ビジネスパーソンインタビュー
テクノロジーで幸せの量産を。トヨタ自動車が実現する“はたらくWell-being”

研究ではたらきやすい未来を。

テクノロジーで幸せの量産を。トヨタ自動車が実現する“はたらくWell-being”

新R25編集部

連載

「“はたらくWell-being”を考えよう」

Sponsored by パーソルホールディングス株式会社

2023/12/22

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パーソルグループ×新R25のコラボでお送りする「はたらくWell-being(ウェルビーイング)を考えよう」と題した連載では、「令和の新しいはたらき方」を応援するとともに、さまざまな人のはたらき方や価値観を通して、ビジネスパーソン一人ひとりが今もこれからも「幸せにはたらく」ための考え方のヒントを探していきます。

今回、学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高等学校・S高等学校に参加してもらい、「N/S高生“はたらくWell-being”を考える」と題した新企画を立ち上げます。N/S高生が“はたらくWell-being”を体現している人や応援している人、あるいは組織を取材し、高校生の視点からこれからの「幸せ」について考えます

今回ご紹介するのは、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車) 未来創生センターにて「心と身体のアシスト制御技術」について研究されている山下勝司さん山口雄平さん山田整さんです

誰かのためのWell-beingを考えて、研究を行っている山下勝司さん、山口雄平さん、山田整さんには、研究者としてのやりがいや思いについて現役N/S高生の高山が聞きました。

左から山田さん、山下さん、山口さん

トヨタ自動車に入社後、制御関係やロボット関係の開発業務に従事。最近は人と機械のインターラクションに興味をもち、脳波や筋電位を用いた機械の協調制御に取り組んでいる。アート鑑賞が趣味

理化学研究所で脳型コンピュータの研究・開発に従事した後、パートナーロボットの知能とセンサーの開発を行うためトヨタ自動車へ転職。理研CBS・トヨタ連携センター(BTCC)の設立にも貢献。工学的に意識を創造することがライフワーク。趣味はワラーチ(メキシコの先住民族ララムリ族が履いているサンダル)または裸足でのジョギング。珈琲が好きで淹れ方の研究も欠かさない

電機メーカーの中央研究所に勤務後、ひとの役に立つ安心・安全なロボット開発を行うためにトヨタ自動車に転職。介護・リハビリロボットなどの研究開発に携わる中で、ひとの理解に向けた研究に情熱をもつ

ひとの役に立つロボットの研究をしようと思ったきっかけは

高山

本日は、よろしくお願いいたします!

早速ですが、トヨタ自動車 未来創生センターに勤めたきっかけと惹かれた点、研究を行おうと思ったきっかけについて教えてください。

山下さん

私が入社した頃は自動車の運動制御が華やかな頃でした。

最近の自動車は地球・環境問題を重視していますが、1990年代頃はステアリング制御※1とかサスペンション制御※2とか、駆動系制御※3が盛んだったんです。

そういう頃に私は力学を学んでいて、ダイナミクス※4に興味があり入社し、初めは制御のようなものに携わっていました。

2000年過ぎてからはトヨタ自動車が人のパートナーとなるパートナーロボット開発を始めて。

私もロボットにも興味がわいて、今に至るという感じです。

ロボットと一口に言ってもいろいろな種類があります。

その中でも今回我々、未来創生センターが取り上げているのは人と機械が協調するようなパートナーロボットで、ひと中心のロボットです

(※1)滑りやすい路面を曲がる時などに車道の挙動が安定する方向にハンドルを切る力をアシストするシステム
(※2)車体の底部とタイヤを繋ぐ部品の制御
(※3)駆動輪にエンジンの出力を伝えるシステムのこと。
(※4)動力学

山下さん

トヨタ自動車は、2000年頃からこのようなパートナーロボットの開発をしています。

その前までは、トヨタ自動車ではロボットは自動車を作るために活用されていました。

工場の中で、人が入ると危ないような作業をロボットが人に代わってやっていたんです。

その後、2000年頃から人と寄り添って、人と一緒にはたらくような、パートナーロボットを作れないかということになり開発が進み始めたんです。

2005年に開催された愛・地球博では楽器を弾くパートナーロボットを作り、出展しました。

高山

2005年…まだギリギリ産まれていないです。ロボットが楽器を演奏できることも、そのロボットが存在したことも初めて知りました!

山田さん

僕は、トヨタ自動車に来るまで別のところで就職していました。

今で言う産総研や理化学研究で脳型のコンピューターを作っていて、その後トヨタ自動車がこういったパートナーロボットを作ることを聞いて、行ってみようと思いました。

それから十何年経ってますね。

今の部署の前身でもあるパートナーロボット部が立ち上がった時、キャリア面接で山下さんと、そこで初めてお会いしました。

山下さんが面接官でしたね。

高山

今は一緒に研究されていますが、そうだったのですね!

山口さん

僕は元々電機メーカーに勤めていて、そこでもロボットの開発を行っていました。

トヨタ自動車は、安全なクルマを安定して作れる会社、ひとの安全を確保する技術をもっている会社だなと思ったんです。

そこがいいなと思い、中途入社をしてパートナーロボット部に入ったのが2008年です。

最初の配属先の、2つ上の上司が山下さんでした(笑)。

高山

お二人とも山下さんと昔から関わりがあったのですね!

山口さん

最初は介護用のロボットなどを研究していたのですが、今はひと研究の中で、ロボット開発にもつながる研究をしています。

山田さん

大学では完全に安全なものは出来ないので、「企業でちゃんとやろう」という感じですか。

山口さん

そうですね。

理屈で「こうすれば安全だよね」というのと、お客様に使っていただくときに時にそれで安心してもらえるかというのは別ですよね。

企業で研究開発をする上で、安全と安心ってすごく大事だなと思います。

山田さん

安全、安心なのと、企業の研究の方がすごく先のことも出来るっていうのは、すごく面白いと思います。

大学って論文を沢山書かなければいけないです。

けれど、我々は書かなくて良い訳ではないけれど、「こんな研究するの!?」と思われるような研究を我々のいる未来創生センターでは出来るのがすごく大きなことかなと思います。

人それぞれ違う世界で「幸せの量産」するということ

高山

ありがとうございます。研究者の皆様はWell-beingについてどのように捉えていらっしゃいますか?

山下さん

体と心の健康、両方あるなと思っています。

どちらにも当てはまりますが、やっぱり人を中心とすることが大事かなと。

人ができることはなるべく人にやってもらって、できないことだけ機械がサポートするっていうようなのが大事かなと思っています。

そうすると、徐々にできないこともできるようになるし、高齢者の方もいつまでも、はたらけるようになるとか。

いろいろな良いことがあるのかなと思ってます。

山田さん

難しいですね。

コロナ禍で在宅勤務が増えたように、あと10年も経つとさらに大きく変わりますよね。

その時の幸せとはなにかを考えてみようという主旨で研究をしています

幸せを感じる時の脳の活動とか、人との関わりの中でどうその脳活動が変化するのかとかをもっとよく知りたいのです。

たとえば今の時代ネット上で多くのことができますよね。

会社って本当に必要なのか、そこまで興味が出てきているのが今だと思います。

山口さん

Well-beingってなんだろうと考えた時、答えは日本に限定しても一人ひとり違います

世界で見るともっと違いますよね。

トヨタ自動車は「幸せの量産」をミッションにしていますが、それは「これが幸せです」って単一のパッケージにして販売するってことではないと思っています。

世界中のお客様にとってのWell-beingってなんだろうと、僕らはまず思いを馳せることが大事

唯一解があるわけじゃなく、多様で多義的だということがポイントだと思っています。

Well-beingを理解することは、人を理解するということ

高山

「トヨタ自動車」といえば自動車メーカーというイメージがありました。クルマとは少し離れた、Well-beingな取り組みをするきっかけとなったことはありますか?

山口さん

トヨタ自動車はモビリティ・カンパニーへの変革を進めています。

クルマ作りだけでなく、まちや社会と一体となったモビリティのエコシステムを作っていく中で、Well-beingを実現していきたいと考えています。

まちづくりや社会といったスケールでお客様のWell-beingを考え、新しい製品、サービスの開発を進めるときに、これまでクルマ作りの中で考えてきた以上に、ひとのことをちゃんと知る、Well-beingとは何か理解することが、重要になってきていると感じています。

高山

なるほど。Well-beingとは何か理解することが重要なんですね。

山口さん

そうですね。

加えて、トヨタ自動車の研究者、技術者だけで「こういうことがWell-beingだと思うんだ」と議論しているだけでは不十分だと思います。

こうした議論をお客様含め多くの人に知っていただき、大学や研究機関の方ともお話をしながら、Well-beingとは何かという理解を深めていきたいと思います。

山田さん

トヨタ自動車の中には「幸せの量産」の他にも「誰ひとり取り残さない」という言葉があります。

人類として長い歴史を辿って今に至っていますよね。

大分文明は発達したけれど、すごく幸せだと感じている人とそうじゃない人に分れてしまっています

トヨタ自動車の姿勢である「誰ひとり取り残さない」というのは、これからの未来ですごく重要です。

高山

ノンステップバスのようにどんな人でも使いやすくするための工夫が必要なんですね。

山田さん

なにかに挑戦をしたいと思った時、もし移動に障害があるのだったら、その障害を取り除くのはトヨタ自動車の使命だと考えています。

誰でもどこへでも行ける、「Mobility for ALL」という言葉を掲げていますね。

移動というのは図書館から家に行くような物理的な移動だけではなくて、バーチャルな移動に、心もそうです。

英語で感動させるはmoveと表現しますよね。

心も移動、すなわち感動してもらえるものも作りたいと思っています。

高山

心を動かされる。確かに感情が動くって書きますもんね。

最後に、Well-beingな取り組みに対する思い、やりがいを教えてください!

山口さん

僕は、Well-beingとは何か理解をする時に、 人を理解することが一番大事なのかなと思っています。

遺伝子から社会性まで人を様々な視点で見て、人とWell-beingを理解すること、これがモビリティ・カンパニーとしてトヨタ自動車が製品やサービスを開発する時の基盤になると思っています。

山田さん

これまでの人類の歴史と、今の時点と、この先どうなっていくのか、 そこを僕は正確に理解したいです。

個人だけじゃなくて、集団としてどういう風な世界になっていくのか、それから日本と世界ではどうなっているのかを理解したい。

それが、Well-beingの研究への思いです。

その理解は、会社にとっても、みんなにとっても、役に立つだろうなと思います。

山下さん

自分のやりたいことをやるのが一番いいと思います。

もしかしたら、仕事があまりやりたいことではないかもしれないですが、できる限り、自分のやりたいことをやって、自分らしくやることが、 結果にもつながるし。

それは、勇気のいることだし、自信をもってやらないといけないことだけど、一番大事なことだと思うので、楽しみながら研究をしています。

<取材・文=高山咲紀>

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