ビジネスパーソンインタビュー

一時期のブームは落ち着いたように見えるけど…レーシック治療って最近どうなの?

「眼科医はみんなメガネ」噂の真相は?

一時期のブームは落ち着いたように見えるけど…レーシック治療って最近どうなの?

新R25編集部

2017/11/14

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角膜にレーザーを照射することで視力を回復させる「レーシック手術」。その手軽さからスポーツ選手や著名人ら数多くの人々が体験しているが、ここ最近はデメリットがクローズアップされることもしばしば。一時期とくらべてブームが落ち着いたようにも見えるが、実際のところはどうなのか?

レーシック手術は2008年をピークに激減。集団感染事件がきっかけ?

「レーシック手術は2000年に厚生労働省に認可されてから、徐々に症例(手術)数が増加。しかし2008年の45万件をピークに、2014年には5万件に激減、今もなお減少傾向にあります

公益社団法人日本眼科医会第4回記者懇談会「屈折矯正手術の現状」より

こう語るのは、視力回復手術を得意とする「神戸神奈川アイクリニック」広報の寺田さん。手術件数がここまで激減しているのには、いったいどんな背景があるんだろう…?

「とあるクリニックが医療スキル以前の衛生面で問題を起こしてしまい、メディアによるバッシングを招いてしまったことと、消費者庁による偏った報道が影響していると考えられます

手術件数がピークとなった2008~2009年にかけて、都内の眼科で手術を受けた複数患者が感染性角膜炎を発症した「レーシック手術集団感染事件」。元院長は業務上過失傷害罪で禁錮2年の実刑判決を言い渡された。事件の要因は技術ではなくずさんな衛生管理だったにもかかわらず、これをきっかけに「レーシック=怖い」というイメージが焼き付いてしまった人も多いだろう。

「眼科医はみなメガネをかけていて、レーシック手術を受けない」という噂の真相は?

話を伺った神戸神奈川アイクリニックでは、46万症例以上(2017年10月末日現在)の実績があるが、院内で感染症が発生したケースはない。

「ネット上ではさまざまな情報が錯綜していますが、レーシックは国内でもこれまで100万人の方が受けているといわれる手術。その有効性は世界的にも学術論文報告等で確立されています。当院がおこなっている『アイデザインレーシック』の場合、術後の視力の戻りによる再手術の割合は全体の1%以下となっています」

なるほど! もちろん「100%安全」とは言い切れないものの、先ほどの症例数の減少ぶりを見ると、レーシックに対して過度に不安になっている状況が浮かび上がってくる。

ただ、巷では「眼科医はみなメガネをかけていて、レーシック手術を受けない」などという噂もあるようだが…

「そんなことはありません。当院では、理事長の澤井やチーフメディカルディレクターの北澤をはじめ、視力が悪いスタッフの96%以上が視力矯正手術を受けていますよ」

先ほどの噂は、少なくとも神戸神奈川アイクリニックには当てはまらないようだ。手術を考えている人にとっても、間近で体験した人の話を聞けるというのはかなり心強い。

まるで永久コンタクトレンズ!? 最新の視力治療「ICL」の手術が増えている

さらに寺田さんによると、現在はレーシックとは別に、ある最新治療の手術数がぐんと伸びているそうで…?

「最近では、小さなレンズを眼の中に挿入し、近視・遠視・乱視を矯正する治療法『ICL(=眼内コンタクトレンズ)』の症例数が伸びています。レーシックでは矯正が難しいとされていた強度近視の方や、角膜が薄い方でも手術を受けることができます。レンズは生体適合性の高い素材でできており、交換の必要がなく永久的に挿入しておけるうえに、必要に応じてレンズを取り除くことも可能です」

ICL手術の流れ(神戸神奈川アイクリニックHPより)

眼の中にレンズを入れる…! 想像するとちょっとコワイけど、この治療には多くのメリットがある。

レーシックでは近視度数が強い場合、角膜をたくさん削る必要があり、手術の難度が高くなる。その結果、術後誤差が大きくなり、近視が再発したり、ドライアイの原因になったりすることがあった。一方ICLは、度数が強い弱いにかかわらず、一枚のレンズを目に入れる手術方法のため難度に差が生じることはない

またこの「ICL」、実は欧米ではレーシックよりも歴史が古。もともとは白内障の手術法として1980年代から試験的に行われており、現在ではすでに確立された術式となっている。かかる時間も10~20分程度とレーシックと変わらないそうだ。

ちなみにその費用だが、両眼でおよそ60万円からが相場。レーシックよりはお金がかかるが、長期にわたる効果を考えると決して高くはないかもしれない。

〈取材・文=池田麻友菜〉

※本記事では、レーシック治療に関する一般論ではなく、取材をおこなった「神戸神奈川アイクリニック」の事例を紹介しております。その点において、一部誤解を招きかねない記述を修正いたしました(2017年11月15日)。

取材協力/参照資料

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