ビジネスパーソンインタビュー
調査結果から見る日本の「はたらく」の現在地
はたらくリアルがわかる! 就業者10万人への「はたらく定点調査」データベースを公開
新R25編集部
リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。
現場ではたらくビジネスパーソンの中には、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。
そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。
今回、ご登場いただくのはパーソルホールディングスのはたらくWell-being推進室に所属し、「はたらく」を考える全国就業者データベース「はたらく定点調査」の企画を担当した鈴木崇之さんです。
パーソルホールディングス株式会社は、「はたらく」を考える全国就業者データベース「はたらく定点調査」を8月1日に公表しました。この調査は全国の15歳から69歳の就業者10万人を対象に「はたらく」に関する意識と行動58項目を質問した大規模調査で、さまざまな切り口で「はたらく」に関するデータを抽出することが可能です。
「はたらく定点調査」について詳しくは、こちらをご覧ください。
今回、鈴木さんに調査を実施した目的や今後の展望までを聞きました。
美容師、デザイン事務所、自動車メーカー、Webコンサルティング会社など、多種多様な業界・業種を渡り歩き、2017年4月からパーソルグループに参画。2023年10月、はたらくWell-being推進室に配属。グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現するための業務に従事している。
キャリアについて考えるきっかけを提供したくて
――(編集部)全国の就労者10万へのアンケート調査って結構すごいことなんですか?
鈴木さん
あまりテキトーなことは言えませんが、僕が調べた限りですと、公共機関を除いた就労系の調査で、10万人規模のものは見当たりませんでした。国内では最大規模の就労調査と言えると思います。
――(編集部)なぜ今回の定点調査を実施しようと思われたんですか?
鈴木さん
パーソルは「はたらいて、笑おう。」というグループビジョンを掲げていて、私たちのサービスや活動によって、人々がはたらくことによって得られる幸せや満足感“はたらくWell-being”を感じられる社会を目指しています。
でも、はたらいて幸せになる方法なんてよくわからないし、何をもって幸せかということについてもよくわからないですよね。だからまずは、日本のはたらいている人について、定量的に調べることにしたんです。
――(編集部)なるほど。
鈴木さん
自分のキャリアについて考えるタイミングは大きく2つあると思っています。一つは、身近な存在の言動。たとえば友人や同僚、先輩が転職したり、副業を始めたりすることを耳にしたときです。
そしてもう一つは、自分のキャリアについて大きな不満や不安があるときです。
――(編集部)確かに…私も周りの人の行動を見て将来のこととかいろいろ考えちゃいます。
鈴木さん
「自分はこのままでいいのかな?」「なんとかしないといけない」と、不安になりますよね。
この2つ、どちらも自分を取り巻く環境や周囲の状況の影響を受けて、はじめて考えるという行動に出ています。でも、それってどこか受け身の姿勢だし、情報もあまり客観的じゃないことが多いです。自分が触れ合った人がたまたまそういう行動をとっただけで、それが一般的な行動かどうかわからないじゃないですか。個人では集められる情報はあまりにも範囲が狭いんですよね。
――(編集部)会社の同僚や上司、学生時代の友達とか、話を聞く相手が偏っちゃいそうですね。
鈴木さん
たとえば、同年代で、自分と同じような価値観やライフスタイルを持っている人の平均年収、といったデータを見たことはありますか? 日本ではたらく同年代のなかで、自分の年収が高いのか低いのか、興味を持つ人は多いと思います。
そこで、就業者の身近な部分まで掘り下げていける、仕事にまつわる客観的なデータがあれば、“はたらく”を考えるきっかけになるんじゃないかと思ったんです。
この調査では、47都道府県、10代から60代までを対象に、業種、職種、雇用形態も幅広い方へ調査しています。結果として、10万人の方にお聞きする大規模調査になりました。
40代は特に危険。「はたらく定点調査」に見る日本の“はたらくWell-being”
――(編集部)なるほど…日本の“はたらくWell-being”についても今回の調査でわかったことがあるのでしょうか?
鈴木さん
「はたらく定点調査プライベートと仕事それぞれで、「満足していますか?」という質問をしています。年代別ではともに10代が最も高く、40代が最も低いスコアでした。そして、不思議なことに50代、60代と年を経るごとに、また「満足している」と回答する割合が増えてくるんですよね。
――(編集部)へえ。
鈴木さん
これはあくまで仮説ですが、ほかのデータと照らし合わせて考えると、10代は自分に費やせる時間が多く、仕事も始めたばかりで期待感が大きいのに対し、40代は結婚や育児に加えて、仕事で他者から求められることも多く、自分にあてる時間が少なくて満足できていない人が多いように感じました。
鈴木さん
そして、50代、60代と年を経るにつれて、また満足度が回復してくるんですよね。おそらくですが、50代、60代は他の世代と比較するとある程度自分の裁量で仕事ができる人が多い。
こうした結果を見ると、もしかしたら日本のビジネスパーソンを元気にするための肝は、40代を元気にすることなんじゃないかなと思っちゃいますよね。
――(編集部)他に印象的な調査結果はありましたか?
鈴木さん
いろいろありますよ。例えばAIは敵か味方かという調査について、イメージだと若者が味方と捉えていて、ミドル・シニア層が敵と捉えていそうですよね。でも結果は逆で、実際は若者の方がAIを「敵」と捉えているんです。
――(編集部)意外な結果ですね。AIについては若い層のほうが味方と捉えている人が多いイメージでした。
鈴木さん
他にもイメージと現実でギャップがある項目はあります。たとえば「最近の若者は環境問題に敏感だ」という風説があるじゃないですか。でも「はたらく定点調査」のデータを見る限りはそうでもない。
「SDGsの17個の目標のうち、どれに関心がありますか?」という質問に対して、環境系の項目に関しては、若者世代よりもミドル・シニア層の関心が高いという結果も出ています。
鈴木さん
あとはハラスメント。「上司や先輩から、二人きりでの食事に誘われた場合、あなたはハラスメントだと思いますか」の質問では、「思う」と答えたのは60代が一番多く、20代が一番少ないという結果でした。
近年、さまざまな種類のハラスメントが問題視されていますよね。「今までの自分の行動が、実はハラスメントに該当するのではないか」「そのような行動は取らないようにしよう」と、むしろミドル・シニア層のほうが委縮している姿が垣間見れます。
鈴木さん
「はたらく定点調査」のデータは膨大ですので、分析すれば、このほかにももっといろいろなことがわかると思います。
「自分のキャリアは自分で決める」ことが実りあるキャリアにつながる
――(編集部)転職や起業といったキャリア選択に関することはどのようなことがわかったのでしょうか?
鈴木さん
「あなたは、学校を卒業してから(社会人になってから)現在までの間に、「何社ではたらいたことがありますか」という質問で、「2社以上」と答えた人は71.4%でした。印象的だったのは、20代の女性で見たときに、転職して2社以上経験している人が50%以上いたことです。転職が当たり前の時代なのだなということを、ひしひしと感じました。
一方で、起業についてはまだまだ意識が低い。多様化の時代ですので、周囲で起業をした人がもしかしたらいるかもしれませんが、起業を志す人はまだまだ少数だと言えますね。
――(編集部)転職は一般的でも起業となるとまだまだハードルは高そうですからね。
鈴木さん
そうですね。“はたらくWell-being”を実現するための一丁目一番地は、「自分のキャリアは自分で決める」ことだと考えています。「自分はこのままでいいのか?」「もっと違うことができるのではないか」といった悩みは人生につきものです。自分のキャリアを実りあるものにするためには、そのときどきで突きつけられる選択について後悔のない決断をすることだと思っています。そして、その決断を裏付けるものが客観的な情報です。「はたらく定点調査」の提供する客観的な情報が皆さんのキャリア選択を手助けするツールになってくれればと思っています。
――(編集部)この調査を見て、どのように活用してもらいたいですか?
鈴木さん
冒頭でお話したように、ぜひ、ご自身のキャリアを考えるきっかけにしていただきたいと考えています。具体的には、自分を客観的に見返す・自分自身を知る、といったことに活用してもらったり、「仕事の選択肢はいろいろある」ということに気付いてもらえたりしたらうれしいですね。
調査サイトには、ご紹介したような“実態”の調査結果のほか、「はたらくときの気持ち」といった“価値観”に関するデータも掲載しています。自分の考え方と近いデータに頷くこともあれば、予想外のデータに驚くこともあると思います。それを知るだけでも、世の中における自分の位置を把握することにつながると思うので、まずは、サイトを楽しみながら見ていただきたいですね。
また、本調査は一度きりで終わるものではなく、文字通り「定点調査」として毎年継続して実施する予定です。新データのご紹介はもちろん、“はたらく”にまつわるさまざまな経年変化のデータも提供していきたいと考えています。
「はたらく定点調査」特設サイトはこちら
「“はたらくWell-being”を考えよう」
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