

「僕はただ種明かしをしているだけ」
小中高教育の9割は意味がない。ホリエモン「高校をつぶすためにH高をつくる」
新R25編集部
記事提供:サイボウズ式
3月30日、ベルサール東京日本橋にて、サイボウズ主催の「チームワーク経営シンポジウム」を株主総会の前に開催しました。
パネル1「ホリエモンと、語ろう。」では、モデレーターにBUSINESS INSIDER JAPAN統括編集長浜田敬子さん、パネラーに堀江貴文さんと弊社代表の青野慶久を迎えて、働き方についてディスカッション。
新しいカイシャの姿やこれからの生き方などのテーマが盛り上がった前編に続き、堀江さんが考える「教育」について、今後の展望を聞きました。
「小・中学校や高校が行う教育の9割は意味がない」と言い切る堀江さんが、あえて高校を作る理由とは?
ニッチに思えるけん玉もグローバル視点で見れば大きな市場がある

堀江さん
どんどん仕事が機械化していけば、次は遊んでいるやつが最強の時代ですよ。

浜田さん
「遊ぶ」とはどういうことですか。

堀江さん
例えば、友達に児玉健さんっていう、けん玉と人狼ゲームだけで稼いでいる人がいるんですよ。
もともとは不動産の営業をしていたんだけど、30歳くらいのときに「楽しく生きたい」と、突然会社を辞めて。
堀江貴文(ほりえ・たかふみ)。SNS media&consultingファウンダー。1972年生まれ、福岡県八女市生まれ。現在は、ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、会員制コミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIJ)」の運営など、幅広く活動を展開。著書に『99%の会社はいらない』(ベスト新書)、『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』(ダイヤモンド社)、『自分のことだけ考える』(ポプラ社)、『多動力』(幻冬舎)など。

浜田さん
何か計画があって辞めたんですか?

堀江さん
いや、まったくなかったんじゃないかな。仕事を辞めたあとに、けん玉と人狼ゲームに出会って、それをめちゃくちゃがんばった。
今、人狼ゲームは10代の人たちの間ですごく流行っていて、彼らの中では児玉さんは大スターなんです。オンラインの人狼ゲームには現れないけど、児玉さんと遊びたいというニーズは根強い。
けん玉の分野でも、「ZOOMADANKE(ず〜まだんけ)」というパフォーマンスユニットで活動し、地方や海外に遠征しています。

青野
けん玉って一見ニッチですけど、グローバルな視点で見たら、それなりの市場があったってことですよね。

堀江さん
相当でかいですよ。技術と組み合わせれば、eスポーツ的な展開もありえますよね。
小中高で行われている教育の9割は意味がない

堀江さん
僕らが子どものころって、そうやって遊んだりゲームしたりすると、制限されたじゃないですか。もうね、アホじゃないかと。

浜田さん
子どもがけん玉やゲームが好きだったら、制限しないほうがいいってことですか。

堀江さん
そりゃそうでしょ。

青野
うちもゲームを全面解禁しようかな。

浜田さん
いやいや、でも、ゲームばかりしていたら、成績下がるかもしれないじゃないですか。

堀江さん
いいじゃないですか、どうせ大した成績じゃないんだから。

浜田さん・青野
(笑)

堀江さん
そもそも、いま小中高で行われている教育の9割は意味がない。ググればわかることばっかりだもん。みんなそれを理解しているのに、認めようとしない。

青野
これからは、ググる方法のほうが役に立つ能力かもしれないですね。

堀江さん
スマホ時代になってから、検索する能力が落ちていますよね。だから、みんなスマートスピーカーで聞くんですよ。でも、実際は聞くよりも先に自分で調べる能力のほうがずっと強い。
たとえば、少し前にビットコインが流行りましたよね。でも、ほとんどの人が仕組みを知らないじゃないですか。こうしたことを学校教育では1ミリも教えない。お前ら原理も知らずに使っているのか、とびっくりします。

青野
たしかにそういったことを学校で教えているイメージはないですね。

堀江さん
高校に行く必要はないですよと、僕はずっと言っている。メルマガや本、オンラインサロンでも、そう伝えているのに、やっぱり親も子も先生も「高校行っとかなきゃいけないんじゃないか」なんて思っているから、9割9分が高校に行く。
だから今度、高校をつぶすために高校を作ろうと思うんですよ。

青野
そこで何を教えるつもりなんですか?
青野慶久(あおの・よしひさ)。サイボウズ代表取締役社長。1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立した。2005年4月には代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し、離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得している。著書に『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』(PHP研究所)など。

堀江さん
教えるのではなくて、これから役に立つスキルを実践してもらう。たとえば、寿司料理人コースを作ろうと思っていて。
ぶっちゃけセンスあるやつは、1日で寿司をにぎれると思うんですよ。下積みはいらない。僕は自分でにぎっているけど問題ないし、職人の友達も多いけれど、みんなそう言っている。

浜田さん
以前、寿司職人の修行時間である“飯炊き3年、にぎり8年”はいらないと言ったら、ネットで叩かれましたよね。

堀江さん
うん。でも、飯炊きなんて炊飯器ですぐにできますからね。酢飯だってレシピが決まっているから、ちゃんとしたお酢とか調味料とか調達してくればいい。それなりのものはできますよ。あとは場数を踏んでいくだけ。
だから、実際に店を作って、高校生にめちゃくちゃうまい寿司をにぎらせようかなと思っていて。
高校生が寿司をにぎっているだけで、テレビ局などのメディアが飛びついてくる。僕は高校生なんてただ若いだけじゃんって思っているけど、そこは利用させてもらうつもり。

青野
新しいプレミアム感的な。

堀江さん
これでミシュランの星を取ってやればいいでしょ。ミシュランもフェイクだけど、既存の仕組みは全部利用しますよ。
高校生でも寿司でミシュランの星が取れるんだって事実ができれば、みんなの価値観が変わるから。
僕がしているのは手品ではなくて、種明かし

青野
堀江さんは、既存のルールをどんどんひっくり返していくイメージですね。

堀江さん
いや、ひっくり返してるんじゃないんですよ。僕は現実はこうなんですよ、こっちのほうが得なんですと見せているだけなんです。

青野
なるほど。手品ではなくて、種明かしをしている、と。

堀江さん
そうです。僕はただ種明かしをしているだけ。だから手品師のギルドから嫌われる。「あいつ種明かししやがって」と。
実際の手品師もギルドがあって、手品師しか買えないショップがある。たとえば、ペッドボトルにトランプが入るマジックがありますよね。あれもキットとして売っているんですよ。

浜田さん
観客側はそのキットを買えないのがミソなんですね。だから、手品が成り立っている。そうしたことが、さまざまな場面で起こっているということですね。

堀江さん
そう。種明かししようとすると、「本当のこと言っちゃダメでしょ」と怒られる。本当のこと言ったらつぶすよ、と。
彼らは楽をしたいんです。変わりたくないんです。たとえば、「寿司の修行が10年必要ない説」で怒るのは、それを売り物にしている人たち。
高校もそう。だから僕は、そういうのをつぶすために高校を作るんです。卒業は別にしなくてもいいけど、卒業できる仕組みは作っておいて、親や教師からのブロックを回避したいと思っている。
普通科高校に通っている子は一番つぶしが効かない

青野
堀江さんは「堀江貴文イノベーション大学校(HIJ)」も作ったじゃないですか。それは、いまお話していた高校の大人版のような立ち位置になるのですか?

堀江さん
いや、大人か子どもかで分けていないんです。別にHIUでもいいんですよ。HIUは誰でも入れるのに、「高校生でも入れますか」と聞いてくる人が多い。
結局、入れないと思っているから聞いてくるんですよね。そして、水面下には聞いてさえこない人たちがもっといて、そうした人たちをかわいそうだと思って、高校という形にしてあげようかな、と。

浜田さん
カドカワが運営している通信制高校の「N高等学校」もありますよね。

堀江さん
そうそう、N高に対抗してH高。N高は生徒数が7000人近くなっていて、高校生全体のシェア数%を取りそうな勢い。ぶっちゃけ通信制の方が、先生は教えるのがうまいですね。

青野
以前シドニーの学校を見に行ったときに驚いたのが、みんな画面を見ながら授業を受けているんですよね。
わからないところは巻き戻せるし、学校側も生徒がどこまで学習したかデータで把握できる。もう、そういう時代なんだな、と。

堀江さん
しかも、AIなどIT系の実用に役立ちそうなものって、すでにオンライン講習があるんですよね。そういう教材を導入して、あとはティーチングアシスタントを入れれば、ローコストでできる。

浜田さん
結局、一番お金がかかるのは土地代なんですよね。

堀江さん
通信制高校であっても「スクーリング」と呼ばれる対面授業を行うため、場所が必要なんですけど、地方にある廃校などを利用すれば、全然コストがかからない。N高も沖縄の離島に本校がある。
とにかく、これからはeスポーツでも遊びでも、役に立つスキルに特化してやっていこう、と。普通科高校に通うような人は、一番つぶしがきかないですよね。
先人のノウハウを吸収して行動するだけ。何も小難しいことはない。

浜田さん
高校でそういう選択をしたら、普通の会社員として働く発想はなくなるかもしれませんね。
ただ、そうした選択をするためには、相当の実力が必要な気もしていて。
浜田敬子(はまだ・けいこ)さん。1989年朝日新聞社入社。前橋・仙台支局、週刊朝日編集部などを経て99年からAERA編集部。記者として、女性の働き方・雇用問題、国際ニュースを中心に取材。2014年から編集長。2016年5月から朝日新聞社総合プロデュース室プロデューサーとして新規プロジェクトの開発などに取り組む。2017年に同社を退社し、現職に就任。

堀江さん
いや、それがまたおもしろくて。幻冬舎の箕輪厚介くんは、僕が言ったことをそのまま実践している数少ないうちの1人なんですが、彼は3年前までめちゃくちゃしょぼいやつだったんですよ。

浜田さん
え、そうなんですか。

堀江さん
最初に会ったときは、単にうだつの上がらない一社員でしたから。「やべえ、こいつのオファー断ればよかった」って思いました。

青野
そんな彼が、いまこれだけ活躍している。その転換はどうして起こったんでしょう。

堀江さん
彼は、僕の『多動力』という本の編集担当だったのですが、その内容をそのまま行動に移したらしいです。「できないやつはメールの返信も遅い」とか、「できるやつは即レスで返ってくる」とか、本の内容を彼はすべて体現している。
さっきもよいアイデアを思いついたんで、Facebookメッセンジャーで連絡したら、5秒で「やりましょう」って返ってきましたからね(笑)。
箕輪くんは僕以外にも本の著者、たとえば見城徹さんなどに会って、全部吸収しているんですよ。吸収して行動しているだけ。すごく簡単。

浜田さん
箕輪さんは、オンラインサロンの「箕輪編集室」を作るなど、カリスマ的ですよね。
昨年編集を担当した本も70万部越えをするなど、ヒットメーカーとして知名度も高い。

堀江さん
箕輪編集室もHIUの完コピですからね。うちのサロンは、誰がマネしてもうまくいくように作っているのですが、みんな信じてくれないんですよね。堀江さんだからうまくいくんでしょ、みたいな。
何も小難しいことはないですよ。箕輪ができるなら、誰でもできますよ。あいつはやりきったんです。

青野
やるかやらないか、なんですね。
行動を起こす第一歩目として、朝からアイスクリームを食べてみよう。

堀江さん
そうですね、だから行動してください。すごく簡単な話があります。みなさん、明日の朝にアイスクリームを食べましょう。

浜田さん
アイスクリームですか。

堀江さん
要は、これまでとは違ったことをやりましょう、簡単なところから始めましょう、という話。朝からアイスなんて食べれないよ〜なんて言う人いるけれど、食えるから。
そもそもこんなイベントにわざわざ足を運んでいる時点で、できない言い訳なんてないですよ。お腹ゆるくなるなんて言うなら、食べたあとにトイレへ行けばいいじゃないですか。

浜田さん
どれくらいの人がアイスを食べるか、ですね。

堀江さん
このあいだ北海道で講演したときに同じ話をしたんですけど、そこはコンビニが2つしかなくて。朝行ったら、みんな結構買っていたんですよね。若い子たちがアイスを買っていましたから。

浜田さん
行動を起こすためにはまず簡単なことから、ということでしょうか。手始めにみなさん、明日の朝はぜひアイスを買って食べてみてください。
〈文=園田菜々/編集=杉山大祐(ノオト)/撮影=栃久保誠〉
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