ビジネスパーソンインタビュー

「あんな大物経営者とどう戦ってるのか学びたい」田端信太郎が“弟子入り希望”する人とは?

名前が挙がったのは、意外な「デザイナー」さんでした

「あんな大物経営者とどう戦ってるのか学びたい」田端信太郎が“弟子入り希望”する人とは?

新R25編集部

連載

新R25ワイドショー「スペシャルアンサー」

2021/08/18

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新R25ワイドショー」がリリースされました。

これは「ビジネスパーソンの知見が集まるスマホ版ワイドショー」をコンセプトにしたサービスで、構想から約1年近くかけて開発を進めてきたもの。

編集部が毎日1~2個更新するこだわりの「テーマ」に対して、新R25アプリから会員登録したユーザーが自由に自分の知見を回答することができます。

新R25では、そんな「新R25ワイドショー」のテーマを著名なビジネスパーソンの方にぶつけ、深掘りインタビューさせていただく連載をスタート…!

本日登場するのは、リクルート時代は『R25』の立ち上げに参画し、その後ライブドア、LINE、ZOZO…と時代の注目を集める企業を渡り歩いてきた男・田端信太郎さん。

そんな田端さんへのテーマと回答は、こちら!

田端さん

佐藤可士和さん

田端さんの口から名前が挙がったのは、ちょっと意外な気もする、スーパーデザイナー。

いったいなぜ佐藤可士和さんなのか…?暑苦しい学び全開の田端節とともに、お楽しみください!

〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉

「インターンとかじゃあんまり意味ない」すごい上司から“ちゃんと学ぶコツ”とは?

田端さん

同世代を過ごしてきた人で「すごいな」と思ってるのは…

佐藤可士和さんだね。

天野

営業畑の田端さんがなぜデザイナーさんを…?

田端さん

デザインという領域の人が、ユニクロの柳井さんとか楽天の三木谷さんみたいな経営者とどう“戦って”いるのか。間近で学んでみたいんだよね。

天野

経営者と戦う?

田端さん

俺もいろんな経営者と仕事したけど、やっぱり簡単に渡り合える人種じゃない。

デザイナーの仕事ってアウトプットがロゴとかだから、それだけ見たら、強烈な経営者に「こんなん3分でできるやろ」って言われちゃう可能性だってあるじゃん(笑)。

天野

可士和さん、『カンブリア宮殿』で「俺でもできる、とすぐ言われるけどそれは褒め言葉だ」って言ってましたね。

田端さん

柳井さんとか、いい意味で“ドケチ”だと思うんです。製造効率をものすごい考えてる。

そんな大将に対して、「ロゴひとつでウン億円の価値があるんだ」って、どういうプロセスやプレゼンで伝えてるんだろうって、興味があるんだよね。

「佐藤可士和展」で見たそうそうたる企業のロゴ、すごかったもんな~

天野

田端さんもいろんな方に師事されてますけど、すごい上司から“学ぶコツ”ってあるんですか?

田端さん

夏は企業のインターンに行く学生も多いと思うんだけど…インターンやカバン持ち的な働き方は、学びという面ではあまり意味ないと思うね。

お客さん扱いで、「こういうときはこうすべき」っていうキレイごとを聞かされる。そんなの聞いたって仕事においては血肉にならないのよ。

田端さん

本当に学びを得たいなら、上司がキレイごとを言えない状況で「仲間として、一緒にしんどい思いをする」のが一番だよね。

天野

しんどい思いをするのがコツなんですか?

田端さん

上司の本当のスタンスは、一緒に戦場に出てはじめてわかるものじゃん。それが何年も忘れられない“学び”になる

飲み会で武勇伝聞いて「勉強になります」とか言ってても、結果を見てるだけだから意味ないわけ。「過程」をともにすることに意味があるの。

飲み会の武勇伝、あんまりピンとこない理由が今わかりました

“数字は絶対”か? 前澤さん、堀江さんにそれぞれ学んだ「真逆のスタンス」とは

田端さん

上司の姿勢を見て学んだことって、忘れないんだよね。たとえば、仕事において、数字や目標を達成することが何よりも大事だって思う?

天野

そうですね…やっぱり数字は大事だと思います。

田端さん

俺もずっとそう思ってたんだけど…前澤(友作)さんのスタンスを見てから、考えが変わった

僕が主導して「拝啓、前澤社長」っていう新聞の一面広告を出したことがあって…

ZOZO「拝啓、前澤社長。」の新聞一面広告に反響、街からも好意的な声 【ABEMA TIMES】

「『第二の創業』は、社長だけではなく 私たち社員が主役です。『世界中をカッコよく、世界中に笑顔を』届けるために、まずは私たち社員が社長よりもカッコよく、社長よりも笑顔を目指し、楽しく働いていきます。社長、安心して月へ行ってらっしゃい!」

田端さん

広告費用を出す前澤さんにOKもらわなきゃいけないんだけど、内容を事前に見せたら寒いじゃん。それで「何も言わずにハンコだけ押してください」と言ったのよ。

そしたら「誕生日でもないのにサプライズ? 楽しみだな~」ってニコニコしてて。本当に性善説で、平和な人なんだよね。

そこで「リーダーが持つ思想とカルチャー次第では、草食の組織でも成長できるんだ」って学んだ。

田端さん

俺が昔いたリクルートやライブドアって、「信賞必罰」でイケてるやつが出世していく、肉食獣の世界なの

それに比べると、ZOZOはみんないい人ばっかりでさ、“音楽と服を愛する”みたいな草食獣。優しくて親切な人ばかりだけど、悪く言えばぬるいバンドサークルみたいなノリ。

それまで「数字が絶対、数字が人格」っていう世界にいたから、「和気あいあいやってても、伸びていくものなんだな…」って衝撃だった。

天野

そういう組織が成長するさまを前澤さんから学んだんですね。

田端さん

そこに必要なのは“リーダーのキャラ”なのよ。

完璧な人間がいないように完璧な組織ってないんだけど、リーダーのキャラによって、正解の数はいくつかあるんだなと。それがいい経験だった。

「音楽でもそうだよね。マーケティング調査しまくってアンケートの数字がいい曲作ったら売れるってわけじゃない。そこにはキャラクターとフィーリングが介在してるわけ」

田端さん

そして真逆なんだけど、堀江(貴文)さんには「上司に忖度せず、数字を追うべき」っていうスタイルを学んだ。

ライブドア事件があって、彼が逮捕される直前…

※ライブドア事件=2006年1月に証券取引法違反(偽計、風説の流布)の疑いで、堀江貴文氏含め複数人が逮捕された事件

田端さん

ライブドアのサイトのトピックス枠に「堀江逮捕間近」っていうニュースが並んじゃうわけ。そうすると、株主から「なんで株価が下がるようなニュースを載せるんだ!」ってクレームが来る。

ただ、世間の関心事だからPVとかの数字は取れる。板挟みになってね。

天野

しんどい展開ですね…

田端さん

夜中にたまたま、堀江さんと会社のトイレで鉢合わせたの。チャンス!と思って、手洗うところで待っててさ。ニュースの扱いについて相談してみたら…

好きにすれば」って。「俺、もう被疑者だから。そんなことなんで俺にきくの?」(笑)。

俺がニュース作ってあげてんだから、PVにしなよ」とも言ってました。

へえ~! 言いそう…!

田端さん

上司への忖度より“世の中が求めていて、数字がつくれるほう”を選べよっていう強烈なスタイルですよね。

これは比較するもんじゃないけど…楽天がTBSを買収しようとして反発にあったとき、俺、インフォシーク(楽天傘下のポータルサイト)のニュースをずっと見てたんだけど、やっぱり上層部に対する忖度は感じられるわけ。組織としては当然だから、いい悪いじゃないけどね。

天野

そんなのチェックしてるのも田端さんぐらいだと思いますけど…

「そう?」

田端さんがききたい「後輩に“社員”として接するか? “弟子”として接するか?」

天野

ちなみに、田端さんが新R25ワイドショーで「これを聞きたい!」っていうテーマはありますか?

田端さん

自分が見込んだ若者に、社員として接するか? 弟子として接するか?」かなあ…

天野

後輩と“どれぐらいの距離感で接するべきか”っていう。

田端さん

以前、糸井重里さんがインタビューで「弟子と社員は違う。部下ができるとみんなそこに悩むんだ」っていう話をしてたのよ。

糸井 ……ずばり、加藤さんが「弟子」と「社員」とを、ごっちゃにしてるんじゃないですか?

加藤 うわーっ。あいたたたたた。

糸井 うん。弟子っていうのは、極端にいうと叩いてもいいんですよ。その人がひとりで食っていくために「原料」を仕込んでいるところなんで、麦踏みしてもいいんです。そりゃ実際に叩きはしないけど、自尊心をズッタズタにしてもいいし、そこまでされても向かってきてくれる人じゃないと、その宗派の教えは伝わらないですよ。

加藤 ああー、そうですよね。

糸井 じゃないと、弟子になる意味がないし。そこまでする、っていう体力もこっちはかけてるんで。弟子と師匠の場合、弟子がつぶれるというパターンは大いにあると思います。

https://cakes.mu/posts/4160

田端さん

昔のたけし軍団とかテリー伊藤さんみたいな、組んずほぐれつしながら狂気的な、濃い師弟関係をつくるっていう文化もあったわけじゃん。

天野

でも、今の時代だとそういう上下関係はあまり奨励されないですよね。

田端さん

そうだね。糸井さんは『ほぼ日』を本格的にやっていくときに、「会社なんだから、“社員”でいいんだ」と方針転換して、それでうまくいったと話してた。

ただ、これは俺の想像だけど、うまくいった反面、本気で見込んだ若者と“社員”という関係性でしか付き合えない寂しさもあると思うのね。

転じてユニクロ柳井さんや、ソフトバンク孫さんって、自分の後継ポジションの子会社社長をとっかえひっかえしてるじゃん。あれは“弟子”という目で見てるんじゃないかな

天野

え…!

※2002年に玉塚元一氏がファーストリテイリング代表取締役社長兼COO就任、2005年に退任。2019年に赤井田真希氏が株式会社ユニクロCEOに就任。

一方ソフトバンクでは2015年、宮内謙氏がソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)代表取締役社長兼CEOに就任、2021年、代表取締役会長に就任。2021年、宮川潤一氏がソフトバンク株式会社の社長に就任。

どちらもさまざまな方が要職に就かれています…

田端さん

自分がつくった大帝国を継がせるという世界だから、「みんな優秀だけど、最後の最後に“自分基準”の弟子目線で見ちゃうと、やっぱり違うなー」ってなるんじゃないのかね。

ソフトバンクのニケシュさんとか、「2年で社長になる」って話だったのに、孫さんが譲れないってなって「だったらもういいよ」って。感情のもつれが起きちゃうんだよね。

※ニケシュ・アローラ=2004年からGoogleの要職を務め、2014年にSoftBank Internet and MediaのCEOに就任。孫氏からも「私の後継者候補」という発言があったが、後継者になることはなく2016年に退任。ソフトバンクの社長就任の時期をめぐって、認識のズレがあったとされる

天野

たしかに、経営者じゃなくても「後輩との真にいい距離感」っていうのは気になるテーマかもしれません。

田端さん

部下を持つ立場になると、やろうと思えば“やりがい搾取”ってのができちゃうわけ。

俺は意外と優しいから(笑)、それはいかんよなと思うんだけど、同年代のおっさん経営者たちは「田端さん甘いよ。“しめしめ…”って考えないと!」って言われるのね(笑)。

世代や立場もバラバラな人が回答できるなら、そういった話ができても面白いなーと思いましたね!

「あっ、俺の新刊の宣伝もしといてよ!」はい

「佐藤可士和さんに弟子入りしたい」という話から、ライブドア、ZOZO、ユニクロ、ソフトバンクと名だたる企業の事例を挙げて語られた、田端さんの「弟子入り論」。

僕も今日から、飲み会の武勇伝は話半分で聞こうと思いました…。

〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉

新R25ワイドショーであなたの“弟子入り希望”を投稿しよう!

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みんなの知見を楽しみつつ、ぜひあなたの“弟子入り希望”も投稿してみてください!

‎新R25(シン・アールニジュウゴ)

※Android版は今夏リリース予定です

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田端さんの新刊『これからの会社員の課題図書』

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