ビジネスパーソンインタビュー
武元康明著『30代からの「異業種」転職 成功の極意』より
転職の成功/失敗は「OS」のマッチ具合で決まる。一流ヘッドハンターが語る転職の極意
新R25編集部
就職してしばらく経つと、頭をチラつく「転職」という言葉。
「今の仕事がツラいからほかのところへ行きたい」「キャリアアップしたい」など、転職を希望する理由は色々あるでしょう。転職サイトや転職エージェントをのぞいてみたことがある人も、きっと多いはず。
しかし実際に転職をした人たち全員が満足しているかというと、そうではありません。特に異業種の転職は難しいとされています。
そのハードルを乗り越えるのに役立つ本が『30代からの「異業種」転職 成功の極意』です。著者は、2万人以上を企業とマッチングさせてきた、一流ヘッドハンターの武元康明さん。
武元さんが語る「転職成功の極意」について、書籍から抜粋してお届けします。
【武元康明(たけもと・やすあき)】1968年生まれ、石川県出身。日系・外資系、双方の航空業界を経て、1998年に人材ビジネス業界へ転身。22年の人材サーチキャリアを持つ、世界有数のトップヘッドハンター。欧米的な職務能力だけ評価するヘッドハンティングではなく、独自のマッチング理論を確立・実践し、評価を受けている。現役ヘッドハンターとしてクライアント対応から候補者インタビューまで幅広く手がけ、全国各地を飛び回る。テレビドラマ監修をはじめ、CM出演、執筆など幅広く活動中。著書に『ヘッドハンターはあなたのどこを見ているのか』(KADOKAWA)、『会社の壁を超えて評価される条件』(徳間書店)がある
転職の成功/失敗は、自分と企業のOSのマッチ具合で決まる
転職の成否を分けるのは、まず「OS」のマッチングです。私が定義するOSはコンピュータでいうオペレーティングシステム(基本言語)をイメージしてください。
自己のOSは、自分自身が持っている固有の資質や行動原理、理念、信条などです。これが企業のOS(企業風土)と合っていないと、どれだけ素晴らしいアプリケーションソフト(スキル・実績・ノウハウ)を持っていても起動させることができません。
逆にいうと、自己のOSと企業のOSがマッチしていれば、業種や職種の壁を超えた転身・転職を成功させることができるのです。
同業種・同職種への転職は失敗する確率が意外と高い
こう書くと意外に思う人が多いのではないかと思いますが、実は同業種、同職種への転職は要注意。失敗する確率がけっこう高いのです。
これがまさにOSの問題で、どの会社にも企業固有のやり方や、経営の特徴が存在します。同じ業界のしかも同じ職種の場合、とくに実績や成果を上げている人になればなるほど、前職の会社でのやり方を持ち込んでしまいがちになります。
具体的には、「前の会社では〇〇だった…」といった言葉が出るようになったら、かなりの注意信号だと思ってください。
実績があるゆえに安易な判断をしがちだという面もあります。いずれにしても、同業種、同職種への転職は慎重に考える必要があると思っています。
個人のOSと会社のOSが合わないときは必ず失敗すると言ってもいいでしょう。
企業風土のなかでもマネジメントスタイルに注目しよう
企業風土の違いでいちばんわかりやすいのがマネジメントのスタイルです。
よく言われる類型にトップダウン式とボトムアップ式がありますが、純粋なボトムアップは極めて珍しいと思います。
実際は、ボトムアップではなくミドルアップダウンというケースが多く、要はトップダウンとボトムアップの中間型のマネジメントだと思ってください。
日本では、トップダウン型の企業と、このミドルアップダウン型の企業が混在しています。これがかなりはっきりしているのがスーパー業界の大手各社です。
イトーヨーカドーとイオンはトップダウン型で、いまはイオンに買収されてしまいましたが旧ダイエーは私が見たところ、典型的なミドルアップダウン型でした。
これは、いい悪いではなく、合うあわないの問題です。どんなに優れた人材であってもトップダウンマネジメントの会社では、トップダウンに慣れた人、トップダウンに合っている人でなければうまくいきません。
大企業の仕事に慣れてると、中小企業で成果を出すのは難しい!?
マネジメントのスタイル以外でミスマッチを犯しやすい要素として、会社の規模があります。
例えば、ある大手企業の出身で、事業部のナンバー2、ナンバー3だった人がいたとします。そういう人が規模の小さな会社に転職したらどうなるか?
会社の規模が大きいと従業員の人数が多く、分業体制になっています。そういう会社での仕事に慣れている人は、よほどの覚悟がないと規模の小さな会社ではつとまらないといってもいいでしょう。
規模が小さくなれば、ひとりで何役もこなさなければならず、そのなかで成果を出していかなければならないからです。
組織が完成している大企業で実績を残したから、中小企業に転職しても活躍できると甘く考えて失敗するケースもあります。
大企業での成績は、チームがあってこそのものだった可能性が高く、単純な話、大企業では経費精算やコピー取りなど、アシスタントにまかせていたものが、中小企業に転職するとすべて自分でしなければならなくなります。
当然、業務効率も下がります。営業職では使える接待経費の額も違ってくるでしょう。大企業時代のようなパフォーマンスが上げられず、ストレスも溜まってくるかもしれません。
転職をした後に、「こんなはずじゃなかった」ということにならないためにも、このあたりのチェックは忘れないようにしたいものです。
オーナーの信仰により、思いもよらぬミスマッチが起きる恐れも
企業カルチャーのギャップということでは、実に意外なことが関わってくることもあります。
これは、私が実際に体験した話です。当時急成長中だったある小売チェーン会社から、アッセンブリメーカーの生産ノウハウを小売業に導入したいので人材を探してほしいという依頼を受けました。
いろいろ当たって、最終的にはキヤノンの出身者が採用されることになりました。
そこまではよかったのですが、入社して数年経つと想像もしなかった難しい問題が出てきたのです。
その小売会社のオーナーが新興宗教にハマっていて、社員にも入信をすすめるようになったと言うのです。
オーナーの信仰については私も事前に聞いていて、求職者にも伝えていたのですが、仕事上の不都合はないと考えていたのです。
入社当時は心配もまったくなかったようで、社内にもそんな色はなかったといいます。
それが年数を経るにつれて宗教色が出てきたということで、私も求職者からクレームの連絡をもらって驚いたものでした。
これは判断が難しいところです。企業経営者に限らず政治家も責任が大きく孤独な仕事ですから、大きな決断をするときに占いや宗教に頼ろうとする人が少なからずいるのは事実です。
まったく気にしないで働いている人も大勢いますが、気になる人には気になることだと思います。この判断は、自分でするしかないと思います。
一流ヘッドハンターが語る「転職の極意」をもっと学ぼう
転職の成否は自分と企業のOSがマッチしているかどうかで決まる。
武元さんの「転職の極意」を頭に入れ、そのマッチ具合を判断できるようにしておきたいですね。
より具体的な事例が書かれている『30代からの「異業種」転職 成功の極意』をぜひ手にとってみてください。
ビジネスパーソンインタビュー
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