図解を交えてわかりやすく解説してくれた

「結婚とセックスと恋愛を一緒にするのは無理がある」AV男優・森林原人がたどり着いた結婚観

ライフスタイルby 新R25編集部

連載

結婚2.0

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結婚に対する価値観がいま、変わりはじめています。

生涯未婚率が男女ともに過去最高になる一方で、離婚する人も増加。「結婚は25歳までにするべき」「結婚した人とは一生添い遂げるべき」など、私たちのまわりにあった“当たり前”も少しずつ崩れつつあります。

これからは、一人ひとりがもっと自分に合ったパートナーシップや家族のあり方を探せる時代になるべきなんじゃないか。そんな思いで、多様化する結婚観をフラットに見つめ直す連載「結婚2.0」。

今回お話を聞くのは、これまで数々の夫婦関係やセックスに関する相談に乗ってきたAV男優・森林原人さん

性を知り尽くした森林さんが「一生ひとりの人を愛するなんて無理」「セックスと愛情を切り離したほうが楽」と考える理由とは…?

〈聞き手:あつたゆか〉

【森林原人(もりばやし・げんじん)】中学受験で難関といわれる中学受験で麻布、栄光、筑駒、ラサール全てに合格し、筑駒に入学。1999年にAV男優デビュー。出演本数1万本以上。経験人数9千人。著書に「セックス幸福論」「イケるSEX」他

森林さん

森林さん

いきなりですけど、僕「パートナーを一生愛しつづける」というのは無理だと思うんですよ。

あつた

あつた

え、どうしてですか…?

森林さん

森林さん

江戸時代の平均寿命って40才くらいだったんですけど、いまは当時の2倍くらい生きられるじゃないですか。

仮に20歳から愛するとして、江戸時代なら20年で終わっていた夫婦生活が、いまや50年以上続くわけです

それをひとりの人で完結させるっていうのは、かなり難しいと思いませんか?

あつた

あつた

うーん、たしかに…

3~4年付き合うカップルでもマンネリ化するのに、それを50年つづけるのはなかなか現実的ではないかも。

「結婚・恋愛・セックス」をひとりの相手に求めるのは無理がある

森林さん

森林さん

さらに言うと、そもそもひとりの相手に「結婚・恋愛・セックス」の3つを求めてしまうのが無理だと思うんです。

ちょっと図を書いて説明してもいいですか?

あつた

あつた

はい!

森林さん

森林さん

まず、恋愛は「心の動き」を指すものですよね。

あつた

あつた

はい。

森林さん

森林さん

それに対して、セックスは「体の動き」で、結婚は「社会的制度」です。

あつた

あつた

ふむふむ。

森林さん

森林さん

この中でいうと、「恋愛」と「セックス」は揺れ動き変化するものなんですよ。

好きになっちゃいけないってわかっているのに惹かれてしまったり、大好きで一生愛しますって誓ったのに急に冷めてしまったりすることって、誰にでもありますよね。

あつた

あつた

そうですね。

森林さん

森林さん

セックスもコントロールが難しくて、たとえば「大好きで大切だけど、いつの間にかセックスしたい気持ちがなくなってる」ということもありますよね。

さすが偏差値78の難関校出身なだけあって、説明がわかりやすい

あつた

あつた

「好きだけど今日はそういう気分にならない」という話もよく聞きます。

森林さん

森林さん

でしょう?

恋愛感情も性欲も、基本的には自分ではコントロールできないものなんです。それを「結婚制度」という固定された枠の中に閉じ込めようとするから、苦しくなる。

「好きな人と結婚して、その相手とセックスをするのが当たり前」と思っている人が多いのですが、僕は「結婚・恋愛・性行為」を三位一体で捉えてしまうと、結婚生活がつらくなると思っています。

自分が相手の欲望を満たしてあげられないのに、パートナーの行動を制限するのはエゴ

あつた

あつた

ただ、一般的には「恋愛した相手と結婚して、体の関係も継続してずっとトキメキつづけられること」が理想だと思うのですが…

森林さん

森林さん

100%無理とは言わないですが、全部をふたりで満たしあうのはかなり難しいと思いますよ。

あつた

あつた

そうなんでしょうか…

森林さん

森林さん

たとえば、性欲の強さ。

性欲はほとんどのカップルで男性のほうが先に衰えます。一方で、女性は歳を重ねるごとに性欲が高まっていく。

同年代の夫婦だと、性欲のバランスは絶対に合わなくなってきますよ

あつた

あつた

うっ…(新婚だから余計に耳がいたい)

森林さん

森林さん

そうなったときに、「結婚した相手以外とはセックスをしてはいけない」と思っている夫婦だとつらいですよね。

だから僕は「結婚相手」と「セックスする相手」を必ずしも一緒にしなくていいんじゃないかと思っているんです。

あつた

あつた

結婚相手とセックスを一緒にしない…

森林さん

森林さん

そもそも、男女ともにひとりの相手に欲情しつづけることなんて無理なんです。欲情は意志ではありません。湧き上がってくるものです。

さきほども言ったように、恋愛やセックスは揺れ動くもの。1対1の関係の中に半永久的にセックスを閉じ込めるのは、僕は不可能に近いと思います。

あつた

あつた

まあ、それが可能だったら不倫問題なんて起きないですもんね…

森林さん

森林さん

そうそう。僕のまわりだと、結婚とセックスを別にしてうまくいっている人たちも普通にいますよ。

あつた

あつた

そうなんですね…!

ただ、 結婚とセックスを別にすることに対して抵抗がある人も多そうです。

森林さん

森林さん

パートナーが他の人とセックスするのを嫌がる人には、「自分がそういう気分ではないときも、あなたはパートナーに求められたら必ずセックスするんですね?」と聞きたくなりますね。

あつた

あつた

究極の質問ですね。

森林さん

森林さん

自分がその欲望を満たしてあげられないのに、相手の行動を制限するのはエゴだと僕は思うんです。

「わたしの手料理以外は食べちゃダメ、でも今日は料理作りたくないから食事抜きね」と言うみたいな。

あつた

あつた

たしかに…いわれてみるとそうかもしれません。

森林さん

森林さん

料理とセックスは相手が必要かどうかという違いはありますが、食欲も性欲も自然な欲求です。

だから僕は、性欲をあるがままに認め、自分とバランスが合わないなら「他の人としてもいい」という選択肢が認められてもいいと思うんです。

今の日本の結婚の常識からしたら、賛否両論あると思いますが。

あつた

あつた

セックスレスに悩む夫婦も多いですが、ふたりが心地のよい関係であれば、必ずしも「結婚・恋愛・セックス」の三位一体を目指す必要はないということですね。

森林さん

森林さん

はい。そもそも「恋愛した相手と結婚して、セックスをすることが一番の幸せ」という現代の価値観は、1960年代の高度経済成長期以降に培われたものですから。

あつた

あつた

意外と最近のことなんだ…

森林さん

森林さん

昔の日本は経済的に豊かではなかったので、娘を嫁がせる代わりに対価をもらったり、政治的な戦略によって結婚相手が決められたりしていたんですよ。

結婚の最優先条件は、感情ではなく経済的安定でした。

あつた

あつた

たしかに、時代劇でもそんなシーンありますよね。

森林さん

森林さん

現在の一夫一婦制も明治時代から始まったものなので、まだ200年くらいしか歴史がないんです。

なので、本人たちが素敵な関係でいられれば「現代の結婚観だけが正解じゃない」という考え方があっていいんじゃないかなと思います。

人がセックスをする意味は3つある。価値観をパートナーとすりあわせるべき

あつた

あつた

先ほどの「結婚相手とセックスの相手を別にする」というお話について、もう少しくわしく聞かせてください。

主張はごもっともだと思うのですが、パートナーの理解を得るのがなかなか難しいような気がします。

「あなたのことは大好きだけど、セックスは外で済まそうよ」なんて言ったら、傷ついたり怒ったりする人が多いのではないかなと…

森林さん

森林さん

それはセックスと愛情をセットにして考えているからですね。人がセックスをする意味って、実は3つあるんですけど。

また図解してくれる森林さん

森林さん

森林さん

1つは、快感のためのセックス。これはわかりやすいですよね。性欲は欲の一種だという考え方です。

2つ目は、心の交流のためのセックス。セックスをすると「愛されている」と感じる人はこのタイプです。

最後は、社会的行為としてのセックス。「童貞を捨てたい」「たくさんの人とセックスして自信をつけたい」という理由でセックスをする行為などがこれにあたります。子作りのためのセックスも、ここに入ると考えられます。

あつた

あつた

ひとくちに「セックス」といっても、捉え方はいろいろなんですね。

森林さん

森林さん

はい。夫婦や恋人間でも、そのときお互いがどういう意味でセックスしてるかは違っている場合があるんです。

「お互い他の人とセックスしてもいいんじゃない?」と提案されたときに傷つく人は、セックスと愛情を結びつけている人。行為と人格を結びつけすぎている人です。

もちろんセックスは特別な行為ですが、セックスを必要以上におおごとに捉えると息苦しくなってしまいます

あつた

あつた

食欲と睡眠欲と一緒だよ、ぐらいのライトな捉え方でもいいんでしょうか。

森林さん

森林さん

はい。だからパートナーとセックスについて話し合うときは、お互いセックスに対してどういう意味づけをしているのか確認したほうがいいし、それでもわかってもらえない場合は何度も何度も話し合って向き合うべきだと思います。

どちらかの考え方が正解ということではなく、お互いが違う価値観を持っていることを認め合えることが大切です。

AV男優の経験を通じて、セックスと愛情を切り離せるようになった

あつた

あつた

森林さんはどうしてそのような考えが持てるようになったんですか?

森林さん

森林さん

AV現場での経験が大きいですね。

僕も以前はセックスと愛情をワンセットだと考えていたので、お仕事でセックスをするたびに女優さんを好きになっていたんですよ。

あつた

あつた

意外と惚れっぽいんですね(笑)。

森林さん

森林さん

はい(笑)。でもいつもAV女優さんに恋して本気になっては、「勘違いしないで、キモイ」と振られていました。

「あれだけセックス中“気持ちいい”って言ってくれたのになんで!?」と思うじゃないですか。でも「性行為がよかった=付き合う」とはならないんですよね。

僕が現場でどれだけいいセックスをしても、「その人の心を奪い取った」とはならないんだ、と気づいたんです。

あつた

あつた

そこからセックスと愛情を切り離して考えられるようになったんですね。

良いパートナーと出会うには「自分の軸」を持つことが大切

あつた

あつた

森林さんの結婚観、とても興味深かったです!

最後に、今日話してくださったような価値感を共有しあえるパートナーとは、どういう人だと思いますか?

森林さん

森林さん

いいパートナーとは、ありのままの自分を受け入れてくれる人だと思います。

自分が「こうしたい」と希望を伝えたときに、実現できるできない関わらず、ちゃんと検討してくれる人。

あつた

あつた

自分のことを変えようとするパートナーと一緒にいると、息苦しくなってしまいますよね。

森林さん

森林さん

そうですね。自分の都合ばかりを優先しない、エゴのない恋愛がホンモノだと僕は思います。自分の欲求を押しつけないで、相手の幸せを考えられる関係性は素敵ですね。

そういうふたりでいれば、お互いの能力も存分に発揮されるのではないでしょうか。

あつた

あつた

どうやったらそんなパートナーに出会えて、いい関係を築けますか?

森林さん

森林さん

自分の軸を持つことですね。

日ごろから自分の選択を大切にしている人は、相手の選択も尊重することができますよね。そういう人同士なら、ホンモノの恋愛ができると思います。

あつた

あつた

自分の軸を持てるようになるには、どうしたらいいでしょうか…?

森林さん

森林さん

「軸」というと多くの人が「自分の生き方」のように考える人が多いんですけど、そんな大それた捉えかたをしなくてもよくて。

日常生活のなかには、選択の機会がたくさんあるじゃないですか。

たとえばごはんを食べるにしても、「なんでもいいや」じゃなくて「自分は何を食べたいんだろう?」と考えたり、飲み会も「なんとなく」ではなくて明確な理由を持って参加してみたり。

そんな小さなことでもいいので、ふだんの生活の中で自分の意志を大切にすると、自分の「軸」が生まれてくるんですよ。

あつた

あつた

意外とできている人は少なそうです。

森林さん

森林さん

日本はまわりに合わせて空気を読むことを、家庭でも学校でも教え込まれますからね。

でも僕は、空気を読むことばかりが正解ではないと思います。自分の「好き嫌い」を他人に決めさせないのは大事なことです。

あつた

あつた

たしかに、空気を読むクセがついてしまうとパートナーといるときも本音を言いづらくなってしまいそう。

自分の軸を持っているふたりのほうが、良い関係を築けそうですね。

森林さん

森林さん

そうですね。だから僕は、素敵なパートナーに巡り合うためには「自分はなぜこれが好きなのか/嫌いなのか」が言語化できて、自分の選択に自信を持てる人になるべきだと思います。

古い価値観にとらわれずに、R25世代のみなさんにも自分の軸を持ったライフスタイルを送ってほしいですね。

図解を交えてロジカルに語られた結婚観。これまで私たちがとらわれていた常識をフラットに見つめ直すきっかけを与えてもらった気がします。

ちなみに森林さんは以前、お仕事でセックスをするたびにパートナーに嫉妬され、苦しんだ過去があるそう。その後、自分の選択に自信を持てるようになってから、森林さんのことを理解してくれるパートナーに出会うことができたとのことでした。

私も今のパートナーといい関係を築くために、日々の生活から自分の意思を大事にしようと思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。「結婚2.0」、引き続きご期待ください!

〈取材・文=あつたゆか(@yuka_atsuta)/編集=渡辺将基(@mw19830720)/撮影=土田凌(@Ryotsuchida)〉

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