「結果を出すために、心を麻痺させて走っていた」
「軽はずみな歌詞は書けない、MCもできない」セカオワFukaseが語る“結果を出した人”の苦悩
新R25編集部
毎月新R25の “表紙”を飾る、「つきヌケ企画」。
若手時代のモヤモヤを乗り越えブレイクのきっかけをつかんだ方々に、「つきぬけた瞬間~ブレイクスルーポイント~」と題し、モヤモヤ期から抜け出した瞬間のお話をお聞きします!
6月号の表紙を飾っていただくのは、SEKAI NO OWARIのFukaseさん。
昨日公開の前編では、「ホワイドボードに書き出して、自分の不安を細分化している」と、つきぬけるための“もがき方”を教えてくださったFukaseさんですが…
今日のテーマは「つきぬけた後」について。
日本中が認める人気アーティストになったFukaseさんのなかに、新しく生まれた「つきぬけ後の苦悩」とは?
〈聞き手=サノトモキ〉
「軽はずみなことは言えない」。モチベーションが失われ、責任が生まれてくるという苦悩
サノ
SEKAI NO OWARIは今、名実ともに「つきぬけた存在」だと思いますが…
つきぬけた後も第一線で活躍しつづけるためには、どうすればいいんでしょうか?
Fukaseさん
「つきぬけた後」…と聞くと、たぶん皆さん「手に入れたもの」を想像すると思うんです。
でもやっぱり、手に入れたぶんだけ「失ったもの」も絶対あって。
なので僕は結果を出した後に、「失ったものってなんだろう?」ということを必ず確認するようにしているんですね。
Fukaseさん
たとえば、「日産スタジアム」という大きなステージに立って、7万人の前で2日間歌ったんですよ。
それで得たものも確実にあったんだけど、失ったものもあった。
サノ
いったい何を?
Fukaseさん
モチベーションを維持できなくなるのを、すごく感じたんですよ。ここまでつきぬけるために頑張ってきたけど、ここから俺は何を目標に走っていけばいいんだろうって。
「つきぬけた後」に待っているのって、“モチベーションの消失”なんです。
「惰性で続けるくらいなら辞めちゃったほうがいいんじゃないか」と思うくらい、ある種の燃え尽き症候群になってしまった。
サノ
ああ…たしかに頑張って成果を出した後、ふと「あれ、なんでこんなに頑張ってたんだっけ」と思うこと、ある気がします。
Fukaseさん
一方で、結果を出すと「責任」が生まれる。
メディアに出て、顔が売れるほど、「自由」が失われていった。
デビュー時と比べると、今は“軽はずみな歌詞は書けない”と思うし、“軽はずみなMCもできない”と思う。
「軽はずみなことを言えなくなっていく」。すごくリアルな悩みだ
Fukaseさん
ちゃんとしたことを言わなきゃいけないなら…僕自身が葛藤してて“答え”がない状態だったら、何を話せばいいんだろう?って。
以前は、葛藤をそのままMCで話したり、歌詞にしたりしてたけど、そういうことも許されなくなってくる立場なのかなとか。
サノ
モチベーションが失われ、責任が生まれる…
「つきぬけた後」って、じつはつきぬける前よりツラいんじゃ…?
Fukaseさんはそんな状況をどう打開しようとしてるんですか?
Fukaseさん
「自分」というものを、もう少し人生の真ん中に持ってくるようにしました。
“つきぬけたい”の一心で走ってるときって、やっぱりちょっと心を麻痺させているんですよね。自分の心を置き去りにして走れてしまうというか。
だからどこかのタイミングで、もう少し「自分の心にフォーカス」したモチベーションに切り替える必要があったんですね。
Fukaseさん
ファンのためだけじゃなく、身近な人に愛情を注げるような作品を作っていきたい。僕の場合は、それが新しいモチベーションになりました。
誰が支えてくれたおかげで、僕が今ここに立っていられているのか。ファンの方はもちろんだけど、やっぱり身近な人の支えもとてつもなく大きかったわけで。
「ファンに求められている音楽」から、「メンバーがいいねと言ってくれる音楽」にシフトしていった。結果、4人だけ過ごしていた昔の時代に戻っていくような感覚がありました。
サノ
「結果を出す」から、「まわりへの感謝」にモチベーションが変わっていったと。
Fukaseさん
ただ、べつに「そんなにカッコいいモチベーションがないまま続けてもいいのかな」とも思うようになりました。
立場がある、責任があるって話も、「今の俺じゃ結論は出せない」っていう結論になって。
「どうすればいいかなんて全然わかんないから、何かわかるまでもう少しだけ頑張ってみよう」だって、歩き出す立派なモチベーションになると今は思えてますね。
責任が生まれてくるリーダー世代の方にも参考になるお話かもしれません…!
本業に関係のないチャレンジが、新たな伸びしろをもたらしてくれる
Fukaseさん
あと、最近は「本業と全然関係ないことに手を出す」を、かなり意識的にやってますね。
ある程度キャリアを積むと、新しく「やりたいこと」を見つけるのが難しくなってきたりもするんですけど…
苦手なことをやると、得意分野に“見えてなかった伸びしろ”が見つかるんですよ。
サノ
ほう…?
(というかFukaseさんまだ伸びしろを探してるのか…貪欲…!)
Fukaseさん
音楽でつきぬけようと頑張っていた時期は、「4人で音楽活動すること」にすごく重きを置いていたんです。
音楽に集中するために、1人で活動することをNGにしてたくらい。
ただその結果…もちろん音楽を極めたとはまったく思わないですけど、次の目標が見つからなくなって、燃え尽きてしまった。
Fukaseさん
なので3年前くらいから…
自分たちを「予想もしなかったステージ」に連れていくために、音楽とは全く関係ない仕事にも挑戦してみるようにしたんです。
映画に出たり、ダンスを踊ったり、絵を描いたり…絵は今度本も出すんですけど。
サノ
なるほど。
映画に出演されると聞いてすごく大胆なチャレンジを仕掛けてきたなと思ったんですが、新しい挑戦にはそんな理由があったんですね。
Fukaseさん
演技もダンスも絵も、得意だと思ったことも一度もないんですが、意外な可能性を切り拓くにはむしろ「苦手なこと」くらいがいい。
「自分が絶対に通らないはずだった道」にあえて足を踏み入れることで、今まで歩いてきた一本道にまったく新しい脇道が見えてくるんですよね。
だから僕は、得意ジャンルで立ち止まってしまったときほど、思い切って全然関係ないことに挑戦するんです。得意ジャンルで、また「新しいやりたいこと」を見つけるために。
サノ
ちなみに演技は苦手と言ってますけど…
『キャラクター』拝見しましたが、正直、今日会うのが怖かったくらいFukaseさんの怪演がやばかったです。
これはマジです
Fukaseさん
ほんとにねえ…不安ですよ。
世の中の人に「ほんとにこういうヤツなんじゃねえか」って思われちゃわないかって…(笑)
「これ素じゃない?」みたいになると、非常に問題だなって…
サノ
その問題が十分起こり得るくらい怖かったです。
この恐怖を1人で抱え込みたくない。誰かとFukaseさんの演技について話したいんです…早くみんな観て…
「ありがとうございます(笑)」
「走り抜き、モチベーションを失う」
「責任が生まれ、自由を失っていく」…
Fukaseさんが教えてくれた“つきぬけ後の苦悩”。R25世代のビジネスパーソンにとっても、いつか成果を出そうともがいた先でぶつかる壁のように感じました。
そんなときは、Fukaseさんが葛藤の末たどり着いた「自分にフォーカスしたモチベーションを探す」「思い切って本業に関係のないチャレンジをする」を思い出していこうと思います。
Fukaseさん 俳優デビュー作となる映画『キャラクター』
6月11日(金)から、Fukaseさんの俳優デビュー作、映画『キャラクター』が全国ロードショー!
Fukaseさんが演じるのは、天才的な殺人鬼。
菅田将暉さん演じる売れない漫画家が殺人犯を目撃してしまい、それをキャラクター化し漫画を描いてみたところ爆発的な大ヒット。そして再び目の前に殺人犯が現れる…というダークエンターテインメント作品です。
インタビュー中でも話にあがった“怪演”を、ぜひご覧ください…!
Fukaseさんのサイン色紙をプレゼント!
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