当はみんな知らないけどこれがいいんだよな〜とか、絶対ありません?

宮内
あります。中途半端なクラフトビール好きにはイライラしちゃうこともしばしば…

北野さん
どういうことかというと、自分が興味関心のある分野って、他の人と解像度が違うんですよ。だから自分なりの発見とかこだわりとか、長所を見つけやすいんです。
さっきのテレビ局の彼も、ITが好きだったからこそ “伸びる”って信じられたんだと思います。

北野さん
これが、前記事の「若いうちからマーケットバリューを高められるキャリアとは?」という質問の答えです。
若いうちはとにかく“伸びている業界や分野”または“斜陽であっても非効率性が残る分野”に身を置くこと。もしくは “バカにされてもやってみたいもの”をやること。
そうすれば自然と人材としてのレア度が上がって、マーケットバリューは高まっていきます。
転職エージェント利用の注意点。優秀な担当者を見極める質問とは?

宮内
自分のマーケットバリューの高め方、参考になりました。
そして、いざ転職活動をするとなったら転職エージェントを利用する人が多いのかなと思うんですが、 その際の注意点もお伺いしたいです。

北野さん
転職エージェントは“会社”ではなく“担当者”で選んでください。その人に、自分のマーケットバリューを棚卸ししたレジュメを持って、長期的に相談できる関係になるのがベストですね。
あっでも、そもそもマーケットバリューが低いままだといい担当者がつきにくいこともあるのでご注意を。

宮内
げっ。これまた耳の痛い話ですね…

北野さん
だって、ロナウドが転職したいと言った時と、J3の選手が転職したいって言ったら、つくエージェント担当者は当然異なりますよね。

宮内
たしかに…

北野さん
ただし、いい担当者かどうかを見極める方法はあります。優秀な転職エージェントというのは、“金”ではなくて“人”の観点から伸びる会社かどうかを予測することに長けています。そこに着目してこう質問しましょう。
「最近、優秀だなと思う人がどんどん入ってる会社はどこですか?」

宮内
それに明確に答えられれば信頼していいんですね。

北野さん
そうです。もしつまってしまったら、即担当者を変えていいですね。
企業の口コミは食べログと同じく「相対評価」でチェックしよう

北野さん
あとはやっぱり、今僕が転職しようと考えたら口コミは必ずチェックします。

宮内
え〜それは意外です。ネットとかで調べても、結局悪いことばっか書かれていて「真実がわかんないわ!」ってなることが多いんですけど…

北野さん
あ〜。それは相対的に見れていないからです。
転職サイトの口コミって、食べログと同じですよ。

北野さん
食べログで4の評価がついてたら、美味しいお店だと想像できますよね。でも、2.5だったらどうですか。

宮内
選びません。

北野さん
そうやって判断ができるのって、色々なお店に行ってトライアンドエラーを繰り返して、宮内さんのなかで「評価4のお店はいいお店、評価2.5のお店はイマイチ」という評価の軸ができているからじゃないですか。

宮内
たしかに! でも、会社はそうもいかないですよね。トライアンドエラーって…

北野さん
だから、単独で見るんじゃなく自分がいる会社との相対評価で見るようにしてください。
わかりやすいのは、在籍している会社の口コミと、転職候補の口コミを見比べてみること。自分の会社でこれくらいなら、3ってこの程度かな〜と見てみてください。これはかなり有効です。

宮内
なるほど!
SNSは実名で更新しよう。実名で発信した情報は“資産”になる

宮内
こうして話を聞いてると、なんとなく転職活動をするのはいかに危険かがよくわかりました。

北野さん
キャリアって、自分の人生のなかでトップクラスに重要なものじゃないですか。それを何も考えずに目の前の人の言葉だけを信じて選ぶなんて、自分の人生の重要度と思考量が反比例しすぎです。

宮内
(グサッ)

北野さん
まあ正解がないですから、難しいですよね。
ただ、明日にでもすぐできるのは、自分のマーケットバリューを棚卸ししてレジュメを作ること。あとは、実名でSNSをやってください。

宮内
会社に勤めていると、なかなか名前を出せなかったりするんですよね…

北野さん
僕も、会社員なのでもともと「KEN」っていう偽名でやってたんです。
でも、ある時実名に変更して「もっと早くこうすればよかった」と後悔しました。『転職の思考法』の出版依頼が来たのも、実名ではじめたブログからなんです。

宮内
そうだったんですね! はじめの一歩で世界が変わる可能性がある。

北野さん
幻冬舎の箕輪(厚介)さんが言ってたんですよ。「匿名でSNSをやっている人は、引き出すことができない銀行にお金を預けているようなものだ」って。
これ本当にそうで、SNSは何も持たざる人が0から資産をつくることができる最強の手段なんです。
ちなみに、「#転職の思考法」で読者同士のディスカッションがかなり活発に行われているので、ぜひ参加してもらえたら! 僕も見ているので、実名だとすごくうれしいです(笑)。
取材終了後、さっそく「#転職の思考法」でTwitterをのぞいてみると…。
「このままでいいのか不安だった」「転職の決断ができた」「自分のためじゃなく、会社のために働いていた」など、同世代の声がたくさん。やっぱり、自分のキャリアについて悩んでいる人って多いんですね。
北野さんのお話を通じて、そんな風にモヤモヤすることこそ、実は次のステージに進むための大切な準備期間なんだと感じることができました。
まずは、自分のマーケットバリューを意識することからはじめてみようと思います。
〈取材・文=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=森カズシゲ〉
より詳しく知りたい人は、『転職の思考法』をご覧ください!
北野さんの発信も要チェックです!
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