ビジネスパーソンインタビュー
まずは自分にハッタリをかませ
【無料試し読み】堀江貴文『ハッタリの流儀』
新R25編集部
目次
- 「ハッタリ」は、覚悟という名の信用。大きな成果をもたらす人生の最高奥義だ
- まずは自分にハッタリをかませ
- 「自分ならきっとできる」とハッタリをかまそう
- パクってパクってパクりまくる
- ハッタリは「覚悟」という名の「信用」
- 常識を捨てるだけでは足りない。ハッタリをかますために捨てるべき4つのコト 仕事・ビジネス
- もっともらしい言葉を捨てろ
- 親の教えを捨てろ
- プライドを捨てろ
- 大人になることを捨てろ
- いいスライドは「解説するための資料」ではない。ホリエモンの“ハッタリ”プレゼン術
- 「いいプレゼン」の絶対条件
- 相手の心をつかむハッタリ実例
- プレゼン資料はシンプルが一番
- 「ハッタリ」を武器に成長する方法はこちら
- 『ハッタリの流儀』の特設サイトはこちら
起業家・堀江貴文が突出した存在になれた理由。
それは「大きなハッタリをずっとかましてきたからだ」と堀江さんは言います。
プロ野球の球団やフジテレビの買収、選挙に出馬、ロケット打上げなど、まわりから無謀とも言われるチャレンジをして、日本中にホリエモンという名を知れ渡らせました。
そんな堀江さんの著書『ハッタリの流儀』では、みんなが腰を抜かすようなことを言いつづけ、それに挑みつづけることで、自分の株を上げる方法が語られています。
同書より、自分の価値を上げる堀江さんの「ハッタリ術」を抜粋してお届けします。
「ハッタリ」は、覚悟という名の信用。大きな成果をもたらす人生の最高奥義だ
まずは自分にハッタリをかませ
ハッタリをかます人には共通点がある。それは「根拠のない自信」を持っているというところだ。君から見たら能天気なバカかもしれない。
ハッタリ人間たちは、
「やったことはないけれど、きっと自分だったらできるはず」だと信じている。つまり、他人より先に自分に対してハッタリをかましているのだ。
大学を中退して起業する直前、IT企業でアルバイトをしていたときのことである。個人で仕事を請け負うチャンスがやってきた。
「堀江くん、オラクルのWEBシステムを制作する案件があるんだけど、会社を通さずにやってみない?」
案件を紹介してくれたのは、仕事でやり取りしたことがあった人だった。
「やります! やらせてください」
僕は、“いつもの通りに”即答した。
オラクルというのは、データベースを提供している世界トップの企業である。
このとき僕は、オラクルのデータベースなど使ったことがなかったし、データベースサーバーのこともよくわからなかった。
しかし、僕は「やりたい」という直感に従い、涼しい顔で快諾した。そしてその足ですぐに書店に行き、参考書を何冊も買い漁った。
ハッタリをかましてとりあえず請け負ってしまえば、あとは何とか実現できてしまうものである。必要な情報や知識は、必死に取り組んでいるうちに必ず後からついてくるのだ。
結局僕は、ひたすら勉強しながら、何とかシステムを作り上げることができた。
そして、さも当然のことのように、何食わぬ顔で納品したのだ。
ハッタリをかまして受けたこの仕事で、僕はわずか数カ月の作業で90万円もの報酬を得ることができた。当時、時給1200円のアルバイトだった僕にとって、これは大きな衝撃であった。
僕が後に起業を決断したのは、この体験が根底にある。
「自分ならきっとできる」とハッタリをかまそう
実は、僕がインターネットに出合ったのも、小さなハッタリがきっかけだ。
今でこそ誰もが知っているアップル・ジャパンという会社が、六本木ヒルズではなく、まだ千駄ヶ谷に全面ガラス張りのビルを構えていた頃のことだ。
僕は、月に1回そこに出入りしていた。アルバイト先の会社が、アップル社の開発者向けパソコン通信サービスの運営を担当していたからだ。
ある日、定例ミーティングの席で、アップルの担当者からこんな打診を受けた。
「うちのホームページを作ってくれない?」
1994年の暮れの話である。当時、「ホームページを作る」という行為が即座にイメージできないのは、僕だけではなかったはずだ。
内心かなり焦ってはいたものの、決してそれを顔には出さなかった。
そして当然、「ああ、あのことですね」といった口調で、自信満々にこう答えた。
「わかりました、ちょっと作ってみますね」
1994年というのは、パソコン通信からインターネットへ移行する過渡期にあたる。インターネットについての一般的な認知や普及は、ほとんど進んでいなかった。
僕は会社に戻るなり、大急ぎでホームページについて調べまくった。
先輩に聞いたり、書店で買い込んだ関連書籍を読み漁ったりしていくうちに、僕の心はどんどん高揚していった。
こ、こんな世界があったのか! そこには、圧倒的に自由な世界が横たわっていた。
僕はこうして持ち前のハッタリをかますことで、誰よりも早くインターネットに出合うことができた。
「ハッタリをかましてその後で辻褄を合わせること」は、あらゆる場面で大きな成果をもたらしてくれる。僕はこれを、人生の最高奥義だと思っている。
僕は「ハッタリ」と「その後の辻褄合わせ」によって、大切な局面において人生を大きく前進させ続けてきた。
ただ、「ハッタリをかませ」と聞くと、多くの人は、外に向かって虚勢を張ることを想像するだろう。
確かに外に向かってハッタリをかますのは大切なことだ。しかし、いきなり外に向かってハッタリをかませられる人など、そう多くはいないだろう。
その前に、まずは自分自身に向かって「自分ならきっとできる」とハッタリをかまそう。
パクってパクってパクりまくる
今の時代、いざやってみればできないことなんてほとんどない。
昔は情報が少なく正解がわからないことがたくさんあったから、どう勉強すればいいかすらわからなかった。
しかし今やインターネットで検索すれば、その分野で大きな成果を上げている人がいくらでもノウハウを公開している。
起業の仕方、動画の編集、オンラインサロンの開き方、ベストセラーの出し方、その成功ノウハウが溢れている。
たとえばダイエットの方法を探る場合は、「短期間で体重を落とした人の方法論」を探っていくことになるだろう。
営業の方法を調べるならば、「自分が売りたいものと同じ分野で、最も高い売上を誇っている人のノウハウ」から調べ上げていく。
英語の勉強法なら、「最も短期間のうちに、たとえばTOEICの点数を上げた人のやり方」からリサーチするといった具合である。
早く成功したければ、最も効果的に成果を上げた人の方法論から取り入れていくべきなのは当然のことだ。
昔と違ってSNS時代には情報は公開すればするほど、公開した人のもとにも情報が集まる。だから情報は出し惜しみされなくなってきた。
人類史上初、成功ノウハウがタダ同然で手に入る時代。ノウハウの価値は下がり、あとはやるか、やらないかだけ。つまり、行動する人が最高に得をする時代なのだ。
「人の真似なんてしたくない」とか「自分のスタイルと違う」といった変なプライドを持っている人はかなりもったいない。
「この人、いいな」と思ったら、どんどん真似することだ。じっくり観察し、それと同じことをやってみる。
すでに上手くいっている方法をパクるのは基本中の基本だ。大して才能もない人間が、机の前であーだこーだ考えている時間ほど無駄なものはない。
僕のメルマガ「堀江貴文のブログでは言えない話」は、2010年2月に開始して10カ月で早くも会員が1万人を突破。以降もじりじりと会員数を伸ばし続け、今では2万人を優に超える会員数を誇っている。
しかし、この有料メルマガというビジネスモデルは、何も僕が思いついたことではない。
人気のある有料メルマガを購読し、メルマガの構成はどうなっているのか、どういう企画が好評なのかをじっくり観察。それを真似て、自分のメルマガに取り入れたというわけだ。
僕は真似と改良を繰り返している。
僕が運営するオンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」の前身である「堀江貴文サロン」は、勝間和代氏の運営する「勝間塾」や、岡田斗司夫氏の「FREEex」などを参考にした。そこに数々の改良を重ね、オープンに至ったわけだ。
そして本書の編集者でもある箕輪くんは僕のオンラインサロンのやり方を丸パクりして軌道に乗せた。
彼がやったことは、ただパクって行動してみたというだけ。
別に箕輪くんは、元々有名人だったわけではない。だから「○○さんだからできる」というのは単なる言い訳にすぎない。ただ「やるか」「やらないか」だけなのだ。
人生、パクり合い。アイデア自体には価値がないのだから、上手くいったやり方はみんなでシェアしていけばいい。
特別な才能や学歴は必要ない。今この世でいいとされている方法を片っ端からパクればいいと考えたら、ハッタリをかます勇気が出てこないだろうか?
ハッタリは「覚悟」という名の「信用」
ハッタリと聞くと、どこか悪いことをしているような気がしてしまう真面目な君に最後に伝えておこう。
ハッタリというのは、相手に大きな驚きを与えて気持ちを引きつけるのと同時に、信用を得るためのツールでもある。
信用というのは、他の人があなたをどう評価するかであり、不確実で主観的なものである。だから、相手に信用してもらうためには、「これだけの価値が自分にはあります」と、積極的にアピールしていく必要がある。
このときに、あなたを大いに助けてくれるのが、「ハッタリ」なのだ。
大学時代、僕はある会社のインターネット事業部でアルバイトをしていた。そこでも僕は、いつだって強気にハッタリをかましていた。
技術的に可能かどうかもわからない案件を引き受けては書店に走り、専門書を読み込んで対応する。そんなことばかりだった。
それは、起業した後も、まったく変わらない。
当時、オン・ザ・エッヂでは、ある人に非常勤の技術顧問を務めてもらっていた。
月額15万円という、起業したてにしては結構な額の顧問料ではあったが、技術顧問がいるということが、胎動期の会社を大きく飛躍させる圧倒的な原動力となっていたのだ。
その頃僕は、「技術力の高いWEB制作会社」を標榜して会社を運営しており、あちらこちらに積極的な売り込みをかけていた。
「技術力があるので何でもできますよ」というスタンスだ。
正直なところ、それは完全なるハッタリであった。
実際には、そこまで技術力があったわけではなく、クライアントからの要望の多くを、無理難題のように感じていた。その仕事をやるにはどの技術が必要なのかさえわからない、そんな依頼も数多くあった。
それでも僕は、「できません」とは決して言わなかった。
「大丈夫です。できますよ」
と、臆面もなく答え、仕事をすべて引き受けた。
そして、仕事を受けると、すぐさま会社に飛んで帰り、技術顧問に連絡。「こういう依頼があったんですけど、どうしたらいいですか?」と、今後の進め方を事細かに確認する。
対応の方針さえわかったら、あとは書店に飛んでいって、それを実現するために必要な技術を専門書で調べ、必死に手を動かすだけだった。
これは、かなり危なっかしいやり方に見えるかもしれない。しかし、この方法は功を奏し、受けた案件は、すべて無事に完成させることができた。
こうして、オン・ザ・エッヂは競合他社では受けられなかった仕事をどんどん受注し、守備範囲を大きく広げていった。
これこそが、僕の会社が他社を抑えて、ありえない角度の成長カーブを描いて急伸することができた最大の秘訣である。
ここでいう信用とは「できます」と断言する「覚悟」のことを言う。
僕はいつも大量の案件を抱えているから、多くの知り合いに仕事を投げまくる。その際に「できるかわかりません」「検討します」とレスをしてくる人には正直冷めてしまう。
しかし元気よく「やります」「できます」と答える人にはまたお願いしようと思う。
ハッタリとはできると言い切って、辻褄を合わせる「覚悟」のことを言うのだ。
そして、それが10も100も積み重なると「信用」に変わる。
常識を捨てるだけでは足りない。ハッタリをかますために捨てるべき4つのコト 仕事・ビジネス
もっともらしい言葉を捨てろ
さて、背伸びをして「ハッタリ」をかませ、と言われても、これまでのんびり生きてきた人が、いきなりハッタリをかませられるようにはならないだろう。
自信を持ってハッタリをかますための心構えを伝授する。
まず必要なことは「こうあるべき」という世間一般の常識を一切捨てることだ。
日本では、世間の常識やすでにある考え方に対して疑いを持たないよう、子どもの頃から叩き込まれる。疑うことなくやみくもに信じてしまえば、不安を感じずに済むからなのだろう。
保険をたくさん掛けている人、リクルートスーツを着て何十社も会社訪問する学生、せっせとエンディングノートを作っている中高年。「こうあるべき」という社会が決めた常識のレールに沿って生きていく。
反対にこの国では新しいことをやると「嘘くさい」「いかがわしい」と叩かれる。
しかし「いいハッタリ」とは完全に常識の外部から来る。計算や論理の先にある予定調和なものに人は熱狂しない。
「そんなこと考えもしなかったけれど、実現したら最高に面白い」という発想に、みんな魅せられるのだ。
テレビ局を買おうとするのも、民間の力で宇宙にロケットを飛ばすのも、最初は誰もが耳を疑った。だから、世間からの注目を一身に浴びたのだ。
ZOZOの前澤社長の月に行くという発言も、ツイッター一億円お年玉企画も、考えもしなかったことだから世間が騒ぎ、宣伝効果が抜群だったのだ。
「そんなことできるわけないじゃん」ということを自信満々に言い切るのが肝なのだ。
誰かが思いつきそうなことを言っても「価値」にはならない。唯一無二の希少性こそが「価値」なのだ。
つまり、世間の99パーセントの人が持っているような「こうあるべき」という常識を頭から外さなければハッタリはかませない。
ハッタリはその業界その世界の人間たちが眉をひそめるようなことでなくてはならない。
「もっともらしい言葉」には未来の真実はない。過去の結果でしかない。
まずは頭の中から「もっともらしい言葉」を捨てよう。まるで地球の常識など知らない宇宙人のような脳みそに変えていこう。
親の教えを捨てろ
常識と一緒に捨てるモノ。それは親の教え。
親の言うことを何でも素直に聞いてしまう人がいる。これまた真面目な人に多いのだが、親の言うことを聞いたところで、いいことなんてほとんどない。
そもそも、親というのは価値観が古い。育った時代が違うのだから、当然のことだ。親の持っている知識や経験というのは、子世代から見れば30年遅れている。
そのことを念頭に置き、自分の頭でしっかり考えなければいけない。
僕がIT関連企業を設立できたのは、幼い頃からパソコンに接してきたことが大きく関係している。明けても暮れてもパソコンの前から離れず、成績は一気に下がった。
すると母親は、僕とパソコンを引き離そうと、あの手この手を打ってくる。夜中にこっそりパソコンをゴミ捨て場に持っていかれたことさえあった。
しかし、今の僕があるのは、間違いなくパソコンに親しんできたからだ。親の言うことを聞いて、素直にパソコンから離れていたら、今の僕はなかった。
親はわが子のためを思い、あれこれ口を出す。その気持ちに嘘はないだろうが、その内容が正しいとは限らない。間違っていることのほうが多いのだ。
当たり前だ。これだけ変化が激しい時代において、30年以上前の常識が通用するわけがない。
なのに驚くほど多くの人が、親の言うことを鵜呑みにして、損な生き方を選択している。
ベンチャー企業に就職しようとしたら、親に反対された。起業しようとしたら、親から「やめておいたほうがいい」と言われた。
親の反対くらいで、諦めることはない。親ストップに何度も従っているうちに、あなたの中からハッタリ精神がどんどん消えていく。
古い考えの人との付き合いは時に毒にもなる。いかがわしくても、うさん臭くても、時代の波に愛されている新しい人から積極的に情報を拾い、常識をアップデートし続けないといけない。
親の教えなど片っ端から捨てていこう。
プライドを捨てろ
常識を捨て、親の教えも捨てたはずなのに、ハッタリをかませない人がいる。
それはなぜか?
それは簡単。まだプライドを捨て切れていないからだ。
こんなことを言ったらバカだと思われる、頭がおかしいと思われる、笑い者になる。
しかし周りからどう見られているかを気にしていては、一歩も動けない。
残念ながら、真面目な人ほど「世間の目」を気にしてしまう。つまり、どうにもプライドが高すぎる。
「勤めるなら大企業でないと…」「マイホームくらい持っていないと…」「職を失うなんて恥ずかしい…」
自分の望みとは関係なく、世間の目を気にして物事を決めてしまう。そんなツマラナイ人間のハッタリなんかに誰も乗ってこない。
自分は恥ずかしくてできないがこの人はフルスイングでやってくれる。そういうスカッと突き抜けた宇宙人のような存在にならなくてはいけない。
恥をかくことこそが最大のプロモーションなのだ。
SNSを見るとよくわかる。派手なハッタリをかましバカ丸出しで挑戦する人たち。
ロケットを飛ばす、美術館を建てる、ユーチューバーになる、歌手デビューする。
そして、その挑戦をバカにし揶揄する匿名アカウントたち。
一見、冷静に斜めから人を論評する匿名アカウントのほうがクールに見えるかもしれない。
しかし、よく考えてみよう。必死に他人を評論する彼らには一切、フォロワーも共感も集まらない。お金を1円ももらっていないのに毎日せっせとAIのように休まず、批判的なコメントをしている。
しかし、バカ丸出しで挑戦するハッタリ人間たちはどうだろう。最初は周りがバカにし、笑い者にしていても、とにかく目立つ。ツッコまれることによって良くも悪くも注目される。
すると局地的に熱が生まれ、次第に共感が集まり、結果として人とお金が回っていく。
今の時代「つっこみ」であることには何の得もない。「ボケ」をかまして最大の恥をかく。そして周りから叩かれる。これこそが最高のプロモーションになるのだ。
プライドを捨てろ、そして、自ら恥をさらしに行くのだ。
大人になることを捨てろ
僕はこれまで何度となく「大人になれよ」と言われてきた。
彼らが言う“大人”とは、周りの空気を読んで自分の意見を押しとどめ、その状況を無理やり納得するために、自ら進んで思考停止のプロセスに入っていける人のことだ。
そんな“大人”たちが、「大人になれよ」と僕にまで同調圧力をかけてくる。
ライブドア事件の後、「村上ファンドの村上世彰さんみたいに、世間にきちんと詫びを入れていたら、許してもらえたんじゃないか」と言われた。これは、まったくその通りだと思う。
村上さんは、ニッポン放送株についてインサイダー取引をしていたということで逮捕された。控訴審で、村上さんは3年の執行猶予付きの判決であった。
一方、僕は懲役2年6カ月の実刑判決。この差は、僕が反省の態度を示さなかったことからきているのだろう。
親しい人からも、こんなことを言われた。「堀江自身が詫びる必要はないけれど、多くの人が誤解しているホリエモンのイメージとして、お詫びしなさい」と。
複雑でちょっとわかりにくい構図だけれど、それが正しいやり方なのだと思う。
つまり、パフォーマンスとして詫びを入れておけ、ということだ。
頭では理解できていたけれど、絶対にやりたくなかった。
悪いことを何もしていないのに頭を下げるだなんて、皮膚感覚的にイヤなのだ。村上さんはそこを演じられる人なのだが、僕にはそれができなかった。
一度自分に嘘をついたら一生自分に嘘をつき続けなければいけなくなる。どんどん自分が自分ではなくなっていってしまう。そんな不自由な生き方はしたくない。
あのとき頭を下げることができなかった僕は、自分が築いてきた会社も、地位や名声も、根こそぎ失ってしまった。
しかし、僕はまったく後悔していない。もし、あそこで僕が「大人」になり、謝っていたら、その後悔は一生ついて回っただろう。
「大人になれ。後で便宜をはかってやるから」という交換条件を出し、相手から「イヤ」という感覚を奪っていく。これはとても危険な洗脳である。皮膚感覚でイヤなものは、断固として断るべきだ。
僕に人と違うところがあるとすれば、それは「折れない」ことである。
少年時代、僕は普通の田舎で育ち、普通の小学校に通っていた。世間的な殻に閉じ込められ、意味のわからない我慢を強いられてきた。
多くの人はそこで、折れてしまう。妥協してしまう。抵抗するのは疲れるし、言われた通りのことをやっているほうが、ずっとラクだから。
しかし僕は、自分の意志で殻を突き破ってきた。我慢も遠慮もしない。正しいと思うこと、好きなことを、ただひたすらやり続けた。
もちろん、たくさん叱られたし、批判もされた。でも、そんなことは気にしない。
「人はいろいろ言うけれど、そのうち飽きる」「他人は自分になんて興味がない」ということが、わかっていたからだ。
折れずに、前に進む。周囲の声なんかに振り回されず、好きなことだけをやり続ける。結果的に、そうしていたほうが何事もうまくいった。
自分が目指しているレベルには、まだまだとても到達していない。
それでも、社会的には「成功者」と呼ばれるようなところまで来ることができた。安易に折れていたら、きっと多くのものを失っていただろうと、本気で僕はそう思っている。
だから、僕はあなたにも「好きを貫くこと」を諦めないでほしいと思う。
これからは労働がオワコンになり「遊び」の時代になる。
そこでは、「大人」になってしまった退屈な人は価値を生まない。バカ丸出しでボケ続ける「子ども」こそが魅力を放っていく。お金より大切な共感や応援を得るようになってくる。
人生は短い。せっかくなので、人を揶揄したり、揚げ足をとったりして、舞台の袖から石を投げる人生はやめにしよう。舞台のド真ん中に立ち、堂々とハッタリをかまして生きていこう。
できないことは、何もない。
さあ、行動だ。
いいスライドは「解説するための資料」ではない。ホリエモンの“ハッタリ”プレゼン術
「いいプレゼン」の絶対条件
ハッタリが、とても実用的に機能するのが「プレゼン」の場面である。
「いいプレゼンとは何か?」
いまだに多くの人が、パワーポイントで美しい資料を作り、ビシッとスーツを着こなして、いかにも「デキる人」という調子で商品説明をすることだと誤解している。
実際、僕もよくそういったプレゼンを見せられることがある。
しかし、いくら巧みな話術を駆使されても、凝った資料を見せられても、そのビジネスやその人自体に将来性を感じなければ、当然のことながら僕は、投資を決めるなんてことはない。
逆に、たとえプレゼン自体は拙くても、資料が多少不格好であったとしても、その事業やその人自身に成功を見込めるのなら、僕は喜んでベットしていく。
勝負は、実はプレゼンに入る以前──すなわちプレゼンをする相手を選ぶ段階から始まっている。
もし、あなたが「まったく新しいビジネス」を提案したかったとする。まずは周りを見回してみよう。話を聞いてくれそうな人の中に、新し物好きな人はいないだろうか?
そういう人に会いに行き、まずは気に入られること。これが、プレゼンの第一手である。
僕は、起業した当初、アルバイト時代に仲良くなった人たちから、新し物好きのおじさんをたくさん紹介してもらった。
僕は、どちらかと言えば、営業に向いていないタイプの人間である。そんな僕でも、いろいろな場所にプレゼンに行って、多くの仕事や投資を成立させてきた。
それは、「知人に紹介してもらった人にしか会わなかったから」である。飛び込みに近い状態でのプレゼンは極力避けるべきである。
人を紹介してもらうなんて難しい。そう感じるかもしれない。しかし、事は意外と単純である。「そういう人いないですかね?」と知り合いや友人にとことん尋ねればいいだけだ。飲み会や立ち話のときに、アンテナをはり続けるべきだ。
チャンスはどこに転がっているかわからない。巧みなプレゼンをしたり、キレイな資料作りをしている時間があるならば、自分の提案を欲しがりそうな相手を探すことに時間をかけたほうがいい。
いい資料を作ることよりも、自分のプレゼンを求めている人と出会うこと。常にその嗅覚を研ぎ澄ましておくことのほうが大切だ。
プレゼンはプレゼンをする前に勝負が決まっている。「プレゼン術」より「ハッタリ力」だ。
相手の心をつかむハッタリ実例
ここでいきなり「プレゼンの場では、こうすればよい」と概念的な説明をしても、読者の皆さんが実際に使うにはどうすればよいか、わかりにくいだろう。
そのため、ここでは「ある事業を開始するにあたって、出資者を募るためのプレゼンを行うとしたら…」という前提で、僕が実際に行うであろう会話の例を示したいと思う。
では、早速始めていこう(話の途中に入るカッコで括られた文章は、要所要所での簡単な解説である)。
(自己紹介とアイスブレイクが終わった後に…)
『ハッタリの流儀』昔、僕の部下が『コンタクトレンズ店が儲かる』って話をしていまして。その元部下の会社は、コンタクトレンズを売っていたんです。
それが、コンタクトレンズといっても、非常に特殊なコンタクトレンズで。たとえば猫の目の形になるコンタクトレンズとか。
人間の目というのは黒目のところで物を見るので、白目の部分は視覚にまったく関係ないらしく、そこに模様を描いたりとかできるんです。
ワンデーアキュビューみたいなメジャーどころは、ちょっとだけ黒目の部分を大きく描くというマイルドなものですが、彼の会社のは、ビジュアル系バンドのアーティストが着けるような感じの派手な目になるんです。
いろんなバリエーションがあって、それを180種類も売っているんです。
(…といった感じで、最初は脈絡がなさそうだけど、でも何だか大事そうな話。つまり、「よくわからないけど、何かビジネスの種っぽい話も含まれているみたいだし、聞いておいたほうがいいのかな?」と思わせるような話を“唐突に”始める。それによって、「お、もしかしたらこいつの話は聞いておいたほうがいいのかな?」と、相手の関心を一気に引きつけていき…)
『ハッタリの流儀』その会社の親会社というか、スポンサーになっている企業のひとつが、熊本にあるメガネの小売チェーン店なんです。
その企業は地域の財閥のような会社で、厳密に言えば財閥ではないのですが、地方には小財閥みたいな会社があるんです。
県レベルになると、県内ですごく幅を利かせているミニ財閥みたいなところがいっぱいあって。それらはいまだに同族企業だったりして、莫大なお金を持っています。
そういう会社が、地方のいろんな商売を独占してやっているんです。
たとえばコカ・コーラボトラーズジャパン。コカ・コーラの自動販売機にコカ・コーラの缶とかビンとかペットボトルとかを入れていくような会社がありますよね。ああいった会社は、地域ごとにオーナーが違います。
ドコモショップみたいな携帯電話の販売会社なんかも、地域の財閥の人がスポンサーになって売っていたりとか。
あるいは、トヨタのディーラー。レクサスとかトヨペットとかのディーラーの親会社も、トヨタではなくて地元の財閥がオーナーだったりするんです。
その小売メガネチェーンも、そういった企業のひとつなんですけど…
(…と、本題に入る前に、〈本題に関連してくる〉「業界の裏ネタ」みたいな話を挟み込んで、「こいつはもしかしたらただ者ではないのかも」といった相手の関心をさらに引きつけつつ…)
『ハッタリの流儀』僕がすごいなぁと思ったのは、その地方の財閥が手がけている、携帯電話販売のビジネスにまつわる話です。
これ、さっき話したコンタクトレンズのビジネスにもからんでくることなんですが、コンタクトレンズ店に行くと、大体眼科医、目のお医者さんとセットになっていますよね。
そこにすごい盲点があって。そのときの医者って実は、眼科医である必要はないんです。法律上、医師免許さえ持っていれば、どの分野であっても処方箋は出せることになっているので。
医者は、内科とか外科とか、いろんな専門群に分かれていますが、眼科医を選ぶ人は、何十人に一人しかいません。
とはいえ、医師免許自体は単純に「医師免許」ひとつだけなんです。
つまり、医師なら誰でも『眼科医だ』と名乗るだけで、眼科医になれるんです。経験がなければ眼科医になれないといったルールはないし、一応基礎知識はあるわけですから、別に眼科医を名乗って構わない。
だから、コンタクトレンズ店に併設されている眼科は、医師免許を取ったんだけど一人前になっていないような研修医が、マニュアル通りに目の検査をして処方箋を出していることが多い。
そうやって、大幅なコストカットを行っているわけです。
僕がすごいと思ったのは、それをうまく利用して商売をやるたくましさと、眼科の専門医じゃなくてもいいんだってことに気づいたこと。こういうのって、すごいビジネスの盲点を突いていると思うんですよね。
(…といったように、「話が盛り上がって、“つい”微に入り細を穿うがち熱く語ってしまいました!」という雰囲気で、「儲けのカラクリの核心」みたいな話を、バーっと一気に、かつ熱心に語り、「これはちょっと本当に、こいつの話はちゃんと聞いておかないと損するかもしれないな…」と思わせておきながら…)
『ハッタリの流儀』僕もコンタクトレンズの話は何となく知っていましたが、彼が教えてくれたのは、その先の話で。そのメガネの小売チェーングループというのは、携帯電話会社と一緒になって補聴器を売っているそうなんです。
その補聴器というのがまた、ものすごいビジネスで。補聴器ってちょくちょく調子が悪くなるらしくて、一年に一回くらいメンテナンスをしなきゃいけないんです。
それで、今は高齢の方でも携帯電話を当たり前に持っていますよね。その携帯電話店で、一緒に補聴器販売のビジネスもやっているそうなんですよ。
すると、携帯電話店に来るお客さんに補聴器の提案をするだけですから、ものすごく効率よく営業ができるわけです。
しかも、どうしてそのビジネスにメガネの小売チェーン店が手を出しているのかと言えば、補聴器の調整をするには、耳鼻科の処方箋が必要になるからなんです。
すると今度は耳鼻科医が必要になりますが、耳鼻科医も眼科医とまったく同じ仕組みで、医師免許を持っていたら耳鼻科医を名乗ることができるんです。
つまりそのメガネの小売チェーン店は、コンタクトレンズを売るのに使っている眼科と補聴器の耳鼻科を、一緒くたにして運営しているというわけです。
研修医たちに、効率よく動いてもらうことで、ものすごく低コストにビジネスを回して、莫大な利益を収めています。そういうことを知っているのが、地方の財閥が財閥になりえたゆえんなんです。
(…と「儲けのカラクリの“最も核心的な部分”」について話をし、次のような最終提案に入るのだ)
『ハッタリの流儀』それで今度、その補聴器を売るビジネスを、東京でうちがやることになりました。
つきましては、ご投資いただくことで、一緒にそのビジネスを大きくしていきませんか?
…このように話を展開すれば、「この話を他に持っていかれたら損するな…」と、相手に思ってもらうことができる。プレゼンでやるべきなのは、キレイな資料や完璧な演説を披露することではない、相手が前のめりになるような興味のあるつり糸を垂らして、ハッタリに食いつかせることなのだ。
プレゼン資料はシンプルが一番
ここまで、話し方の例を一対一の商談形式で紹介してきた。だから、「一般的なプレゼンの場面では、どういう話し方をすればいいのだろう?」と迷った人がいるかもしれない。
しかし実は、プレゼンでの話し方というものは、一対一の商談形式でも、一対多数の典型的なプレゼンの形式でも、ほとんど変わらないものである。
先ほどは、スライドなどを使用しないような場面を想定して話したが、その場合と、多数に向けて行ういわゆるプレゼンとの違いは何かと言えば、「シンプルなスライドを作り、それをスクリーンに表示しながら話す」という程度のものである。
スクリーンに映し出すスライドは、「何かを解説するための資料というよりも、口頭で次の話題を出すためのきっかけにすぎない」と考えてほしい。
シンプルに、箇条書きで、必要な項目を列挙してあれば十分だ。
たまにスライドに書いてある文字をそのまま読む人がいるが、それはありえない。聞いているほうは興ざめする。
要は、「プレゼンの途中で次の話題は何だったかを確認するために、箇条書きでお題を書き留めたようなもの」が、僕の考える「いいスライド」なのである。
シンプルなものにするべき理由は、すでにお話しした通り。「資料の作成に手間ひまをかけるのは本質的ではないから」である。
結局のところ、僕の言う「プレゼン資料」とは、スクリーンに投影しながら使う、「話の目次立て用のツール」なのである。
フォントは、見やすさを優先するため、太めのゴシック体をおすすめする。ソフトについては、使い勝手がいいからという理由で、キーノートがベターだと思う。
また、箇条書きがいいとは言ったが、臨場感を演出するために、スライドの中に適宜、写真や動画を盛り込むのは有効な手だてである。
たとえば「美味しい肉の説明をしたい」といった、「視覚的に説明したほうが、口頭や文章で説明するよりも明らかに早い」というとき。
シズル感のある写真や、「ステーキが焼けてジュージュー音を立てているような動画」をスライド上に掲載したほうが、肉の美味しさがより強く伝わる。
資料なんか伝わればいいのであって細かなテクニックなど必要ない。シンプルにプレゼンを補助するようなツールにすぎないのだ。
ハッタリをかますときに小手先の資料作成スキルや、プレゼンスキルは必要ない。
自らが面白い人間になり、相手のことをよく知っておく、そして形式にとらわれず、テンポよく、気持ちよく話を展開することが大事だ。
相手が前のめりになるようなトークを繰り出すのだ。
「ハッタリ」を武器に成長する方法はこちら
「ハッタリ」と聞くと、つい「ウソ」や「騙す」といったネガティブなイメージを抱きますが、堀江さんに言わせれば“自分を突き抜けた存在にする”ためのツールなんだとか。
ハッタリをかまして、それを実現させるために努力することを繰り返すことで圧倒的に成長できると言います。
堀江さんの『ハッタリの流儀』を糧にして、自分の成長スピードを底上げしましょう!
『ハッタリの流儀』の特設サイトはこちら
光本勇介さんの『実験思考』で実施された「価格自由」の取り組みが『ハッタリの流儀』でも採用されています。
本を定価以上だと感じたら、その「気持ち」を支払えるこのサービス。リターンには「堀江貴文による一斉コンサル」「堀江貴文とLINE交換」など、堀江さんと実際に話すチャンスもあります。
「ハッタリをかまして、行動していきたい」という人はぜひのぞいてみてください!
ビジネスパーソンインタビュー
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