ビジネスパーソンインタビュー
取材時間、「3時間超え」。
「みんな、疲れた=頑張ったと勘違いしてないか?」GACKTに“努力の本質”を教わり目が覚めた
新R25編集部
先日公開した、GACKTさんにガチ相談「結果を出す人の思考法」編。予定していたテーマで1時間半ほどお聞きしたところ…取材終わりにまさかの一言。
「もしまだ聞きたいことあるなら、いま全部聞くよ」。
な、なんだこの展開…! これが一流芸能人の器のデカさか? 格が違う。
というわけで今回は急遽、「正しい努力とダメな努力の違い」について取材。GACKTさんの思考法を詰め込んだ書籍『GACKTの超思考術』には、「頑張るだけでは意味がない。努力のやり方を履き違えるな」という一節も。
はたして、GACKTさんの語る「正しい努力の仕方」とは…?
最終的に3時間を超えた白熱の講義、スタートです!
※前回につづき、マルタ島とのリモート取材でお届けします。
〈聞き手=サノトモキ〉
【GACKT(がくと)】1973年生まれ、沖縄県出身の男性シンガーソングライター、俳優。マレーシア・クアラルンプール在住。「ベスト・アジア・ロックアーティスト賞」を日本人としてはじめて受賞しつつ、富裕層向け不動産業、飲食業など、実業家としても幅広く活動している
「自分が一番頑張っている」という勘違い。GACKTさんの“引っ越しバイト時代”
サノ
今回は、「正しい努力の仕方」を教えていただきたいです。
最近仕事をしていて、「こんなに頑張ってるのに、なんで報われないんだろう」と思っちゃうことがけっこうありまして…
GACKTさん
気持ちはわからなくはないよ。
ボクも10代のころは、「なんでこの人は自分より楽してるんだろう」とか「自分はこんなに頑張ってるのに」みたいなことばかり考えてたから。
サノ
そうなんですか!?
GACKTさん
17歳のときに、引っ越し屋のバイトをやったことがあってね。
2人でトラックに乗っていろんな家に行って、勉強机のパーツを子ども部屋まで運んで、組み立てる。そんな仕事だった。
サノ
(GACKTさんの引っ越しバイト姿がまったく浮かばん)
GACKTさん
で、大きな箱を部屋まで運んでいくんだけど…階段を上がるとき、いっつもボクが下だったんだよ。
それがめちゃくちゃ重たくて、パートナーに「なんでこのおっさんは、毎回ボクにだけキツいポジションをやらせるんだ?」ってずっと思ってたわけ。
「なんで? なんでボクだけずっと下なんだ??」って。
想像したけどちょっとかわいい
GACKTさん
だからさ、7軒目くらいで「ボク、上いきますね」って言ったんだよ。
そうしたらおじさんに…「大丈夫か?」って聞かれたんだ。
サノ
ほう…!?
GACKTさん
「大丈夫かって、何が?」と思いながらやってみたら…とてもじゃないけど持ちあがらなかった。
本当は、上側で運んでたおじさんのほうが死ぬほどキツかった。
他の仕事も全部そう。彼はどんな仕事でも何も言わずにつらいほうを選んで、ボクをフォローしてくれてたんだ。
サノ
あー、そういうこと、あるな…
GACKTさん
「浅はかだった」と心底思った。「自分が一番頑張ってる」なんて、ほとんどの場合勘違いなんだ。
「なんで俺だけ」と言いながら生きてる人が日本には大勢いるけど、そんな思い込みは今この瞬間に捨てたほうがいい。
その「ありもしない被害妄想」を抱えてる限り、努力しても一生幸せになれない。
「疲れた」=「頑張った」と勘違いしていないか?
GACKTさん
そもそも、多くの日本人は「頑張る」の意味合いを間違えているんだよ。
サノ
どういう意味でしょうか?
GACKTさん
「働きアリの法則」って知ってる?
アリを集めると、必ず「必死に働くアリ:サボるアリ=2:8」に分かれるって法則。
サノ
よく働く2割のアリだけ残しても、そのうち8割はまたサボるみたいな説ですよね。
GACKTさん
そう。今の日本社会は非常にその状態に近いんだけど…
一番の問題は、“サボってる8割側の人間”たちが、「自分は頑張ってる」と思い込んでることなんだ。
今この記事を読んでいる人にも問いたい。
キミは、「疲れた」=「頑張った」と勘違いをしていないか?
サノ
疲れた=頑張った…?
GACKTさん
今の日本って、ほとんどの人が「給料制」だろ?
時給いくら、月給いくらというように「働いた時間」に対してお金が払われる。
サノ
はい。
GACKTさん
つまり、「そこにいる」だけでお金が発生してしまうわけだ。
だから、日本人は「9時間会社にいること」が仕事の目的になって、何の結果も出さなくても「ああ、今日も疲れた=頑張った」なんて発想になってしまってるんだよ。
なかには、「頑張ってる」と思ってもらうために疲れたアピールをする人までいる。
サノ
正直ちょっとその感覚はあるかもな…
GACKTさん
一方で、成果に対して報酬が支払われる「インセンティブ制」の世界で戦ってる人たちは、圧倒的に「結果を出す力」が高い。
それは、「結果を出した=頑張った」という世界で戦ってきたからに他ならない。
彼らは「こういう理由でできませんでした」と言い訳すらしない。だって、結果が出なけりゃ自分が食っていけないだけだから。「何とかする」しかないんだよ。
GACKTさん
明日から、世の中の企業すべてが「インセンティブ制」に変わったとしたら?
日本社会は、一瞬で崩壊する。「結果を出す力」がない人が多いから、生活できなくなる人であふれかえる。
サノ
でも、実際まだまだ給料制の会社のほうが一般的ですし…
現状生活していくうえでは問題ないのでは…? とも思ってしまいます…(ゴニョゴニョ)
GACKTさん
今までは、それでもよかった。でももう、状況は一変した。
みんな気づかなきゃいけない。このコロナ禍で、「会社にいるだけ」で生き延びられると思っていた人たちに“努力の質を変えなきゃ生き残れないタイミング”が来たってことを。
ボクが言いたいのは、「まさに今がそうなんだよ」ってこと。
「会社にいること」に対価を求めてきた人たちの分岐点が、今目の前まで来ている
GACKTさん
今回、コロナ禍でいろんな会社が経営難に陥った。
この状況で求められる「正しい努力」とは、何だと思う?
サノ
コ、コロナ禍で求められる「正しい努力」…!? 難問だ…
GACKTさん
経営視点に立って考えてみな。一発でわかるから。
会社のトップっていうのは、三角形の頂点にあぐらをかいて座っている人間じゃない。逆三角形の一番下で、三角形を支えるのが社長であり、会社のトップなんだ。
雇用する側は、「お金のことしか考えてない」とか「血も涙もない人間だ」とか言われることがあるけど、違う。結果にこだわらなきゃ、利益を出せなきゃ仲間を食わせられないんだ。
サノ
たしかに。
GACKTさん
そう考えたとき、三角形がただただ大きくなってしまったら、支えきれなくなってしまう。
「結果」を出せる有能な人間を残して、ムダな人間は省かなきゃいけないと考えるのは、仲間を守るために取る当たり前の選択なんだよ。
では、ここでいう「ムダな人間」とは誰なのか。
画面越しですが、取材現場の緊張度がぐっと上がってきた
GACKTさん
考える必要もない。「そこにいること」に対価を求め、結果を出す力を伸ばしてこなかった人たちさ。
生き残りたかったら、「努力の仕方」を変えていくしかない。そして、それに気づけるかどうかという分岐点が、今まさに目の前に来てる。
…キミはどう動く? って話だよ。
サノ
…今を生きる人間として、他人事では聞けない話だ。
GACKTさん
ボクが若い人たちにいつもアドバイスしているのは、「人を雇用する側に回れ」ってこと。
人生に一度でも、短い期間でも、どんなに小さな仕事でもいいから、雇用する側に回れ。
サノ
なぜそうアドバイスを?
GACKTさん
起業して、人を雇う側になって、自分でお金を払ってみな?
「頑張る」とは何か、一発でわかる。どんだけ人が動いてないかわかる。
そのときに初めて、「そこにいるだけ」だった自分の頑張り方にいかに危機感をもつべきだったか、本気でわかる。
サノ
「結果を求める側」を経験してみればわかると。
これ、「部下をもつ」「チームリーダーになる」とかでも実感できることなのかもな…
GACKTさん
日本は、なるべく「貧乏人」も「金持ち」も作らず、「真ん中」を増やす。
そして政治家は言うんだよ。「見てください。日本で仕事がない人たちはたった数%以下です。素晴らしい国だと思いませんか」って。
でも、毎日「そこにいるだけ」の9時間を過ごす人生が、本当に幸せなのか? 自分の人生をどう生きたいのか…今だからこそ一度本気で考えてみるといいよ。
「運」は、“90%まで努力した人”にだけ訪れるボーナス
サノ
最後に…
書籍に、「どれだけ努力をしても、ピースが足りない瞬間はある」と書いてありました。運の要素も必要だと。
やっぱり、どれだけ「正しい努力」をしても、報われない場合もあるんでしょうか…?
GACKTさん
「運がいい/悪い」は、あるかないかで言ったら間違いなくある。これは事実。
サノ
やっぱり…
GACKTさん
でも、ボクのいう「運がいい」というのは、90%まで到達して、最終的に200%の結果が出るとき。
反対に「運が悪い」のは、90%まで到達したけど、最終的に95%の地点で仕事が終わってしまうとき。
これだけの違い。つまり、「何事も90%までは自分の努力で決まる」って話さ。
かれこれ3時間、ずっと金言を生み出し続けていらっしゃる…
GACKTさん
つまり、どれだけ運が悪くても95%まではいけるんだよっていう話。
運なんてのはその程度のもんさ。ボーナスみたいなもの。
サノ
おまけというか。
GACKTさん
そう。ただし、「90%まで努力した人」にだけ出るおまけ。
世の中、何もしてないのにおまけを期待してる人が多すぎるよってことなんだ。
サノ
90%までやった人間にだけ訪れる大チャンスのボーナスが、運。
いやこれもう、間違いないわ…
ここでついに取材終了…時刻は日本時間で深夜0時! とんでもない濃度だった…
サノ
GACKTさん、今日は3時間も…本当にありがとうございました。
GACKTさん
最後にひとつ…今の時代、「いい言葉」なんていくらでも読み漁れる。
でも、記事を読んでも、自分がやらなきゃ何も変わらない。
キミ次第だ。自分次第だよ、全部ね。
怒涛の3時間ロングインタビュー、出し切りました。
振り返ってみれば、GACKTさんからのメッセージは、ひたすらシンプルでした。
「やれ」。
これ以上ダラダラと語っても蛇足にしかならない気がするので、潔く終わりにします。
僕も頑張ります。やります。
〈取材・文=サノトモキ(@mlby.sns)/編集=天野俊吉(@amanop)〉
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