「自分で意思決定できる人」じゃないとダメ
あなたは当てはまる? お金のプロが教える「投資に向いているのはこんな人」
新R25編集部
これから資産運用をはじめたいと考えているR25世代に向けた連載「新R25投信 ~プロが教える資産運用ファーストステップ~」。投資初心者の悩みや疑問に、お金のプロたちが簡潔に答えます!
第5回のテーマは、「投資家の適性について」。
「投資に向いているのはどんな人ですか?」
という気になる質問に、マネー賢人たちはどう答える…?
藤野英人「たくさんの人の目になりきれる人」
【藤野英人(ふじの・ひでと)】レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役社長・最高投資責任者。1966年富山県生まれ。国内・外資大手投資運用会社を経て、2003年創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資教育にも注力しており、明治大学商学部兼任講師、JPXアカデミーフェローを長年務める。一般社団法人投資信託協会理事
✓藤野英人が考える「投資に向いている人」
藤野英人
細かい要件を言い出すとキリがありませんが、株式市場という特性から考えてみましょう。
株式市場における投資家の行動は、よく「美人投票」にたとえられます。自分が美人だと思う人に投資するのではなく、みんなが美人だと思う人を当てなければいけない。
つまり、自分の主観に縛られていると、株式市場では成功できないのです。他人の目になりきれるか、しかもたくさんの人の目になりきれるか、成功と失敗の分かれ目です。
たくさんの人物になりきる。そのためには、いろいろな場所に出向き、いろいろな職業の人と対話し、いろいろな価値観に触れて、丁寧に観察することが大切です。
もう20年以上前の話になりますが、ドン・キホーテが上場したとき、当初運用業界のアナリストの多くは「安売りの小売店だから、いずれ成長しなくなるだろう」と低評価を下していました。
ところが、私が現場に行って観察してみたら、そこは小売店というよりむしろ“若者たちのレジャーランド”でした。まだまだ伸びるだろうと読み、その投資で成功することができました。
アナリストたちは高級百貨店での買い物で育ったようなエリートが多いので、あの店の本当の面白さを理解できなかったのかもしれません。
株式投資は、市場参加者の偏見を見つけるゲームでもあるのです。
レオス・キャピタルワークス株式会社
レオス・キャピタルワークスの公式ホームページです。レオスが運用する投資信託「ひふみ」は守りながらふやす運用でお客様の長期にわたる資産運用を応
藤野さんが代表を務める独立系資産運用会社。「ひふみ投信」「ひふみプラス」などを運用している
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上念司「低空飛行でもいいので、ずっと飛んでいられる人」
【上念司(じょうねん・つかさ)】1969年東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業後、日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。テレビ、ラジオなどに出演する傍ら、金融政策、財政政策、外交防衛政策などのリサーチを行なっている。主な著書に『経済で読み解く織田信長 (KKベストセラーズ)』 『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済(講談社)』『日本は破産しない(宝島社)』などがある
✓上念司が考える「投資に向いている人」
上念司
投資で成功する人よりも、絶対に失敗する人の陥りがちな罠を知るべきです。
投資は成功することより失敗しないことが大切だからです。9勝1敗でも最後の一敗で大損してマイナスなんてこともよくありますので。
失敗する人のハマる罠は大きく分けて3つあります。
1. 一気に買う
2. 一銘柄を買う
3. レバレッジをかけすぎる
1は時間的分散、2は投資先の分散、3は資金繰りの問題です。個別株をレバレッジかけて一気に買う人は高い確率で失敗します。その反対をやれば少なくとも負けません。
少しずつ時間をかけて、できるだけたくさんの銘柄をレバレッジかけずに買う。つまり、インデックスファンドのドルコスト平均法(※)が一番理にかなっているということになります。
負けずにいれば、たまにアベノミクス相場みたいな奇跡があって突然上に吹き上がることもあります。しかし、そのタイミングはいつか分からない。
だから低空飛行でもいいので、ずっと飛んでることが大事なんです。
※ドルコスト平均法=定期的に一定金額分を買っていく投資方法のこと。
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横川楓「しっかり自分の意志で動いている人」
【横川楓(よこかわ・かえで)】平成生まれのお金の専門家/経済評論家。これからの世代に振りかかる様々なお金の問題と、周囲の持つお金への意識との乖離に疑問を持ち、お金の知識の啓蒙を始める。SNSでの情報発信や各種雑誌の連載など、ミレニアル世代ならではの等身大の視点で活動中
✓横川楓が考える「投資に向いている人」
横川楓
しっかりと自分の意志で動いている人。どんなことでもそうですが、人の意見も参考にしつつも、自分できちんと判断することが大事。
自分で考えず、ただただ人の意見を参考にするだけもいますが、もしそれで失敗をしてしまったときに、最終的に決めたのは自分なのに、人のせいにしてしまったり、嫌な気持ちが残ってしまいがちです。
株式投資は色々と判断することがありますが、自分でちゃんとデータを見て勉強して、タイミングの見極め方や損切りをするラインはこれくらいといったように、しっかり自分ルールを決められる人ほど成功していると思います。
森永康平「ルールに沿って機械的に運用できる人」
【森永康平(もりなが・こうへい)】1985年埼玉県生まれ。株式会社マネネCEO。証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事。その後はインドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や、複数のベンチャー企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員
✓森永康平が考える「投資に向いている人」
森永康平
自分で決めたルールを守れる人(ロスカットなど)。相場に“絶対”は存在しないため、自分の予想が当たることもあれば、外れることもあります。
たとえば、この銘柄は上がると思って投資をしたのに、その銘柄の株価がずっと下がりつづけたとします。「いつかは戻る」と思って耐えつづけていると、その間の投資機会を自ら放棄することになります。
この時、5%下がったら損切り(ロスカット)する等の自分で決めたルールがあって、それに沿ってさっと損切りできれば、5%の資産は失いますが、次の投資に資金を回すことが出来ます。
長い間投資をしていると、自分が得意な局面や、勝率が上がるパターンができてくるかと思いますが、いかにそのような局面で投資できる状態を作っておくかが大事だと思います。
人間は感情の生き物ですので、その感情に投資行動が乱されるのは危険です。しっかりとルールに沿って機械的に運用できる人は成功するのではないでしょうか?
株式会社マネネ|金融教育|日本|Tokyo
株式会社マネネは主に子供向け金融教育を推進するベンチャー企業です。小学生から大学生までオーダーメイドの授業を開催。また、保護者向けにもお金の
森永さんが代表を務める金融教育ベンチャー、マネネ社のHP。オンラインサロンの予約やメディア情報はこちらから
杉原杏璃「自分を信じて素早い決断ができる人」
【杉原杏璃(すぎはら・あんり)】1982年生まれ。広島県出身、グラビアクイーンとして雑誌、バラエティ番組にも多数出演。23歳で30万円から投資をスタートし、5年間の株式投資で1000万円の利益を上げた経験を持つ。「財テクタレント」「株ドル」としても活躍の幅を広げている。著書に『株は夢をかなえる道具 女子のための株式投資入門』(祥伝社)、『不動産投資は自分らしく生きる道具』(祥伝社)、『マンガでよくわかる 株1年生〜億り人 杉原杏璃と一緒に』(かんき出版)、『お金に働いてもらう! ほったらかし投資』(ポプラ社)がある
✓杉原杏璃が考える「投資に向いている人」
杉原杏璃
自分を信じて決断できる人。マイナスなことを考えはじめたら不安ばかりが増えて絶好の買い場を逃すので、自分で調べあげたことを自信にして、素早い決断ができる人ですかね。
また、欲張らない人や、自分の中で「どれくらい利益が出たら売るか」を考えて実行できる人もいいですね。上がりつづけていると、まだイケるまだイケると欲が出るものですが、そこが天井だったりするので欲張らないで確実にコツコツできる人。
反対に、「今上がってるから乗っかってみよう」「誰かが買いだと言ってたから買ってみよう」っていう安易な考え方で売買する人は向いていないと思います。
それで運良く上昇気流に乗っかることもあるかもしれないけど、そういつも上手くはいかないものなので、勘にはあまり頼らない方がいいです。
プロたちの考えに共通していたのは、「自分で意思決定できる人」という点。逆に他人に流されやすい人は、長期的に投資で成功をおさめるのは難しそうだ。肝に銘じたい…!
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〈構成・文=福田啄也(@fkd1111)〉
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