ビジネスパーソンインタビュー

「会ってお話しできるのはこれが最後と思えばいい」ホラン千秋が教える“目上の人へのコミュ術”

「はっきりモノを言う」には、どうすれば…!?

「会ってお話しできるのはこれが最後と思えばいい」ホラン千秋が教える“目上の人へのコミュ術”

新R25編集部

2021/03/30

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何かと難しく感じることの多い、「目上の方とのコミュニケーション」。

「あわよくば気に入ってもらいたい…」と思うあまり過剰に気を遣ったり、全部言いなりになってしまったり、悩みを抱えている人も多いと思います。

いったいどんなふうに接するのが正解なの…?

今回はそんなモヤモヤを解決すべく、夕方の報道番組『Nスタ』でキャスターを務め、大物に対して毅然としたコメントを放ちつつも好感度の高いホラン千秋さんにアドバイスをもらうことに。

目上の方とうまく付き合うための「気遣いのポイント」を聞きました。

〈聞き手=菅原さくら〉

【ホラン千秋(ほらん・ちあき)】1988年東京都生まれ。アイルランド人の父と日本人の母をもち、6歳よりモデルを始める。青山学院大学卒。現在は、「Nスタ」(TBS)、「SONGS OF TOKYO」(NHK)をはじめ、数々のレギュラー番組に出演するほか、新聞でも連載をもつ

「目上の方」というレッテル貼りこそが諸悪の根源

さくら

報道にバラエティ、さまざまなシチュエーションで数々の大物と渡り合ってきたホランさん…

きっとすばらしい気遣いのコツを教えてくれると思ってオファーしました!

ホランさん

ちょ…ハードル上がっちゃってますよ!(笑)

「役に立つこと言えるかな…」と心配そうなお顔。かわいい

さくら

さっそくですが、ホランさんは「目上の方」と接するとき何に気をつけていますか?

ホランさん

まず、「目上の人」というレッテル貼りをしない

私これ、ひとつもいいことないと思っていて。

さくら

どういうことですか?

ホランさん

「目上の人に喜ばれる話し方」とか、もちろん傾向はあると思います。が!

元も子もないことを言うと、結局は「人それぞれ」なんです。

相手のタイプも人それぞれなのに、「目上の人」全員に喜ばれるようなことをパターン化するのは難しいのではないでしょうか

ホランさん

それこそ、「マナー」って陥りがちな落とし穴で。

たとえば飲み会の注文。コップが空に近くなってから聞けばいいのに、マナーが過剰になりすぎて半分以上残ってても「次どうしますか?」って確認したりするじゃないですか。

「相手のため」じゃなく、「自分のための得点稼ぎ」になってることがけっこうある。

さくら

たしかに「マナーを守る」こと自体が目的になってるシーン、ありますよね。

お酒を注ぐときにはラベルを上にする、みたいな。

ホランさん

「マナーを知ってます」と証明するためだけの行動だったら、やらなくていい気がしていて。

もちろん人としてある程度のマナーが必要なことは大原則ですが、かたちだけのマナーで点数を稼ぐくらいなら、仕事で点数を稼いだほうがずっといい

そっちのほうが、圧倒的に評価につながると個人的には思います。

ド正論

さくら

「目上の人にはこうすればいい」と当てはめて考えると、「相手のため」から遠ざかってしまうと。

ホランさん

結局、 “いち人間”として向き合って「相手が喜ぶこと」を探っていくしかないんですよ。

当たり前で地味な答えに感じるかもしれないですけど、これができてる人って意外と少ない気もします。

ここが「目上の方との向き合い方」のスタートラインなんじゃないかな。

ホランさんがたどり着いた“目上の人のためにできるシンプルなこと”

ホランさん

ただ、「目の前の相手のため」を考え抜いた結果…

結果的に、多くの目上の方が喜んでくださることが一つあって。

さくら

おお! 何なんですか?

ホランさん

はっきりモノを言うこと」。

これは、相手がすごい方であればあるほど効果を発揮することがあります。

もちろん、失礼にならないようにする工夫が必要ですが。(笑)

ホランさん

私自身、自分より年下のタレントさんやマネージャーさんと関わることが増えてきたのですが…

悩みの一つが、「ダメ出し」をしてもらえないこと

すごくよかったです~!」「ダメなところなんてありません…!」で終わることが増えるので、はっきりダメ出ししてくれる若手ってすごくありがたいんです。

さくら

たしかにそれはそうかも。

でも、ホランさんが逆の立場だったら、先輩や上司にズバッと指摘できますか…?

ホランさん

それはもちろん…間柄によりますけど(笑)。

でも、そこを頑張って言うんです。私の場合は、言い方を工夫してるかな。

よかったところをお伝えしてから、深刻な空気にならないようちょっとおどけたトーンで「でも、ここはこうだと思いましたァ~」って言ってみたり(笑)。

「おどけたトーン」を再現してくれるお茶目なホランさん

さくら

憎めない!(笑)

ホランさん

あと反論したいときには、「架空の第三者に代弁させる」もよくやります。

「ときどきこういう意見も聞きますけど、どうなんですかね?」みたいに、架空の第三者を登場させるといいですよ。

そうすると、「私は間違ってると思います」じゃなくて、「私は何が正しいのか知りたいんです」という謙虚な姿勢で意見をぶつけられます。

自分と先輩と、ここらへんに「第三者」を存在させるらしい

さくら

でもたしかに、「ストレートにものを言う若手のほうがかわいがられる」みたいな場面、けっこう目にするかもしれません。

ホランさん

以前、指原莉乃さんも「すごく偉い人にはフランクに接すると、むしろ面白いと思ってもらえる」という話をテレビでされていて。

目上の方が相手だとみんな恐縮してしまいがちなんですけど、その中でしっかりと自分の意見が言える人はむしろ相手の印象にも残るんですよね。なので、結果的に自分のためにもなる。

私もまだまだ勉強中ですけど、思い切ってできるだけ伝えるようにしています。

緊張も「二度と会わない」と思えば解決

さくら

でも、大物が相手だとやっぱり緊張しちゃうんですよね…

ホランさんは緊張しないんですか?

ホランさん

いや、私もめちゃくちゃ緊張してますよ?(笑)

あれ?

ホランさん

ただ突き詰めて考えると、緊張するのって「気に入られようと思ってるから」だと思います。

今後の損得を考えるから、余計な力が入っちゃう。

さくら

うっ、おっしゃる通りかも。

でも、「気に入られたい」ってつい考えちゃいますよね…? 力を抜く方法なんてあるんですか?

ホランさん

私がひそかに徹底してるのは…「会ってお話しできるのは、これが人生で最初で最後のチャンスかも」と思うこと。 

さくら

どういうことですか…!?

ホランさん

極論、「この人とはもう二度と会わない」と思うと“気に入られるかどうか”じゃなく、お互いが楽しい時間を過ごせる環境づくりに集中できます。

あえて失礼なことを言ったりとか、恥をかいたりしましょうってことではなくて…

仮に何か失敗してしまったとしても、「二度と会わない」と思えば自分の評価がどうでもよくなって、少し肩の力が抜ける気がしています。

二度と会わない…?

ホランさん

私、どんな職業も、いつお仕事がもらえなくなってもおかしくないと思ってるんです。

どれだけキャリアを積んだって、保証なんて何もない。もともと何もないところからスタートしてるので、逆を言えば失うものも何もない。元いた場所に、もとの自分に戻るだけです。

ならいっそ後悔のないよう言うべきことを言って、やれることをやりきりたい。それで仕事がなくなるなら未練もないし、納得できます。

さくら

潔い…!

言いたいことがあっても、「先につなげたい」と保身に走って言えない人も多いと思いますが…

ホランさん

いや、できることなら先につなげたいんですよ、私も!(笑)

でも、今振り返ってみると、曖昧に誤魔化さずに自分の意見を発信して、一つひとつの仕事を全力で積み上げてきたことが私をここまでつなげてきてくれたと思っています。

もう生き様がかっこいいです…

最後にホランさんから意外な一言が。「ゴマすりも立派な才能」

さくら

ホランさんは、とにかく「本音で向き合うこと」を大切にしてきたんだなと感じました。

ついゴマをすってしまう人にとっては、すごく刺さる話だったと思います。

ホランさん

あっでも私、「ゴマをする」ってひとつの才能だと思いますよ?

ゴマすりが才能?

ホランさん

どうすれば相手に喜んでもらえるか見極めて、それを適切に表現できるのは、立派な才能ですよね。

卑屈なイメージを持たれることもありますが、「相手のため」を考えなくちゃできないことだと思います。

さくら

なるほど。

ホランさん

ただ同時に、得意な人だけがやったほうがいい高次元のテクニックだと思います。

相手や自分のキャラによって、伝わり方が全然変わってしまうので。

下手なゴマすりをやるくらいなら、思い切って言うこと言ったほうがずっといいんじゃないかな。一日に一回だけでもいいから、勇気を出してみる。

ささやかなチャレンジを積み重ねることで、免疫がついていったり、距離感が掴めたりしますからね。自分なりのペースでこつこつハードルを越えて、目上の方とうまく渡り合えるようになっていきましょう!

「目上の方」というレッテルを貼らずに、ありのままのその方を見つめること

相手に気に入られようとせず、自然体の自分で接すること

でも、言うべきことがあるときには臆さず、方法を考えながらも真摯にぶつかること

ホランさんが教えてくれた極意をもってすれば、目上の人と接することって、そんなに怖がらなくていいのかもしれません。

「失うものは何もない」とまでは思えなくても、これからはあんまり損得や評価を考えず、目上の人と向き合っていきたいです。

〈取材・文=菅原さくら(@sakura011626)/編集=サノトモキ(@mlby_sns)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_

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