本当に使える“人事の資格”って…?
人事の能力を数値化…!? 「人事実務能力検定」の開発者に聞いた、日本の人事の伸びしろ
新R25編集部
会社の根幹“ヒト”にかかわる仕事・人事。
読者のみなさんのなかには、“いい人事”を目指して日々スキルを磨いている人事担当者もいるはず。
ではそもそも、“いい人事”とは何なのでしょうか?
会社の魅力を伝えられる人? それともいい人材を見極められる人? “いい人事”になるために、どんなスキルが必要なの…?
そんな漠然とした疑問をぶつけたのは、株式会社kokonotsuの代表・村上亮(むらかみ・りょう)さん。
【村上亮(むらかみ・りょう)】1975年生まれ。大手旅行代理店を経て人材ビジネスの世界へ。求人媒体、派遣、紹介部門の立ち上げやマネジメントを行う。その後、ヘッドハンターを経て人事へ転身し、責任者として六本木ヒルズのIT会社をIPO/一部上場へ導く。2014年に株式会社kokonotsuを設立
村上さんは、約300社の人事をサポートをしてきた人事コンサルであり、「人事実務能力検定」やYouTubeの「人材ゼミチャンネル」の運営など、人事教育にも力を入れている“人事のプロ”。
この「人事実務能力検定」や「人材ゼミチャンネル」は、村上さんのこれまでの経験から開発した「日本の人事レベルアップ」の秘策なんだとか…。
今回新R25が、人事担当の読者に代わって、数々の企業人事を見てきた村上さんによる“いい人事”の条件を聞いてきました。
〈聞き手=宮内麻希(新R25編集部)〉
村上さん、お願いします!
“いい人事”が満たしている2つの要素は「法律知識」と「現場目線」
宮内
人事って、どこで評価されるのかわからないのが本音で。
早速結論からお聞きしたいんですが…村上さんは“いい人事”ってなんだと思いますか?
村上さん
僕が“いい人事”だと思うのは、2つの要素を満たしている人事です。
ひとつは、法律の知識を正しく使える人事。
村上さん
違法行為のないホワイトな経営をするためには、法律の知識が必要です。
たとえば採用のときに、管理職や雇用主が口頭で「内定」とか「一緒に働きたい」と言ったあとで内定を取り消したら、違法になります。
でも、管理職じゃない一般社員が同じ言葉を言う分にはセーフの場合もあるんですよ。もちろんハッキリ「内定」と言ってはダメですけどね。
知らなかった
村上さん
こういう細かいところからトラブルになるので…
事故を防ぐ・法的根拠をおさえて会社を守る意味でも、人事には法律の知識をわかっててほしいんですよ。
宮内
なるほど…
村上さん
僕がいま人事コンサルで受ける質問のほとんどが、「こういう人事制度をつくりたいんだけど、違法にならない?」というもの。
つまり、基礎的な法律に則った判断をできない会社が多いってことなんですよね。
村上さん
そして、もうひとつは「現場目線を理解している」人事。
宮内さんも、人事に書類を提出したとき「この書類のここが間違っているので、来月また持ってきてください」って言われたことありません?
宮内
あります!!
でも、月末はいつも忙しいから人事に提出する書類にまで手が回らなくて、いつもギリギリで提出してしまうんですよね…
村上さん
法律的なルールは守れるけど、現場社員の働き方を理解していない人事はもったいないですよね。
さっきの宮内さんの例をあげるならば、忙しい月末に期限を設定するのではなく、余裕をもって月の半ばに提出してもらうようなルールをつくるとか、対応はできるはずです。
社員が望む働き方をつねに的確に把握して、現場に法律を最適化できる人事。これが僕の思う“いい人事”ですね。
ほかにも「制度設計」や「教育研修」など、人事の仕事はかなり広いんだな…
“いい人事”のスキルを測れる資格「人事実務能力検定」
宮内
法律知識と現場目線…人事ってかなり高いスキルを持つ職業なんですね…
村上さん
そうなんです。でも、人事のスキルを測れる指標がないんですよね。
法律関係の知識だけであれば、「社会保険労務士(社労士)」の資格を持っているなどが根拠になると思うんですけど…
宮内
社労士…かなりの難関資格だと聞いたことがあります。
村上さん
僕も持っているんですけど、実際に人事の現場で使う法律は「社労士」の学習範囲のなかのほんのひと握り。正直、わざわざ取る必要もないと思います。
だから僕は、「人事実務能力検定」をつくったんですよ。
村上さん
この「人事実務能力検定」は、人事に必要な法律の知識を実務ベースで学ぶことができます。
法律の基礎的な問題はもちろん、「始業前に作業を始めるのはOKか?」など“実務ベース”で問題を考えているんです。
宮内
まさに“いい人事”のスキル磨きにうってつけですね。
村上さん
はい。開設から1年弱で、約1500人に受けていただいたんですけど…
受験者から「初めて網羅的に理解できた」という声も多くて。経営者から「社員に受けてほしい」と言っていただくこともあります。
宮内
へえ〜!人事じゃないけど、ちょっとやってみたいな…
村上さん
ぜひぜひ、試してみてください。
1〜2分ほどで会員登録できますし、どなたでも無料で受けていただけるので。
宮内
む、無料で受けられるんですか!?
やります!
意気揚々と登録完了
村上さん
試験開始のボタンを押したら、一問一答式・選択式の問題が出てきます。サクサク答えていってください。
宮内
うわ〜なんかこの感じ、ドキドキしますね!
宮内
なになに…「採用」「労働契約」「有給休暇」…
働いているのに、ちゃんと理解してなかった内容ばかりで、ふつうに勉強になります。でも、結構難しい…!!!
これには村上さんもにっこり
宮内
さっそく結果が届きました!
宮内
得点は、一問一答式が125点、選択式が25点の150点なんですね。
村上さん
はい。英語力を数字で測れるTOEICのように、人事力を数字で測れる資格にしたくて、スコア制にしました。
こうすることによって、モチベーションにもなると思っていて。
僕、資格を取るのが好きなんですよ。これまでにMBA・簿記・旅行の国家資格・バーベキュー検定とかこれまで20個くらいの資格を持っていて。
宮内
20個!
村上さん
そういったスコア化される試験があると、学習しようと思うじゃないですか。
ゆくゆくは「人事実務能力検定」があることで転職が有利になる、みたいな世界観にしていきたいんです。
村上さん
そのために、今この「人事実務能力検定」の教材アップデートをして。第二弾は、より「実務」に寄せた問題をつくろうと思っています。
じつは以前、新R25のアンケートで、「現場社員が感じる人事へのモヤモヤ」を募集させていただいたんですけど…
村上さん
意外とみんな、人事への不満があるんだなと思って(笑)。
こういった「現場で感じる人事への課題」を問題にして、“いい人事”になるための学習をしていただけばと思っています。
これが完成したら、間違いなくすべての人事がレベルアップする内容になるはずです。
「自分の仕事の答え合わせがしたい」リカレントに資格が最適な理由
村上さん
僕が「人事実務能力検定」をつくった理由は、全人事のレベルアップという意図もありますが、「リカレント(社会人の学び直し)」の意味合いもあって。
宮内
リカレント…最近私のまわりでもよく聞きます。
村上さん
僕、リカレントの目的って、答え合わせをすることだと思うんですよ。
宮内
答え合わせ?
村上さん
たいていの人は、会社から評価されるために仕事をしてると思うんですけど…その評価は、会社の文化や仕組みに偏ったものかもしれない。
自己解釈している仕事のノウハウなどが、本当に合っているかってわからないじゃないですか。
自己解釈が学術的に合っているか、答え合わせをしたい。そんなときに、資格が役立つんですよ。
宮内
なるほど…!
資格って取りっぱなしになりがちだけど、答え合わせとして取るなら有効ですね。
村上さん
僕がつくった「人事実務能力検定」も、ぜひ学びつづけるきっかけとか、リカレントきっかけとして受けてもらいたいんです。
働き方ってこれからも変化していくじゃないですか。それに伴って、人事もアップデートしないといけない。
だからこそ、アップデートを重ねるこの「人事実務能力検定」で、学びなおすきっかけになれればと思っていて。その結果、全人事のスキル構築に役立ったらうれしいなと思うんですよね。
村上さんの思う“いい人事”とは、「会社を守るための法律の知識を持っていること」と「社員目線のルールづくりができること」。
そのためには少しでも「現場目線」をキャッチすることが重要になりそうです。そんな現場目線を学べる「人事実務能力検定」は、“いい人事”を目指すための最短経路になるはず。
今現在、人事として奮闘されているみなさんにとっても、「学びなおし」のきっかけになると思うので、ぜひ今の実力を試してみてください!
〈取材=宮内麻希(@haribo1126)/文=山田三奈(@l_okbj)/編集=福田啄也(@fkd1111)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
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