ビジネスパーソンインタビュー
中島徹著『メガヒット・マーケティングの法則』より
ビジネスの本質は「出会い」「デート」「告白」。マーケティング初心者が理解すべき3ステップ
新R25編集部
ビジネスパーソンとしてさらに成長したいと思ったとき、マーケティングの知識はあっていいはず。
ただ、マーケティングを学ぼうと思っても、専門用語が多く、何から手をつけていいのか分かりづらいですよね…。
そんな人々に向けて、ハーバード大学客員研究員などを経て東京大学で助教授をされている中島徹さんは、今年1月に発刊した『メガヒット・マーケティングの法則』(ディーエイチシー)の中で次のように語っています。
「一見複雑に見える経済活動でも、普遍化された法則から俯瞰し当てはめてみれば、大半の成功したビジネスも、パターン化して理解することができる」と。
うまくいっているビジネスには、どんなパターンがあるのでしょうか。
私たちの身近な事例を紹介しながら、マーケティングの基本を解説している同書より、抜粋してお届けします。
ビジネスは「集客」ではなく「教育」が大切
ビジネスの本質は、「集客」「教育」「販売」の流れに集約されます。
一見シンプルで地味に感じるかもしれませんが、深掘りをすれば非常に完成度が高く、体系化されていることがわかります。
3つの流れを恋愛に置き換えて想像してください。
最初は、必ず「出会い(集客)」からスタートします。出会いを経ずに、次へ進むことはあり得ません。
出会って親密な関係になれば、お試し期間ともいえる「デート(教育)」へ発展しますよね。
デートで相手の好感触を得て、最後に「告白(販売)」が成功すると、晴れて恋人になれるわけです。
ビジネスも恋愛と同様に、どのステップを欠いてもうまくいきません。
3ステップの中で、最も重要度が高いのは「教育」。
多くの方は、集客が一番だと直感的に感じたと思います。
確かに、人々が商品を認知するきっかけとなる集客はビジネスの第一歩ですが、教育の重要性も恋愛に当てはめて考えるとスムーズに理解できます。
仮に出会いを重視して人とデートをしても、魅力をアピールできなければ、最終ステップの告白は成功しません。
チャンスは少なくても、デートを通じて魅力が正しく相手に伝われば、恋人になれる確率は大幅に上がるでしょう。
ビジネスも同様です。
「販売」の重要度が「教育」より低い理由もチェックしておきましょう。
ビジネスにおける販売は、恋愛の「告白」にあたりますが、「恋人ができる告白テクニック」や「絶対に成功する告白」は存在しません。
一目惚れで告白をして成功するケースも稀にありますが、たいていの恋愛は、前段階のデートでいかにアピールできるかにより決まります。
各ステップを分析して俯瞰すると、教育の重要性を理解できますが、大半のビジネスパーソンは集客に力を入れています。
広告やダイレクトメール、SNSなどに予算や時間を費やしてアクセス数を集めても、肝心の教育が疎かになると商品は売れません。
「教育」とは何か?
ビジネスにおける本質と教育の重要性を話しましたが、大前提としてビジネスにおける「教育」とは何でしょうか?
教育は、「事前教育」と「事後教育」に分解できます。
事前教育とは、集客した顧客に商品の魅力をアピールする購入前の行動。
事後教育は、一度商品を購入した顧客をリピーターにするための行動です。
冒頭でビジネスの本質として定義した教育は事前教育。
事後教育は、お客様サポートやアフターフォローなどに相当します。
事前と事後、両方大切であることはいうまでもありませんが、より重要度が高いのは事前教育です。
商品が売れなければ利益は生まれませんし、事後教育も必要ありません。
とても大切な事前教育について、解説を進めていきましょう。
ビジネスにおける事前教育とは、「商品の正しい価値をわかりやすく伝える」と定義できます。
まず、伝える相手(顧客)が「誰か」を意識してください。同じ商品でも顧客によって、適切な伝え方は大きく異なります。
ビジネスの現場に視点を移して、スマートフォンの販売を例に解説します。
インターネットビジネスにおいても役立つ考え方です。
例えば、スマートフォン自体を持っていない年配の客が来店したとします。
老眼でガラケーの画面が見えにくいと悩んでいる人に、「最新機種はカメラが超高性能。AIも搭載されて、インスタ映えする美しい写真を撮れますよ」と説明しても、何一つ魅力を感じてもらえません。
これは、SNSをフル活用している女子高生や子どもが生まれた親に刺さるトークです。
ガラケーが見えづらくて不便と嘆く年配客の購買意欲を高めるには、「スマートフォンは大画面で文字もくっきりしているので、老眼でも見やすいですよ」と紹介するのが、適切なアピールポイントになるわけです。
このように、「事前教育の手段」はターゲットによってまったく異なるため、あらかじめリサーチ(調査)し、相手の属性や背景を把握することが非常に重要です。
当然、 商品について誰よりも詳細に理解して臨む必要があることは言うまでもありません。
顧客の望む未来をイメージさせられるか
教育の内容についても掘り下げてみましょう。
人々が購買意欲をかき立てられるポイントは2つ。
「商品の購入によって得られる顧客の望む未来をイメージできるか」と、「イメージした望む未来を再現できるか」 です。
先ほどの老眼に悩む年配客を思い出してください。
年配客にとっての「望む未来」は、老眼でも携帯電話の文字を快適に見られること。
販売者は事前教育のステップで、スマートフォンを購入すれば望む未来が実現できることをイメージさせると同時に、「再現性」もアピールできます。
実際に手に取ってもらい、大画面や文字の見やすさを体験してもらえば、 購買意欲に火をつけられます。
紹介した2つのポイントは、ビジネスにおいて必須中の必須であり、事前教育を成立させる上での最低条件です。
「えっ、それだけ?」と思うかもしれませんが、逆にこの2つさえ押さえれば、購入に至る可能性は劇的に向上します。
なぜなら「買わない理由」がなくなるから。
購入を見送る理由が「お金の都合」だけになるまで事前教育の段階で顧客を導くのが理想です。
事前教育を成功させるには、顧客のリサーチが欠かせません。
先の年配客と会話をして、孫に会えず寂しがっていることを引き出すことができたら、次にスマートフォンのテレビ電話をアピールすることでさらに購買意欲は高まるはずです。
顧客の悩みを知り、「顧客の望む未来」と「再現性」を想起させられるようになれば、販売者としての市場価値も向上します。
ビジネスの流れや教育の重要性を理解した上で顧客に接すると、商品は驚くほど売れるようになります。
自分らしい「売り方」を知る本
「マーケティング」というと、3C、4Pなど、フレームワークを覚えるだけでもちょっと大変そう…と、尻込みしてしまう人は多いかもしれません。
しかし、中島徹さんの『メガヒット・マーケティングの法則』には、今から実践できる、具体的な答えが、わかりやすく解説されています。
『メガヒット・マーケティングの法則』より本書では僕が実際に学び、そして、世の中でも著名な結果を出している事例や知識などを筆頭に紹介していく。
その中には就活に失敗して引きこもりのニートのような状態から、30歳でサラリーマンの生涯年収に相当する利益を上げ、日本だけでなく海外でもビジネスで活躍するように化けた人だっている。
この人は何を学び、人生を変えることができたのか。その答えが本書に書かれている。
まずひとつ、ぜひ自分の一番身近なところで実践してみてください。
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