ビジネスパーソンインタビュー
第二新卒の定義は?転職で失敗しない方法って?内定獲得のコツをプロに聞いた

新卒・既卒と何が違うの?

第二新卒の定義は?転職で失敗しない方法って?内定獲得のコツをプロに聞いた

新R25編集部

2019/12/23

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新卒で入社した会社が合わず、すぐに転職を考える人が気になるであろう「第二新卒」という採用枠。

もし第二新卒として転職するとしたら、志望する転職先には何をアピールしたらいいんでしょう? たいした実績があるわけでもないし…

そんな転職に関する不安を払拭すべく、既卒・第二新卒専門の転職サポートをおこなう株式会社UZUZの専務取締役・川畑翔太郎さんに直撃。

「内定をもらえない第二新卒」の共通点や、失敗しないためのコツを教えてもらいました。

〈聞き手=森かおる〉

【川畑 翔太郎(かわばた しょうたろう)】既卒・第二新卒専門の転職サポートをおこなうベンチャー企業、株式会社UZUZ(ウズウズ)専務取締役。7年間で20代を中心に1200人以上の就職/転職サポートをおこない、企業ブランディングも担当する。UZUZ取締役会長 今村邦之さんとの共著『就活ひきこもりから脱出する本』(実務教育出版)も好評発売中

「第二新卒」の定義は? 既卒・新卒との違いは?

そもそも第二新卒とは、どんな人のことをいうのでしょう?

川畑さん

実は第二新卒という言葉は人材会社がつくった造語で、明確な定義はありません。

一般的には、「学校を卒業していて、3年以内の就業経験がある20代」を指すことが多いですね。

なるほど。既卒・新卒との違いはどこなんでしょう?

川畑さん

既卒は、学校を卒業しているけれど、就職したことがない人を指します。つまり第二新卒と既卒の違いは「就業経験があるかどうか」ですね。

新卒との違いは「学校を卒業しているかどうか」です。

そういう区分がある一方で、「卒業から3年間は新卒と同じ扱いを受けられる」と聞いたことがあるんですが…本当ですか?

川畑さん

たしかに、政府が「大学卒業後3年以内は新卒扱いとする」と認めているため(※)、ほとんどの企業が新卒枠でのエントリーを受け入れています

※2010年に、厚生労働省が
青少年雇用機会確保指針を改正
し、「大学卒業後3年以内は新卒として扱うこと」という通達を出しています。

川畑さん

ただ、現場ではある程度は区別されているのが実情。採用確率が新卒とまったく同じとは言いきれません。

新卒枠しかない場合を除いて、既卒や第二新卒向けの採用枠を狙ったほうがいいかもしれないですね。

でも、その “第二新卒の枠”って競争が激しいんじゃないですか?

川畑さん

いえ、チャンスは充分ありますよ。まず厚生労働省によると、新卒入社後3年以内に退職する人は過去20年間ずっと3割前後を推移しています。

そしてリクルートワークス研究所の2019年の調査によると、2018年度までの中途採用実績は3年連続で増加しているんです。

へえ!第二新卒の需要が高まっているわけですね。

川畑さん

はい。おかげさまで、僕たちの会社「UZUZ」 の取引企業数もうなぎのぼりなんですよ(笑)。

そして2017年のUZUZの調査リリースでは、8割近くの企業が第二新卒採用に満足感を抱いていることが判明しています。

かつては「使えない」などと悪いイメージを持たれてしまうことも多かった第二新卒ですが、今はむしろ追い風が吹いている状況と言えますね

第二新卒の転職って、実際どうなの?

チャンスがあるとはわかったものの、やっぱり早い段階での転職には不安もありますよね。第二新卒の転職の実態も、しっかり聞いておきましょう。

第二新卒が転職するメリット① 内定がもらいやすい

第二新卒で転職するメリットはなんですか?

川畑さん

企業からしたら色々と都合がいいので、意外と内定がもらいやすいことです。

都合がいい…?

川畑さん

まず1つは、数年とはいえ社会人経験があること。ビジネスマナーや社会人としての考え方が身についているぶん、教育の手間が比較的かからないのは企業にとってうれしいことです。

また、「前職の文化に染まりきっていない」ところも魅力です。一般的な中途採用の場合、前職でのやり方が抜けきらず、期待された成果をあげられないことも多いですからね。

第二新卒が転職するメリット② 自分に合った仕事を選びやすい

川畑さん

仕事についての知識がつき、自分のキャリアプランが明確になった状態で仕事を選べるのも第二新卒のメリットです。

たしかに実際に働いてみないと、どんな仕事が自分に合っているのか、なかなかイメージできないですよね。

川畑さん

まさにそのとおり。新卒の時点で自分にピッタリの会社を見つけるのって、初めて付き合う異性と結婚するくらい難しいんですよ!

2回目以降のほうが、より自分に合った選択肢を見つけやすいのは当然です。

キャリアの選択は恋愛と同じか…わかりやすいですね。

川畑さん

しかも20代なら、企業側に「若くて将来性がある」と思ってもらえるため、未経験の職種・業種に転職しやすい傾向にあります。

そういう意味でも、やりたいことがしやすい状態にあると言えるでしょう。

第二新卒が転職するデメリット① 退職理由の説明に工夫がいる

でも、第二新卒として転職するのはメリットだけじゃないですよね…?

川畑さん

そうですね。やはり短期間で会社を辞めたことに対する印象は、決してよくはありません

一般的な中途採用でも早期退職についてつっこまれることは多いですが、第二新卒の場合は経験が浅いという弱点もあるため、より悪目立ちしてしまうんです。

それは、新卒のころにはなかった問題ですね…。

川畑さん

退職理由によってはマイナスに捉えられてしまうので、伝え方を配慮する必要があります。のちほど詳しく解説しますね。

第二新卒が転職するデメリット② 年収が下がるケースが多い

川畑さん

また、年収が下がる可能性が高いことは覚悟しておきましょう。

うわあ…せっかく転職するなら、年収も上げたいところですが…

川畑さん

就業期間が短いので、前職での経験を“実績”として認めてもらうのが難しいんです。場合によっては同じ職種・業界でも「未経験」とされてしまいます。

うう、厳しい…。年収を上げられるのはどんな人ですか?

川畑さん

やはり、圧倒的な実績がある人ですね。

たとえば、大手企業で営業成績トップを誇る1年目は、パッとしない5年目の人よりも高い年収をもらえるでしょう。ただ、そこまでの評価をもらえることは少ないですね。

転職するか迷ったときの判断基準

メリットとデメリットをふまえて、転職するかどうか迷ったときにどう判断すればいいでしょう?

川畑さん

時間外労働があまりにも長いなど、いわゆる「ブラック企業」に入ってしまった場合は、すぐに転職を考えましょう

そのまま無理して心身を壊してしまうと、復帰にも時間がかかってしまいますしね。

そこまで思いつめていなくても、なんとなく「この会社は自分に合っていないな」と思う程度の場合はどうでしょう?

川畑さん

今の時代、転職をしない人は少数派。少しでも迷いがあるなら、リスクの少ない若いうちにチャレンジしてみるのが基本的にはおすすめです。

なるほど。

川畑さん

ただ、「転職して何を変えたいのか?」が不明瞭なまま走り出すのは危険です。

自分が何に不満を感じているのか、これからどうなりたいのかをはっきりさせてから挑みましょう。

採用のプロが語る「内定がもらえない第二新卒の特徴」

意志が固まったら、いよいよ転職活動! しかし川畑さんによると、内定がもらえない第二新卒には4つの特徴があるんだとか…。

内定がもらえない第二新卒の特徴① 志望動機が「好き」しかない

川畑さん

志望動機が「〇〇をやりたいから」「〇〇が好きだから」ばかりの第二新卒はよくないですね。

わりとよくある気もしますが…?

川畑さん

「好き」という気持ちは悪いことではありませんが、それしか言わないのがダメなんです。そういう人って、実は業務内容を理解していないケースが多いんですよ。

川畑さん

たとえば旅行代理店に就職したとしても、実際の業務は「旅行そのもの」とは大きく異なりますよね

お客さまへの営業(旅行プランの提案)や売上ノルマの進捗管理など、ビジネスマンとしての業務もこなさなければなりません。

たしかに。

川畑さん

それなのに「旅行が好きです」としか言わないと、「仕事が大変になって、好きじゃなくなったら辞めちゃうんじゃないの?」と思われてしまいます。

面接では「好き」アピールだけにとどまらず、身につけたいスキル挑戦したいこと仕事を通じて達成したいことまで踏み込んで話すようにしましょう。

内定がもらえない第二新卒の特徴② 退職理由をすべて他人のせいにする

川畑さん

「上司とウマが合わなくてツラかった」など、転職理由を他人のせい“だけ”にするのは絶対にやめましょう。

ウチにきても同じように悪口を言うんだろうな」と思われてしまい、内定獲得の可能性がガクッと下がります。

ただ、前職が明らかなブラック企業だった場合はどう説明すればいいのでしょう…?

川畑さん

それでも100%会社のせいにするのは避けたほうがいいですね。面接官は双方の事情を知らないので、半信半疑で聞いています。

入社前のリサーチが甘かった」「上司との関係性を良くする工夫が足りなかった」など、自分の落ち度も説明しましょう。

突き詰めれば、その会社を選んだのは自分ってことですね。

川畑さん

あとは、前向きな言葉を使うのも大切です。

前職の業務は向いていませんでした」ではなく「前職の業務を通じて〇〇という分野に興味を持ち、新たな挑戦をしたいと思いました」と伝えるなど、フォーカスする点をズラすだけで印象がガラッと変わりますよ。

内定がもらえない第二新卒の特徴③ 「できるアピール」が過剰

川畑さん

第二新卒の場合「僕は〇〇ができます!」と強くアピールするのは控えたほうがいいですね。

面接官から見たらあまりすごくないことを、本人が得意げに話しているだけの可能性もあるので。

なるほど…。じゃあ、前職の仕事の話はあんまりしないほうがいいのでしょうか。

川畑さん

いや、そこはしっかり話しておきましょう! 「〇〇ができる」という言い方ではなく、どんなことをやってきたのか、事実だけを話せばいいんです。

仕事のなかで工夫をしたり考えたりしたことを、自分の言葉で話すのも大切です。あくまで等身大の実力を伝えるのが、内定獲得の近道ですよ。

内定がもらえない第二新卒の特徴④ 雇用条件ばかり気にする

川畑さん

雇用条件をやたら気にして、面接で給料や休みのことばかり質問してしまうのも、心象がよくないので気をつけてください。

お給料について話さないまま入社するしかないってことですか…?

川畑さん

いやいや、聞き方がよくないだけです。雇用条件を聞いたり交渉したりするのは、選考中ではなく内定後にしましょう

なぜ内定後なんでしょう?

川畑さん

選考中の転職者は、企業側からすれば「何十人もいる応募者のうちの1人」でしかありません。

それなのに条件の話ばかりされるとうんざりするし、応募者の要望を細かく聞いてあげるメリットがないんですよね。

でも、相手が「ウチに来てほしい内定者」だったらどうでしょう?

それなら、辞退されたらもったいないと思うでしょうね!

川畑さん

でしょ? だから内定後の条件交渉は、転職者のほうが有利になるんです。

これを僕は「後出しジャンケンの法則」と呼んでいます。「条件交渉は内定をもらってから」が鉄則ですよ。

ちなみに、条件交渉はどのように切り出したらいいのでしょう?

川畑さん

内定後に雇用条件の書かれた「内定通知書」が発行されるので、それを見て交渉するのがいいでしょう。転職エージェントを使っている場合、担当者を介しておこなうのがスムーズですね。

ただ、小さな会社だと内定通知書がもらえないこともあります。

その場合は、「親が内定通知書を見せてと言ってくる」などと伝え、なんとかして発行をお願いするのがおすすめです。

なるほど。いろいろ教えていただいて、「第二新卒の転職も怖くないんだな」ってわかりました!

川畑さん

よかったです! 最後に言っておきたいのは、あくまで転職は過程であって、ゴールではないということ。

その転職が正解だったかどうかは、入社後の取り組み次第で決まります。

思い切って一歩踏み出して、選んだ道を正解にするためにがんばるという意識が大事。

みなさんが納得できるキャリアを歩めるよう、応援しています!

第二新卒は実績もないのに転職活動を始めても大丈夫なんだろうか…と疑問に思っていましたが、思ったよりも企業からのニーズはありそうです。

もし現職がツラいなら、無理に耐えようとせず未来のために一歩踏み出してみてはいかがでしょう?

〈取材・文=森かおる(@orca_tweet1) 編集=石川みく(@newfang298)〉

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