ビジネスパーソンインタビュー
島崎遥香が語る“大人”論「限られた枠のなかで、やりたいことをやるのが人生じゃないかなぁ?」

「だから今、アベンジャーズを作りたいって思ってます」

島崎遥香が語る“大人”論「限られた枠のなかで、やりたいことをやるのが人生じゃないかなぁ?」

新R25編集部

2020/09/28

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仕事をしていて、「少し大人になったな」と思える瞬間、あるでしょうか。

後輩の面倒を見たり、先輩からも少し頼られるようになったり。社会人になったばかりのころに比べると、いくつか成長を実感できることもある気がします。

でも一方で、まだまだ大人になりきれない、「子どもっぽい自分」が顔を出てしまうこともあるのでは。

今回は、15歳で「AKB48 第六回研究生(9期生)オーディション」に合格して以来、10年以上最前線で活躍してきた島崎遥香さんに、「仕事をしていて大人になったと思う瞬間」をテーマにお話を聞きました。

ぱるるさんが語る”大人論”…まさか戦国武将の話が出てくるとは思いませんでした。

〈聞き手=サノトモキ〉

【島崎遥香(しまざき・はるか)】女優、YouTuber。1994年生まれ、埼玉県出身。2009年、AKB48のオーディションに合格。以降、「永遠プレッシャー』でセンターを担うなど、人気メンバーとして活躍。2020年にはYouTubeチャンネル「ぱるるーむ」を開設。完全数量限定コスメブランド【MIRROR】のクリエイティブディレクターに就任

「大人と子どものバランス」をとりたい。よく思い出すあの先輩の言葉…

サノ

さっそくですが、島崎さんはお仕事をされていて「大人になったなと思う瞬間」ってありますか?

島崎さん

うーん、そうだなあ。「大人になる」って難しいですよね…

私の場合は、最近「大人と子どもとのバランス」をとれるようになりたいと思っていて。

島崎さん

なんでもまわりに同調する大人」にはなりたくないんです。

気を遣ったりまわりに合わせたりすることって、「社会で生きていくための能力」として必要だけど、そればかりでも辛くなってしまう。

その「大人と子ども」のバランスがすごく大事だなって。だから今は、「大人」になるためのバランスをとる勉強をしてるんです。

サノ

たしかに、そこのバランスを保つのってすごく難しいかも…

反対に、「こんな大人になりたい」という理想のイメージなどもあるんでしょうか?

島崎さん

いつも心に“遊び”がある大人」になりたいんですよね。

アイドル時代は秒単位で動いていたので、心にゆとりが持てなくて。

ゆとりのある、おおらかな大人になりたいです。

サノ

なるほど。

ゆとりのある大人になるために、考え方を参考にした先輩などもいるんですか?

島崎さん

先輩というのかはわかりませんが、伊達政宗さんの言葉で印象的なものはあります。

サノ

え?

伊達政宗って、「独眼竜」の…?

島崎さん

私、伊達政宗の「この世に客に来たと思えば何の苦もなし」って言葉がすごい好きで。

伊達政宗=1567〜1636年。戦国時代に東北地方を平定した武将。“先輩”の引き出しが斜め上すぎる

サノ

えーっと…、それはどういう意味なんでしょうか?

島崎さん

たとえば、自分がこの世界にお客さんとしてお邪魔したと思えば、自分とそのまわりの世界にギャップを感じたとしても楽に思えますよね。

自分なりにこう解釈しています。

サノ

つまり、「今いる環境が合わないと感じても、自分は一時的に“お客さん”としてお邪魔してるだけと思え」と。

たしかに、イヤなことがあってもちょっと冷静になれそう。

政宗もそんなこと考えたんですね…

島崎さん

実際そのように思っていたのかはわかりませんが、私はそのように解釈していて。

そう思うと、すごく心が軽くなりません?

そんな時代の人も同じようなことで悩んでるなら、人間ってそういうものなんだなって。

21歳のとき、いろんな本を読んで“心にゆとりを持てる考え方”を探したそうです

ぱるるさんが「納得できなくても、まず受け止める」ができるようになった理由

サノ

ほかに、「大人と子どものバランス」で意識してることってありますか?

島崎さん

最近ようやく、「人に合わせよう」って思えるようになってきました。

サノ

ようやく…ということは、やっぱりなかなか人に合わせられない時期もあったんですね。

島崎さん

そんな時期もありました。

納得できないこと、違うと思ったことはすぐ反発してしまっていました。

でも今は、まず受け止める。持ち帰る。

サノ

「受け止める」って、けっこう大人な行為ですよね。僕も正直あんまりできなかったりしますし…

どうしてできるようになったんですか?

島崎さん

人に合わせることで、「まわりを巻き込める人になれる」ってことに気づいたから。

サノ

まわりを巻き込める人、ですか。

島崎さん

例え自分の意見と違ったとしても、相手の意見を飲み込む。

これだけで、まわりからの「見る目」がすごく変わるって気づいたんです。

あとで違う意見を言ったとしても、同じゴールを目指す「味方」が増える。あとあと自分が楽になるんだなってことを、ようやく感じてきて。

もともと敵を作りがちだったんですけど、やっぱり味方はたくさんいたほうがいいですよね!

サノ

たしかに「味方を作る」ってめちゃくちゃ大事ですよね。

その大切さに気づけたきっかけって、何かあったのでしょうか?

島崎さん

アイドルを卒業して、個人でお仕事をする環境に変わったことが大きかったですね。

当時はメンバーの子たちにたくさん助けてもらってたんですけど…今は責任が全部自分に降りかかってくる。

自分の足で歩いていかなきゃと考えたときに…私は何も偉くないし何もできないから、仲間に助けてもらえる人になっていかなきゃってすごく思ったんですよね。

サノ

大人だ…

島崎さん

だから今は、アベンジャーズを作りたいって思ってます。

え?

サノ

アベンジャーズって…

いろんなヒーローが集結して戦う、マーベルの?

島崎さん

そう。“自分がどうしてもできないこと”を互いにカバーし合える人と一緒にお仕事ができたら、それが理想だなと思うんです。

誰が主役でもなくて、でもこの人たちがそろったら最強だよねって。

そのためにも、30代に向けて「まわりを巻き込める大人」にならなくちゃとすごく思っています。

サノ

自分ひとりで歩いていくんじゃなく、自分が苦手なところでふらついたとき、それを支えてくれる人と一緒に働きたいってことか…

めちゃくちゃ素敵な「大人」像だ。

島崎さん

今の私は、「桃太郎」のほうが近いのかな。

最初はひとりだけど、「自分ひとりではできないことがたくさんあるから、どうか一緒に戦ってくれませんか」ってきび団子を渡して、だんだん仲間が増えてく。

それがのちのちアベンジャーズに変わったら、かっこいいじゃないですか(笑)。そういう大人になれたらいいですね。

サノ

でも、大人になってくると「自分ひとりではできない」って言いづらいこともありません…?

島崎さん

私、本当にそういうプライドがないんですよ。「できない自分」をさらすことにもあんまり恥じらいがなくて。

自分ひとりで乗り越えられないと思ったら、「今これに困ってるので助けてください」と、はっきり助けを求める。

もともとが「成長過程を見守ってもらう職業」だったのも大きいかも。最初からできなくていいんですよ。できるようになればいい。

サノ

なるほど!! 「成長過程を見守ってもらう」って感覚、めちゃくちゃいい…!

僕らもプライドが邪魔で助けを求められないとき、自分のことをアイドルだと思ってみたらいいのかも!

島崎さん

(笑)

「決められた枠のなかで、どれだけ“自分がやりたかったこと”に近づけられるか」が人生

サノ

島崎さんは現在、完全数量限定コスメブランド【MIRROR】のクリエイティブディレクターに起用され、リップの商品開発に挑戦されたそうですね。

それこそ人を巻き込んでの挑戦になったと思うんですが…実際に挑戦してみていかがでしたか?

島崎さん

大勢の方が関わっていることなので好き勝手作れるわけじゃないし、リップってすごく歴史のある商品だから、新しいものを作るってすごく大変。

決められた範囲と期間のなかで作る」というのは、難しさもありましたね。

島崎さん

だからこそ「じゃあ、そのなかで“自分だから作れるもの”って何なのか?」を考えて作りました。

…というか、そういうことのほうが圧倒的に多いと思うんですよね、生きてたら。

サノ

どういうことですか?

島崎さん

仕事もそうだけど、100%やりたいことだけやって生きてる人なんてそうそういない。

決められた枠のなかで、どれだけ自分がやりたかったものに近づけられるか」じゃないですか? 人生って。

サノ

なるほど…!

よく「自分がやりたいこと」と「まわりに求められること」でどう折り合いをつけるか…みたいな話もありますけど、そこはどう思いますか?

島崎さん

私はどっちもやります。どっちも大切だから。

私、人生において目標がなかった時期がないんですよ。仕事を15歳ではじめてから、「来年はこうなっていたい」みたいな目標と、それを実現するために「やりたいこと」が常にあった。

でも、初めから「やりたいことしかやらない」なんて言ったらわがままになるから、「やってほしい」と言われたもののなかから、自分が目指すゴールに近づけそうなものを選んできました。

サノ

求められたことのなかから、やりたいことを選んできたと!

まさに、「大人と子ども」のバランスだ。

島崎さん

今回のリップも、いわゆる”大人”が考えた「これつけたらモテる」とか「これつけたら輝ける」とか…そういうのが私はすごく嘘くさく思えて、イヤだったんですね。

だから今回私が作ったのは、「王道なんだけど、王道とは言われたくないリップ」です。

そういう気持ちに共感してもらえそうな子につけてもらえたら、すごくうれしいかな。

最後の最後まで「らしさ」全開でした。ありがとうございました!

いろいろな角度から、「大人」について話してくれた島崎さん。

その根底にある、常に「大人と子どもとのバランス」を慎重に保とうとする哲学が見えた気がしました。

大人らしく振舞えたほうがいいときもあるし、子どもみたいな無邪気さで、自分を貫いたほうがいいときもある。

そこを上手にいったりきたりできる大人って、けっこうカッコイイかもしれません。

〈MIRRORブランド概要〉

島崎遥香をクリエイティブディレクターに起用した、完全数量限定のコスメブランド「MIRROR」から「今の気分が映るリップ」をコンセプトにマットリップシリーズ全3色が10月1日から公式オンラインストアより予約販売発開始!

【MIRRORとは】
「MIRROR(ミラー)」は、「画一的な自分らしさ(女性らしさ)やかわいさの押し付け」ではなく、日々の気持ちの移り変わりや好みなど「その時の気分をもっと肯定したい」という想いのもとで、立ち上がったコスメブランドです。そのため、ブランド名は、「鏡」を意味する「MIRROR(ミラー)」を採用し、「今の気分が映るリップ」をコンセプトに設定しました。
「MIRROR(ミラー)」を使っていただくことで、メイク自体だったり、ライフステージの変化だったり、そのときの気分や悩みや迷いを含めた「揺らぎ」を肯定していただければと思っております。

〈取材・文=サノトモキ(@mlby_sns)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=森カズシゲ/衣装協力=MIKIOSAKABE(@mikiosakabe)(︎03-6279-2898)/スタイリスト=二宮ちえ/ヘアメイク=川畑春奈〉

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