ビジネスパーソンインタビュー
「プライシングは永遠の課題ですよ」
対談中にその場で契約!? ホリエモンが導入を決めた“根拠のある価格コンサル”とは?
新R25編集部
昨年は、さまざまな場面で「値上げ」という文字を見かけることが多い一年でした。
帝国データバンクの調査によると、2022年に値上げをした食品は2万822品。8月には“夏の値上げラッシュ”として初の単月2000品目超えを記録。
サービス、商品を提供する多くの企業が今、「価格」に向き合わざるを得ない状況となっています。
そんな企業に対して、市場調査や分析、シミュレーションなどをおこない、ユーザー満足度と売上最大化を両立できる「適正価格」を提案しているのがプライシングスタジオ株式会社です。
売上を大きく上げることもできれば、逆にユーザーから嫌われる可能性も含む「プライシング」をテーマにプライシングスタジオ代表・高橋嘉尋さんと対談していただくのは、新R25が誇る“ビジネス百科”こと堀江貴文さんです。
かねてより「プライシング」に強い関心があったという堀江さん。取材後半、堀江さんからはある提案が…。
ホリエモン「飲食店ってみんな感覚で価格を決めている」
ーー(編集部)今回のテーマは「プライシング」なんですが、堀江さんでも価格設定は難しいと感じることはありますか?
堀江さん
プライシングはねえ…永遠の課題ですよ。
ダメな人はダメですよね(笑)。
最近はとくに「値上げ」がすごく話題になってるじゃん。
今日のテーマは、何か思うことがあるようです
堀江さん
今パン屋やってるんだけど、すごく大変なんですよ。とくにウクライナの戦争の影響で小麦がすごく値上がりしてる。
ウクライナってじつは小麦の大生産地だから、その供給が間に合わなくて、全世界で小麦が取り合いになってるんですよ。
で、日本も基本的に小麦は輸入に頼ってるから、国際価格が高騰しても買わざるを得ない。
高橋さん
そこに“円安”も乗っかってきますよね。
堀江さん
そう。だからうちのパン屋でも、価格を2回も上げることになったんですよ。
僕のやっている「小麦の奴隷」はフランチャイズ経営だから、そのたびに加盟店からブーブー文句言われて。わざわざ説明会まで開いたんです。
堀江さん
あと、うちはカレーパンが看板商品なんですけど、それも250円から290円に一気に値上げしたんです。
そこに対して、フランチャイズオーナーからの反発も大きくて。「買われなくなったらどうするんだ」って言われたんです。
でも、小出しに10円ずつ値上げしていくよりは、圧倒的にイメージがいいじゃないですか。
高橋さん
たしかに、企業が極端に値上げを気にしすぎている部分はあるかもしれません。
ユーザー側からすると、最初は反発があるかもしれませんが、実際に調査してみても次第に新しい価格に慣れてしまうんです。
逆に小出しにしてしまうと、「あそこは収益ばかり考えている」というイメージが染み付いてしまうこともあります。
堀江さん
でも最近は、値上げに対して寛容になってきてますよね。
たとえばあるレストランチェーンが「値上げしません」って宣言したとき、これまでだったら賞賛されてたじゃないですか。
でも、その宣言に対して「値上げしなくて大丈夫なの? 誰かが割を食ってるんじゃないの?」という議論がちゃんと出てくるようになった。
高橋さん
そうですね。
これまでは「いかに他社より安くするか?」という熾烈な価格競争が当たり前で、価格に対してそこまで深く分析する必要もなかったんです。
ただ、それだとビジネスとして成立しなくなってきたという背景があり、改めて考えはじめる経営者の方が増えてきていますね。
ーー(編集部)堀江さんは以前から「プライシングにはこだわっている」とおっしゃってましたが、具体的にどんなポイントがあるんですか?
堀江さん
うちのパン屋では、値段が4パターンしかない「4プライス制」にしているんです。
ほとんどのパン屋さんは、原価を計算して価格を割り当てているんですよ。つまり30種類のパンがあったら、30種類の値段がある。
しかも街の個人経営のパン屋さんだと、291円とかめっちゃ細かいじゃん。
ーー(編集部)それが普通だと思ってましたけど…「4プライス制」のメリットは何なのでしょう?
堀江さん
レジ打ちのバイトの子が早く覚えられるんですよ。
30種類のプライスがあったら、まずそれだけ覚えないといけないでしょ。「これは280円で、これは110円。食パンは500円で…」みたいにやっている。
だからパン屋のレジには行列ができるんですよ。
「あの待ち時間が嫌なんだよね」
堀江さん
でも4つの価格だけだったら、覚えられるじゃないですか。
商品に色のシールが貼ってあるわけ。赤は200円、黄色は150円とか。
そしたらもう暗算でもできるよね。「赤が10個なら2000円ですね」って。
高橋さん
バイトの育成期間が短くなり、さらに顧客回転数も上がる。
コストバランス以外のメリットもある、とてもうまいプライシングだと思います。
堀江さん
でしょ?
飲食店の経営者って、ちゃんとプライシングできてない人たちが多いんですよ。
みんな感覚で決めているんですよね。
“価格設定”をデータに基づいてコンサルティングする「プライシングスタジオ」
高橋さん
今堀江さんがおっしゃったように、じつは根拠をもった「価格設定」をできてない企業が多いんです。
BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)の調査によると、世界各国の主要企業およそ300社のうち、半数以上で明確なプライシング戦略が実行されていないそうです。
私たち「プライシングスタジオ」は、そんな企業のプライシングをサポートしています。
プライシングスタジオの4つの事業
高橋さん
基本的には自社開発ツール「プライシングスプリント」を活用して、プライシングをコンサルティングさせていただいています。
このツールでは、アンケート作成などのデータ収集から、価格を変化させたときの顧客数や売上高のシミュレーションまで出すことが可能です。
たとえばこれは、ネットフリックスが2021年2月にサービスの価格改定をおこなったときの分析なんですけど…
高橋さん
もともと月額880円だった「ベーシックプラン」が990円に値上げされました。
自社ツールに年齢や家族構成、月間視聴時間や視聴デバイスの種類などの利用実態を入力してシミュレーションしたところ、ネットフリックスの決定した990円では顧客数はたったの2%減にとどまり、売り上げは10.2%も増加しています。
このようにして、どの価格でどんな反響があるか…というのを提示することができるんです。
堀江さん
これって個人でも法人でも受けてもらえるんですか?
売上がすごく小さい会社でも?
高橋さん
もちろんです。
現在ご相談を受けている企業群のなかでは、上場企業が2割〜3割。残りは中小企業やスタートアップ企業のお客さまです。
堀江さん
そうなんだ。うちのカレーパンも分析してもらいたいな。
ーー(編集部)具体的に「プライシングスタジオ」で売上が改善できた事例には、どんなものがありますか?
高橋さん
一例として言うと、業界最安値のポジションで、価格改定ができずにいたSaaS企業があります。
一番安いプランに顧客が集中していたのですが…プランごとに、より価格に見合った機能を見直す提案をしたことで、1つ上のプランの顧客を増やすことができたんです。
これでMRR(月間経常収益)が3.5倍になりました。
高橋さん
こういった売上を実際に上げられるメリットもあるんですが、僕らが介入する一番の意味は、値付けに根拠を示すことができるということだと思っていて。
クライアントの社長とお話していると、僕らが提案する価格と、社長が想定していた価格が一致することもあるんですよ。
それまでは、値上げしようと思っても「なぜこの価格が正しいのかを従業員に説明できなかった」とか「みんなが納得してくれなかった」ということがあったけど、僕らの出したアウトプットでデータとか根拠をもって説明できるようになったと話していて。
堀江さん
なるほど、それは大きいと思いますよ。
普通はみんな納得できないもん。
カレーパンのときは本当に大変だったからなあ…
ずっとカレーパンの話してる
対談中に堀江さんから相談が…
堀江さん
あっ、俺いいこと思いついた。
堀江さん
俺がやっているサービスのなかで、今アンチエイジング事業が伸びているんですよね。
とくにサプリが人気なんだけど…サプリって神社のお守りとかと同じで、“ある程度高いからありがたみがある”という考え方があるんですよ。
高橋さん
価格が品質指標になっているケースですね。
価格が高いほどいい商品なんじゃないかって思うし、安すぎると効き目が悪いんじゃないかって不安になるという。
堀江さん
そうそう。ある程度価格を上げないと売れないっていう面白い事業なんですよ。今販売しているサプリなんかは、そのプライシングがうまくハマって、めちゃくちゃ売れた。
ただ、ボディケア系のアイテムがイマイチ売れてないんですよね。
だから今、新しくボディクリームを開発しているんですよ。
「今それを塗ってるんだけど、すごく肌触りがいいの」
堀江さん
メインターゲットは中高年の男性なんですけど、みんな手がカサカサじゃない? 保湿に対する意識も低いし。
でも、ボディクリームでエイジングケアができるって知ったら、「試してみようかな」ってモチベーションがわくと思うんだよ。
そしたらおそらく「キレイになりましたね」って言われて、さらに美容意識が高くなる。
だから絶対売れると思っているんだけどさ、このプライシングをやってくれません?
高橋さん
ぜひやらせてください!
高橋さん
ちなみに今のところ、いくらを想定されていますか?
堀江さん
1万円超えくらいを考えてます。
前にボディオイルもつくったんだけど、ちょっと値段を高く設定しすぎちゃったせいか、あまり売れなくて。
高橋さん
新商品の発売前のタイミングこそ、プライシングがもっとも重要だと思います。
価格ってやっぱり失敗したときのダメージは大きいですし、改定してもお客さんはもう戻ってこないってこともありますから。
僕らが消費者リサーチを結構細かくしていって、10円単位までシミュレーションを出させていただきますよ。
堀江さん
いいじゃん。
そしたら今回は「プロモーション価格」でお願いしたいな…
宣伝にもなるし…
チラッ…
高橋さん
もちろんです(笑)。
発売まで一緒に伴走させてください!
ということで、なんとその場で堀江さんがプライシングスタジオのお客様に…!
・サービス内容に自信はあるのに、売上が伸びない
・原材料の値上げで価格を上げるしかないけど、適正な価格がわからない
・新規サービスで、ユーザーにも納得してもらえる価格を調べたい
など、価格にまつわるさまざまなお悩みを今後も解決していきたいというプライシングスタジオ。どんな小さなお悩みでもいいそうなので、ご興味ある方は気軽に相談してみてください!
〈取材・文=福田啄也(@fkd1111)/編集=石川みく(@newfang298)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
ホリエの視点
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