

「スキルさえあれば、お金を使わずに生きられる」
人間関係をベースにお金がまわる時代が来る。プロ無職・るってぃが予想する「消費の未来」
新R25編集部
SNSを中心に情報発信を続け、Twitterのフォロワー数は2万4000人超え。年間300万円のスポンサーもついた「プロ無職」を名乗る、るってぃさん。
世界中を旅しながら新しいライフスタイルの実験を続ける彼に、「友だちにしかお金を使わない」「仕事の対価=お金ではない時代がくる」など、独自のお金に対する考え方を聞きました。
個人の人間関係をベースにお金がまわる時代がくるはず

ライター・中村
会社員時代にもらった家に、いまも住んでらっしゃるんですよね?

るってぃさん
はい。東京にふたつ、神奈川にひとつ家があって、そのうちのひとつをメインに生活してます。だから家賃はゼロ。

ライター・中村
3軒も!? 家ってそんなにもらえるんですね…

るってぃさん
「ください!」ってプライドを捨てて叫べばもらえますよ。家なんて余ってますから。でもみんな不動産屋へ行っちゃいますよね。

ライター・中村
るってぃさんは年間300万円のスポンサー費用を含めて、稼いだお金を貯金せずに使ってしまっているそうですが…家賃もかからないのに、何にお金を使っているんでしょう?

るってぃさん
誰もマネできない体験をするための旅行費、あとは人件費ですね。物欲はないので、モノはあまり買いません。

ライター・中村
人件費…? おひとりで活動されてるのでは?

るってぃさん
僕の発信活動は編集チームを組んでやっているんです。運営しているオンラインサロンのメンバーに呼びかけて、動画編集やブログ執筆を手伝ってもらっています。

ライター・中村
そうだったんですね。仕事はサロンメンバーに依頼することが多いんですか。

るってぃさん
はい。サロンメンバーってコスパがいいんですよ。

ライター・中村
え、もしかして「タダで依頼できるから」みたいなことでしょうか…?

るってぃさん
違います(笑)。
そもそも僕の価値観に共感して、わざわざ月額2980円を払ってサロンに入ってくれている人たちなので、敵はいません。それに考え方や仕事の進め方を理解してもらいやすいんです。
だから、どこかの会社に依頼したりツイッターで公募したりするよりも、余計な手間からなくてコスパがいい。

ライター・中村
そういうことですか!

るってぃさん
最近は仕事以外でも、なるべく知り合いにお金を使ってますね。
この取材のあとに髪を切りに行くのもサロンメンバーの美容師さんのところだし、服もだいたい友だちのお店で買ってます。

ライター・中村
本当に徹底してますね。でも、「もっといいお店を探したいな」「ほかのところで買いたいな」という気持ちになったりしないんですか。
もちろんお友だちもいいサービスを提供されているとは思うんですが…

るってぃさん
いい物とかいいサービスって、探せばいくらでもあると思うんですけど、同じお金を使うなら「この人に使いたい」と思って使いたいんですよ。
応援する感覚もあるので、知らない人にお金を使うより気持ちいい。

ライター・中村
なるほど。

るってぃさん
あとは、友だちなら自分のことを理解してくれているので、好みに合ったサービスを自然と提供してくれるのもメリットですね。
たとえば、僕は美容室がすごい苦手なんですよ。行くたびに「お仕事は何をされてるんですか?」「無職です」「え、無職?」みたいなやり取りをするのが、もう本当に面倒くさい。

ライター・中村
それはすごくわかります!「同じような話、してる時間がムダ!」 って思いますね。

るってぃさん
スマホをいじるときも、知らない人に切ってもらってると「後ろから見られてるんじゃないか?」って気になってしまうんですけど、知り合いなら気にせず仕事のやりとりもできますよね。
ほかにも、服屋なら好みを知ってる友だちが勝手にセレクトしてくれるから、選ぶ時間も短縮できるし、その友だちにも喜んでもらえる。いいことだらけです。

ライター・中村
たしかに、いいことが多そうですね!
でも、私たちもそういうスタイルになれるんですかね…? るってぃさんみたいな個性的な方だからそうなってるだけなのでは?

るってぃさん
いや、これからは人間関係をベースにモノやお金が動く時代がくると思いますよ。
ものがいいから買う、じゃなくて「あの人がやってる服屋だから買う」みたいに個人指名でお金を使う動きが強まるはず。

ライター・中村
これまでも「友だちの店に行ってみる」みたいなことはありましたが、その傾向が強まるのはなぜでしょう?

るってぃさん
個人の考えやスキルが、ネットを通して見えやすくなってるからです。
いま、ビジネスを視野に入れて「SNSやブログで発信しよう!」という人が増えています。現実の知り合いではなくても、ネットで「この服屋の店員さんいいな」みたいに目星をつけられるんです。
現代は高品質のモノもサービスもあふれているので、単なる商品に価値を感じにくいじゃないですか。でも、提供してる人や商品に付随するストーリーに価値があれば、差別化されてより魅力的に感じられる。
だから個人指名でお金を使うことが増えるのでは、と考えています。
スキルがあれば、お金を使わなくても生きていける時代がくるかも

ライター・中村
人にお金を使っている、とのことですが、るってぃさんのブログやツイートの内容を、マンガなどにしてツイートしている方をよく見かけます。
あれも仕事として依頼しているものですか?

るってぃさん
いえ、あれはフォロワーさんが自主的にやってくれているんですよ。以前ツイッターで呼びかけたら、やってもらえるようになりました。

ライター・中村
ということは、言い方は悪いですが…タダ働きみたいなものですよね。なぜやってくれるんでしょう…?

るってぃさん
お金以外のメリットを目的にしているんだと思います。
僕がリツイートすると、ブログのアクセス数が伸びたり、ツイッターのフォロワーが増えたりするんですよ。

ライター・中村
それがあればお金はいらないんですかね…?

るってぃさん
いや、「お金がいらない」という話ではなくて、マネタイズのタイミングが後ろにズレているだけだと思うんです。
SNSのフォロワーが増えるとビジネスにつながるので、フォロワーを増やすための無償の活動は数年後への投資ともいえます。

ライター・中村
最近だとSNS経由での仕事の依頼はよくあるみたいですね。

るってぃさん
そうですね。
一方で、これまでは「仕事の対価はお金」という考えが当たり前でしたが、「仕事の対価がスキル」ということも起きはじめています。

ライター・中村
…どういうことでしょう?

るってぃさん
たとえば、髪を切ってもらう代わりに僕がブログ運営のコツを教えて、金銭のやり取りはなし、みたいな。
ツイッターでフォローしてくれている人なんかは、僕のスキルを知ってくれているので、お互いの持っているスキルを同じくらいの価値だと認めていれば、わざわざお金を介さずに交換すればいいじゃないですか。

ライター・中村
信用があるからできる、“物々交換”への原点回帰みたいな感じですね。

るってぃさん
はい。提供できるスキルさえあれば、お金をまったく使わず生きられるようになるかもしれませんね。
ZOZO前澤さんの言葉に影響を受けて、一気にお金を使ってみたいと思った

るってぃさん
実は新R25の「お金」に関する記事はよく読んでいて、めっちゃ影響も受けてるんですよ。

ライター・中村
そうなんですね! 特に印象に残っている記事はありますか?

るってぃさん
ZOZOの前澤友作さん(スタートトゥデイ代表取締役社長)の記事です。
「限界までお金を使うことが明日の自分への投資になる」という主張と一緒に、「バスキアの絵を約123億円で買ったら、レオナルド・ディカプリオの自宅に招待してもらった」というエピソードがありましたよね。
これを読んで、貯金全額ぐらいのまとまった金額を、一気に使う体験をしてみたいなと思ったんです。

ライター・中村
もう実行プランがあるんですか?

るってぃさん
まだ具体的には決めてません。単にたくさんお金を使うだけなら高級な時計でも買えばいいんですけど、人と違う「おもしろい体験を稼ぐ」ような使い方ってすごく難しい。
だから、稼ぎながら考えてます。
※インタビュー後、ツイッターで「誕生日までに貯金全部使います!」と宣言されていて、実際に航空券の予約や投資で240万円を使い切ったそうです。

ライター・中村
お話を伺っていると、常に壮大な実験をされているような印象です。

るってぃさん
ほんとそんな感じですね。たとえ貯金全額を使ってしまっても、いまは生活に対する不安はまったくありません。
時間をかけてリスクヘッジして、今年はスポンサーをつけるところまで来られました。毎月の収入を頑張って稼ぐ生活から解放されることで、好きなだけ海外へ行けるし、歴史や英語など好きな勉強もできてます。
そうやって変化を楽しむ姿をこれからも発信していきたいですね。
8~9月は海外を含めた各地を飛びまわるとのこと。その体験からどんなアウトプットが生まれるのでしょうか? るってぃさんの今後に注目です!
〈取材・文=中村英里(@2erire7)/取材・撮影・編集=葛上洋平(@s1greg0k0t1)〉

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