答えづらそうな質問をぶつけてみた!

初心者はタイミングを“選ばない”ほうがいい? お金のプロが教える「株の買い時」

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これから資産運用をはじめたいと考えているR25世代に向けた連載「新R25投信 ~プロが教える資産運用ファーストステップ~」。投資初心者の悩みや疑問に、お金のプロたちが簡潔に答えます!

第4回のテーマは、「株の買い時」について。

どうやって“買い時”を判断していますか?

…という、ちょっと答えづらそうな質問をぶつけてみました!

藤野英人「『毎月●日に買う』と決めてしまったほうがいい」

【藤野英人(ふじの・ひでと)】レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役社長・最高投資責任者。1966年富山県生まれ。国内・外資大手投資運用会社を経て、2003年創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資教育にも注力しており、明治大学商学部兼任講師、JPXアカデミーフェローを長年務める。一般社団法人投資信託協会理事
✓藤野英人がすすめる株の買い時
藤野英人

藤野英人

私自身はプロとして30年近くこの仕事をしているので、定性的・定量的な情報と、あらゆる角度からの情報をあわせて判断しています。

ただ、初心者が最初から自分で買い時を選ぶのは、やっぱり難しいとは思います。

デイトレードや、数日間~数週間で売買をすませるスイングトレードをやるつもりなら「その日の株価」の分析方法が重要になってきますが、やはり個人投資家の方にオススメしたいのは長期投資です

「この会社は今後も利益が伸びそうだ」と思えるところに、まずは少額から投資してみる。そして、投資しようとなったら、自分の欲に左右されないように、いっそ「毎月●日に買う」というように決めてしまったほうがいいかもしれません

買ったあとは、株を「いくらで買ったか」を忘れてください。自分の買い値がいくらかということと、株価の動きは何の関係もありませんから、買い値を意識するだけ無駄なんです。

とはいえ、ほったらかしにするわけでもなく、株を保有している間は「なぜ株価が動いたのか」「今この株価は適正なのか?」「これから成長の余地があるのか?」を問い続けていくことが大切です。
レオス・キャピタルワークス株式会社

レオス・キャピタルワークス株式会社

藤野さんが代表を務める独立系資産運用会社。「ひふみ投信」「ひふみプラス」などを運用している
さらば、GG資本主義 投資家が日本の未来を信じている理由 (光文社新書) | 藤野 英人

さらば、GG資本主義 投資家が日本の未来を信じている理由 (光文社新書) | 藤野 英人

上念司「買い時は誰にも分からない。だから買いたいと思ったときに始めていい」

【上念司(じょうねん・つかさ)】1969年東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業後、日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。テレビ、ラジオなどに出演する傍ら、金融政策、財政政策、外交防衛政策などのリサーチを行なっている。主な著書に『経済で読み解く織田信長 (KKベストセラーズ)』 『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済(講談社)』『日本は破産しない(宝島社)』などがある
✓上念司がすすめる株の買い時
上念司

上念司

それを知っていたら私はきっと誰にも教えないでしょう。

買い時は誰にも分からない。だから買いたいと思ったときに始めればいいです。

でも、そこでいくらから始めて、何を買うかが問題です。100万円の資金なら最低10分割して10か月に分けて投資しましょう。しかも、銘柄もできるだけ分散した方がいい。最低200銘柄以上。

それができる金融商品は、指数連動インデックスETFしかないです。個別銘柄を買うなんて自殺行為。絶対にやめましょう。

年間の投資予算が100万円なら、ドルコスト平均法(※)でTOPIX連動ETFに毎週1万円ずつ投資すれば、1年間で約52万円を1500銘柄に分散投資することになるので安心です。残りの50万円をREIT指数連動ETFに投資すればさらに安心。

素人がそれ以上やると怪我のもと。成功した人は単なる生存バイアスであって、失敗して大損した人の山が隠れていると思って下さい。
※ドルコスト平均法=定期的に一定金額分を買っていく投資方法のこと。
八重洲・イブニング・ラボ

八重洲・イブニング・ラボ

八重洲・イブニング・ラボは、上念さんが仕事帰りの「イブニング」に、今までとは一味違う新しい「知」を提供する会員制コミュニティです
日本経済を滅ぼす「高学歴社員」という病 (PHP文庫) | 上念 司

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横川楓「買うと決めた株を、今日だと決めたときに買う」

【横川楓(よこかわ・かえで)】平成生まれのお金の専門家/経済評論家。これからの世代に振りかかる様々なお金の問題と、周囲の持つお金への意識との乖離に疑問を持ち、お金の知識の啓蒙を始める。SNSでの情報発信や各種雑誌の連載など、ミレニアル世代ならではの等身大の視点で活動中
✓横川楓がすすめる株の買い時
横川楓

横川楓

最初のうちは、「もっと安くならないかな」とか「もっといいタイミングがあるかな」とかいろいろ考えてしまうのですが、株価は毎日変わるものです。

はじめは、買うと決めた株を今日だと決めたときに買うのがいいと思っています

株が安いか高いかチャートを見てみたり、株価収益率を計算したりと、ある程度分析するのも大事です。でも、なかなかそこまで時間をさける人も多くないと思いますし、数字が苦手な人には難しい作業で、ハードルも高くなってしまいます。

まずはあまり身構えず、これから有望だとよく聞くような企業の株を買うといった選び方をしてみて、徐々にチャートを見たり、株価収益率を計算してみたりを意識するくらいのペースでいきましょう。

色々な考え方や情報があると思いますが、得も損も自分に返ってくることなので、参考にしつつ「あとで自分が後悔しない」を一番に考えてみてほしいです。

三田紀房「買い時は日経平均の底値」

【三田紀房(みた・のりふさ)】1958年生まれ、岩手県北上市出身。明治大学政治経済学部卒業。代表作に『ドラゴン桜』『インベスターZ』『エンゼルバンク』『クロカン』『砂の栄冠』など。『ドラゴン桜』で2005年第29回講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。現在「モーニング」にて『ドラゴン桜2』、「ヤングマガジン」にて『アルキメデスの大戦』を連載中。
✓三田紀房がすすめる株の買い時
三田紀房

三田紀房

それなら日経平均株価を見ればわかりますよ。買い時は、底値で買うことだよね。
三田紀房 公式サイト

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三田さんの公式サイトでは、「面白くて超タメになる漫画×Webメディア」をコンセプトに、投資情報や受験情報を紹介しています
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杉原杏璃「配当利回りが4~5%とれれば“買い”でいいと思います」

【杉原杏璃(すぎはら・あんり)】1982年生まれ。広島県出身、グラビアクイーンとして雑誌、バラエティ番組にも多数出演。23歳で30万円から投資をスタートし、5年間の株式投資で1000万円の利益を上げた経験を持つ。「財テクタレント」「株ドル」としても活躍の幅を広げている。著書に『株は夢をかなえる道具 女子のための株式投資入門』(祥伝社)、『不動産投資は自分らしく生きる道具』(祥伝社)、『マンガでよくわかる 株1年生〜億り人 杉原杏璃と一緒に』(かんき出版)、『お金に働いてもらう! ほったらかし投資』(ポプラ社)がある
✓杉原杏璃がすすめる株の買い時
杉原杏璃

杉原杏璃

基本的には、チャートを見て下げ止まってると感じたところで購入してます。株主優待の権利落ち日や決算近辺、IR後など…。IPO銘柄だと、少し様子を見て落ち着いたころに購入することもあります。

買い時の判断については、その企業のチャートを1ヶ月、半年、1年、2年前からの見て、割安かどうかを確認しましょう。その間に下方修正があったかもしれないし、自社株買いがあったかもしれません。

あとは、業績がよく成長すると思える企業を探すために、EPS(1株当たりの利益)やROE(自己資本利益率)やPBR(株価純資産倍率)を見ます。

ですが、テクニカルな分析は株を始めて何年もしてからようやくわかってきたので、利回り(配当)が4~5%とれれば“買い”っていうシンプルな買い方でもいいのではないかと思います。
お金に働いてもらう! ほったらかし投資

お金に働いてもらう! ほったらかし投資

株の適切な買い時は、プロたちでも一概には言えないよう。初心者のボクらは、とりあえず後悔しないタイミングで思い切って購入し(もちろん余剰資金で)、そこから上がり下がりを経験したほうがよいかもしれませんね!
〈構成・文=福田啄也(@fkd1111)〉
初心者におすすめ/おすすめしない資産運用法をプロが解説。「年収」と「リスク許容度」で選ぼう|新R25

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