ビジネスパーソンインタビュー
与沢翼著『お金の真理』より
新しい出会いを喜ぶ人は衰退する。僕が「人間関係は損失」だと考えるワケ
新R25編集部
「お金を稼いで自由に生きたい」「豊かな生活が送りたい」
そう願う人々に向けて、実業家で投資家の与沢翼さんは『お金の真理』(宝島社)を上梓しました。
お金持ちになるために何をすべきか。逆に、やってはいけないことは何なのか。
同書には、与沢さんのお金や人生に関する「本音」が語られています。
今回はそのなかから、「人間関係」についてお届けします。
基本原則は何事も「疑う」
世の中に罠がたくさんある以上、お金を守っていくには、トラップに引っかからないための回避能力を身につける必要があります。
そのためには、何事も「疑う」を基本原則にするということです。
まったく疑う気持ちがないと、悪意を持って近づいてきた人にだまされる可能性が高くなることは、容易に想像がつくはずです。
まず、人の気持ちは豹変するという真理を知っておいてください。
相手の気持ちや考えが知らぬうちに変わっていることも含めて、すべてをまずは疑うことを基本原則にすれば、そうしたリスクを容易に回避することができます。
私が思うに、信じる人というのは弱い人です。柔軟に生き延びることができず最初に死滅する人種とも言えます。
誰かを疑うことをせずに妄信したら最後なのです。
もはや人生の墓場に直行させられても仕方がないと肝に銘じてください。
信じてから疑い始めるのではなく、まずは疑うことから入り、信じられる人とだけ関係を少しずつ育てていく、というのが正しい順序です。
人付き合いは損失を生む
これから成功しようとしている人には、人脈づくりが重要だと思い込んでいる人が多いことでしょう。
転職支援会社が20代から50代のサラリーマン1000人を対象に、人脈に関するアンケート調査を行ったところ、9割以上の人が「ビジネスでは人脈が重要」と答えたそうです。
また、人との関わりを大切にすることによってビジネスが加速すると考える人も9割以上いました。
しかし、人脈がお金を稼ぐことにつながるとはかぎりませんし、人が集まれば集まるほどトラブルや人災も起きやすくなります。
また人脈がお金になると思っている人は基本的に他力本願といえます。
誰かが助けてくれるだろう、誰かがいい話を持ってきてくれるかもしれない、そういう淡い期待が裏にあるのが見え見えなのです。
私の経験から断言できるのは、人脈は純資産の拡大において最終的にはマイナスに働くということです。
なぜなら、問題を持ってくるのは人間だからです。
人が数人でも集まればもう利害関係や醜い感情が生まれます。
仮に3人でビジネスをやれば利益は3等分に減ります。
3人がかけた労力が同じだとした場合で、万一その中の1人が利益を多く取っていたとすれば、他の2人は不満を抱え始めるでしょう。
私自身も、かつては多くの人に会い、その人脈を活用するのが経営者でありビジネスマンの責務だと思っていました。
経営者だった当時は、ご新規の人でも何かいい提案があるかもしれないから話ぐらいは聞いてみようと考え、来るもの拒まずで一日に10人でも会っていました。
そのアポイントメントをさばいていくことも自分の仕事のひとつだと勘違いしていたのです。
夜もさまざまな人と会食するのがルーティンになっていました。
そうやって膨大な時間を人脈づくりに費やしてきましたが、あとから振り返ると、自分にとってプラスになることは何ひとつありませんでした。
むしろ、そのほとんどが損失につながっていたのです。
たしかに、いろいろな情報も入ってきますが、よくよく考えてみると自分とは関係のない話ばかりでした。
自分にとって大切なことは自分がいちばんよくわかっているはずです。
よくわからない新規の分野に一度でも手を染めれば、損失を広げたり、本業が疎かになるだけだったわけです。
また、人脈が、人脈が、と呪文のように唱え、多くの知り合いがいることを自慢するような人は、他人を「金儲けのための道具」と見ていることが多いです。
この人と知り合えば自分が儲かる、得をするという下心があるからこそ近寄ってくるのです。
人間が数人でも集まれば人間の醜い感情はすぐ露呈してくるのです。
私はこうした面倒なことは事前にすべて回避しています。
とくに今回のコロナショックによって、今後はインターネットの各分野がさらに成長します。
人脈は宝だ、などと言っていたのでは、もはや時代錯誤に陥るはずです。
人付き合いは“人間関係の懲役刑”
人間の織りなすしがらみというのは、想像できる以上に絡まっており、知らず知らずのうちに自分がなす意思決定に悪影響を与えていることが多々あります。
ですから新しい人との出会いを自分が喜び始めたら、もはやあなたの衰退は近いと心得てください。
成功するために必要な要素は多くの場合、自分の内側に存在しているのです。
自分の心、自分の努力、すでに存在してくれている周囲の人との協力がすべてです。
結論から言って、人脈を広げてもお金には結びつきません。
人脈というのは、将来的にお金を奪っていくもので、むしろ「負債」なのです。
なぜなら、人付き合いをしていくなかで、金銭にかぎらず人は自然と貸し借りをしていくからです。
「〇〇を紹介するね」「〇〇について教えてあげる」「おめでとう、私からの気持ちです」といった具合です。
しかしながら、こうした相手のよかれと思う善意に対して、こちらだけ悪意で返すことはできないため、不要な提案を採用する無駄も生じます。
他人から受け取る善意というのは実は非常に高くつきます。
誰かと懇意にするほど、行きたくもない会合に出席する羽目になったり、本当は必要ではないものまで空気を乱さないためだけに買う羽目になったり、時にお金を貸したりする必要すらも出てくるわけです。
とくに、仕事上で欠かすことのできない大切な人間というのは、割合で言うと数千人に1人いるかどうか、5年に一度出会えたら多いくらいです。
吟味すれば、自分にとって本当に必要なステークホルダーは驚くほど少ないことがわかってきます。
ただし、大手企業の経営者なら事業提携なども関わってくるのである程度の人脈が必要です。そういった例外を除く多くの人にとっては、人脈はトラップであり負債であると断言します。
「会合や交流会に誘われたら必ず顔を出しておく」「出会いは多ければ多いほどいい」こんな考えを持っているなら、時間とお金のロスなので今すぐ捨ててください。
そうした薄い人脈には長期的にお金を減らすマイナス作用があります。
お金を減らすだけでなく、悩みの多い人生になることも確実です。
いくら楽しい相手であっても、甘く見えるその蜜こそが時間をかけて猛毒になっていきます。
だから、安易に人と関わるべきではないのです。
このように、よく考えれば人付き合いは長期的には負債でしかないのです。そんな負債だからこそ、本当に大切な少数の人だけに絞って人付き合いをしてほしいのです。
「こいつのためなら自分は損してもいい、いや損得ではないのだ」と思えるくらいの相手でないと付き合うべきではないといえます。
安易に広げれば、今度は人間関係の「懲役刑」を長年くらうことになるでしょう。
お金と真剣に付き合っていますか
同書の中で、どの話からもありありと伝わってくることがあります。
それは「本当のお金持ちは、お金に敬虔である」ということ。
豪快に大盤振る舞いをしているように見えていても、実は冷静にお金の価値を見極め、自分の性格や傾向をよく知ろうと努力しています。
与沢さんの本音を余さず語った『お金の真理』。
人間とお金の本当の関係を再度問い直させられるような一冊です。
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