ビジネスパーソンインタビュー
伊藤羊一著『1分で話せ2【超実践編】』より
左脳型の「聞く力」と右脳的な「聴く力」の違いは? 伊藤羊一による“理解力が上がる”聞き方
新R25編集部
「会議やプレゼンの場で、話がうまく伝わらない」
「メンバーが一生懸命話しているのに、内容が頭に入ってこない」
そう悩んでしまうビジネスマンも多いのではないでしょうか。
Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長の伊藤羊一さんは、新刊『1分で話せ2【超実践編】 世界のトップが絶賛した即座に考えが“まとまる”“伝わる”すごい技術』(SBクリエイティブ)の中で、「ビジネスでのコミュニケーションは原則“ピラミッド”のやりとり。ピラミッドさえできてしまえば、すべてのアウトプットが簡単に、ロジカルに整理できる」と言います。
50万部を突破した前著『1分で話せ』を、よりさまざまなシチュエーションで活かせるよう、【実践編】とした同書より、コミュニケーションに役立つ内容を抜粋してお届けします!
人の話はピラミッドに当てはめると、理解力が上がる
相手の話を「ピラミッド」で理解することで、「聞く力」のトレーニングにもなります。(※下記図参照)
商談や会議など仕事の場であれば、相手は、意識しているかはさておき「結論+根拠」 で話しているはずです。
僕は、仕事で人と話すときには、頭の中でピラミッドを組み立てながら聞いています。
「この人の言っていることの根拠は3つあるんだな。さっきの話が1つ目の根拠で、今の話は2つ目の根拠だな」
というようにです。
つまり、ピラミッドの「結論+根拠」にあたる情報の箱を頭の中につくって、話を聞きながら、箱の中に振り分けていくのです。
箱に振り分けながら話を聞いていると、何が話の幹なのか、そこに何が足りないのかということがわかりやすくなります。
一生懸命話してくれているのに、何が言いたいのか、いまひとつわからない......そんなふうに感じた経験はないでしょうか。
そんなときには、ピラミッドを一緒につくってあげると、相手も話しやすくなります。
「さっき言っていたことに加えて、こういう根拠もあるんですね」
「今、結論が出ていないけど、つまり、こういうことでしょうか?」
というようにです。
相手の話を聞きながら、結論・根拠・ 事例の箱を頭の中につくって、一つひとつの話を箱に振り分けていくのです。
そして、「結論がないな」と思ったら「なぜそう考えられたのですか?」と聞いてあげたり、事例がなければ「たとえば、どういうことですか?」と足りないところを補ったりして整理すると、相手も話しやすくなります。
話が噛み合わないときは「前提」を疑う
相手の話が理解できないときは、話がかみ合わないことも多いです。
話がかみ合わない感じがするときに起こっていることとして「隠れた前提がある」ということがあります。
一応、ピラミッドは双方でできているはずなのですが、何かぎくしゃくしている気がする。
そうしたときは、「前提」を確認してみてください。
たとえば、
「もしかして、今話しているのは、オンラインでの販売の話ではなくて、実店舗のお話でしょうか?」
「もしかして、今話しているのは、あなたのお子さんの話ではなくて、配偶者の話?」
などと聞くことで、お互いの認識を合わせることができます。
実際にピラミッドの構造は同じでも、その素材がセメントじゃなくてアスファルトでできてますとか、エジプトではなくてメキシコに建ってましたとか、そんなことがあるのです。
前提は確実に共有するようにしましょう。
こちらが話す側であれば、「〜の話なのですが」と最初にはっきり示すことが大事です。
相手が「ただ話したいだけか」「問題を解決したいのか」を見極める
なかには、結論もなければ根拠もない人もいます。
商談やプレゼンテーションの場だったら、困ってしまいますが、日常生活の中ではよく耳にするのではないでしょうか。
友達同士、家族同士で話すときには、結論や根拠もなく、起承転結もない話がほとんどです。
ピラミッドというのは、相手を動かすときに必要なものです。
そうした場面とは別に、ただ話を聞いてほしい場面というのもあるわけです。
ヤフーでは週に1度、マネージャーとメンバーが1on1ミーティング(1対1で行なう対話)を行ないます。
もちろん仕事の話をすることが多いですが、
「最近どう?」
「いや、実はプライベートでショックなことがあって、そっちが気がかりなんですよね…」
といった感じで、とりとめもない話をすることもあります。
そういうときは、頭の中のピラミッドを一旦捨て、「うん、うん」とうなずきながら、相手の話を受け止めることに集中します。
誰でも、嫌なことがあったり、逆に嬉しいことがあって、とにかく誰かに聞いてもらいたいと話したのに、
「うん、それで結論は?」
「どうしてそう思ったのか、根拠がわからないよ」
と言われたら、カチンとくるのではないでしょうか。
恋人や友人同士の会話で
「上司がこんなむかつくことを言うのよ。私も一生懸命頑張ってるのに、ひどいと思わない?」
と、ただ共感してほしいから話をしているだけなのに
「それは相互理解のためのコミュニケーションが足りないのではないか。それを解決するには、まず第一に…」
などと、問題解決のための方法を伝えてしまい、「あなたは何もわかっていない!」と言われるような経験も、皆さん、ありませんか。
相手が「ただ話をしたいのか」、それとも「問題を解決したいのか」ということを見極めて、「聞く力を切り替えること」が大事です。
マネジメントにおいて、メンバーがいきいきと仕事ができる環境をつくることは大事な仕事の1つですから、メンバーが抱えている問題をロジカルに解決するサポートをするのと同時に、精神的にもよいコンディションで働けるようにケアする必要があります。
そのために、相手が抱えている感情的なモヤモヤを解決するサポートをしたいのですが、感情的なモヤモヤはロジカルに解決することはできません。
マネージャーがずっと左脳型の「聞く力」ばかりだと、メンバーは「ちょっと困っていることがあるんだけど、ちゃんとした結論も出ていないし、もう少し考えてからにしよう」などと思って、なかなか相談してくれなくなるかもしれません。
「あの人に言っても、理詰めで返されるだけだから、きっとわかってくれないな」と考えてしまうからです。
ピラミッドを一緒につくる左脳型の「聞く力」。
受け止めて、共感することにフォーカスする右脳的な「聴く力」。
この2種類が必要なのだと思います。
今日から実践できる!「伝え方」の基本が分かる本
同書は、相手へ話すときの伝え方の基本から、さまざまなシチュエーションでの伝え方、聞き方が分かる一冊です。
「発言してもイマイチ理解されない…」と悩む方にとってヒントが満載ですよ。
もうすぐ4月。
新生活シーズンを迎える前に、ぜひ伝え方を学んでみませんか?
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