ビジネスパーソンインタビュー

キャプテン3年目、会話の“選択”が変わった。乃木坂46秋元真夏の「嫌われる勇気」

「昔の話をいっぱいしてくる人だと思われてる」

キャプテン3年目、会話の“選択”が変わった。乃木坂46秋元真夏の「嫌われる勇気」

新R25編集部

2022/09/11

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乃木坂46にインタビューできるとなったら、皆さんは誰にどんなことを聞いてみたいですか?

2代目キャプテン・秋元真夏さんにお話が聞けるとなったとき、脳内にすぐに思い浮かんだのは「リーダーシップについて聞きたい」ということでした。

【秋元真夏(あきもと・まなつ)】1993年生まれ。2011年、乃木坂46の1期生オーディションに合格。2012年には4thシングル「制服のマネキン」の選抜メンバー、八福神に選ばれる。2019年「2代目キャプテン」に就任。趣味は料理

テレビや動画で見る秋元さんは、イジられ役になってみたり、音楽番組ではビシッとコメントしたり。でも、時折その笑顔の奥に“リーダーの孤独”を感じることがある気がするんです。

小さなチームリーダーを任せられてその苦労を味わい、言われてるほどいいものじゃないじゃん…という気分になっているR25世代の方も多いのではないでしょうか。

今もっとも日本中の目にさらされている集団(たぶん)のキャプテンは、どんな悩みを抱えているのか。読み終わったとき、きっとあなたの“推し”が1人増えていることでしょう…!

〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉

「昔の話をしてくる人だと思われてる」秋元真夏のリーダー論とは?

天野

後輩から見たら、秋元さんはどう見られてると思いますか?

秋元さん

「昔の話をいっぱいしてくる人」(笑)

天野

なんだかイヤですね…昔の話をよくしてるんですか?

秋元さん

私のなかでリーダー(キャプテン)イコール、「受け継ぐ人」なんですよ。

チームを引っ張るとか、活躍できる人は他にもいるけど、受け継がなきゃいけないものを受け継ぐのがリーダー

天野

受け継ぐ…そんな解釈はじめて聞きました。

秋元さん

ライブのとき、メンバーによって曲の捉え方がバラバラになってしまうので、「この曲はこういうふうに歌おう」って伝えるんです。

でも、乃木坂も10年以上やってるので、初期の曲の発売当時を知ってるメンバーが少なくなってるんですよ。

だから、最初に「こういうイメージの曲です」って言われたことを私が受け継がなきゃいけないと思って、とにかく昔言われたことを思い出して…

天野

それで昔の話を。ほかにもリーダーに必要だと思うことはありますか?

秋元さん

男気」?

天野

また意外な2文字が…

秋元さん

やっぱり男気じゃないですか。私、中身がすごい「男気」みたいな人で。

中高が女子高で、とんでもない数の女の子がいて毎日とんでもないことが起きてたので、男気が磨かれちゃったんですよね。

天野

僕らの知らない世界ですね…

秋元さん

まあ私は歌がうまくないんで「こう歌おう」って言っても伝わらないんですけどね(笑)、技術をカバーしてやってます(笑)。

「そっちに行くのが楽しくなってきた」“リーダーのつらさ”を乗り越えられたのはなぜ?

天野

キャプテンをやってて、つらいと感じることもありますか?

秋元さん

「昔の話いっぱいしてくる人」って絶対ウザいじゃないですか(笑)。私、これまでの人生ずっと“誰にも嫌われずに生きていたい”って生きてきた人なんで、めちゃくちゃつらかったです。

天野

それは今も…?

秋元さん

2019年にキャプテンになってからずっと悩んではいたんですけど、3年経ってやっと乗り越えられたんです。去年ツアー中に、4期生(2018年加入)に「このままじゃダメだ」って思って。

いろいろ言ってるつもりではいたけど、「これは伝わってないな」と…。楽屋で、齋藤飛鳥梅澤美波といっしょにけっこうガッツリ伝えたんです。

それは…ちょっと怖いやつですかね?

天野

「嫌われる勇気」を持てたんですね。変われたきっかけは何だったんでしょうか?

秋元さん

自分を演じなくなったこと…。だんだん、会話の選択が変わってることに気付いたんですよね。

人前で何か質問に答えるときがあるじゃないですか。だいたい、ゲームみたいに“なんて答えるか”の選択肢3つぐらいのなかから考えてるんです。

それまでは、「素の自分だったら①の選択肢を選ぶけど、グループのリーダーだったら②が正解だな」とか思って会話してて…

天野

はい。

秋元さん

その①と②がだんだん近づいてきたんです。3年かかって、素の自分と演じる自分が同じになったんですよね。

天野

…そういう変化があるものなのか…!

秋元さん

キャプテンになるとライブ終わりのMCをするんです。最初は立場を考えて演説みたいにカタい文章で話してたんですけど、それを忘れちゃってアドリブで喋ったときに、スタッフさんに「今日よかったよ!」って言われて。やっぱり「素」と「演じている自分」がイコールになってるとまわりから見ても全然違うんだな~と。

…まあ“ってことはそれまではよくなかったんかい…!”とも思ったんですけど(笑)

秋元さん

ただ、「嫌われる」っていうのは自分1人のことだけど、グループが何も受け継がなくなったら全体がダメになってしまうので。私は“そっち側”のほうを考えるのが楽しくなってきたんです。

誰にも嫌われずに生きていこうとしてた人生が、キャプテンになると矯正されますね乃木坂で性格が矯正されていってる感じがします。

なんだかんだで(?)愛されるのは「仕事に向き合ってるから」

天野

嫌われる話ばっかり聞いてしまいましたが、秋元さんは愛されてるリーダーですよね。

秋元さん

そうかな…。たぶんそれは自分がアイドルという“仕事”に向き合ってる自信があるからですね。仕事に向き合ってなくて、それこそ自分がよく思われたいって気持ちに向き合ってたら、絶対すぐバレる。

私、これまでの人生ずっと猫かぶるのもうまかった(笑)。でも、リーダーこそ猫かぶれないなって思ったんです。“あの人浅い、薄っぺらい”ってすぐバレますよ。

天野

10歳以上年齢差のあるメンバーもいますし、付け焼刃じゃ見抜かれてしまいそうですよね。

秋元さん

そうなんです。「どうしよう…」って思うこともあるんですけど、年齢も全然違うので、こちらがいろんな伝え方を試すしかない。それがいつか自分の糧になると思ってやるしかないですよね。

“キャプテンやってくださいと言われて「はい」と言った以上、頑張れよ”って、自分に対していつも思ってます

天野

(カッコいい…)

天野

最後に、これから5年間の目標があれば教えてください。

秋元さん

本当はかわい子ぶるのも得意だったんですけど、仕事をしてるうちに、ワガママ言うのが苦手になっちゃった。なので、ワガママを言えるようになりたいです。

女性として、母みたいになりたいかな。母は24歳で結婚して、25歳で私を産んでいて謎に“勝ちたい”って思ってたんですけど、それは叶わなくなってしまい…

天野

お母さんはどんな方なんですか?

秋元さん

うーん…気をつかえて、いるだけでまわりが明るくなるような…男気のある女の人です(笑)

「秋元さん、きっとお母さんに似てるんじゃないですか」「そっくりなんですよ!」

大事なものを受け継げる人で、男気があって、仕事に向き合っていて、そして話にオチをつけて笑う。

アイドルに心底ハマった人たちは、俺はその容姿ではなくて心意気とか内面に惚れたのだ、ということをよく言いますが、秋元さんを見ていたらそれも頷けるなあ…と思った真夏日でした。

〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=池田博美〉

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秋元真夏ד近未来”

「最近では5期生がMCをする機会も増えて、『リハーサルよりももっとテンション上げて喋るといいと思う。梅澤美波の話し方がよかったから、ああいう感じでやってみようか』って具体的にアドバイスするようになりました」。

新戦力とそれをリードするキャプテンの指導力もあり、ますます盛り上がる乃木坂46。新曲は、羽田空港でMVの撮影が行われたというさわやかな1曲になっています。秋元さんに注目しつつ、ぜひチェックを!

「好きというのはロックだぜ!」ソニー・ミュージックから8月31日発売。特典映像には、「真夏の全国ツアー2021」地方公演でのLIVE厳選集を収録

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