「若者に車に乗ってほしい」ではハードルが高い
若者は“クルマ離れ”してるけど、逆境はチャンス。田端信太郎と考える個人間カーシェア「エニカ」の広め方
新R25編集部
世の中に、すばらしい商品やサービスはたくさんあります。
商品がよければ、その魅力は必ず人々に伝わる…といいのですが、実際には「本当の良さが知られていない」サービスは数多く存在するのが現実。
そこで重要になるのが、「マーケティング」や「プロモーション」。
新R25では、これらに精通したビジネスパーソンに、さまざまな商品の「魅力の伝え方」をコンサルティングしてもらおうと思います!
…ということで、さっそくこの方に登場願いましょう。
【田端信太郎(たばた・しんたろう)】株式会社ZOZO コミュニケーションデザイン室長。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン『R25』を立ち上げ、創刊後は広告営業の責任者を務める。その後ライブドア、コンデナスト・デジタル、NHN JAPAN、LINEを経て、2018年3月から現職
田端信太郎さん。
フリーマガジン『R25』の立ち上げに参画し、その後LINEなどの企業で実績を残してきた、若者コミュニケーションのプロフェッショナルです。
今回は、そんな田端さんと、すでに25万人以上が登録している注目サービス“乗ってみたい”に出会える個人間カーシェアリングサービス「Anyca(エニカ)」担当者の対談をお届けしたいと思います。
エニカとは、一般のオーナーさんが所有するクルマをシェアリングに出し、ユーザーはその幅広いバリエーション(700車種以上、8000台以上)のなかから好きなクルマを選んで利用することができる、CtoC型のカーシェアリングプラットフォーム。
ただ、「若者のクルマ離れ」も叫ばれる昨今。
R25世代にももっとクルマの魅力を知ってもらい、カーシェアリングサービスを使ってもらうにはどうすれば…?
対談のお相手は、株式会社DeNA SOMPO Mobility 取締役 の馬場光さんです
エニカに興味津々な田端さん。実際に使ってきてくれました
田端さん
じつは僕、エニカにかなり興味があって、今回事前に利用してから来たんですよ。
馬場さん
それはありがとうございます!!
乗ったクルマは何ですか?
田端さん
カイエン(ポルシェ・カイエン。2002年に登場した人気車種)です。
一度乗ってみたいと思ってて!
興味があったと言うだけあって、いつになくなごやかにスタートしましたが…
馬場さん
おお! 実際どうでしたか?
田端さん
うん、メッセージのやりとりもサクサク動くし、アプリの使い心地は快適。
ユーザー同士で免許証情報を開示するステップがあったり、御社が安全性や信頼性にも気をつかってるんだなっていうのをすごく感じましたね。
馬場さん
ありがとうございます!
安心・安全への取り組みはかなり力を入れてて。損保ジャパン日本興亜、東京海上日動と連携して、ドライバーが必ず1日自動車保険にも加入するようになってるんですよ。
田端さん
ふむふむ。
ただ、ユーザー目線で本音を言わせていただくなら…いや、これどこまでマジレスしていいか迷うんだけど…
やっぱり言っちゃうのか?
田端さん
他人のクルマに乗るって、すっごいハードル高いですよね。
家族で乗ったんだけど、「もしも子どもが汚しちゃったらどうしよう」「キレイに拭いたとして、オーナーに正直に言うべきなんだろうか」とかいろいろ考えちゃって(笑)。
馬場さん
ハハハ…なるほど(笑)。
田端さん
クルマって、自分の家みたいなものじゃないですか。
たとえば、僕がクルマを出す側になったとして、利用した女子が落としたピアスが奥さんに見つかって怒られるようなこともあるんじゃないか!?とか、いろいろ考えちゃいましたよ!ガハハ!
ガハハじゃないんですよ
馬場さん
…おっしゃる通りで、そういった心理的ハードルはあるんですよね。でも逆に、「カーシェアを通して人と人のつながりができるのがエニカの魅力」と言っていただける方も多いです。SUVに乗るとアウトドア好きな人とつながれるとか。
また、会員登録のうち友達紹介きっかけの割合が3割なんです。初めての体験だからハードルは高いですが、使っている友達がいれば、魅力を分かっていただきやすいんです。
「クルマに乗らない」と言われるR25世代に、エニカを使ってもらうには…?
田端さん
あとは、そもそも若者にクルマに乗ってほしいってところにもハードルがありますよね?
馬場さん
ですね。なので我々は、若者向けに「クルマに乗るって楽しいんだよ」「高級車ってこんなにすごいんだよ」と打ち出すキャンペーンをやってきました。
田端さん
うーん…でも、クルマに興味がない若者が高級車を運転したくなる状況がいまいちわからないですけどねえ。
マジレス続きの田端さんに、冷静な馬場さんもこの表情
馬場さん
僕らの悩みがバレてますね…(笑)。
クルマに乗る習慣がない若い世代にもっと使ってほしいんですが、それがなかなか…
田端さん
マーケティングの観点からみて、「最初の一歩をどう越えるか」はやっぱりすごく難しい問題ですよね。
ただ、逆境はチャンスでもある。
もともと興味がない層の第一接触先になる、つまり最初に使ってもらうサービスになることで「カーシェアってこういうもんだよね」という“デファクトスタンダード”を取れる可能性があるので。
※デファクトスタンダード…業界内の競争に勝ち、ある商品やサービスが事実上の標準規格になること。家庭用ビデオの「VHS」などが好例
田端さん
こういうときって、「手段と目的」を分ける考え方をするとよくて。
「若者がクルマに興味がない」ってよく言うんだけど、それって「クルマに乗ること自体が目的になってる人が以前に比べて減った」っていう話だと思うんですよ。
「直列6気筒エンジンがどうたら」って、もはやマニアックな趣味。多くの若者にそういう趣味を持てって言ったって難しいですよ。
馬場さん
そうですね…
もちろん我々のユーザーのなかにはクルマ好きの方も多く、コミュニティもできているのですが、世の中的には多数派ではないでしょうね。
田端さん
でも、「手段」としてはクルマって便利だし、乗る必然性があるのは間違いないじゃないですか。
ならもっと発想を変えて、上流から設計したらいいと思うんです。
「たとえばね…」
田端さん
夏場のハイシーズンの「オートキャンプ場」をエニカが抑えてしまうとか。
そこと連携して、「エニカのカーシェアでキャンプに行こう!」と提案するキャンペーンを組んでみる。その組み合わせだとすごく割引があるとかね。
釣りとかサーフィンとかバーベキュー場とかでもいいと思いますよ。
馬場さん
なるほどなるほど…!
田端さん
つまり、ディスティネーション(目的地)をクルマ以外につくって、そこへ行く手段としてエニカを訴求したらいいんじゃないですかね?
市場が狭まってるであろうアウトドア系の雑誌とコラボしていくとか、いろいろ展開できそうじゃないですか。
馬場さん
若者がクルマに乗るシーン自体をつくる発想ですね…!
田端さん
たとえば、アメリカのエンゼル・スタジアムっていう野球場は、「レクサス専用駐車場」があるんです。
それも、クルマに乗る目的は野球を観にいくことですよね。“そのための手段としてレクサスがあると駐車場探しまわらなくていいから便利ですよ”って訴求しているわけです。
なにも「目的」としてクルマに乗ってもらうことにこだわる必要はないんじゃないですかね。
これはかなり納得感のあるお話
そして、CtoCサービスならではの魅力は当然…
田端さん
あと、アプリを見てて改めて思ったんですけど…
また何かズバリ言ってくるのか…!?
田端さん
やっぱりエニカって、安いですよね。
馬場さん
!
そうなんです!2018年度の人気クルマランキングですが、24時間料金がこれぐらいです。
アピールチャンス到来
馬場さん
登録されているクルマのうち、半分以上が5000円~1万2000円(24時間)でカーシェアできます。
「若者にも車の魅力を知ってほしいので、乗りやすい価格設定にしている」というすごく素敵なオーナーさんもいて、お得に乗れると思います。
6割はデートユース!現代のデートカーレクサスRC。月平均10万のシェア金額が振り込まれるカーシェア術とは
Anyca利用者のリアルな声を聞くことで、未来の利用者に有益な情報をお届けする連載「賢者のカーシェア術」。この度はAnyca大好き「R」吉田
こちらがそのオーナーさんです
田端さん
全体的には、おそらく一般的なサービスより安いですよね。
ただ、 日常的にクルマを使ってない若者は値段を見てもピンとこない可能性もあるから、そこはちゃんと伝えたいところかなと。
田端さんの口からエニカの長所が出てきて安堵気味の馬場さん
TPOに合わせてクルマを使い分けるのは、時代に合っている
馬場さん
最後にこれはお伝えしたいんですが…
我々が考えているのは、気負わずに、TPOに合わせてクルマを選ぶ「だれもが数台のマイカーを持つ未来へ」という世界観なんです。
田端さん
たしかに、それがエニカの魅力ですよね。
「何かひとつを選ばなきゃいけない」ことも、若い人がクルマを買うハードルになってると思うので。
どんなにカレーが好きでもカツ丼が好きでも、「毎日食べなきゃいけない」って言われたらムリみたいな話ですよ。
田端さん
さっき「手段としてのクルマは優秀」という話をしましたけど、ここに行くならこのクルマ、ここに行くならこのクルマって、目的ごとに使い分けるのは時代に合ってる気がしますね。
馬場さん
エニカのように700車種以上、8000台以上の多様なクルマを選べるサービスなら、“必ずしもみんながクルマを買わなくなった時代”でもニーズに合った使い方をしてもらえる 。「若者のクルマ離れ」の解決策になれると思うんです。
田端さん
うん、いろいろツッコんでしまったけど、僕はすごく興味深いサービスだと思ってますよ!
カレーのよさもあるし、カツ丼のよさもある。今日みたいな暑い日は、おそばがいいですもんね。
最後はなぜかおそばの話でなごやかに終わりました。ありがとうございました!
おふたりのお話のなかから、時代に合った新しいサービスを利用して、効率的にさまざまな「手段」を持つことのメリットが見えてきました。
ちなみに…今回は田端さんの友達招待コードをご用意していただきました!
エニカへの新規登録時に招待コード「tabata2020」と入力すると、2500円分の割引ポイントがもらえます。
あなたもお得なキャンペーンに乗って、「好きなクルマで」「好きな時間に」「好きな場所に」出かけてみませんか?
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=三浦希衣子〉
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