「人は、手に入れられなかったものでできている」
童貞男の“やれたかも” ラブホに入ったのにコンドームがなかったらなんて言えばいい?
新R25編集部
あのとき、もしかしたら、あの子とやれていたかもしれない…。
そんな異性との忘れがたいエピソードを描く吉田貴司さんの人気漫画『やれたかも委員会』が、2018年1月よりAbemaTVにて実写ドラマ化!
同ドラマと新R25のコラボ企画『やれたのか討論会』は、はあちゅう(作家・ブロガー)と霜田明寛(「チェリー」編集長)のゲスアワーコンビが、『やれたかも委員会』の映像を観ながら、「これはやれたのか、やれたとは言えないのか」をあーだこーだと語り合う新連載です。
今回語っていただくのは、「初めての夜」編。
就職活動に勤しむ大学4年生の主人公(童貞)には、付き合って3カ月になる1つ年下の彼女がいる。お嬢様育ちの彼女を上手くリードしてこそスマートな男だと信じて、焼肉、ラブホとリードしていくが…。
霜田
僕ら2人の組み合わせで、童貞の主人公って…。結構危ないヤツですよねコレ。
はあちゅう
おもに私が危ない。「まだ童貞をビジネスにするか」ってなりますね。
でもまあ、フラットに話したほうがいいですよ。読んでてムカついたとしても、私たちじゃなくてドラマにムカついてもらうことにしよう!
霜田
また炎上しそうだなあ…(笑)
初々しい焼肉デートにキュン…
霜田
就活の面接の後、待ち合わせて焼肉デート。いいですね~!
はあちゅう
焼肉の楽しみ方って、たしかに学生のころはよく分からなかったよね。
「最初はタン」みたいなの、私も社会人になってからだんだん覚えたな。
霜田
今回のカップルはサークルの先輩後輩ということですからね。
はあちゅう
なんか、学生のころの初々しい感じを思い出して「わかるよ、わかるよ」って観てました。
ラブホの受付での葛藤についてあれこれ語る
霜田
さて、焼肉の後は割とスムーズにラブホへ行くわけですが…。
はあちゅう
ここでさあ、入るかどうか聞かれた女の子が「任せる」って言うじゃん。これはダメだろと思っちゃった。
霜田
おっ?
はあちゅう
もうちょっと「私も喜ばしい」みたいなものを態度で見せないとさぁ、何をどう任せるんだ!? みたいな。
ぜんぶ男の人に委ねちゃうから、童貞君にとってはプレッシャーだったんだろうなぁ。かわいそう。
はあちゅう
あとこのシーンで「ウッ」ってなったのが、受付で「休憩ですか? 宿泊ですか?」って聞かれるところ。
霜田
ああ~(笑)
はあちゅう
まず、男の人に払わせるとしたら金額が大きいじゃん。「半分払うよ」とか言ったほうがいいのかどうか。
でも、そう言うとあまりにも前のめりな気もする。
はあちゅう
あと、「ギリギリ終電間に合うな」みたいなことも考えちゃうと思う。実家に住んでる女子大生だったら1泊するって結構大きい話だから。
「終電で帰りたいかも」みたいな“ざわめき”が発生する気がする。
霜田
それって、ぶっちゃけホテルで何時間かかると想定してるんですか?(笑)
はあちゅう
2時間あれば十分っていう計算(笑)
霜田
なるほど。じゃあ22時に入ってギリギリ(帰れる)って感じですかね。
はあちゅう
まあ、でもこのシチュエーションは初々しすぎるね。
もはや割と意思が決定されたうえでのホテルのほうが多いから、こんな「この人と今夜初めてやるのだろうか…」みたいなシチュエーション見るの久しぶりだった(笑)
霜田
僕はラブホのおばあちゃんのしゃがれ声のリアルさに笑いましたね。あと、こっちに出てきてカギ渡すんかい!っていう(笑)。
こんなおばあちゃん、実際に新大久保あたりのラブホにいそうだなあ…。
はあちゅう
新大久保はわかんない…(笑)
霜田
渋谷で済ませてる感じですか?
はあちゅう
…(笑)。でも、ホントこのおばあさんはこっち側に出てこないでほしいよね。「今から私たちはやります!」っていう感じになっちゃうから。
ラブホに入った時点で、男は勝ちを確信しているが…
霜田
で、問題の“ない”シーンになるわけですが…。
はあちゅう
コンドームがないからって、変にカッコつけるからダメなんだよね。あそこで焦ってしまって、言い出せないところが童貞っぽい。あのプライドはいらないですよね。
霜田
あの男の子としては、あそこまでいってコンドームがないとか言うと女の子に失礼だと思って、ゴマかしたのかなと思ったんですけど…。
はあちゅう
全然失礼じゃないよ。そういうカッコ悪いところを出してくれたら、こっちも「そうだよね」って笑って、緊張の空気がゆるむし。
霜田
でも男からすると、ラブホ入った時点でもう「やれた」と言っていいんじゃないかと。今回の話は完全に「やれた」判定ですよ。
はあちゅう
私は「やれてない」もあると思うけどね。
私の知り合いの男性の話で、「何もしないから」って言って会社の後輩女子とラブホに入って、いざしようとしたら「何もしないって言ったじゃないですか!」ってガチギレされたっていうことがあって。
霜田
いやー、その悲しいエピソード、男側から反論していいですか?(笑)
だって、ラブホに入ってる時点で、こっちは勝ちを確信してますから。
家ならわかりますけどね。「DVD観ない?」みたいに誘って、「本当にDVD観るだけだと思ってた!」ってキレられるならまだしも。ラブホですから! そういうことするためだけの場所ですから!
はあちゅう
いやいや、本当に純粋な女の子っているんだって。
霜田
その鈍感に近い純粋さはいらないっす!(笑)
ただ、僕もラブホで「添い寝」して終わったことがあるんですよ。
はあちゅう
どういう状況?
霜田
なんか年上の女性と飲んでて終電を逃したあとだったんですけど、「ダメだよ」みたいなこと言われて、結局朝まで添い寝して終わりましたね。
「こんなキレイな女性と添い寝させてもらえるだけで光栄なことだ」と自分に言い聞かせて眠りにつきました(笑)
はあちゅう
でも、私はむしろこれ、女子側の『やりたかった委員会』だと思うな。これはやりたかった!
霜田
女子からすると、行為を途中で止められるっていうのはどうなんですか?
はあちゅう
トラウマになりますよ。理由がわかんなかったらすごいモヤモヤする。
私もしかして変なニオイするのかなとか、動きがぎこちなくて萎えたのかなとか…。
霜田
あの時点で心は許してるわけですからね。
はあちゅう
男の人って1回やったら未練がなくなったりするんだけど、女の子って「やったら好きになっちゃう」みたいなところもあるから。
逆に、この回みたいにちゃんとできなかったら、2回目へのハードルは高まるかも。
霜田
たしかに、今回は相手が付き合ってる彼女だったからよかったけど、彼女じゃなかったら今後会いづらくなっちゃうパターンですね。
「人は、手に入れられなかったものでできている」
霜田
僕は、最後の「やれてない気持ちが世界を平和にする」っていう結論が好きで。
やれなかった経験を思い出して、自分を肯定することができました。
はあちゅう
そうだね。だってこれ、やれてしまってたら、数多くいる彼女のうちの1人でしかないもん。
霜田
坂元裕二脚本の『anone』っていうドラマで、「人は手に入ったものじゃなくて、手に入らなかったものでできている」っていうセリフがあって。
はあちゅう
それだ!
霜田
そのセリフのことを考えながら『やれたかも』を観てましたね。
はあちゅう
まあ、男の人はこういう「やれなかった夜」があるほうが可愛げがあるよね。人間として深みがある。
この人はもうコンドーム忘れないんじゃないかと思うよ。
霜田
いい『やれたかも』でしたね。
はあちゅう
では、次回もお楽しみに…ってこんな感じでいいのかな?
〈構成・文=天野俊吉(新R25編集部)〉
次回予告
2月10日(土)よる11時〜「人妻編」
未公開映像も!『やれたかも委員会』アーカイブ
【無料】やれたかも委員会 - Abemaビデオ | AbemaTV(アベマTV)
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※『やれたかも委員会』は、漫画家・吉田貴司氏が、デジタルコンテンツ向けの配信プラットフォーム『cakes』や『note』に作品をアップしたことからSNSを中心に話題となり、今年7月には書籍としても発売された人気連載漫画です。
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はあちゅう×霜田明寛 リアルイベント「昔の恋愛日記、朗読します」
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はあちゅうさんの文庫『恋が生まれるご飯のために』(幻冬舎文庫)、『いつかすべての恋が思い出になる』(角川文庫)の発売を記念して、はあちゅう×霜田明寛のゲスアワーコンビがイベントを開催。日記魔の2人が過去の恋愛日記を持ち寄り、参加者の皆さんの前で朗読・発表、その内容を自ら解説するという、主宰者自らが企画しておきながら、人生で一番出たくないと思ってしまうイベントだそうです(笑)。
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永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン「チェリー」
永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン
霜田さんが編集長を務めるWebマガジン。青春時代にうまくいかなかった経験のある大人は、人の心の痛みが分かるぶん、人の心を動かす文化を創る素養がある。そんな信念に基づき、「オトナ童貞」たちが世界を変えていくためのきっかけを創出しています。
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