「誰も見たことがない景色を写真に収めたい」

あらゆるビジネスパーソンをハッとさせる。GO三浦崇宏が感動した“極地写真家”の覚悟

仕事

連載

推薦! ワタシの逸メン

連載へ

新R25では、これまで多くの著名人に取材してきました。

しかし一方で、「まだそこまで知られていない逸材」が、どこかにいるのではないか?という思いも常にあります。

そこで、さまざまなインフルエンサーに、“自分のまわりで、面白いと思う人”を推薦してもらうことに。

今回はどんな逸材が登場するのでしょうか?
著書『言語化力』『人脈なんてクソだ。』でおなじみのThe Breakthrough Company GO代表取締役の三浦崇宏さんが推薦してくれたのは、“ネイチャー・フォトグラファー”の上田優紀さん
24歳のときにカメラをはじめ、現在は半年に1回のペースで海外に渡り1~2カ月間、たったひとりで世界の極地を撮影しているんだとか。

新R25では珍しいカメラマンのインタビュー。三浦さんに彼の魅力をとことん引き出していただきましょう…!

「塩湖で雷に打たれかける」「クレバスに落下」命がけの挑戦

三浦さん

三浦さん

上田くんの紹介をするなら、作品を見てもらったほうがいいね。

ちょっといくつか見せてもらえる?
上田さん

上田さん

そうですね。

それでは、こちらをご覧ください。
上田さんの写真。どうやったらこんな写真を撮れる場所にたどりつくのか、全然想像できない…
三浦さん

三浦さん

上田くんは、世界中の極地、僻地を旅しながら撮影している風景写真家。

実際に会うとすごく穏やかな青年なんだけど、実は何度も死んでもおかしくない経験をしているんだよね。

これまであった危なかったことを、ちょっとだけ教えてもらってもいい?
上田さん

上田さん

そうですね…

初めてフリーランスのカメラマンになったとき、ウユニ塩湖を撮影しにいったんですけど…そのとき雷に打たれかけました
雷…!?
上田さん

上田さん

当時、ウユニ塩湖にテントを貼って40日くらい滞在していたんですけど、激しい雷雨の夜があって。

そのとき、周囲10km圏内で一番背が高いものが、僕が生活していたテントだったんです。

何度も近くで雷が落ち、地震かと思うほど大地が揺れていて…とにかく雨雲が過ぎるのを祈るように待っていました。
これが撮影当時の環境。真ん中に見える赤い点が、上田さんのテントです。マジでなんもねえ…
上田さん

上田さん

あとは先日、ヒマラヤ山脈のマナスルという山を撮影しにいったとき…クレバス(氷河や雪渓の割れ目)に落ちかけたんですよ
三浦さん

三浦さん

えっ!? 知らなかった!
驚きすぎてフレームアウトしちゃった
上田さん

上田さん

マナスルは標高8000mもあるので、一気に登ると高山病を発症してしまいます。

だから、標高6000mくらいのところで、高度に慣れるために1カ月くらい生活するんですよ。

その期間に、ひとりで山のなかを歩いていたら雪で隠れたクレバスを踏み抜きました
ちなみにマナスルはこんな世界です。こっわ…
上田さん

上田さん

たまたま荷物が引っかかって上半身で止まったんですけど、荷物が引っかかってなかったら死んでたと思います

あれは油断してましたね…
三浦さん

三浦さん

油断で片付けられる話じゃないよ! この場にいることが奇跡だよ!!
話し方がとても穏やかなのに、トーク内容が全然穏やかじゃない上田さん

バックパッカーがカメラと出会って世界が変わった

三浦さん

三浦さん

実は上田くんとは知り合って、まだ半年くらいなんだけど…

いい機会だから、経歴から教えてもらえる?
上田さん

上田さん

父親が考古学者だったこともあって、「世界」に対する好奇心が強い子どもだったと思います。

大学に入ってからは、バックパッカーとして旅をしたり、アメリカに留学したりしていて。卒業後には旅行会社に就職しました。
三浦さん

三浦さん

カメラマン志望じゃなかったんだ。
上田さん

上田さん

全然違います。

初めてカメラを買ったのは、会社を退職して、世界一周の旅をすることになったときです。せっかく行くんだから、いろんな景色を記録しておこうと思って。

ただ、このカメラが僕の人生を変えるきっかけになりました
上田さん

上田さん

アイスランドに行ったとき、現地の子どもたちにアフリカの砂漠の写真を見せたんですよ。

すると彼らがびっくりするくらい興奮していて。

どうしてか聞くと、彼らはそれまで砂漠を見たことがなかったんですって
三浦さん

三浦さん

へえー! 上田くんのカメラを通して初めて砂漠を見たんだね。
上田さん

上田さん

そうです。

ほかにも、電気もガスも通ってないインドの山奥で暮らすおじいちゃんやおばあちゃんに、NYの摩天楼の写真を見せたらとても感動してくれて。

それを見ていると、すごく満たされた自分がいたんですよね。「人生をかけてこれをやりたい」と気づきました。
上田さん

上田さん

世界一周の旅が終わったら、すぐにカメラマンのプロダクションに入って基礎を叩き込んでもらいました。

そこで約2年後にフリーランスとして独立して、最初はウユニ塩湖やパタゴニアなど、美しくて人のいない環境の写真を撮り始めました。

大先輩の「登らないの?」という一言で命がけの人生に

三浦さん

三浦さん

今みたいに、命がけで山に登りはじめたのはいつから?
上田さん

上田さん

写真家として1年くらいたってからですね。

七大陸最高峰登頂を当時世界最年少で達成した写真家・石川直樹さんに、マイナス20度のヒマラヤキャンプで撮影した写真を見てもらったときに、「君は山に登らないの?」って言われたんです。
これがヒマラヤで撮影した写真。美しい
三浦さん

三浦さん

すごい問いだね(笑)。

お前は高みへ来ないのか?」みたいな。
上田さん

上田さん

そこで「行きたいです」と即答して、超高所での命がけの撮影に挑むことになりました。

高所に行くためにはまずトレーニングが必要で、酸素を減らした部屋で1時間半くらい走ったり、15kgくらい機材を担ぎながら歩いたりしていましたね。

とにかく血中の酸素濃度が下がっても生きていかないといけないので。
三浦さん

三浦さん

過酷なトレーニングだな…

俺もよく、「命がけで働く」とか「命をかけるつもりでやる」とか大げさなことを言うんだけど…

俺の知り合いで本当に命をかけて仕事をしている人は、上田くんと格闘家の青木真也ぐらいだよ。

ほかにも楽な仕事がたくさんあるなかで、上田くんが命をかけなければいけない理由ってなんなんだろう?
上田さん

上田さん

答えになっているかわかりませんが…誰も見たことがない景色を写真に収めたい、という“やりたいこと”をやっているだけなんですよね。

自分の貴重な人生に値することはなんだろうってずっと思ってて、それがようやく見つかっただけなんです。

たまたまそれが、命をかける必要があっただけで。
上田さん

上田さん

この世界には70億以上の人がいるけど、それぞれが自分の物語の主人公じゃないですか。

物語の主人公だとしたら、やりたいことをやっていないと、生きている意味がないと思うんですよ。
たしかにそうだな…意外に言葉が強い上田さん

「自分の欲望の掛け合わせでone and onlyになれる」

三浦さん

三浦さん

俺が上田くんをすごいなと思うエピソードがほかにもあって。

初めて会ったときに、「写真家のなかには、どんな写真を撮ってもその人のカラーがにじみ出る天才がいる。自分はそういうタイプじゃないけど、自分の行動力と登山スキル、命をかけるエナジーを掛け合わせれば、世界で自分にしか撮れない写真がつくれるはずだ」と言っていたんだよね。

その言葉にすごく感動したんだよ。
三浦さん

三浦さん

その考えは、俺もすごく共感するところがあって。

俺も若いころ、圧倒的な才能を持つスタークリエイターたちの壁が高すぎて苦悩していたけど、マーケティングとPRという別領域の戦い方を持ってきて、独自のポジションを築くことができたんだよね。
上田さん

上田さん

僕の場合は、自分の欲を優先してきた感じがありますけどね(笑)。
三浦さん

三浦さん

その欲がいいんだよ!
近いです。画面に
三浦さん

三浦さん

上田くんには、「誰も見たことのないような写真を撮りたい」と「見たこともない世界を見たい」という2つの本能的な欲がある。

この2つの欲を掛け合わせたことで、唯一無二の存在になれている。
上田さん

上田さん

そう言っていただけると、すごくうれしいです。
三浦さん

三浦さん

欲望を中途半端にセーブして社会人ぶるよりも、自分の欲望を全部掛け合わせることで、初めて「one and only」になれる

上田くんの存在は、くすぶっている人の希望になれると思うんだよな。

「上田くんの写真はビジネスパーソンに届いてほしい」

三浦さん

三浦さん

今回、俺が上田くんを推薦した理由のひとつでもあるんだけど…

上田くんの写真は、“写真以外の情報”も多くの人に知られるべきだと思うんだよね。

たとえば…
三浦さん

三浦さん

この写真を撮ったときに上田くんが感じたであろう孤独とか、命をかけてでも写真を持って帰ろうとする決意とか、そういう背景を知ったうえで見るとものすごく感動する。

とても「美しい月と山々」なんて簡単な言葉じゃ言い表せない。
この山に挑むと決めた時から、当然ある程度の覚悟はしていた。

命さえあれば、多少の凍傷やケガでは諦めない。

僕の体を心配してくれた多くの人たちには申し訳なくて誰にも話すことはできなかったが、密かにそう決めていた。

けど何があっても命は守らなくてはならない

それは、僕が写真家だからだ

写真家は写真を見てもらって初めて価値を持つ。

だから必ず生きて帰る

多くの人たちの心に写真を届けたいから僕は撤退することを選んだ。

出典https://yamahack.com

※アマダブラム(ヒマラヤ山脈)に挑んだときの上田さんの手記
三浦さん

三浦さん

寿司って、目の前で板前が握ってくれて、「このネタは~の海で取れた貴重なものです」って解説されるだけで、おいしさが変わってくるじゃん。

それと同じで、写真を見る人に、上田くんの個性や生き様をスパイスのように感じてもらえたらいいなと思ってる。
上田さん

上田さん

なるほど…
三浦さん

三浦さん

あと、上田くんの写真はビジネスパーソンに届いてほしいと思うんだよね。

写真に対する決意や覚悟は、あらゆるビジネスパーソンやクリエイターをハッとさせるところがあると思う。

自分の信じていることに、“自分の何%”を費やせているか

そんなことを写真から突きつけられるからね。
「上田くんと胸を張って語り合えるほど、命を燃やして仕事をしているのだろうかってね」
三浦さん

三浦さん

ちなみに次はどこに行く予定なの?
上田さん

上田さん

コロナの騒動で延期になってしまいましたが、次はエベレストに挑戦する予定です。
三浦さん

三浦さん

世界最高峰への挑戦!

絶対に帰ってきて、素晴らしい写真を届けてください!
三浦さんの言う通り、話を聞いてからだと上田さんの写真が、また違った見え方をするようになりました。

この景色を撮るためにどれだけ努力し、どれだけしんどい道のりを歩いてきたことか…。

仕事に対する並々ならぬ情熱と覚悟を感じられます。

自分が今、「人生をかけるべき挑戦」ができているか。上田さんの覚悟に比べたら、まだまだ甘いので精進します…!

〈取材・文=福田啄也(@fkd1111)〉
オススメのサービス!

転職サービスで
適正年収を調べてみる