ビジネスパーソンインタビュー

【診断あり】新時代のキャリア理論。上場企業も導入する「プロティアン・キャリア」とは

田中研之輔著『キャリア・ワークアウト』より

【診断あり】新時代のキャリア理論。上場企業も導入する「プロティアン・キャリア」とは

新R25編集部

2022/09/01

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「プロティアン・キャリア」。

この言葉を耳にしたことはありませんか? もしかすると初耳という方が多いかもしれません。

プロティアン・キャリアとは、1976年に米国にあるボストン大学クエストロム・スクール・オブ・ビジネス(経営大学院)のダグラス・ホール名誉教授が提唱したキャリア理論。

近年、最先端のキャリアワードとして注目されており、上場企業50社以上で導入されているそうです。

そんなキャリアワードについて、法政大学キャリアデザイン学部教授であり一般社団法人プロティアン・キャリア協会で代表理事を務める田中研之輔(たなか・けんのすけ)さんの著書『キャリア・ワークアウト』より、一部抜粋してご紹介します。

日々働き方が変化していく現代の社会人として、これから知っておかないといけないと思わされました…!

この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・プロティアン・キャリアについて知りたい人
・キャリアについて悩んでいる人
・自分らしいキャリアを描きたい人

「プロティアン・キャリア」で自分らしいキャリアを描く

「プロティアン・キャリア」とは、自分の軸を持ちながら、環境や社会の変化にも適応し、自分らしいキャリアを形成していくこと。

「個人」と「組織」の関係性をよりよいものにしながら、主体的にキャリアを築いていく考え方です。

「プロティアン」という言葉の語源は、ギリシャ神話に出てくる思いのままに姿を変える神・プロテウス。

プロテウスは、火にもなり、水にもなり、時には獣にもなるなど、環境の変化に応じて変幻自在に姿を変えます。

プロテウスのように、自分の意志で、自由になりたい姿に変化していくこと。

それこそが「プロティアン・キャリア」の核となる部分です。

ちなみに、「プロティアン・キャリア」を実践すると、労働生産性を最大化したり、副業や学習を通して新しい挑戦をしたり、キャリアを組織に預けず自分の力でつくっていったりすることを、積極的に実行していくことになります。

「プロティアン・キャリア」は、自分らしさや変化に適応する力を養うと同時に、キャリアの行き詰まりや停滞感も解消するのです。

「プロティアン・キャリア」を形成するときには、欠かせない要素が2つあります。

それが、「アイデンティティ」(自分の軸)「アダプタビリティ」(変化適応力)です。

まず「アイデンティティ」とは、「自分とは何者であるか」ということ。

仕事の場面では、「ビジネスパーソンとしての私らしさとは何か」を意味します。

自分らしい仕事に没頭できれば、心理的幸福感は高まります。

今の仕事に満足しているビジネスパーソンは、仕事上でアイデンティティを確立できている人だと言っていいでしょう。

ただ、自分らしく働いたとしても、生活が成り立たないこともあります。

組織に属している場合は、成果が出なければ評価が下がってしまうこともあるでしょう。

つまり、社会的なニーズとずれたアイデンティティをよりどころにして働いても、ビジネスシーンでは歓迎されません。

大切なのは、自分らしく働いてアイデンティティを確立すると同時に、それが市場や組織からも求められること。

この理想的な状態を手に入れるために必要なものが、「アダプタビリティ」です。

「アダプタビリティ」は、組織や環境、社会の変化に適応する力のこと。

言い換えると、外部環境の変化に応じて自分自身をアップデートし、自分らしいキャリアを築こうとする意欲のことでもあります。

“個人”でキャリアを築く

「会社員であっても会社に依存しないキャリア」がどういうものなのか。

それを伝えるために、ここからは時代の変遷をふまえながら、「組織」と「個人」の関係性について触れていきますね。

まずは、組織の中だけでキャリアを捉える「伝統的キャリア」と、自分の意志でキャリアを築く「プロティアン・キャリア」の2つを比較しながら、それぞれの特徴を見ていきましょう。

「伝統的キャリア」は、昇進や昇格により、収入や地位、権力などが右肩上がりに上昇・増幅していくことを前提としたモデルです。

分かりやすく言えば、新卒で大企業に入社することを目指し、入社後は課長、部長と昇進し、定年まで勤め上げて引退することを理想とした単線的なキャリアパスです。

キャリア開発の視点から言うと、「伝統的なキャリア」は「組織内キャリア」と言い換えることができます。

組織にキャリアを預ける働き方で、キャリアのオーナー(所有者)は組織。

個人ではなく、あくまでも「組織」によってキャリアは築かれます。

そして組織に所属する個人は、組織の目標にコミットして成果を上げていくことで昇進や昇格を果たし、組織やメンバーから尊重されていることをビジネスパーソンとしてのよりどころにして、組織内での生き残りを目指して社内の変化に対応していきます。

一方「プロティアン・キャリア」は、キャリアを築くのは組織ではなく「個人」。

キャリアは自らの成長や充足を目的として創造していくものであり、組織が管理するものではないと捉えます。

個人個人がさまざまなキャリアパスを描き、転職や独立、副業といった方法で組織の外に出たり再び組織に戻ったり、自由に組織の内外を行き来することを前提とした、らせん的なモデルです。

キャリア開発の視点から言うと、「プロティアン・キャリア」は「自律型キャリア」と言い換えることができます。

会社員であっても会社に依存せず、自分自身の成長を追求する働き方で、キャリアのオーナーは組織ではなく「個人」です。

また、キャリアに社会的な成功や失敗はなく、仕事の報酬は自分の目標が達成されたときに得る「心理的成功」だと考えます。

自分を尊敬できるかという「自尊心」を働くよりどころとし、所属する組織だけでなく「市場」で求められる人材であるために、社会の変化に適応していきます。

プロティアン・キャリア診断

最後に、下記の「プロティアン・キャリア診断」をやってみてください。

当てはまるものにチェック。チェックした数が何個だったか確認しましょう。

キャリア・ワークアウト

健康診断で定期的に体の状態をチェックするのと同じように、キャリアについても現状を把握することが大事です。

この診断を行うことによって、現時点で自分が「プロティアン人材」なのか「セミプロティアン人材」なのか「ノンプロティアン人材」なのかを知ることができます。

12個以上=「プロティアン人材

日ごろから主体的に自分のキャリアを形成し、環境や社会の変化に対応できるスキルを持っていると言えます。

4〜11個=「セミプロティアン人材

キャリア形成自体はでき始めているものの、変化への対応力が弱い状態にあります。

3個以下=「ノンプロティアン人材

現状のキャリアを維持することだけに力を注いでいると、ますます変化への対応力が弱まってしまいます。

キャリア・ワークアウト

この診断結果は、あくまでも「今」の状態にすぎません。

診断表を見てもらえれば分かるように、ここに挙げた項目は、どれも日々の生活の中で実践可能です。

チェックが付かなかった項目に日常的に取り組むことで、「プロティアン人材」に近づいていけるのです。

定期的にキャリア・コンディションのチェックをしていき、チェックが付かなかった項目から取り組んでいきましょう。

プロティアン・キャリア診断の結果をもとに、チェックが付いていない項目を埋めていくことをおすすめします。

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