ビジネスパーソンインタビュー
これから“通用しなくなる”営業とは?
【動画で学べる】麻野耕司が提言。伸び悩み営業が「高度な専門職」になるための “4つのスキル”
新R25編集部
営業職のみなさん。自分の“スキル”に自信はありますか?
「リスキリング」という言葉がじわじわブームになり、社会人のスキルアップが注目されている最近ですが…
求められるスキルが多すぎるのが「営業」という仕事の悩ましいところ。スキルアップしたい気持ちはあっても、何から学べばいいのかわからないという方も多いのでは。
そこで今回は、古い営業メソッドから抜け出すための実践方法を提唱している、株式会社ナレッジワークCEOの麻野耕司さんをお招き。
成果を出したい若手営業パーソンが身につけるべき“4つのスキル”を教えてもらいました。
【麻野耕司(あさの・こうじ)】リンクアンドモチベーションにて当時最年少で執行役員に着任。新規事業として国内初の組織開発クラウド「モチベーションクラウド」を立ち上げる。2020年にナレッジワークを創業し、2022年に『NEW SALES 新時代の営業に必要な7つの原則』(ダイヤモンド社)を上梓
モノを売る「OLD SALES」からコトを売る「NEW SALES」へ
麻野さん
営業は今、モノを売る「OLD SALES」からコトを売る「NEW SALES」に大きくシフトしています。
かつては、製品やサービスの機能を紹介するのが営業の主な仕事でしたが…今の時代、そんなのは公式サイトを見ればわかりますよね。
しかも、製品やサービスはどんどんコモディティ化しているので、必然的に付加価値が求められます。
単にモノを売るだけでなく、その先にある「顧客の課題解決」や「理想の実現」まで叶えられるかどうかで、成果が大きく変わる。
つまり…「NEW SALES」に生まれ変わらないと、営業パーソンはもう生き残れなくなってきているんです。
麻野耕司が提言。今、営業パーソンに必要な“4つのスキル”
――(編集部)「NEW SALES」に生まれ変わりたい営業パーソンは、どんなスキルを身につければいいのでしょうか?
麻野さん
僕の著書では、「NEW SALES」に求められる役割を“4つのS”で提示しています。
今日はその“4つのS”と、それぞれを実現するために必要なスキルをお伝えします。
「NEW SALES」に必要な4つのS①:「Story=ストーリー営業」
麻野さん
1つめのSは「Story」。僕はいつも、「NEW SALES」の“1丁目1番地”はストーリー営業だとお話ししてます。
顧客が商品やサービスを買うまでの流れを分解すると、「理想→課題→価値→機能」という流れになっているんですよ。
顧客が商品やサービスを買うまでのストーリー
理想
:顧客がどんな理想を描いているのか
↓
課題
:その理想を叶えるために、どんな課題を解決しないといけないのか
↓
価値
:その課題解決のために、自社の商品やサービスでどんな価値を提供できるのか
↓
機能
:その商品やサービスのどんな機能が、価値を実現してくれるのか
麻野さん
単にプロダクトを売り込むだけでなく、顧客が理想を実現するまでのストーリーを提示できるかどうかが、これからの営業の成果を分けます。
そんなストーリー営業を叶えるために必要なスキルは「ロジカルシンキング」。
「理想→課題→価値→機能」のつながりをしっかりと組み立て、顧客にとって魅力的なストーリーを伝えるためには、論理的な思考力が欠かせません。
「NEW SALES」に必要な4つのS②:「Surprise=サプライズ営業」
麻野さん
2つめのSは「Surprise」。つまり、顧客に発見や驚きを提供できる営業です。
「ちょっと近くまで寄ったので挨拶に…」みたいなのは時代遅れだし、イヤがられるだけなんですよ(笑)。
顧客が営業に求めてるのは、「ご機嫌伺い」ではなく「情報」。それも、自分で調べてもわからない、その営業担当に会わないと得られないような“サプライズ”のある情報です。
価値ある情報を仕入れるためには、「マーケティング」のスキルが欠かせません。
データや最新情報を、顧客が知りたいニーズに合わせて自分なりにまとめて、情報提供する。そのために、マーケティングにおけるリサーチ力や分析力が役立ちます。
「NEW SALES」に必要な4つのS③:「Scenario=シナリオ営業」
麻野さん
3つめのSは「シナリオ」。
成果の出ない営業担当って、たいてい“自分が主役”なんですよ。
会社紹介をして、ヒアリングして、提案して、クロージングする…これって完全に、自社のペースに顧客を巻き込んでしまってますよね。
自社から見たら“営業活動”でも、顧客から見たら“購買活動”。顧客はこんな流れで、モノを買うかどうかを慎重に決めているはずなんです。
顧客が購買を検討するプロセス
情報収集
:自社の方針に合わせて情報をリサーチ
↓
課題設定
:自社で解決したい課題を設定
↓
比較検討
:課題を解決するために、さまざまな商品やサービスを比較
↓
最終決定
:解決策として「これを買おう、導入しよう」と決める
麻野さん
成果を出せる営業は、まず情報を提供し、「御社にはこんな課題がありませんか」と提案し、他社と比べたメリットを伝え、社内で稟議を通すためのサポートまでする。
つまり、「顧客の購買プロセス」に合わせたシナリオを描いているんです。
これらのシナリオを描けるようになるために必要なのは、「プロジェクトマネジメント」のスキル。
一見、営業とは関係のないスキルに思えるかもしれませんが…いろんな人を巻き込みながらゴールを目指す方法を学ぶという意味で、これほど心強いスキルはありません。
「NEW SALES」に必要な4つのS④:「Sympathy=シンパシー営業」
麻野さん
営業って、みんな社交的でグイグイ来るイメージじゃないですか(笑)。
でも実は、優秀な営業は自分のキャラクターを押し付けません。
顧客の心を動かすために、相手のキャラクターに合わせることができるのが、本当の意味での“売れる”営業。
相手の感情を察知し、共感する。つまり、最後のSである「シンパシー」が重要です。
そのために必須なのは「コミュニケーション」のスキル。
型にハマったプレゼンをして終了ではなく、いかに相手の心を動かすコミュニケーションを取れるかが、これからの営業活動の勝敗を左右します。
麻野さん
これらが、営業に欠かせない“4つのS”と、そのために必要なスキルです。
「いや、営業めっちゃ大変やん」と絶望した方もいるかもしれませんが…(笑)
逆に言えば、これらのスキルを身につけた「NEW SALES」は、高度な専門職としてあらゆる場面で重宝されます。
4つのスキルを基礎から学べる。営業パーソン必携の「GLOBIS 学び放題」
幅広いスキルを、どうやって学べばいいの?とお悩みの営業パーソンにおすすめなのが、これらのスキルを網羅的に学べる「GLOBIS 学び放題」。
ここからは、「GLOBIS 学び放題」事業リーダーの鳥潟さんにもご参加いただき、その魅力をお聞きします。
【鳥潟幸志(とりがた・こうじ)】サイバーエージェントでインターネットマーケティングに携わったのち、デジタル・PR会社のビルコム株式会社を共同創業。取締役COOとして経営全般に10年間携わる。グロービスに参画後は小売・グローバルチームに所属し、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。 現在は社内のEdtech推進部門にて「GLOBIS 学び放題」の事業リーダーを務める
鳥潟さん
GLOBIS学び放題は、いつでもどこでも動画でビジネススキルを学べる定額制サービスです。
ビジネスパーソンの育成に30年以上携わってきたグロービスの知見を活かして、あらゆる業種、業界で必要なビジネススキルを体系的に学べるプログラムをご用意しています。
もちろん、麻野さんに挙げていただいた“4つのスキル”も全部学べます。実際の動画がこんな感じなんですが…
「ビジネスの全体像ってどうなってるの?」という動画の一幕。イラストが多用されています
麻野さん
こんなにポップなんですね!
てっきりマジメな先生が出てきて2時間くらいしゃべる感じかと思ってたので、いい意味で裏切られました(笑)。
鳥潟さん
まさに、飽きのこない構成をすごく意識していて。
“とっつきやすさ”にもこだわっていて、動画1本3分〜10分程度で、スマホでサクッと見れるものがほとんどです。
麻野さん
スキマ時間にちょっとずつ進められるのは、移動が多い営業パーソンにはうれしいですね。
鳥潟さん
営業の現場で使える知識が身につくよう、リアルな事例も多用しています。
チャプターの合間には記述式のクイズもあるので、考えながら学習を進められます。
麻野さん
観るだけじゃなくて、自分で考えたり書いたりできるんだ。めっちゃいいですね。
麻野さん&鳥潟さんが厳選! 営業パーソンのスキルアップに役立つ動画4選
麻野さんが提唱する“4つのスキル”をもとに、営業パーソン必聴の動画を厳選してご紹介!
①ストーリー営業に必要なスキルを学べる。「論理思考で仕事の壁を乗り越える5つのポイント」
鳥潟さん
「言いたいことが顧客にうまく伝わらない」と、一度でも悩んだことがある営業パーソンは必見の動画です。
5つのテーマに分けて、「論理的に考えるとはどういうことか?」を基礎から伝えています。
麻野さん
「どうすれば営業成績があがるのか、意見を述べましょう」とか「提案の根拠となるファクトはどれでしょう」とか…
まさに営業ど真ん中の課題が、事例やクイズとして出てくるのがいいですね。
そういえば僕、若手のころにグロービスの本でクリティカル・シンキングを勉強してたんですけど…
あんなに分厚い本を何回も読んで特訓したのに、今はこんなにとっつきやすい動画があるなんて、なんかズルいですね(笑)。
こんな感じで、クイズが要所要所で出てきます。みなさんは答えがわかりますか?
②サプライズ営業に必要なスキルを学べる。「マーケティング(基本編)」
鳥潟さん
網羅的にマーケティングを学びたい営業パーソンには、こちらの動画がおすすめです。
市場機会を発見するためのセグメンテーションやターゲティング、ポジショニングまでの一連のプロセスやフレームワークを学べます。
麻野さん
みんなが知ってる商品やサービスの事例が出てくるのがわかりやすいですね。
価値ある情報を提供する“サプライズ営業”としてはもちろん、顧客目線で“シナリオ”を考えるためにも、マーケティングのスキルは欠かせないので…
もはや全営業パーソンが一度は見ておいたほうがいいんじゃないかなと思います。
「マーケティング」と「セリング」の違いが一目でわかる解説も。麻野さんのNEW SALES理論とも通じる、“顧客目線”の極意が学べます
③シナリオ営業に必要なスキルを学べる。「基礎から学ぶプロジェクトマネジメント」
麻野さん
プロジェクトマネジメントの動画もあるんだ…自分で言っておきながら、さすがにないかと思ってました(笑)。
鳥潟さん
ちゃんとあるんですよ(笑)。これからプロジェクトを実施したり、参加したりする方は必見の動画です。
「プロジェクト」は誰もが知っている言葉ですが、実態が曖昧なんですよね。
この動画では、プロジェクトマネジメントとはなんなのか、プロジェクトをどう進めていけばいいのか、どこに難しさがあるのか…など、モヤモヤを1つひとつ解消しています。
実務に活かせるプロジェクトマネジメントを身に付けたい営業パーソンにもおすすめです。
妙にリアルな「Video3:プロジェクトの難しさ」パートは必見。それぞれの視点から見た“本音”が垣間見えるので、営業のみなさんも勉強になるはずです
④シンパシー営業に必要なスキルを学べる。「パワーと影響力」
鳥潟さん
相手の心を動かすコミュニケーションスキルを身につけたい営業パーソンに、ぜひおすすめしたいのがこちらの動画です。
麻野さん
パワーと影響力…めっちゃおもしろそうじゃないですか!
鳥潟さん
この動画は、ポジティブな意味で「人を動かす」ために個々人が持つパワーの源泉と、それを獲得・行使する方法を解説しています。
たとえば「返報性の法則」というのがあって。
相手から何かを受け取ると「こちらもお返しをしないと申し訳ない」という気持ちが生まれる…という、心理学的なメカニズムです。
この動画では、そういった“影響力”の源泉を、5つに分けてフレーム化しています。コミュニケーション力を高め、やりたいことを実現させたい営業パーソンにはきっと役に立つはずです。
麻野さん
顧客の感情を察知するのにも役立ちそうですね。個人的には、この動画が一番パンチが効いてて好きです。
「上司を動かす」というパンチラインから始まる攻めた構成。個性豊かな講師陣も魅力です
麻野さんのおすすめ講座をさらに知りたい方は、こちらの動画もチェック!
麻野さん
営業パーソンの“仕事満足度”って、ほかの仕事に比べてすごい低いんですよ。
でも、僕はもっとたくさんの人に、営業という仕事を楽しんでほしい。
そのためにはこういうサービスをうまく活用して、努力すれば成果が出る環境に身を置くのが一番の近道だと思うんです。
と麻野さんが語る通り、“学び”が仕事の楽しさを教えてくれるきっかけになるのは間違いなさそう…!
「GLOBIS 学び放題」なら、1カ月につきビジネス書1冊程度の金額で学びの習慣化が可能。
あなたも今日から、NEW SALESへの第一歩を踏み出してみませんか?
〈取材・文=石川みく(@newfang298)/編集=福田啄也(@fkd1111)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
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