ビジネスパーソンインタビュー

「夢なんてなくていい。行動するからやる気が出る」N/S高生が人気作家に聞く“はたらくWell-being”とは?

現代社会でWell-beingな生活を過ごすための考え方とは?

「夢なんてなくていい。行動するからやる気が出る」N/S高生が人気作家に聞く“はたらくWell-being”とは?

新R25編集部

連載

「“はたらくWell-being”を考えよう」

Sponsored by パーソルホールディングス株式会社

2023/09/22

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リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。

現場ではたらくビジネスパーソンの中には、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。

そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。

本連載では学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN/S高に参加してもらい「N/S高生“はたらくWell-being”を考える」と題した新企画として、N/S高校生が“はたらくWell-being”を体現している人や応援している人、あるいは組織を取材し、高校生の視点からこれからの「幸せ」について考えます

今回ご紹介するのは「手紙屋〜僕の就職活動を変えた十通の手紙〜」や「『また、必ず会おう』と誰もが言った。」など、若者の背中を押す数々のベストセラー書籍を執筆されている作家・喜多川泰さんです。

人生をより良く生きるために大切な教訓を、物語のなかで説いていく形式で書かれているのが特徴である喜多川さんの作品。

「自己啓発小説の旗手」とも謳われる喜多川さんに、現代社会でWell-beingな生活を過ごすための考え方について、現役N/S高生の笹岡が聞きました。

東京学芸大学卒。学習塾を創立し、塾生の進路や将来についての相談を受ける中で、作家になることを決意。2005年に作家デビューし、20作品を国内で出版。講演活動など幅広く活動している。

東京学芸大学卒。学習塾を創立し、塾生の進路や将来についての相談を受ける中で、作家になることを決意。2005年に作家デビューし、20作品を国内で出版。講演活動など幅広く活動している。

「なり方」のわからない職業について考えたことが作家へと導いた

笹岡

本日は、よろしくお願いいたします!

早速ですが、喜多川さんが作家になったきっかけは何ですか?

喜多川さん

実は、初めから作家を強く志したわけではないんですよね(笑)。僕は元々塾の講師として中高生を指導していて、進路や将来について生徒から「〇〇になりたいのですが、どうすればいいでしょうか?」と相談を受けることが多かったんです。

その中でたまにどうすれば就けるのかわからない職業について聞かれることがありました。

たとえば「映画評論家」とか。

笹岡

たしかに、それは答えられません…。

喜多川さん

実際に活動されている方はいても、どうすればなれるのかがわからない仕事がありますよね。

僕は映画評論家になりたいと言った生徒に、「頑張って映画見ないとね!」と言いました。でも、映画をいっぱい観たからって必ず映画評論家になれるというわけではないと思うんです。

そのとき、塾の講師や学校の先生は「なり方」がわかっている職業に関してのサポートは強いけれど、「なり方」がわからない職業に関しては、なかなかアドバイスができないと気づいたんです。

だからこそ僕自身が「なり方」がわからない職業に挑戦してみたいなと思い始めました。

もちろんほかにもたくさんの要因はありましたが、それが作家に挑戦する大きなきっかけになったと思います!

「読書」という経験で見えてくるものがある

笹岡

執筆する作品を通して伝えたいテーマは何ですか?

喜多川さん

テーマはデビューしてから18年間一貫して「本を読んで欲しい」です。

僕の本を読んで、僕の価値観に触れて世界を広げてほしいというよりも、本を読むことで自分の価値観は簡単に変わるということを経験してほしいと思っています。

その経験をきっかけに、もっとたくさんの本を読んでほしい。単純に一つの価値観として「こんな人もいるんだ」と感じて欲しいと思っています。

笹岡

想いを知ってほしいというより、読書という経験を積んでほしいということなんですね!

喜多川さん

たとえば、半年以上同じ悩みで苦しんでしまう人や、ふとした瞬間につい同じことを考えてしまう人がいますよね。

本であれば、一冊を読みきる時間は半年もかからないのに、悩みが解決する可能性のある価値観に簡単に触れることができます

もちろん「本を読む時間がない」「読む気力がない」など、その人のタイミングもあると思いますが、僕の作品では日常的に読書をするきっかけになってもらえるように、小中学生でも読める文体であることをずっと心がけています。

1番大事なのは「初めて本を読む人が読みやすい」ことだと思うので、気軽に手にとることができて、最後まで読み切れるような文章であることが大切だと思っているんです。

笹岡

喜多川さんの考える読書のいいところはどこだと思いますか?

喜多川さん

スマートフォンで世界中と繋がれる現代では、社会の加速度と一緒に、苦しみや悩みが膨れ上がっていくと思っています。それを解決する手段こそ、僕は本の中にあると思っています。

SNSやテレビなどを利用している時間が、勝手に流れてくる動画や音声を淡々と受け入れる「受動的な時間」であるのに対し、本を読む時間というのは、すごく「積極的な時間」なんですよね。

自分でページをめくり、頭を使って理解しないと次に進めない。そうやって自分で選択して行動する能動的な姿勢をとることで、苦しみや悩みから解放されると思っています

だから「どうして良いかわからない」「どうにも答えが見つからない」「苦しくて仕方がない」という時にこそ、本を読んでほしいです。

他人はコントロールできない。イレギュラーを楽しむ人生を

笹岡

日常生活をWell-beingに過ごす上で、気をつけていることは何ですか?

喜多川さん

僕自身、気持ちのアップダウンがあまりない性格なんです。だからと言って楽しくないわけではないですよ(笑)。

当たり前ですが、人生は自分の都合のいいことばかり起こるわけではないですよね。それを知っているので、日常のトラブルやイベントを受け入れていくのが僕のスタンスです。

笹岡

イレギュラーなことが起こっても、受け入れていくスタンスなんですね!

喜多川さん

たとえば、なんでも手に入る世の中にいても不幸を感じる人はいますよね。昔の暮らしと比べると、今の日本は家の中にないものなんて大抵ないと思うんです。

僕の若い頃は、ビデオがある家なんて少なかったですし、トイレも水洗ではありませんでした。それでも幸せを感じる人はたくさんいました。

つまり、欲しいものが手に入ることや思い通りになることと、今日が幸せであることは、まったく相関性がないんです。

笹岡

イレギュラーも受け入れて生活するためにはどうすればいいでしょうか?

喜多川さん

僕は今日一日の過ごし方でも、「思い通りに行かなくても楽しかった」という過ごし方を選べばできると思うんです。

その過ごし方を選ぶことができれば、予想外の雨が降ったり、やりたいことができなかったりする一日でも、幸せを感じられると思います。

僕はそうやって、イレギュラーさえも楽しむことが人生の楽しさだと思っているので、他人が望み通りに動いてくれるとか、望み通りのことが起こるとか、そういった不確かなことに依存しないように意識しています。

笹岡

「不確かなことに依存しない」ことが大切なんですね。

喜多川さん

たとえば、コンビニのレジで並んでいる時に、自分の並んでいる列は進みが遅いけれど、他はスムーズに進んでいるという状況で、自分の前の人はカード決済につまずいている。そんな状況だと大体イラッとする人が多いですよね。でもそれは、自分じゃコントロールできないこと。どうにもならないことだけに囚われて、その日を不機嫌に過ごすなら、自分の周りに完璧人間ばかりいないと自分の気分が上がらない人になってしまいます

案外、身の回りの人が自分の気分を害さないように生きて、初めて幸せになれるという条件の中で生きている人が多いんですよね。そうではなく、他人に左右されること以外に「大丈夫。僕は幸せになれるから」という自信を持っていないといけないんですよ。

僕は世の中って、案外どうにでもなることが多いと思います。だから、最初に「今日も何か起こるだろう」と覚悟しておくんです。楽しくないことも思い通りにならないこともいろいろあると思います。しかし、今日だけは、起こることを楽しもうと決めておきます。

これは練習あるのみですが、この覚悟ができるようになれば、特別な何かがなくとも幸せになれる気持ちを経験できると思います。

夢って持たなきゃいけないものですか?

笹岡

無意識のうちに不確かなものに依存してしまうのは、なぜだと思いますか?

喜多川さん

いろんな理由はあるだろうけれど「不確かなものに依存してしまう価値観」を後から身につけさせられたからだと思います。

たとえば、一生懸命頑張って努力していい結果が出れば幸せになれるとか、欲しいものが手に入ると幸せだとか、幸せな人生の一つの道にしかすぎないけれど、なんだかステレオタイプの価値観になっていますよね。

「夢がないから努力ができない、幸せになれない!」という方も多くいますが、僕はそう思いません。意外と夢がなくても大丈夫なんですよ。

笹岡

「夢がなくても大丈夫」というのは、どういう意味でしょうか?

喜多川さん

まず、「なぜ夢を持つことが大事か」ということについて、大人でもわかっていない方が多いと思います。夢を実現すると幸せになるというプロセスは、夢を持っているとやる気が湧いてきて、モチベーションがあるから行動に移し、達成感を得るという流れが多いと思います。

だから、この幸せのプロセスを押しつける指導者は、やる気がない子や行動していない子を見ると「夢はないのか?」と聞きがちです。

でも僕は、何をしていいか分からない人たちや夢を持てない方を、何もおかしくないと思っています。「夢がないからやる気が出ない。何をやればいいかわからないから行動しない」という流れだと、そんな方達がいるのは当たり前だと思うんです。

指導する大人たちが「やる気がないのか!」「目標を立てろ!」と言ってきても、目標を決めていても行動に移せない子はたくさんいます。また、「決めた目標に向けて行動に移せないのは、夢や目標に対する憧れや思いの弱さ」だと言われがちですが、「どうしてもやりたい!」と強く願っている人でも行動に移していない人もいます(笑)。

だから僕は、「人は動いていないからやる気が出せない。夢や目標が持てない」のだと思います。

笹岡

たしかに。一度やってみないと、どこにやる気を見出せばいいかわからないですよね。

喜多川さん

年末の大掃除もそうですよね! 最初は、嫌々で始めたのに、いざ始めてみると楽しくなって自分から進んでやってしまいませんか? それどころか「もっと綺麗に...もっと効率よく...」となりますよね。

最初はどうであろうと「動いてからやる気を出す」ということを、私たちは日常で当たり前のように経験しているんです。最初から、ゴールのイメージなんて思い浮かんでいなくても、始めてみればどんどんやる気が湧いてきて、もっとこうしたい、ああしたいと目標が湧いてきますよね。僕はこれこそ自然な夢や目標の湧き方だと思うんです。

夢や目標がないからやる気が出ないのではなく、「動かないからやる気」がない。だから僕は「夢がなくても大丈夫ですよ。ただ、目の前のことに一生懸命になってみて!」と伝えています。実は行動に移すことに理由なんていらないんです。でもやる気がなくなってくると「なぜやっているのか」と理由が必要になってきます。

もちろん、社会人の方で夢がなくても全然大丈夫です。一旦、目の前のことに一生懸命になってみることをお勧めします。一生懸命やってみることで、必ずそこからやる気が湧いて、夢や目標が見つけられると思います。

笹岡

最後に、悩みに直面している方へアドバイスやメッセージをください!

喜多川さん

本当にどうしようもないくらい悩んでいるなら、一旦本屋さんに行ってほしいなと思います

本屋さんに行って気になる本を一冊買い、一旦本以外の情報を遮断して、ゆっくりその本と向き合う時間を作ってみたらどうかなと思います。その時間できっと新しい自分が作られていくと思いますよ!

<取材・文=笹岡 穂乃花>

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