ビジネスパーソンインタビュー

「ハイスペ女子になれないなら…」マドカ・ジャスミンの“コンプレックスを力に変える生き方”

「私が“性”を発信すれば、お医者さんより届くかも」

「ハイスペ女子になれないなら…」マドカ・ジャスミンの“コンプレックスを力に変える生き方”

新R25編集部

2018/08/21

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マドカ・ジャスミン」というライターがいます。

ネットで彼女を見かけたことがある人のなかには、“かなりムチャなことをする体当たり女性ライター”の印象を持つ人も多いはず。

実際、彼女の名前を検索すると「セックス中の脳波を計測」「みずからの性感染症を告白」など、インパクトの強い執筆記事がずらりと並びます。

マドカ・ジャスミンとは何者なのか? なぜ、奇抜な企画を連発するキャラクターが生まれたのか?

その背景には、知られざる“コンプレックス”があるようです。

〈聞き手:ライター・菅原さくら〉

【マドカ・ジャスミン】1995年生まれ。ライター・合コンコンサルタント。2018年には著書『Who am I ?』(KADOKAWA)を上梓

父の影響から、学歴コンプレックスに振り回された10代

マドジャスさん

めっちゃ勉強してましたね。いい高校へ行くために、父親が週5も家庭教師をつけてくれたりして

それで志望校にはギリギリ受かったのに、いい成績がとれなくてだんだん休みがちになって、結局辞めちゃったんですけど。

さくら

さっそく展開が速い

なぜ辞めちゃったんでしょうか?

マドジャスさん

うーん、どうしても協調性がなくて、学校の「空気読めよ」っていうのになじめないところがあって。

テストの開始時間に起きるとか、ぐちゃぐちゃな生活になっちゃってたんですよね。大学は行きたいけど、高校は中退して高卒認定をとるほうが、自分に合ってると思ったんです。

さくら

それでも、学歴は大事だと考えていたんですね。

マドジャスさん

とにかく「父親に勝ちたい」という気持ちがずっとあって、父より偏差値が高い大学に行きたかったんですよね。

まぁ結局、大学入試は全滅で最終学歴が「高校中退」なので、学歴コンプレックスはずっと残ってるんですけど…

さくら

浪人して大学に行く選択肢はなかったんですか?

マドジャスさん

もしそれで結果が出なかったら、父親は私に投資したぶん損になるじゃないですか。

だったら無理に進学しないで、なにか自分にできることをしようかなって。

さくら

親子のあいだで“投資”という感覚…。10代ですでに自立心が強いですね。

マドジャスさん

うち、両親が離婚してるんです。それで家を出た母親が経済難に陥ってる姿を、近くで見てきたんですね。

だから「自力で稼ぎたい」という意識が、10代のころからありました。そういう考え方でマイペースだったからか、学校では浮いちゃって。

さくら

スタンスが大人すぎますもんね…

マドジャスさん

でも、年上の友達がたくさんいて耳年増だったからか、仲良くなった子に“性”の部分で頼られることは多かったんですよ。

コンドームを買って、バラして1個100円とかで売ってました。

さくら

コンドームを友達から買うって、高校生ならでは! かわいい~!(笑)

マドジャスさんも、頼られるのがうれしかったんですね。

マドジャスさん

はい。“いろいろ知ってる自分”“人に頼られる自分”という人格になれて、自分をポジショニングできるような感覚があったんです。

さくら

ポジショニング。自分のアイデンティティをつくる、みたいなことですか?

マドジャスさん

そうですね。誰かに頼られるのは、うれしい。

自分に見返りがなくても、相手がまた別の誰かに返してくれてれば、それで充分…。なんか、そういう映画ありましたよね?

さくら

ぺ、ペイ・フォワード

「有名になりたい」とずっと思っていた。「ブス」と叩かれてライターデビュー

さくら

ライターになったのも、ポジショニングの一環だったんでしょうか。

マドジャスさん

これは私のもうひとつのコンプレックスで、「有名になりたい」っていう気持ちがすごいあったんですよ

芸能界に入りたいと思ってた時期もあって、事務所のオーディションとかを受けてました。高校のころは「地下アイドル」もやってたんです(笑)

歌もダンスも全然できないし、情熱が注げなくて辞めちゃいましたけど。

さくら

「有名になりたい」気持ちから、ライター業にも興味を持った?

マドジャスさん

そうですね。中学生くらいからはあちゅうさんの存在を知っていたから、「こういうふうにネットで有名になったら、いろんなことができるんじゃね?」と思って。

さくら

あと5年遅ければ、ライターじゃなくてYouTuberとかVtuberだったかもしれないですね。

はじめはどんな記事を書いてたんですか?

マドジャスさん

最初に書いたのは整形のネタ

当時キャバ嬢のバイトをしていたんですけど、お客さんに「笑った顔が平井理央に似てる」って言われたんですよ。

よっしゃ!と思ってそれをツイートしたら、整形に詳しい女の子のアカウントから「似てねーよブス!」ってボコボコに叩かれたんですね

さくら

(自分なら心折れる…)

マドジャスさん

こっちも「じゃあ、どう直すか教えてくださいよ!」ってブチギレたら「300万くらいかけたら変わりますよ」って教えられて(笑)。

そこから美容整形外科にアポを取って、実際に300万かけたらどう顔が変わるのか、っていう記事を書きました。

「かわいい女子を紹介することで、ハイスペ男子と渡り合える気がした」港区女子時代

さくら

しょっぱなから体当たりですね。

マドカ・ジャスミンといえば“港区女子”ネタも有名ですが、これはどんな経緯で書くようになったんですか?

(※「港区女子」=高学歴や高収入といった“ハイスペ男子”を目当てに、麻布や六本木を飲み歩くキラキラ女子のこと)

マドジャスさん

セレブツイートで人気だった「ばびろんまつこ」さんが好きで、西麻布のキラキラ生活に憧れてたんです。

(※「ばびろんまつこ」=豪華なライフスタイルをつぶやいていた人気アカウントだが、のちに本人は詐欺容疑で逮捕)

で、19歳の秋に“ハイスペ合コン”にデビューしたら「ばびろんまつこの世界や!」ってドハマリしちゃって(笑)。それをツイートしたらフォロワーの反応もめちゃくちゃよかったし、自分の興味と世の中のニーズが合致したんですよね。

で、そのうち、かわいい女友達のLINEグループをつくって、合コンを紹介する活動もはじめました。

さくら

合コンにお友達を斡旋して、マドジャスさん自身には何のメリットがあるんですか?

手間がかかるし、自分がモテるわけでもないし…

マドジャスさん

私は自分に自信がないから、そのぶん「かわいい女友達がいっぱいいる」ってところで、ハイスペ男子に自分の価値をアピールしてたんです。

それで周りに“認められ”れば、さらにいろんなお誘いが来るようになるし、もっといいお店に連れて行ってもらえたりする。

さくら

ハイスペ男子のニーズに応えることで、マドジャスさんの世界も広がる、ってことですか?

マドジャスさん

そもそも本当は、自分自身が「ハイスペ」になりたかったんです。

でも、それができなかったから、「かわいい友達を紹介する」みたいなことで、ハイスペな男子と対等に渡り合えると思ってた気がします

さくら

確かにポジショニングできるけれど、続けていくのはしんどそうです…

マドジャスさん

そのとおりです(笑)。

だんだん「マドカ・ジャスミンのキャラクターのためにやってる」みたいな気持ちが大きくなって…Twitterにこういう写真を投稿したいとか、こういうネタを書きたいとか。

それでだんだん、港区活動から離れていきました。

社会は結果しか見てくれないから、自分の強みを理解して働くべき

さくら

お話を聞いてると、若いころからずっと「自分の価値」とか「認められるには」みたいなことについて考えてますよね。

マドジャスさん

だって私なんてただの中卒の女だし、社会は結果しか見てくれないじゃないですか

だったら結果を残すしかないし、そのためには自分の強みを理解して動くのが一番いい。

さくら

自分だからこそできることを見つける、と。

マドジャスさん

性に関するコラムもそうで、私は昔から、めちゃくちゃ性的好奇心が強いんですよ

だったらその好奇心を活かせる仕事をしようと。

「私は性欲が強いんで」とも

マドジャスさん

最近、Twitterで女子高生から性の悩みが届いたりするんですよ。「これって病院行ったほうがいいですか?」みたいな切実なやつ

私は父子家庭だったから、そのコの気持ちがすごくわかるなと思って。

そういうニーズに応えてあげたいって思ってます。

さくら

「セックス中の脳波を測る」という企画もしてましたが…

マドジャスさん

あれも性的好奇心の一種ですね(笑)。

オファーをいただいたとき、私以外の誰かがやってバズったらイヤだなって思ったのもあるけど(笑)。

「自分に直接見返りがなくても、読んだ誰かが救われるかもしれない」

さくら

最近で印象的だったのは、ご自身のクラミジア感染を告白されたコラムです。

いままでの記事とはすこし毛色が違いますよね。

マドジャスさん

信頼してる婦人科の先生に診てもらったんですけど、「世界平和のためにカミングアウトしなさい」って言われたんですよ。だから、これは記事にするしかねぇなって。

私に直接的な見返りがなくても、これを読んだ誰かが救われるんだ…!」と思いながら書きました。

さくら

超ペイ・フォワードじゃないですか。

マドジャスさん

コンドームのPRをしてるくせに、お前は付けてなかったのかよ」みたいな批判もありましたけど。

さくら

正直どうなんですか? 実際は付けて…?

マドジャスさん

ました(笑)

ダイレクトにツッコんでしまい失礼しました

マドジャスさん

挿入時にちゃんと付けていても感染したりするんですよ。

でも、そういう意見を通じて、世の中の性感染症リテラシーが低いことを学びましたね。

さくら

最近は性感染症に関する記事を書かれることが多いみたいですね。

マドジャスさん

そう、性感染症防止やHIV防止についての啓蒙活動に力を入れたいと思うようになりました。

お医者さんたちが啓蒙しても、若い子たちは自分とは“別世界の話”だと感じてしまう。でも、マドカ・ジャスミンが発信すれば、届くかもしれない

そこに私の存在価値がありますよね。最近は「エヴァンジェリスト(伝道者)」って名乗ってるんです。

さくら

めっちゃ有意義だと思います。

コンプレックスが強かったころと比べると、だいぶ心境も変わってそうですね。

マドジャスさん

自分に自信がないのは変わらないですね。…でも、単純なコンプレックスからは解放されてる気がします

それは、今まで自分がやってきたことを認められるようになったから。“港区女子”に浮かれてた19歳の自分に今会ったらゲンコツしてやりたいですけど(笑)。

それでも今は周りにいてくれる人たちの存在もあるから、教室で浮いてた10代のころより、だいぶ楽になりましたね。

〈取材・文=菅原さくら(@sakura011626)/編集=天野俊吉 新R25編集部(@amanop)/撮影=飯本貴子(@tako_i)〉

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