光本勇介著『実験思考』より

「先が見えない時代」なら、失敗なんて存在しない。今こそ“実験思考”を身につけよう

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変化の時代にこの一冊

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外出自粛期間が続き、ほとんどの時間を自宅ですごすようになりました。

家から出られないストレスもありますが、移動時間などがなくなったことで自分のために使える時間が増えているのも事実。

そこで、新R25が立ち上げる新連載「変化の時代にこの一冊」では、これまで多くの本に触れてきたビジネスインフルエンサーたちが「社会が大きく変化している今だからこそ読むべき一冊」をセレクト。

その内容の一部を抜粋して、自宅にいながらも気軽に読書体験ができる記事をお届けします。

もし興味のある本に出会ったら、ぜひ購入してこの機会にじっくり読んでみてください。
今回紹介するのは、『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』や『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』などの数々のベストセラー本を手がける編集者・竹村俊助さんが選んだ『実験思考 世の中、すべては実験』。

目の前のアイテムを一瞬で現金に変えるアプリ「CASH」をはじめ、次から次へと常識破りのビジネスを立ち上げる天才起業家・光本勇介さんの著書です。

推薦者の竹村さんからは、以下のコメントが寄せられています。
この本を読むと、毎日の景色が一変します。

人生とは「実験」である。そう思えるようになるので毎日がめっちゃ楽しくなるんです。

もし「失敗」しても、それは「失敗」じゃなくなる

コロナによってさらに不確実性が高まったこの世界で嬉々として実験ができる人はやっぱり強い。

みんなガンガン「実験」していきましょう!

出典 編集者・竹村俊助さんより

“実験思考”によって一体何が得られるのか

新しいアイデアの生み出し方や、未来の予想まで、困難な状況を打破するヒントをご紹介します。

変化の時代だからこそ「実験思考」を身につけよう

いまは「先が見えない時代」 「大変革の時代」などといわれます。

チャレンジを恐れ失敗を恐れて生きる人にとっては、恐怖の時代かもしれません。 「明日はどうなるのだろう?」とビクビクしながら過ごさなくてはいけません。

でも「実験思考」で生きれば、こんなに楽しい時代はありません

変化の時代だからこそ、実験する人にとっては絶好のチャンスなのです。

失敗すら成功へのひとつのプロセスに過ぎません

あくまで実験なのだから、仮説どおりにいかなくても、こっちの道ではないとわかった、というひとつの結果なのです。

事業も含め、世の中のすべてのことはやってみないとわからないことだらけです。

それならば、とりあえず打席に立ち続け、バットを振りまくったほうがその経験から得られるものも多いですし、あわよくばヒットかホームランも生まれるかもしれない。

大切なのは「とにかくやってみよう」の精神です。

「CASH」も実験的思考から生まれたサービスだった

世の中は「経済」で成り立っています。「お金」で動いている。

モノやサービス を手に入れるにはお金が必要」という部分がどうしてもあります。

お金を稼がないと何もできないし、お金は絶対的に必要なものです。

しかもいまは、仮想通貨や電子マネーなど「お金」の概念が劇的に変わってきている。

そんななかで「お金」をテーマにビジネスをするのがいちばんおもしろいのではないかと考えたのです。

世の中の人たちはお金が欲しいのです。あたりまえですが、みんなお金が欲しい。

ただ、それは50万円、100万円単位のお金でなくてもいい。

ほとんどの人が少額で満足してくれます。

そして「すぐに現金になる」ということが魅力的なのです。

少額でもいいから、手数料を払ってでも、すぐに手元に欲しいのです。

ぼくは「少額でもいいからすぐお金が欲しい」という需要に気づきました。

 さらには、メルカリがブレイクするのを見て、「少額資金のニーズはやっぱりあるな」と確信しました。

メルカリのスピードキャッシュ」のようなものができないか。

そこで生まれたのが「CASH」というサービスでした。

目の前のモノをパシャッとスマホのカメラで撮ると、金額が表示されて瞬時に口座に現金が振り込まれる。

メルカリのようにめんどうな作業も発生しません。目の前のモノがすぐにお金になるアプリを作ったのです。

その後ユーザーは、写真を撮ったモノをCASHに送ります。

もし、それができない 場合は、手数料と共に2カ月以内に返金する必要があります。 

リリース当初は、「現代版の質屋」のようなサービスだと多くの人に言われました。

CASHがリリースされると、SNSを中心に爆発的に話題になりました。

ユーザーが写真を撮って登録するたびに、CASHはお金を支払います。

会社のお金が1億円…2億円…3億円と出ていっているのを見ながら、「まだ行こう」と思っていた一方で、社員は「めっちゃお金が出ていっちゃってますけど、大丈夫ですか?」と言い始めました。

3.6億円に達したころ、「さすがにヤバいかな」と怖くなり、リリースの日の夜中1時にサービスを急きょ休止しました。

予定していた1億円という金額は、もちろん会社としても個人としてもリスクです。 最終的に3.6億円を使ったので超ヒリヒリしました。

ただ、ぼくのなかで快感と怖さは半々でした。

世界でまだ誰も見たことのない実験の結果がわかるぞというゾクゾク感があった

CASHは、人を信頼して先にお金を渡して、後で取引をその人がちゃんとしてくれればビジネスになります。

ぼくが恐れていたのは、 「みんながバックれたらどうしよう」ということでした。

ただ「絶対に全員がバックれることはない」という確信もありました。いったいどうなるのだろう。めちゃくちゃ興味があった。

翌朝、8時半。くたくたになって家で寝ていると、宅配業者からの電話で起こされました。 

荷物が届いていますけど、いつオフィスに来られますか?」と言います。

あわてて会社に行くと、道路にトラックが3台停まっていました。

荷台にはCASHのユーザーからの大量の荷物が見えました。この瞬間に感じたのは、 「あ、これはイケる」ということでした。

その荷物が、全体のどれくらいの割合のものかはわかりません。

でも、ぼくは「これなら大丈夫だ」「人間は意外と信用できる」と直感したのです。

「1億円をばら撒いてみたい」というぶっ飛んだ発想をサービスに落とし込んでみた結果、世の中の真理が垣間見えました。

「すぐに現金が手に入る」ということがこれほど求められているのか…。

「持ち逃げ」するような悪い人はほんの一部で、ほとんどの人は信頼できるんだな…。

サービスを通じて「人間の本質」が見えたのです。

実験思考が身に着くと、不安な時代=おもしろい時代に

ぼくは、ゲームをするように、知恵の輪を解くように、世の中の問題を「こうやったらいいんじゃない?」と思考して、実際に試してみることが大好きです。

はっきり言って、毎日がすごくおもしろい。

毎日、社会実験をやっている感覚で、ワクワクが止まりません。

CASHも一度休止してから、約2カ月後に再開しましたが、最初の16時間の結果と24時間サービスを回したときの結果とで、ユーザーの動向はぜんぜん違うのです。

詳細は企業秘密なので言えませんが、見ているだけでめちゃくちゃおもしろい。

「実験思考」が身につくと、世の中に課題があればあるほど、楽しくなります

不便なこと、めんどくさいことが、ぼくにとっては「宝物」になり、世界が180度違って見えてきます。

しかも、すべての失敗が貴重なデータになっていくので、失敗という概念すらなくなります。毎日が楽しくならないはずがありません。

もちろんぼくは「起業家」なので、 「ビジネスを成功させたい」という思いも当然あります。

ただそれ以上に「実験家」としてアイデアや仮説を世に問うことで、人間を知ることができる

こんなにおもしろいことはない、と思うのです。

皆さんもできるだけ、ぶっ飛んだこと、狂ったことを、失敗してもいいので実験してみてほしいと思います。

そうするとこの世界がもっとおもしろくなると思うのです。

この時代をどうおもしろがる?「実験思考」を身につけよう!

実験思考 世の中、すべては実験

実験思考 世の中、すべては実験

ぼくはただ、見たことのない景色を見たいのです」。

これは、本の「はじめに」に書かれている光本さんの言葉です。

深刻な空気に覆われながら、めまぐるしく変わっていく世の中の状況に戸惑いを感じている人、落ち込んでいる人、感じ方は人それぞれでしょう。

でも、そんな不安な時代だからこそ、あえて正体の見えない不安でさえも面白がれる「実験思考」を身に着けておけば、この先どんな思いがけない逆境に陥ろうとも、折れることなく前向きに人生を歩んでいけるはず。

家で過ごす時間が増える今、思いがけないアイデアを生み出す思考法を身に着けてみてはいかがでしょうか。