「人工知能でも代替できない存在」

指示がコロコロ変わる上司も悪くない?「中間管理職は、むしろこれから価値が高まる」

仕事・ビジネス2018.09.02by 新R25編集部

特集

すごいぜ! おっさん

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おっさん」。そう聞いてR25世代が思い浮かべるのは、「面倒くさい」「時代遅れ」などのマイナスイメージばかり…。

でも、ボクらの知らないところでは、おっさんだって社会や組織を動かす大きな力となっているかもしれない。

新R25が9月にお届けする特集「すごいぜ! おっさん」では、普段はなかなか伝わらないおっさんの苦悩や魅力にスポットを当てたいと思います!

4日連続公開特集の第2回は、R25世代とも関わる機会の多い「中間管理職のおっさん」がテーマ。

時に上の指示をそのまま伝えてきたり、小さなことでマウンティングしてきたり、若者にとって「ウザい」存在であることは否めない中間管理職世代…。

ただ、今回の特集のテーマは“おっさんに寄り添う”こと。もしかしたら、R25世代が知らない中間管理職の真実があるかもしれない。

そんな仮説を持って、産業医としてこれまで数多くの中間管理職の悩みをケアしてきた実績をもつ大室正志さんに話を聞いてきました。

〈聞き手=宮内麻希(新R25編集部)〉

【大室正志(おおむろ・まさし)】産業医科大学医学部医学科卒業。産業医実務研修センター、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社統括産業医を経て、現在医療法人社団同友会 産業保健部門 産業医。現在日系大手企業、外資系企業、ベンチャー企業など約30社の産業医業務に従事

現代の中間管理職は、 “プレイングマネージャー”。昔より負荷がかかっている

宮内

宮内

私のまわりには、やはり“中間管理職おっさん”のことをウザがっている同年代は多いです。

マネジメントという立場にもかかわらず若手と張り合ってきたり、なんなら業務のなかでマウンティングしてくることもあって鬱陶しい…みたいな。

大室さん

大室さん

それは、今の中間管理職っていわゆるマネージャーとしての管理職じゃなくて、自分もガシガシ手を動かす、プレイングマネージャーであることが多いからでしょう。

大室さん

大室さん

中間管理職と部下って、野球チームでいうとこれまでは「監督と選手」の関係性だったんですけど、今は「キャプテンと選手」になっている。

キャプテンって、たまに選手たちに「俺のほうがうまいから上なんだ」っていうのをプレーで示さないと、自分のアイデンティティを保てないんですよ。

宮内

宮内

どうして中間管理職の在り方が変化しているんですか?

大室さん

大室さん

人口構成的に、上の世代が多くて役職が上がるほど席が埋まってしまい、「マネジメントするだけの人」自体が少なくなりました。

だから、昔の中間管理職たちよりも、圧倒的に手を動かしているし、負荷もかかっています

宮内

宮内

上司が残業ばかりしているので、帰りづらい」という意見もよく聞きますが…

大室さん

大室さん

単純にプレイヤーとしての仕事もあるので、仕事量がものすごいことになっていて残業しているケースが多いんですよ。

さらに、30代後半から40代にかけて、親の介護、体力の衰えなど、自分の力ではどうにもならないような不可抗力を抱えてしまう方も多くなって、仕事以外の部分でも一気に問題がのしかかる世代なんです。

宮内

宮内

おっさんたち、仕事もプライベートも余裕がないんだ…

大室さん

大室さん

統計をとったわけではないんですが、こういう要素が絡まりあって、少なくとも僕が担当する会社では若手世代と比べて中間管理職の方が圧倒的に“重いメンタル不調”に陥っている率が高いです。

上司の指示がコロコロ変わるのは、むしろいいことかもしれない!?

宮内

宮内

マウンティング問題については、中間管理職のあり方の変化が関係していることがわかりました。

ですが、まだまだウザいと思われていることはありそうで…

宮内

宮内

中間管理職の人って、現場の若手から見ると「やたら横暴な指示をしてくる」という印象があると思います。指示をコロコロ変えてきたり…

大室さん

大室さん

中間管理職は上からは責められ、下からは突き上げられる。一番意見を言えない立場ですから、わかってあげてください。

あと、今勢いのある会社って、社長の朝令暮改も多い。孫正義さん(ソフトバンク)、前澤友作さん(スタートトゥデイ)とかもそうだと言われています。

競争の激しい現代のビジネスを生き残るために、意見がコロコロ変わるのはむしろいいことでもあるんですよ。

宮内

宮内

たしかに、ZOZOスーツも途中で大きく仕様が変わりましたもんね…

大室さん

大室さん

若手世代は、変わってしまうことを一概に悪いと決めつけないこと。

一方で中間管理職も、部下たちに起こりうる事態をきちんと説明して、変化の下地をつくっておくのが大事です。

上司はメンヘラ女子と同じ!? まずは自分から腹を見せよう

大室さん

大室さん

今までお答えした問題は、結局“北風と太陽”なんですよ。

宮内

宮内

え、あの童話の…

大室さん

大室さん

中間管理職に対して少しでも不満があると、「なにこのおっさん」ってどんどん避けちゃうじゃないですか。

そうすると、上司側も「こいつ、俺になついてないな」と感じてしまうから、ますます北風のようにマウンティングしてくるんです。

宮内

宮内

あ~。そこから好きになるのはお互いなかなか難しかったりしますよね。

大室さん

大室さん

だから、部下から腹を見せるのが大切なんです。「私はあなたの敵ではないです」ということをなにかしらの行動で示しておくこと。飲み会でものすごい持ちあげておくとか。

先輩にかわいがられていることで有名なサバンナの高橋さんって、意外と失礼なことを言ってたりする。それでも愛されるのは、最初の段階で自分から腹を見せて、「私はあなたの敵じゃない」ということを徹底してるからなんですよ。そこさえ押さえておけば、後は言いたいことを言っても険悪にはならない。

上司に失礼なことを言っても可愛がられている人って、大体このパターンです。

大室さん

大室さん

たとえばね、ほんの数時間彼氏に連絡がつかないからって、何十回も電話をかけてくる不安定な彼女っているじゃないですか。

でも、彼氏側が一言「好き」と伝えてあげれば、それだけで着信が落ち着いたりする。

上司って部下がなついてるか常に不安だから、そういう部分もあるんです。

宮内

宮内

それって、メンヘラ女子じゃ…

「マネジメントスキルの高い中間管理職」は、人工知能でも代替できない

宮内

宮内

最近は「中間管理職不要説」なんて言われることもありますが、これについて大室さんはどうお考えですか?

大室さん

大室さん

やみくもに「役職をつけるためだけに管理職を増やした」という場合は不要ですね。

ただ、これまで日本では、プレイングマネージャーの場合はプレイヤーとしての力量に評価の重きを置かれることが多かったんですけど、今後はマネジメントスキルが評価される時代に変化すると予想しています。

宮内

宮内

これまで評価されていなかったのはどうしてなんですか?

大室さん

大室さん

これまでの日本の企業では、部下の意見にはあまり価値がなかったからです。

でも今はインターネット時代になって、若者が出したアイデアこそがイノベーションにつながるような、知的産業がビジネスの中心になってきている。そういうときに部下を活かせない上司は、組織を停滞させてしまう危険があります。

例えば外資系企業だと、「この上司はマネジメントができていない」と部下が評価した場合、減給の対象になったりするんですよ。

宮内

宮内

私は16卒なのですが、そのころから「360度採用」とか、部下も上司を評価するという制度をウリにしている企業もありました。

大室さん

大室さん

そうですよね。

マネジメントって、チームメンバーのモチベーション、感情にまで配慮しないといけないから、そういう仕事って、機械にはできない

人工知能がビジネスの現場に取り入れられても、それが“感情”を汲み取れるようになるのはまだまだ見えない話です。

大室さん

大室さん

だから不要どころか、マネジメントスキルの高い中間管理職の重要性をどんどん感じていくことになると思いますよ。

ビジネスにおいてテクノロジーで効率化できない部分って、実は現場でマネジメントを担う、中間管理職なんじゃないかな? これ、主張していきたいですね。

大室さんのお話を聞いていると、体力の衰えを感じながらも、家庭に、自身の仕事に、部下のケアまで…つねに気を配らせている中間管理職って、私たちの想像以上に大変で、感謝すべき存在なのでは…?という気持ちが湧いてきました。

AI時代に真価が発揮されるかもしれない“おっさん”。今日からちょっと見方が変わりそうです。

〈取材・文=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=藤木裕之〉

【4日連続公開】特集「すごいぜ! おっさん」

第3回は「おっさんの交渉力」をテーマに、田端信太郎さんにインタビュー。

デカい仕事を動かしていくには、清濁あわせ呑むようなタフなネゴシエーションが必要になるらしい…。若者にはまだまだ足りない、その交渉力とは一体…?

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